レベルアップで世界最強   作:奈落兎

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次の旅立ち

 魔力の使いすぎでその場に倒れ込むハジメ。

 全盛期のオスカー達が破れたのだ、一筋縄では行かないと思っていたが、予想以上の強さだ。もっと、もっと強くならなくては。いざという時、恵里を守れない。

 恵里の身も心も守る為には、五体満足で彼女の下に帰るだけの力がいる。

 

「…………………」

 

 と、倒れ込んだハジメに覆いかぶさるように影が指す。視線を上げれば恵里が居た。

 

「派手に暴れたね」

「ああ、その上逃げられた……」

「そっか………」

 

 未だ魔力が戻りきらず、状態も疲労になっているハジメの頭を持ち上げ己の膝の上に乗せる恵里。

 

「強くなるの?」

「当然」

「最低でも、僕を守れるぐらい?」

「それじゃ足りないだろ。お前を残してしまえば、なんの意味も無い」

「……………」

 

 その言葉に、恵里は微笑む。ハジメの頭を優しい手付きで撫でる。

 

「そうとも。君がいない世界なんて、僕は生きていけない。ましてや、君に、恋に盲目になった結果、失敗した事を教えられたからね。だから、僕は君以外に二度と恋なんてしないと誓ったんだから」

「そりゃ、光栄、だ…………な………」

 

 ゆっくりと目を閉じるハジメ。恵里はかけてくるオスカーとユエを見つけると、シーと人差し指を唇に当てた。

 

 

 

 

「知らない天井だ………」

 

 目を覚まし、見覚えの無い天井を見上げるハジメ。あの後、運び込まれたのだろう。ここはおそらくフェアベルゲン。

 起き上がろうとすれば、腕に何かが引っかかる。見れば恵里がすうすうと寝息を立てていた。その白髪混じりの黒髪に触れる。さらりと指を擦り抜ける。

 首筋に触れれば、温もりを感じる。 

 

「恵里、起きてるだろ?」

「…………うん」

 

 その言葉に、目を開く恵里。

 ゆっくり起き上がった彼女の体からシーツが滑り落ちて、真っ白な肌が陽光に輝く。

 

「………あの、な。流石に恋仲つっても、俺だって男なわけで、我慢出来ないかもしれないぞ?」

「しなければいいだろう? 僕は、君の女なんだから」

 

 首を傾け、目を細める恵里。その頬が興奮で赤く染まっていく。ハジメが細い肩を掴み、引き寄せる。二人の距離が0になり、唇を啄むように重ねていく。舌が絡み合い、ハジメが恵里の体を押し倒した、まさにその瞬間だった。

 

「ハロハロ〜! 起きた!? 起きたよね? 気配でわかるよおっは…………ありゃ?」

 

 バーンと扉を開け入ってきたフェアレーターは頬に指を当て首を傾げる。ウザい。そして、ニマ〜とうざったく笑うと唐突に叫びだす。

 

「ええ〜!? なになに、起きた途端にやるのがそれですか〜!? 二人ともわか〜い! けだもの〜! まあそうだよね、年頃の男女二人だもん! フェアちゃんもいいと思うよ!」

 

 そう言って、椅子を移動させて座る。

 

「さ、続けて」

 

 その日、フェアベルゲンで銀髪の美女が空を舞った。

 

 

 

「一先ず近くの街で物資を調達。その後ライセン大峡谷に向かう」

 

 空間魔法に対抗するには同じく空間魔法がいるだろう。しかし絶対防御に対応するだけなから重力魔法でも十分のはずだ。何せ重力の干渉速度は光と同じで、空間固定と力技で破れる。

 

「つまりはミレディたんを迎えに行くのねそうなのね!? テンション上がってきたー!」

『君は手伝えないよ。僕もだけどね』

 

 やっふー! と元気になるフェアレーターに、オスカーが呆れたようにいう。そして、今度はシアに目を向ける。案内役を買って出た彼女は、神との戦闘、あるいは神の使徒とも戦うために付いてくるとのことだ。フェアベルゲンの本音としては、亜人達にとっての神とも言える『解放者』の手助けになれば、と言ったところだろう。

 

「ふふふ、これでもう父様達の言動に胃を痛めることも、変態から逃げ回る日々ともおさらばですぅ!」

 

 シアにはシアで目的があるっぽいが。その首には装飾の施された首輪がつけられている。

 エリーゼ皇女御用達の首輪だ。奴隷の首輪としての効果はないが、身分証にはなる。この首輪を持つ者に手を出すのはエリーゼ皇女の私物に手を出すのと同義であり、この首輪を持つ者は下手な帝国兵よりも高い権限を持つ。更に言えば、この首輪をつけたシアを引き連れるということは、ハジメ達は対外的には皇女の縁者に映る。反皇女でもない限りはまず帝国においては安全を保証されるとの事だ。

 

「んじゃ、行くか」

「ところで本当に私が運転して良いんですか?」

『ああ、シアさんの運転技術は大したものだよ』

 

 因みにこの魔導四輪。ハジメの知識&技術にオスカーの技術が加わり、地球の車の操作方法を完全再現している。自動錬成による路面調整もON-OFFが効くようにしたので地面の凹凸を利用して跳ねる、なんて映画のような事も出来る。まあ、それは技術があれば、だが。

 

「まあただ、安全運転で頼むな」

「ん、のんびり景色を堪能したい」

 

 ハジメの言葉にユエが頷く。因みにハジメの隣は恋人の恵里と、発明について話し合うオスカーだ。仲の良い師弟である。

 

「フフン、任せてください。事故を起こさなければ、必然的にそれは安全運転!」

「? シア、それは何か変。少しま………」

「アクセル! 全開!」

 

 ただ魔力でタイヤが動くのではなく、完全再現したエンジンが風魔法と火魔法によって稼働しブオオオオン! と音を立てる。

 

「お姉さま! 私もつれでいっ!?」

 

 何やら飛び出してきた影があったがシアのドラテクで木の根をジャンプ台にして跳ね、タイヤで顔面を叩く。

 あぁぁん! と妙に艶っぽい悲鳴がドップラー効果で消えていった。




オスカー・ハジメ「「私達が造りました!」」

製法や機能について聞いたが最後、5時間ぐらい語ってくる錬成師弟。

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