原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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更新遅くなってごめんなさい。
ちょっと時間が空いたので文章とかおかしなところがあるかも……。
仕事が忙しかったのもあるんですけど、それ以上に思ったように書けないんですよね……。
まあ、盛り上がってくれば自然と書けると思うので、エタることだけはないようにボチボチ更新していきます。


狂い始めた歯車

 

目が覚めて一番最初に視界に映ったのは真っ白な天井だった。

 

────知らない天井だ。

 

寝ぼけた頭でそんなお決まりの文句を思い浮かべながら、首を動かし自分が何処にいるのか確認する。どうやら病院の病室のようだが、転生してからは病気になることも無かったので病院のお世話になることも無く、久しぶりに目にする白い個室に新鮮な感覚を覚える。

 

────俺は、確か………。

 

自分が何故病院にいるのか考えて、すぐに理由に思い至る。グランの〈天空落とし〉をくらった後の記憶が無いので、そこで気を失い病院に運び込まれたのだろう。……完敗だった。豪炎寺や鬼道が居ればエイリア学園が相手でも絶対に勝てると思っていたが、考えが甘かった。グランの実力は俺の想像を遥かに上回っていた。ジェミニストームやイプシロンはどうか分からないが、グランとジェネシスの座を争っているであろうバーンやガゼルも相応の実力者だと考えていいだろう。エイリア学園との戦いは原作以上に厳しいものになるかもしれない。

 

そこまで考えたところで、グランと勝負することになった理由を思い出す。雷門とジェミニストームの試合はどうなったんだ。あれからどれくらい時間が経ったかは分からないが、流石にもう試合は終わっているはず。等と思っていると、不意に扉をノックする音が響いた。

 

「円堂……?目が覚めたのか!」

 

病室に入るなり、俺を見てそう言ったのは風丸。パッと見では大きな怪我はしていなさそうだ。少しホッとする。

 

「大丈夫なのか、円堂……?」

「ん?ああ、大丈夫。よく寝たからか、大分体が軽くなったよ」

 

世宇子戦から溜まっていた疲労は完全に抜け切ったようだ。右腕もまだ多少痛むものの、動かせるようになっている。この体、回復力凄いな。

 

「病院に向かっていたはずのお前が、何でこんな事になってるんだ……。いったい何があったんだ円堂……?」

「………」

 

答えに詰まる。伊達に長い付き合いがある訳では無い。風丸の顔を見れば何かあったことぐらいは分かる。俺を心配していたのも勿論あるだろうが、それだけにしては疲労や憔悴、焦りといった感情が薄らとだが見て取れる。ジェミニストームには負けてしまったのだろう。世宇子との試合の疲労が溜まった状態で、キーパーもエースストライカーも居なかったのだ。流石に条件が悪過ぎる。だが、責任感の強い風丸のことだ。どうせ負けたのは自分の所為だとか思い詰めているのだろう。当然誰もそんなこと思っちゃいないが、口で言っても納得しないだろう。そんなところに更に強い敵、それも雷門のメンバーにとって絶対的な強さの象徴である豪炎寺を圧倒する存在を教えるなど、火に油を注ぐようなものだ。絶対に思考が悪い方向に悪化する。ここは多少不自然でも何とか誤魔化した方が良いかもしれない。

 

「え、ええっと……そ、そう!途中で寄り道しようと思ったんだけどさ、そこで盛大にすっ転んじゃって……」

 

────アホかぁぁぁ!?何が多少不自然でもだ!不自然にも程があるだろ俺ぇぇぇ!!こんなんで風丸が納得する訳が……。

 

「そう……か」

 

────あれ?納得………した?

 

よく分からないが、これ以上追求してくるような気配は無さそうだ。若干疑問を覚えたものの、納得してくれるなら好都合だと話の矛先を別の話題へと向ける。ジェミニストームとの試合には負けてしまったこと。ただ、試合が前半だけで終わったこともあり、負傷者は出なかったこと。俺を病院に運んだ後、何か用があると言って豪炎寺は帰ったこと。風丸から色々と聞き出した俺はエイリア学園の襲撃による影響で病院のベッドが足りてないという事情もあり、即日退院することになった。元々軽傷であったし、腕も診てもらったところ、2、3日も安静にしていれば問題無いだろうと言われたので帰っても良しと判断されたのだ。

病院の玄関前で風丸と別れ、俺は家路についた。

 

風丸の心に、確かな罅が入り始めたことにも気付かないままに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────円堂、やっぱりお前は、俺には何も言ってくれないんだな。

 

