レベルアップで世界最強   作:奈落兎

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ブルックの街にて 後編

 翌日、ハジメとオスカーは新た武器やアイテムを作るために宿に残り女子組は街に出る。ムキムキマッチョなオカマが店員の服屋が3人に服を見繕ってくれた。

 

「服ねえ……僕はハジメが作ってくれるって言ってたからどうでも良いんだけどね」

 

 キャイキャイとテンション高めの女子達に対して一人だけ断った恵里は気怠げだ。本当はハジメと居たかったのだろう。

 

「なら何でついてきたの?」

「そりゃあ君が色々やりすぎそうな子だからね」

「?」

「ここは君の生きてた時代じゃないんだぜ。ただ可愛いだけで、なんでも許されるわけがない。ましてや、君の時代君がどれだけ貴重なのかは知らないけどこの時代には君のような魔力操作持ちが沢山いる」

 

 最も、ほとんどが教会に所属しているが。それでも彼女が最強の魔法使いと言われていたのは三百年前。今の時代、彼女より上の存在がいるかもしれない。

 

「君の国を、同胞を滅ぼし尽くした奴は未だ顕在みたいだし」

 

 七罪と呼ばれる、教会最強戦力の長。伝説として語られる存在。言葉通りの生きた伝説。

 

「ちなみに何か知ってる?」

 

 文献には戦争を終わらせたとか巨竜を殺したとか………吸血鬼を滅ぼしたとか書かれていたが、具体的な戦い方、使用した魔法、戦術については書かれていない。

 

「………知らない」

「そっか………」

 

 伝説の始まりは驕り高ぶり神の座を得ようとした吸血鬼達を討伐した時と記されていた。まさかと思うが、初陣で吸血鬼を滅ぼしたのだろうか?

 吸血鬼族にはユエを封印するために施されていた封印からして、少なくとも2つの迷宮を攻略したであろう実力者がいるだろうに。

 

「そいつも攻略者なのかな」

「うーん。その頃フェアちゃん封印されてたから知らないなぁ」

「でも人間族って300年も生きれるんでしたっけ? ユエさんと同じ、不死系?」

「だとすると、同い年?」

「良かったねユエ。ハジメはおとなしく諦めて、その人と付き合ったら?」

 

 恵里の言葉にムッと顔を歪めるユエ。そんなユエに、恵里は笑みを崩すことなく返す。

 

「ハジメだっただけさ。僕も、君も………ハジメだからじゃなくて、救ってくれたから………それがたまたまハジメだっただけ。でも僕には、君と違ってちゃんとハジメを見る期間があった。君には絶対に渡せないなあ」

「それを決めるのは」

「僕だよ。君の、王族の価値観なんか、一般人に求めるな」

 

 ゴゴゴ、と魔力がぶつかり合う。シアがハラハラしフェアレーターがケラケラ笑っていると、そんな魔力の渦を感じれないのか、話しかけてくる者がいた。

 

「あ、あの!」

「「………ん?」」

 

 気が付くと男達に囲まれていた。話しかけてきたのは、その内の一人。

 

「ユエちゃんとシアちゃんとフェアちゃんと恵里ちゃんで名前あってるよな?」

「?……合ってる」

 

 何のようだと訝しそうに目を細めるユエ。シアは、亜人族であるにもかかわらず〝ちゃん〟付けで呼ばれたことに驚いた表情をする。

 男は振り返り、後ろの男たちに頷く。残りの男達も意を決したように前に出てくる。

 

「「「ユエちゃん、俺と付き合ってください!!」」」

「「「シアちゃん! 俺の奴隷になれ!!」」」

「「「フェアちゃん! 俺とお茶しない!!」」」

「「「恵里ちゃん! 俺のものになれ!!」」」

 

 唐突な告白に、シアはえー、と固まる。自分がつけている首輪は、第三皇女の所有物である証なのだがここではあまり知られていないのだろうか。

 

「僕の体は足の先から頭の先まで全てハジメのものだから断る。髪の毛一本だって、他の男にはあげない」

「私もお断りです。奴隷した私に、何をする気ですか?」

「ん。ありえない」

「えー、なになにお茶? いいよ! もちろんおごりたよね!」

 

