原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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あけましておめでとうございます。今年もペースは遅くとも一歩一歩確実に更新していきたいと思います。

感想の数が累計で500件を突破しました。いつも励みになっております。ありがとうございます。個人的にはお気に入りが増えるより感想が来た方が嬉しいです。
でも、あんまり厳しい感想は送ってもいいですけど程々にしてください。凹みます。


二度目の勝負

 

先制点を奪い勢いに乗る雷門はその後も度々SPフィクサーズのゴールを脅かしたものの、染岡に厳しいマークがついていることもあり、あと一歩のところでチャンスを活かしきれず、前半は1-0のまま終了した。

だが、後半からは風丸のポジションをMFからFWへと変え、前半以上に激しく雷門が攻め立てる展開が続いた。

原作では怪我をしていたメンバーをベンチへと下げたことで人数が少ない状態での試合を強いられていたが、この世界線では誰も負傷者はおらず、数的不利になることはない。

風丸がスピードを活かして相手ディフェンスを掻き乱し、その影響でマークが分散されたことで動きやすくなった染岡が追加点を奪う。更に相手の動きに慣れた他の面々も積極的に攻め上がるようになったことで、SPフィクサーズが雷門の攻撃を抑えきれなくなり、結局〈トリプルブースト〉と〈レボリューションV〉で2点を追加し、4-0というスコアで雷門がSPフィクサーズを下したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作だと試合終了直前のゴールでの勝利だったけど、思ったより余裕を持って勝てたな。それだけ皆強くなってるってことか。

 

「勝負は俺達の勝ちだけど、これで満足か?」

 

塔子に向き合い、そう問い掛ける。塔子は試合前とは違い、笑顔を浮かべ俺の問いに答えた。

 

「ああ、負けたよ。流石は日本一の雷門イレブンだ」

「やっぱ気づいてたのか」

『ええっ!?』

 

俺は原作でのことを知っているから、塔子が雷門だと気づいているのは分かっていたが、そんなことは知らない他の皆は驚きの声を上げる。そして塔子も俺が気づいているとは思っていなかったようで意外そうな表情を浮かべている。

 

「分かってて勝負を受けたんだ?」

「どっちみちやらなきゃ話が進まなさそうだったし……。なんか理由があるのかなって思ってさ」

「………これは完敗だね」

 

俺の言葉を聞いて塔子は苦笑を浮かべる。

 

「試す様な真似してごめん。でも、どうしても知りたかったんだ。日本一のチームの実力を」

「……そりゃまた、どうして?」

 

知っていることをわざわざ聞くのは面倒だが、知っているのは不自然だし皆は分かってないからちゃんと聞かないとな。この辺しっかりしておかないと知らないはずのことをうっかり喋ってしまってややこしいことになりそうだし。

 

「私は……宇宙人に攫われた財前総理の娘なんだ」

『そ、総理大臣の娘ぇ!?』

 

驚愕の事実に皆が声を上げる。……前からちょくちょく思ってたけど、皆リアクションいいよな。俺ももっと驚かないと不自然だろうか。それはそうと、

 

「……なあ、話の腰を折る様で悪いんだけど1つ聞いてもいいか?」

「……そんなに驚かないんだね。何?」

「総理大臣の娘が何でSPなんかやってるんだ?普通は守られる側じゃないのか?」

 

これは俺が個人的に思っていたことだ。原作じゃその辺は全然突っ込まれなかったから聞いてみたかった。

 

「……同じことをよく言われるよ。SPなんかやっていて、何かあったらどうするんだ。危ないことは止めろって。……でも、私は守られているだけなんて嫌なんだ。自分のことくらい、自分でどうにかできる。私だって、パパを守りたいんだ」

「………」

 

理由になってるようでなってない主張だな。正直、これは俺の勝手な想像だが、子供だから許してもらえている。甘く見られている部分はあるのだろう。……まあ、俺がどうこう言うことでもないか。

 

「そっか。悪かったな。あんまり聞かれたくないこと聞いちゃって」

「いや、気にしてないよ。気になるのも分かるしね。話を戻してもいい?」

「ああ。といっても大体想像はつくけどな。父親を助ける為に強いチームを探してたってところだろ?」

「………びっくりした。その通りだよ。よく分かったね?」

 