円堂と別れ、歩きながら風丸は思う。あの場では追求はしなかったが、流石にあんな誤魔化しで納得した訳では無い。聞いたところで答えてはくれないと思ったから何も言わなかっただけだ。

 

────豪炎寺や鬼道になら、お前は話すのか。

 

円堂が豪炎寺や鬼道と話す姿を、最近はよく見かけていた。同じチームなのだから、話す機会は多いだろうと大して気にしていなかったが、ふと考えてしまった。

 

────俺が、弱いからなのか。

 

豪炎寺や鬼道のような強さがあれば、円堂はもっと俺を頼ってくれるのだろうか。ずっと一緒にやってきたのに、それだけでは足りないのか。俺が円堂との間にあると信じていた信頼は、所詮その程度のものなのか。

 

「お前にとって、俺は……………」

 

 

 

揺らぐ心。その日、僅かにだが、確実に、風丸の瞳は濁り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「守?豪炎寺君から手紙預かってるわよ?」

「え?豪炎寺から?」

 

家に帰り、夕食を終えた後、唐突に母さんが思い出したようにそんなことを言った。豪炎寺が手紙?何でわざわざ手紙なんだ。メールでいいだろうに。母さんから手紙を受け取り、自室へと向かう。机の椅子に腰掛け、手紙を開く。

 

「……何だこれ」

 

見た瞬間、思わず声を漏らす。豪炎寺の手紙にはただ一言。

 

『旅に出る』

 

と大きく書かれていた。……いや、これだけならホントに何で手紙で伝えたんだよ。理由も何処に行ったのかも何も分からないんだが。報連相という言葉を知らんのかあいつは。

詳しい話を聞こうと豪炎寺の携帯に電話を掛けてみるが繋がらない。電源を切っているのか。伝えるべきことは伝えたとでも言いたいのか、あの馬鹿は。

原作と同じくエイリア学園に接触されて自分からチームを離れた、という可能性はあるが、グランの実力を知って修行の旅に出た、という理由の方があいつの性格を考えるとしっくり来る気がする。

 

しばらく考え込んでいたのだが、やはり真相は分からない。一応まだ居るかもしれないし、居なくてもお手伝いさんか誰かに聞けば何か分かるだろうと思い、豪炎寺の家に行ってみることにする。

 

夕食の後片付けをしていた母さんに一声掛けてから、玄関を出る。豪炎寺の家への道を思い出しながら走り出し、家から出てすぐの角を曲がったところで人とぶつかる。

 

「す、すみません!」

 

反射的に謝ってから、ぶつかった相手を見て驚愕する。

 

「円堂守君だね」

「お前達は……!?」

 

俺の前にはサングラスを掛け、黒いコートを着たスキンヘッドの人物が3人。原作で豪炎寺をエイリア学園に引き入れようと暗躍していた奴らで間違いない。何故こいつらが……。

 

「我々はエイリア学園の志に賛同する者。円堂君、是非とも君の力をエイリア学園の為に役立ててもらいたい」

「……仲間になれってことか?そんな提案に俺が頷くとでも思っているのか」

 

豪炎寺では無く、俺を勧誘しに来た……?どういうことだ……。

勿論エイリア学園に協力するつもり等微塵も無いが、恐らくこいつらは……。

 

「いいのか?断れば君の周りの人間の安全は保証出来ないが。……例えば、家族やチームメイト達の、ね」

「………」

 

やはり、か。こうなってしまえば、俺に取れる選択肢はそう多くない。大人しくこいつらの仲間になるか。それとも人質が無事に保護されるまではチームから離れ、身を隠すか。だが、それは……。

 

「忘れるな。我々は君のことを常に監視している。下手なことをすれば………分かるな」

 

今日のところはこれで十分ということか。そう言って立ち去っていく黒服達。俺は何も答えられず、奴らが去った後もしばらくその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

 

 

こんなことになるとは思っていなかった。豪炎寺が居なくなるのは想定していたが、まさか俺を勧誘して来るとは。

真相は分かっていないが、豪炎寺はチームを離れた。鬼道も世宇子を倒すという目的を果たし、帝国へと戻ったのだろう。そして、俺も近い内にチームには居られなくなる。

 

そうなれば、雷門は……。




前話であんな終わり方しておきながらバーンが出てくるのはもう少し先という……。すまない、本当にすまない。

という訳で始まりました。脅威の侵略者編・円堂離脱ルート。別名、風丸闇堕ち一直線ルート。

先のことは考えてはいますがすっごいフワフワしてるのでノリと勢いで簡単に変わります。ま、何とかなるやろ!
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