 フェアレーター以外は断った。まさに眼中にないという態度に、男は呻き、何人かは膝を折って四つん這い状態に崩れ落ちた。しかし、諦めが悪い奴はどこにでもいる。まして、彼女達の美貌は他から隔絶したレベルだ。恵里も顔立ちでは他の三人に負けているが、唯一の彼氏持ちだからか、どこか薄暗さを感じる怪しい色気がある。多少、暴走するのも仕方ないといえば仕方ないかもしれない。

 

「なら、なら力づくでも俺のものにしてやるぅ!」

 

 暴走男の雄叫びに、他の連中の目もギンッと光を宿す。三人を逃さないように取り囲み、ジリジリと迫っていく。フェアレーターは告白してきた男達と一緒にどっかいった。

 そして遂に、最初に声を掛けてきた男が、雄叫びを上げながらユエに飛びかかった。その姿はまさに発情モンキー。

 ユエは冷めた目付きで一言呟く。

 

「凍柩」

 

 魔法名通り、氷の柩に閉じ込められる男。そのまま地面に落下に無様な悲鳴を上げる。

 ユエは、ツカツカと氷の柩に包まれる男のもとへ歩み寄った。周囲には、ユエの実力に驚愕の表情を見せながらも、俺ならばと言わんばかり身構えている男連中がいる。なので、ユエは、見せしめをすることにした。

 ユエが手をかざすと男を包む氷が少しずつ溶けていく。それに解放してもらえるのかと表情を緩める男。さらに熱っぽい瞳でユエを見つめる。

 

「ユ、ユエちゃん。いきなりすまねぇ! だが、俺は本気で君のことが……」

 

 未だ氷に包まれながら男は更に思いを告げようとするが、その言葉が途中で止まる。違和感に気づく。溶かされていく氷がごく一部だけだ。それは……

 

「あ、あの、ユエちゃん? どうして、その、そんな……股間の部分だけ?」

 

 そう、ユエが溶かしたのは男の股間部分の氷だけだ。他は完全に男を拘束している。嫌な予感が全身を襲い、男が冷や汗を浮かべながら「まさか、ウソだよね? そうだよね? ね?」という表情でユエを見つめる。

 そんな男に、ユエは僅かに口元を歪めると

 

「……狙い撃──」

「そこまで」

 

 パシ、と男の股間に向けた手を恵里が抑える。

 

「………なんのつもり?」

「僕は別にやりすぎとは思わないけど、残念ながら内臓潰して生殖能力奪うなんて普通に犯罪だろ? こいつ等がクズなら良いんだけど、、後々僕等を犯罪者にする口実作られると困るんだよ。君だけで責任とってくれるんなら大歓迎なんだけどね」

 

 再び険悪な空気が流れる。もはや男の事などそっちのけだ。

 

「だいたい、押し倒したあとどうせ固まるだけで手も出せないようなチキンの玉を一々潰すなんて時間の無駄だよ」

 

 潰す、という言葉にヒュンと己の股間を抑える男達を尻目に、恵里はユエの手を話し肩をすくめる。

 

「面倒事は、一気に終わらせればいいんだよ…」

 

 パチン、と指を鳴らす。とたんに男達が虚ろな表情になりフラフラと帰路につく。

 

「何をしたの?」

「魂魄に干渉。今後、彼等の方から僕達に話しかけてくることは無いよ」

 

 恵里はそう言って歩き出す。シアはユエと恵里の対立が本格的になってきたら恵里の味方をしようと決めた。

 

 

 

「おう、お帰り」

『ちょうど色々完成したところだよ』

 

 宿に戻ると仮面を取り眼鏡骸骨になったオスカーとオスカー製高性能メガネをかけたハジメが出迎える。レアな眼鏡姿のハジメに恵里はトキメイた。

 

「それと恵里、新しい『影の衣』だ……」

「わあ……」

 

 死神の衣とでも言うべき外套だった影の衣は、制服のような規律を感じさせ、しかしファンタジー世界のような要素も付け足された黒衣。

 

『僕も口を挟もうかと思ったけどハジメは君の為に作るから、これだけは口を出して欲しくないって言われてしまったよ』

 

 愛されてるね、と笑うオスカーに恵里は長さの調整がまだされていないため余った袖で口元を隠した。

 

「んじゃ、明日からライセン迷宮に向かう。シア、案内は任せた」

「了解です。ただ………中には絶対、もう二度と入りません」




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