原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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え〜、まずは本当にごめんなさい。
自分でもこんなに間が空くとは思いませんでした。更新を待っていて下さった読者の皆様に感謝しております。
久しぶりすぎて文章とかおかしくないかめっちゃ不安です。
遅くなった理由は色々とありますけど、ボチボチ投稿再開していきます。
今後もよろしくお願いします。


それぞれの始動

「地上最強のサッカーチームを作らねばならない。あのエイリア学園を倒す為に!」

 

翌日、雷門中へと呼び出されたサッカー部の面々はイナビカリ修練場の地下で理事長よりそう伝えられた。

 

だが、俺は昨日の事で頭がいっぱいでろくに話が入ってこなかった。

昨日、あれからしばらくして我に返った俺は豪炎寺の家を訪ねたが、やはり豪炎寺は既に居なかった。家政婦のフクさんが言うには、ボールやスパイクといったサッカー用具の他に、財布等の最低限の物だけ持って家を出たらしい。大事な用があるからしばらく戻れない、そう言って。

 

別にこれに関してはそれほど気にはしてない。勝手な行動をとった事に思う事がない訳ではない。だが、あいつのこれは今に始まった事ではない。少し早くなっただけで、原作通りになっただけだと思えばいい。どうせ今よりもさらに手がつけられない化け物になって帰ってくるだろう。沖縄に向かっているかどうかが心配ではあるが、流石にあいつもそれぐらいは分かっているだろう。……多分。

 

それよりも問題は俺がチームに居られなくなる事だ。自分で言うのも何だが、俺はこのチームのキャプテンであり唯一のGKでもある。俺が抜けた後、チームがどうなるか正直予想がつかない。原作でも雷門の選手が次々と離脱していく中、最後までチームが崩れなかったのはその中心に円堂が居たからだ。

そして一番の懸念事項は原作2期ラスボスであるダークエンペラーズが結成されるか否か。ダークエンペラーズは怪我等の理由から雷門を離れた選手達で構成されたチーム。誰も怪我による離脱者が居ない現状、全員をチームに繋ぎ止める事ができれば問題はない、はずだった。

だが、俺が居なくなる以上はそれを念頭に置いたメンタルケアはできなくなる。

予想外の事が重なった結果ではあるが、結局俺のエイリア編の認識が甘かった。俺は心のどこかで思っていたんだ。原作よりも雷門は強くなっているし、豪炎寺や鬼道が居ればそれほど苦戦はしないだろうと。

それに、皆と共に過ごす時間が長くなればなるほど、皆がダークエンペラーズになってしまうのが想像できなくなっていった。俺は信じたくない。原作の知識があったとしても、それはこの世界では変わるのではないかと。原作の円堂と俺とでは、皆と積み重ねてきたものも違うはず。それに何より、俺達がやってきた事が、あんな石っころなんかに負けるだなんて思いたくない。

これは俺の願望を皆に押し付けているだけなのかもしれない。でも、それでも────

 

「やります。俺達にやらせてください!」

 

理事長の言葉にそう返したのは風丸。

 

「俺達があの時勝ってさえいれば、傘美野が壊される事はなかったんだ……!もうあんな思いは誰にもさせたくない。そうだろ、皆!」

「ああ、俺達がエイリア学園を倒すんだ!」

「俺もやってやりますよ!」

 

皆が次々に自らの思いを口にする。俺は………。

 

「円堂!」

「……ああ、そうだな。やろう!雷門の新しい挑戦の始まりだ!」

 

もう、俺にできるのは、皆を信じることだけだ。

 

 

「準備ができ次第出発だ。円堂、頼んだぞ」

「監督は……どうするんですか?」

 

そうだ、エイリア学園との戦いでは響木監督ではなく、あの人が監督になるんだ。

 

「俺は行かん」

『ええ!?』

 

監督のまさかの言葉に驚愕の声を挙げる皆。

 

「響木監督には私から頼んでいる事があるのだ。これもエイリア学園と戦う為に必要な事でな」

 

理事長の言葉で響木監督がついてこないという確証が持てた一同がざわめき出す。

響木監督が俺達の監督になってからそう長い時間が経った訳ではないが、監督を皆信頼している。エイリア学園との戦いに響木監督が居ないのは不安になるだろう。

 

「心配するな」

 

響木監督がそう言うと同時にエレベーターのドアが開き、黒髪の女性が入って来る。

 

「紹介しよう。新監督の吉良瞳子君だ」

『ええ!?』

 

……ちょっと思ったんだが、瞳子監督ってどういう経緯で雷門の監督になる事を理事長や響木監督に認めてもらったんだろうか。

多分自分から売り込んで来たんだと思うけど、そんなに詳しい事までは話してないよな。響木監督に裏切り者とか後から言われてたし。でも、瞳子監督について調べるとかしなかったのかな……。

