原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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ごめんなさい。短いです。


開幕を告げる凶弾

 

「気をつけろ!バスに細工してくる奴らだ。何をしてくるか分からない。落とし穴があるかもしれない。壁が迫ってくるかもしれない」

 

電車に揺られ、要塞のごとき威容を持つ帝国学園に到着し足を踏み入れた、その時に発した響木監督の第一声である。

その言葉を真に受けた1年達が辺りを警戒している。何してくるか分からないのは確かだけど流石にそれは無いんじゃないかな。

 

「監督が選手を揶揄うなんて……」

「多分、監督なりの緊張を解す方法なんだと…」

 

夏未がそんな事を呟き、木野は苦笑を浮かべている。だが、その隣の音無の表情はどこか険しい。鬼道の事が気になっているのだろうか。そういえば、この世界の鬼道と音無の関係はどうなっているんだろう。そこは原作通りなのかな。そんな事を考えながら帝国学園の廊下を歩き、雷門に用意されたロッカールームに到着する。原作だとここに着いた時に中から鬼道が出てきたけど、別にそんな事はなく、中に入った後、何も仕掛けられていないか一応確認しておく。

確認を終えた後、ユニフォームに着替えスタジアムに向かった。影山と遭遇するのが嫌なので、不用意に歩き回ったりはしない。会ったら何言ってくるか分からないからな。不安要素はなるべく少なくしておきたい。

 

スタジアムに着いた俺達はアップを始める。しばらくすると観客席が観客達で埋まる。こんな中で試合をするのは初めてだな。

すると緊張した壁山を宍戸がくすぐっている。何やってんだか。

止めに入ろうとしたところで、壁山が足元にあったボールを蹴り上げる。天井に当たったボールは宍戸の頭に落ちてきた。自業自得だな。ん、あれは……

 

「宍戸、危ない!」

 

宍戸の腕を掴んでこちらに引き寄せる。するとさっきまで宍戸がいた辺りに何かが落ちてきた。俺はそれを手に取る。

 

「ボルト?」

「宍戸に当たったらどうすんだよ。帝国はちゃんと整備してんのか?」

 

それを見た染岡が文句を言っている。これが落ちてきたってことは原作と同じ、あの罠が仕掛けられていると見てよさそうだな。俺はそのボルトを響木監督に渡す。受け取った響木監督は険しい顔で手に取ったボルトを見つめている。これで多分、鬼瓦さんの元へとこのボルトは送られるはず。

 

試合前にフィールドに整列する雷門と帝国の選手達。鬼道と握手をした時に話し掛けられる。

 

「この試合が始まったら……後は分かってるな」

 

鬼道の言葉に無言で頷く。この前会った時にも思ったが、やはりこいつも俺や豪炎寺と同じだと考えてよさそうだな。

 

雷門ボールからの開始となり、試合開始の笛が吹かれる。と、同時に雷門側のフィールドに、スタジアムの天井から鉄骨が降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────皆は、無事なのか?

 

土煙で視界が塞がれ、皆の安否が確認できない。しかし、実際に見るととんでもないな。直撃すれば間違いなく死人が出るだろう。そうなれば帝国側も管理問題とかで色々責められるはず。そのリスクを許容してでも、雷門を潰したいのか。奥歯を噛み締める。今まで俺は、影山を恐ろしい人物だと認識はしていても、別段特別な感情は抱いていなかった。しかし、今皆を危険に晒され、影山に対する怒りが込み上げてくる。

土煙が徐々に晴れていき、全員が怪我も無く、無事でいることが確認できる。俺はほっと胸を撫で下ろす。よかった、皆が無事で。

 

鬼道がフィールドを出てどこかへ歩いて行くので、後を追いかける。とある部屋の中に入ると中には影山の姿が。

 

「俺の勝ちですね総帥。貴方の企みは阻止された。もう俺達帝国イレブンは貴方に従うつもりは無い」

「……言っている意味が分からないな。私が細工したという証拠でもあるのかね?」

「証拠ならあるぜ!」

 

