原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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無情なる現実

 

────俺のデススピアーが、打ち返された……だと……?

 

あまりのことに思考が上手く纏まらない。雷門に防がれた時とは違う。完全に〈デススピアー〉が破られた。世宇子に勝つ為の、その為の矛がへし折られた。

 

────デススピアーは、世宇子には通用しないのか……?

 

────俺は、勝てないのか……?

 

「鬼道!!」

 

その声に、沈んでいた思考が引き上げられる。

 

「佐久間……」

「鬼道、大丈夫か?」

 

………。少し、動揺していたようだ。冷静に考えれば、まだ諦めるには早すぎるというもの。先のシーンを思い返しても、奴らが他のシュートとは違い、〈デススピアー〉にだけは警戒しているのは明らかだ。つまり〈デススピアー〉なら、世宇子からも得点を奪える可能性があるということ。アフロディがゴール前まで戻って来るような状況は、そうは起こらないはず。ならば、前線でシュートまで持ち込めれば得点の芽は十分にある。

 

「……大丈夫だ。ありがとう佐久間」

「ああ」

 

想定外のことが起きると、直ぐに思考が悪い方向に向くのは俺の悪い癖だ。そんな時はいつも皆に助けられてきた。俺一人では越えられない壁も、きっと皆となら越えられる。

 

「まだ試合は始まったばかりだ。まずは1点、取り返すぞ」

 

〈デススピアー〉が打ち返されたのはかなりの衝撃だったと思うが、誰一人として闘志は衰えていない。シュートを受けた源田も、ダメージこそあるだろうが、怪我をした様子はない。

 

帝国イレブンの強さ、思い知らせてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合が再開され、ドリブルで攻め上がる。しかし、またも世宇子は動かない。

 

────どういうつもりだ?

 

「メガクエイク!!」

「がっ!?」

 

そんな思考が生まれた一瞬の隙を突き、俺の前に躍り出たディオの必殺技によって吹き飛ばれる。

そして、ボールはアフロディへ。

 

「遊びはここまでだ。教えてあげよう、神に挑むことの愚かしさを………ヘブンズタイム」

 

ボールを奪おうと詰め寄る佐久間と辺見だったが、アフロディが指を鳴らした瞬間、気づけばアフロディは二人の後方へと移動していた。

 

「なっ!?」

「いつの間に……!!」

 

驚愕する二人だったが、続いて発生した突風によって吹き飛ばれる。

 

「「ぐわぁぁぁ!!」」

「佐久間!辺見!」

 

あれが〈ヘブンズタイム〉か。ある意味、世宇子と戦う上で一番の鬼門となるのがこの技だ。強力なキーパー技はそれ以上のシュート技で打ち破ればいい。強力なシュートは、強力なキーパー技や、シュートブロックで対抗できる。だが、この技には明確な対応策は存在しない。原作ではカオスのネッパーに破られたが、どういう理屈で破ったのかさっぱり分からない以上、参考にもならない。実際に見れば、何か思いつくかとも思ったが全く止められるイメージが湧かない。けれど、だからといって諦める訳にはいかない。ゆっくりと歩いてドリブルするアフロディの前に回り込む。

 

「止める……!!」

「……やれやれ、君はもう少し賢いと思っていたんだけどね。まだ、力の差が理解できないのかい?」

「どれだけ力の差があろうとも、それは諦める理由にはならない!」

「そうかい、なら……」

 

アフロディが指を鳴らし、気づいた時には既にアフロディは俺の後ろに居た。

 

「精々、無駄な努力を続けるといい」

 

突風が吹き荒れ、空中へと投げ出された体がフィールドに叩きつけられる。

帝国の選手達がアフロディを止めようと向かっていくが、尽く〈ヘブンズタイム〉によって吹き飛ばされる。

とうとうゴール前に到達したアフロディは、六枚の純白の翼を羽ばたかせ空中へと舞い上がる。翼を広げると、ボールが白い雷のようなものを纏い、そのボールをアフロディが打ち出す。

 

「真ゴッドノウズ!!」

「ハイビーストファング!!」

 

先程とは違い、源田も必殺技を発動して対抗する。しかし、

 

「ぐああああ!?」

 

シュートを止めることはできず、アフロディの放ったシュートが源田の体ごと、帝国ゴールに突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二点差なら、まだ何とかなるはずだ。これ以上失点を重ねなければ、まだ可能性はある。その、はずだ。

 

「ダッシュストーム!!」

「「ぐわあああ!?」」

 