まあ、そんな事気にしてても意味ないか。

 

「ちょっとガッカリですね、理事長。監督が居ないと何もできないお子様の集まりだったとは思いませんでした」

 

瞳子監督の開口一番がこれである。ゲームとかだとあんま気にならなかったけど、実際に言われると少しだけイラッとくるな。

 

「本当にこの子達に地球の未来は託せるんですか。彼らは1度、エイリア学園に負けているんですよ?」

「勝ちますよ。俺達は」

 

俺はともかくとして、皆の実力を疑われるのは我慢ならなかったので口を挟む。

 

「皆が前回負けたのは、全国大会決勝での疲労が溜まっていたからです。おまけにキーパーやエースストライカーも居なかった。万全の状態なら必ず勝っていました。それに、敗北は無駄にはならない。必ず次の勝利へと繋がるはずです」

 

俺と瞳子監督の視線が交わる。視線は逸らさない。これに関しては俺も引けない。

俺の気持ちが伝わったか、瞳子監督は小さな笑みを浮かべた。

 

「頼もしいわね。でも私のサッカーは今までとは違うわよ。覚悟しておいて」

 

言葉が足りない時もある。真意が伝わりにくい時も。でも、間違った事は言わない人だ。信頼できる。俺が居ない間も、チームを任せられる。

 

地上最強のチームを作る旅が、ついに始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に1人であんな所に行くのか、坊主?」

「ええ、乗せてくれてありがとうございます」

 

円堂を病院へと運んだ後、必要最低限の荷物を持って家を飛び出した俺は、エイリア学園との戦いが終わったら世界大会が始まるまでの間の特訓に使おうとしていた場所へと向かっている。

少ない情報から何とか場所を調べ上げ、ある程度の目星はついていた。

漁師の家を訪ね、その場所について知っている人が居ないか聞いて回った。海の事ならその職業に就いている者が詳しいと思ったから。そして、早朝から迷惑だと罵声を浴びせられながらもしぶとく聞き込み続け、諦めかけた頃にようやくその場所を知っている人を見つけた。

連れて行ってくれと頼んだのだが、子供が1人であんな所に何をしに行くつもりだ、危険だと最初は相手にしてもらえなかった。だが、俺のあまりに執拗い説得に最後は折れてくれた。決めてはやはり土下座だろうか。誠意を持って頼めば気持ちは伝わるものだ。

 

俺はグランに完敗した。手も足も出なかった。情けない話だ。

俺は自分が強くなったと思っていた。世宇子を圧倒し、力を見せつけ、エイリア学園にだって負ける訳がない、そう思っていた。

だが、現実は違った。俺は世界の広さを知らなかっただけだ。小さな箱の中で、自分こそが最強だと天狗になっていただけだ。

エイリア学園であれなのだ。世界にはもっと凄い化け物が大勢いるに違いない。

この程度で世界大会で得点王に、即ち世界一のストライカーを目指そうなどと、思い上がりも甚だしい。

………否、そもそも世界一を目指す事が間違っていたのだ。俺はもっとスケールの大きい戦いを知っているではないか。時空最強を求める旅と人間の限界を超越した子供達との戦いを、宇宙の運命を掛けた戦いを。

 

俺が目指すべきだったのは最強のストライカー。世界一は当然、全時空、全宇宙において頂点に君臨する。真の最強。

 

その為には今のままでは駄目だ。チームに居たままでも強くはなれる。だが、それには限界がある。

もっと強くなるにはより過酷な環境で自分を追い込む必要がある。この場所なら、俺に手を差し伸べてくれる者は誰も居ない。

 

「さあ着いたぜ。様子は見に来るつもりだが、間違ってもくたばってくれるなよ?俺は人殺しになりたくねーからな」

「本当にありがとうございました。分かってます。俺はこんな所で終わりませんよ。誰よりも強くなるまでは」

「………ま、無理だけはしないこった。この島にはお前を助けてくれる奴は居ないんだからな」

 

その後もこちらの身を案じ、山のように小言を言い残した後、漁師は港へと戻って行った。

今日あったばかりの中学生相手に随分親切にしてくれた。あの人が居なかったら俺はここに来れなかった。この出会いに感謝しよう。

 

さて、もう後には引けない。厳しい自然の脅威が、孤独の苦しさが俺を襲うだろう。だが、それでいい。

それを乗り越えて、俺は強くなる。どこまでも。

 

だから、俺が戻るまでの間、チームを頼んだぞ円堂。

 

 

 

たった1人、誰よりも過酷な豪炎寺の特訓が始まる。

その舞台に選ばれた島は、10年後にはこう呼ばれている。

 

────ゴッドエデン、と。

 




やばい奴がやばい覚悟を決めてやばい場所に行った件について。
頼むからジェネシス戦辺りまで帰って来ないでくれ。

あと吹雪ファンに怒られる覚悟を決めました。
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