自分は何も知らないとでも言うような態度を取る影山だったが、その声と共に影山の前にある物が投げ込まれる。俺が響木監督に渡したボルトだ。ということは……

 

「そいつが証拠だ」

「鬼瓦さん!」

 

鬼瓦さんの話によると、スタジアムの工事関係者を調査したところ、影山からの依頼でボルトを緩めたという証言を得ることができたらしい。

 

「鬼道、お前など私にはもはや必要ない。勝手にするがいい。だが、いずれ後悔することになるぞ。必ずな」

 

そんな言葉を残し、抵抗することも無く連行されていく影山。捕まったところでどうにでもなるという自信があるんだろうな。実際に原作では証拠不十分ということになって釈放されていたはずだし。そして、鬼道への言葉は、あのチームの存在があるからか。

影山が連行され、部屋に残ったのは鬼道の他に帝国の数名と俺、そして響木監督。

 

「円堂、こんな事になった以上、お前達の不戦勝という形でも構わない。判断は任せる」

 

鬼道がそう言ってくるが、確かに、確実に全国に行くのなら、ここで戦わないという選択肢もあるだろう。だが、それで全国への切符を手に入れたとしても、きっと誰も納得はいかないだろう。ソレにこんな事を言ってはいるが、これはこいつの本心じゃないのは明白だ。その目に宿る闘志が、それを物語っている。

 

「いや、やろう。俺達の決勝戦を。俺達はサッカーをする為にここまで来たんだからな。あの練習試合の借りを返すまでは、帰るに帰れない」

「……感謝する」

 

スタジアムの修復も完了し、帝国は安西という教師を監督代行として試合に臨む。コイントスから仕切り直し、帝国ボールからの試合開始となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────遂にこの時が来た。

 

雷門との地区大会決勝。本来の歴史で帝国が雷門に敗れることになる試合。だが、この俺がそんな事にはさせない。

 

────俺は今日、この試合で、運命を覆す。

 

相手ゴール前に立つ円堂を見据える。あの練習試合の日、帝国に大量得点を許し、諦めようとするその姿を見て、この世界に俺の知る円堂守という人物はいないのだと悟った。

円堂守とサッカーをしてみたいという想いが、全く無かった訳ではない。だが、この世界に俺の憧れた主人公はいない。ならば躊躇う理由など何も無い。

完膚なきまでに、雷門を叩き潰す。その為に先ずは、あの技で円堂の心を折る。

 

────光栄に思えよ。俺のこの技を公式戦で初めて受けることになるのは、貴様だ。円堂守。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

審判のホイッスルが吹かれ、試合が始まる。と同時に鬼道がボールを上空へと蹴り上げる。そして鬼道自身も、そのボールに向かって跳躍する。ボールに到達した鬼道は両足でボールを挟み込み、そのまま捻じるようにボールを変形させる。

 

────このモーション、まさか!?

 

黒い稲妻が走り、禍々しいオーラに包まれ死の槍と化したボールが、まるでドリルの様な不快な音を大音量で響かせながら、雷門ゴールへと墜ちる。

 

試合開始と共に放たれたセンターサークルからの超ロングシュート。当然、シュートブロックに走る雷門の選手達だったが

 

『うあああああ!?』

 

凄まじい威力によって近寄ることすらままならず、吹き飛ばされる。

 

「ゴッドハンドォォォ!!!」

 

神の手を持って、死の槍を受け止めに掛る。だが、あまりにも技の威力が違い過ぎる。

今まで雷門の窮地を幾度と救ってきた神の手が、信じられない程に呆気なく、死の槍が纏う禍々しいオーラに触れただけで、消し飛んでいく。神の手が完全に消滅し、シュートと俺の間を遮る物は何も無くなり、そして

 

────俺の意識は、闇へと呑み込まれた。

 

 




という訳で、鬼道の覚えた技はデススピアーでした。
今の円堂に止められるイメージが全く湧いて来ないですねぇ……。
ここからどうしよう(白目)

前話で帝国戦はまとめて投稿すると言ったな。あれは嘘だ(いや、本当にごめんなさい。やっぱり直ぐに書ける気がしません。前言撤回します)
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