デメテルの必殺技で洞面と成神が吹き飛ばれる。中盤を強引に突破し、帝国ゴールへと攻め上がる。

 

「ダッシュストーム!!」

 

再び必殺技を発動し、DFラインの突破を図る。

 

「五条、万丈!今だ!」

「「ダブルサイクロン!!」」

 

だが、佐久間の指示で二人が必殺技を発動。〈ダッシュストーム〉の強風を何とか相殺する。

しかし、零れたボールは世宇子のFW、ヘラが押さえる。ボールを軽く蹴り上げ、連続で何度も蹴り込み、ボールは青い気を纏う。

 

「ディバインアロー!!」

「ハイビーストファング!!」

 

青白い矢となって放たれたボールは、獣の牙に食い止められる。

先程は〈ゴッドノウズ〉により、ゴールを奪われた源田だったが、今度はしっかりとシュートを止めてみせた。

 

よし、〈ゴッドノウズ〉以外のシュートであれば、〈ハイビーストファング〉で対応できるようだな。アフロディとポセイドン以外の選手が原作とそれほど実力に違いがないのであれば、〈ダッシュストーム〉を防いだように、どうにか対抗できるはず。隙と言える程のものではないが、勝機を見出すとすればそこしかない。攻撃も守備も、できるだけアフロディを避けてボールに触れさせないようにする。そして前線でボールを受けた俺が〈デススピアー〉を叩き込む。単純かつ穴だらけな策だが、他に打てる手がない。〈ゴッドノウズ〉も〈ヘブンズタイム〉も、対抗する手段がない以上は、どうしようもない。

 

しかし、そんな俺の考えを見透かしたかのように、世宇子の選手達はここからさらにその実力を見せつける。

 

佐久間がアポロンの〈裁きの鉄槌〉によってボールを奪われる。ボールはFWのデメテルへと渡り、万丈と五条の二人が先程と同じく〈ダブルサイクロン〉の体勢をとる。だが、デメテルは〈ダッシュストーム〉を使わず、徐に右手を上げ、指を鳴らす。次の瞬間、デメテルは二人の背後に移動しており、突風によって二人は吹き飛ばされる。

 

「………は?」

 

今のは紛れもなく〈ヘブンズタイム〉。だが、何故アフロディ以外の選手が〈ヘブンズタイム〉を……。

混乱する俺を他所にデメテルが純白の翼を羽ばたかせ、舞い上がる。

 

「ゴッドノウズ!!」

「ハイビーストファング!!」

 

放たれたシュートは源田の必殺技を破り、帝国のゴールへと突き刺さる。失点は痛いがそれよりも、

 

────何故、デメテルがヘブンズタイムとゴッドノウズを使う!?

 

〈ヘブンズタイム〉と〈ゴッドノウズ〉は、アフロディの必殺技ではないのか。何故それを他の選手が使うことができる。

 

「隙だらけだよ」

「ッ、しまった!」

 

試合再開後、動揺を隠せない俺からアフロディがボールを奪う。不味い、アフロディにボールを持たせたら止められない。そう思った俺だが、アフロディはあっさりとボールを手放す。ボールを受けたアテナから咲山がボールを奪おうと詰め寄るが、

 

「ヘブンズタイム」

 

アテナが指を鳴らし、咲山の背後へ。遅れて発生した突風によって吹き飛ばされる。

アテナからFWのヘラへとボールが繋がり、ヘラは先程のデメテル同様、空中に舞い上がる。

 

「ゴッドノウズ!!」

 

白い雷を纏ったシュートが放たれ、源田の〈ハイビーストファング〉を破り、帝国のゴールネットを揺らす。

 

「ま……さか……」

 

そんなことが有り得るのか。何故、どいつもこいつも〈ヘブンズタイム〉や〈ゴッドノウズ〉を使えるようになっているんだ。原作より強くなるにしても程があるだろうが。こんな相手にどうやって勝てば……。

 

 

 

そこからは地獄だった。俺は世宇子のDFの厳しいマークによって思うようなプレーができず、完全に封じ込められ、世宇子のMF、FWの誰にボールが渡っても、例外なく〈ヘブンズタイム〉で為す術なくディフェンスを突破され、放たれた〈ゴッドノウズ〉が源田の抵抗虚しく、帝国ゴールに突き刺さる。

 

 

気づけば既に得点は0-10となっていた。

 

 




アフロディとポセイドンだけじゃ足りないような気がして強化してみた。これも全部影山って奴のせいなんだ。そうに違いない。
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