気づいたら円堂守になっていた。
いきなり何だと思われるかもしれないが聞いて欲しい。俺は現代日本で高校を卒業し、その後就職。仕事はやりがいがあり、彼女こそいなかったが充実した生活を送っていた。しかし、朝になって目を覚ました俺の視界に入ったのは見慣れない天井。周りを見るとやはり見覚えの無い部屋。此処は何処だと困惑する俺の耳に
「守〜!早く起きなさぁ〜〜い!」
という声が届く。守?誰だそいつは?とさらに混乱を深める俺の視界にある物が映り込む。
「サッカーボール?」
机の上に置いてあるサッカーボール、その横にはかなり使い込まれているように見受けられるグローブと写真立て、そしてえらく汚い字が表紙に書き込まれたノート。
「……?この人、なんか見た事あるような…」
写真を目にした俺は、何故かそこに写っている人物に既視感を覚えた。
疑問に思いながら、視線を写真の横のノートに移す。
「………大……介……?」
表紙に書き込まれた解読不能なレベルで汚いその字からなんとか人名らしきものを読み取る。
その時、何かが脳裏を過ぎった。読めないほど汚い字で書かれたノート、大介という名前、使い込まれたグローブ、よく見ればこのグローブも見覚えがあるような気がする。もう一度写真を見る。オレンジ色のバンダナを身につけた男性。
「円堂…大介…?」
考えが纏まるより早くその名前を口が紡いだ。
円堂大介
イナズマイレブンという作品の主人公、円堂守の祖父。伝説的なゴールキーパーで既に亡くなったとされていたが、物語終盤で生存が発覚する。ラスボスと言えるチームの監督を務め、主人公の前に立ち塞がる人物。
そんな情報を思い浮かべるがなんでそんなキャラの写真が?
しかもなんか妙にリアルだし。二次元じゃなく実写ならこうなると言われれば素直に納得出来るレベルだ。
と、ここに来て新たに違和感を覚える。
「目線がいつもより低い……?」
俺の身長はそこまで高くはないが流石にここまで目線は低くはなかったはずだ。しかも、今まで頭が混乱して気づかなかったが、手足も短くなっている。明らかに成人男性のそれではない。
「どうなってんだよ、これ…」
さらに謎が増えて頭を抱えそうになったが、ふと先程聞こえてきた声を思い出す。守、確かにそう言っていた。俺は自分がいるこの部屋を改めて見回す。
「子供部屋…」
と感想を口に出し、状況からある仮説を立てる。
「いや、まさかなぁ…」
そんなファンタジーな事、小説じゃあるまいし起こるわけないだろうと思うが、否定し切れないならば確認するしかあるまい。
覚悟を決めた俺はドアを開け、部屋の外に出る。どうやら二階のようだ。先程の声は一階から呼んできたのだろうか。
意を決し階段を降りたところで声を掛けられた。
「やっと起きてきたのね、守。早く顔洗ってらっしゃい。」
先程の声の主だろう、やはりどこか見覚えのあるその女性は確かに俺の事を守と呼んだ。間違いであってほしかった仮説が現実味を帯びてきた。
「分かった。ところで洗面所って何処だっけ?」
と問いかけると、目の前の女性が呆れたような顔になった。
「まだ寝惚けてるの?そこよ。」
と指された場所を確認し礼を言い、不自然に思われないよう、しかし足早に洗面所に入る。一度深呼吸した後、鏡を覗き込む。
「マジか………」
そこに映っているのはやはり見覚えのある顔の少年。物語の主人公として慣れ親しんだ姿よりも幼く、トレードマークのバンダナもしていない。しかし、分かる。この人物は確かに、俺の好きだったイナズマイレブンの主人公
「円堂守になってる………」
このような駄文を読んでくれた方に感謝を。
続きはいつになるかは分かりません。ですが、続きを読みたいと言って下さる方がいるなら時間は掛かるかも知れませんが絶対に書き上げてみせます。
改めてありがとうございました。