原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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アフロディの口調とか分からんわ。変だったらごめんなさい。


神の力

開会式を終えた翌日。俺達雷門中の初戦の相手は近畿代表の戦国伊賀島中。

監督が忍者の末裔だかで、選手を忍術で鍛えているらしいチームだ。

原作では、試合前に霧隠が豪炎寺に絡みに来たが、この世界線の豪炎寺は全国的に見ればまだ無名なので、そんなことも起こらず、試合が始まった。

 

戦国伊賀島の忍術を駆使したサッカーに翻弄され、苦戦する俺達だったが、試合が動いたのは前半の半ばを過ぎた辺り。豪炎寺のそんなもの知ったことかと言わんばかりの強引な中央突破からのゴールを皮切りに、勢いに乗った雷門は〈炎の風見鶏〉で2点目を奪い、リードしたまま前半を折り返す。当然、戦国伊賀島は後半、激しく攻め込んで来たが、〈マジン・ザ・ハンド〉でゴールを死守。戦国伊賀島に得点を許さない。その後、残り時間が少なくなって焦った戦国伊賀島の隙を突いたカウンターからの〈炎の風見鶏〉で3点目を奪い、試合を決める。試合終了が迫る中、ただ一人執拗に戦国伊賀島のゴールを狙い、前線に残り続けていた豪炎寺が駄目押しの一発を叩き込み、4-0で雷門の勝利となった。

 

 

「よっしゃあ!」

「初戦突破だぜ!」

「やったあ!」

 

全国大会一回戦を突破し、皆喜びの声を上げている。そんな中で一人だけ、皆とは違う反応を示している者がいる。そう、豪炎寺である。

 

「くそっ、もう少し時間があれば……」

 

この試合の4得点全てに絡む活躍をしていながら、何を悔しがっているのだろうかあいつは。試合中、勝敗がほぼ決まった後もあいつだけゴールを奪おうと攻め続けていたが、帝国戦までと比べて、明らかにプレースタイルが変わったように思える。あれか、鬼道が〈デススピアー〉なんて使ったもんだから、自分も自重なんてする必要はないとでも思ったのか。

活躍してる訳だし別にいいんだけど、何かあいつだけ皆とは別の場所を目指しているような気がしてならない。

 

まあ、何はともあれ俺達は勝った。

 

────次はお前の番だぜ、鬼道。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ、フットボールフロンティア全国大会一回戦。本日ぶつかり合うのは、昨年の王者帝国学園と世宇子中学!帝国学園が圧倒的な強さを見せつけるのか、それとも世宇子中が大番狂わせを起こすのか!注目の一戦です!』

 

────とうとうこの日が来たな。

 

俺が運命という名の壁を越えられるか否か。その答えが今日の試合で分かる。

フィールド中央、世宇子のキャプテンである腰まで伸ばした長い金髪が特徴的な少年、アフロディと対峙する。

 

「鬼道有人君だね?君のことは影山総帥から聞いているよ」

「影山総帥……か」

 

別に彼らからしたらバレても何ともないことだろうが、ここまではっきりとその名前を出してくるとは思っていなかったので、少し意外に思う。

 

「君にはどうせ気づかれているだろうから、隠す必要はないと総帥が仰ってね。………その様子だと本当に知っていたようだね」

「…………」

 

影山が何をもってそう思ったかは知らないが、確かに世宇子と影山の繋がりを知っていることは確かだ。原作からの知識で知っているのもあるが、この目で偶然だが、プロジェクトZという文字列を見たことがある。推薦招待枠という前回にはなかった枠での出場校。調べてみれば、チームとしての情報も、地区大会での対戦記録も何も分からない。不自然にも程がある。仮に何も知らなくとも、不審には思っただろう。

 

「総帥は君のことを自らの最高の作品であり、最も恐れた選手でもあると言っていた。総帥にそこまで言わせる君には興味がある」

 

恐れた、と過去形で語っているということは、今はそうではないということか。原作よりも強化された帝国の選手達、そして何より、この俺の〈デススピアー〉があっても、こいつらにとっての脅威にはなり得ないというのか。

 

「勝敗は見えているが、多少は楽しませてくれると期待しているよ」

「……もう勝った気でいるのか」

「当たり前だろう?人は決して神に勝つことはできない」

「自分が神だと言いたいのか」

「さあ、どうだろうね」

「……なら」

 

 

「人は、神を倒せると証明しよう」

「やれるものならやってご覧よ」

 

 

 

 

帝国ボールから試合開始。攻め上がっていく。

 

「何……?」

 

しかし、世宇子は誰一人動かない。こちらの攻撃に対して何の抵抗もしない。

 

「舐めるな!」

 

ボールを上空へと蹴り上げ、回転しながら飛び上がる。漆黒の炎を纏いシュートを放つ。

 

「ダークトルネード!!」

 

まずは小手調べだ。さあ、どうくる。

 

「ツナミウォール……V3!!」

「なっ!?」

 

漆黒の炎に包まれたシュートは世宇子ゴールキーパー、ポセイドンの生み出した津波に呑み込まれ、あっさりと止められた。

 

「鬼道のダークトルネードが……!?」

「あんなにあっさり止められるなんて……」

 

止められたのはいい。元より〈ダークトルネード〉で世宇子のゴールを破れるとは思っていない。だが、

 

「V3だと……?」

 

ポセイドンの〈ツナミウォール〉が進化しているのは想定外だ。それもV3ともなれば、現状ゴールを奪うのは至難の業だ。

 

ポセイドンはキープしたボールをこちらに投げ渡す。シュートを打ってこいというのか。ならば、

 

「佐久間、寺門、洞面!!」

 

俺の号令で三人が跳躍。空中で三角形を描くような体勢となり、回転してボールに気を注ぎ込む。

 

「「「デスゾーン!!」」」

「ツナミウォールV3!!」

 

三人同時に放ったシュートは、しかしポセイドンによってまたしても簡単に止められてしまう。駄目だ、完全に力負けしている。

ポセイドンは再びボールを寄越してくる。俺達のシュートなど、何度打たれてもいいということか。

 

「なら、次はこれだ!」

 

佐久間が指笛を吹き、地面からペンギンが現れる。蹴り出したボールと共にペンギンが飛来し、前方に走り込む寺門と辺見がそのボールを二人同時にシュート。

 

「「「皇帝ペンギン2号!!」」」

 

打ち出されたシュートの向かう先はゴールではなく、その上空。

 

「ダークトルネード!!」

 

雷門との試合でも使った〈皇帝ペンギン2号〉と〈ダークトルネード〉の連携シュート。これならどうだ。

 

「ツナミウォールV3!!」

 

しかし、闇色の炎を纏ったペンギンは、またしてもポセイドンの津波に呑み込まれ、シュートはゴールには届かず。

 

「そんな!?」

「俺達の必殺技が通じない!?」

 

帝国の誇る数々の必殺技をあっさりと破られ、帝国イレブンに動揺が走る。駄目か。この連携なら、世宇子からゴールを奪えると想定していたが、甘かった。帝国や雷門が原作よりも力をつけているように、世宇子も本来よりも強くなっているらしい。

残るシュートは〈デススピアー〉のみ。だが、世宇子相手にそう何度もシュートチャンスが巡ってくるかどうか。

そう考えていた俺にポセイドンがボールを投げ渡し、人差し指を立て、自分の方に曲げ挑発してくる。

影山がいるなら、俺の〈デススピアー〉のことも知っているはずだ。分かった上で、止める自信があるというのか。いいだろう、ならば望み通り打ってやる。世宇子を倒す為に編み出した最強の矛。

 

「止められるものなら止めてみろ!!」

 

ボールを上空高くへと蹴り上げ、自身も跳躍。両足でボールを挟み込むようにして変形させ、世宇子ゴールへと打ち出す。

 

「デス……スピアァァァァァ!!!」

 

黒い稲妻を迸らせ、死の槍が世宇子ゴールを脅かす。

今まで、動かなかった世宇子の選手達が行動を見せる。シュートコースにDF4人が立ちはだかり、一斉に必殺技を発動する。

 

「「「「裁きの鉄槌!!」」」」

 

4人掛りでのシュートブロック。オーラで形成された4本の巨大な足が、〈デススピアー〉を踏み潰さんと力を込める。

 

「だが、その程度では……!!」

 

いくらか勢いは衰えたものの、〈デススピアー〉が〈裁きの鉄槌〉を粉砕し、ボールはゴールへと向かう。

 

「ああ、止められないだろうさ。これで終わりならね」

 

だが、いつの間にここまで戻ってきたのか。そこには純白の翼をその背に顕現させたアフロディの姿。

 

「真……ゴッドノウズ!!」

 

真の名を冠する神の一撃が、死の槍を打ち返す。

 

〈デススピアー〉の威力も内包したその一撃が、ゴールからゴールへ、フィールドを真一文字に切り裂き、源田にろくな抵抗すら許さず、帝国ゴールへと突き刺さった。

 

「………!!」

 

「これが神の力だ!!」

 




アフロディは転生者ではありません。一応案としてはあったのですが、あまり転生者を増やし過ぎると、作者に扱いきれなくなるので。
なお、それでも影山によって強化はされる。
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