まあ、原作知識がありますので……。

 

「………あんた達なら、エイリア学園に勝てるかもしれない。私と一緒に戦ってほしいんだ。パパを助ける為に……!」

 

真剣な顔でそう言う塔子。俺達の答えは決まっている。

 

「勿論さ!なあ、皆!」

『おう!』

 

俺が皆にそう言えば、当然だと言わんばかりに返事が帰ってくる。

 

「……ありがとう!」

 

笑顔を浮かべる塔子に向かって右手を差し出す。

 

「俺は円堂守。よろしくな!と……財前、えっと」

 

塔子、と言いかけて慌てて口を噤む。危ない、まだ名前聞いてなかったわ。

 

「私は財前塔子。塔子って呼んでよ」

 

よかった。不自然には思われなかったみたいだな。

 

「んじゃ、よろしくな塔子」

 

お互い笑顔で握手を交わす。

 

いい雰囲気だったが、それを破るように、シカ公園のビジョンに映像が映し出される。

 

『地球の民達よ。我々は宇宙からやって来た、エイリア学園なり』

「レーゼ!!」

 

映し出された人物の姿を見て、風丸が思わず声を上げる。あいつがレーゼか。……抹茶ソフトだな、うん。

 

『お前達地球人に我らが大いなる力を示す為、この地球に降り立った』

 

……なんだろう。シリアスな場面なのは百も承知なんだが、世界編のあいつを知っているから、大仰な台詞回しが凄く痛いものに見えて仕方ない。どんな気持ちで演技してるんだろう。

 

『我々は野蛮な行為は望まぬ。お前達の星にある、サッカーという1つの秩序の元において、逆らう意味が無いことを示して見せよう』

 

……いくつも学校を破壊して、少なくない怪我人も出ているだろうに、野蛮な行為は望まないなどとよく言えたものだ。自分本位な物言いに若干腹が立つ。

 

「何?それは本当か?」

 

そんなことを思っていると、SP達に何か連絡が入ったようだ。あいつらの居場所かな。確か場所は────

 

「探知しました!放送の発信源は奈良シカTVです!」

 

そうそう奈良シカTVだ。……なんか、こう、総理を誘拐してからまだ遠くに行ってなかっただけかもしれないけど、都合良く近くにいるとご都合展開だよなぁって感じがするな。

 

とにかく、ジェミニストームがいるテレビ局へ向かおう。………そこで、多分奴らと試合をすることになるだろう。その試合が終わったら、俺は……。

 

 

 

 

 

 

 

テレビ局に到着した俺達は中に入り、エレベーターで屋上へと向かう。外からでもエイリア学園のボールの光が屋上から見えた為だ。

因みに、警備員に入るのを止められるなんてことはなく、普通に入れた。アニメ基準の世界だろうからないだろうとは思っていたが、やはり某奈良最強は仲間にはならないらしい。個人的に割と好きなんだけどな、あのキャラ。

 

 

屋上に辿り着き、視界に入ったのは紫色の光を放つ黒いボールとその周りに立つエイリア学園。間違いない、ジェミニストームだ。

 

「レーゼ!!」

 

風丸の声に反応したレーゼが振り返り………多分俺の顔を見た瞬間、一瞬だけギョッとした様な表情を見せたような気がする。一瞬だったので確証はないが。ただ、表情は冷静だが、目線はこちらから逸らしている。何となくその視線を追うと、そこにいたのは俺を脅してきたあのハゲ達だった。

やはりあいつらはこの試合を監視するつもりか。となると俺は下手なことはできないな……。

 

「何の用だ、人間。お前達は既に我々に敗北したはずだが……改めて降伏の申し出でもしに来たか?だが、ゲームは始まったばかり。地球人は真に思い知らねばならない。我らの大いなる力をな」

 

不敵な笑みを浮かべそう宣うレーゼには何もおかしな様子はない。やっぱりさっきのは俺の見間違いか。

 

「誰がお前達に降伏なんてするかよ。俺達がここに来たのはお前達ともう一度戦う為だ」

「そうだ!学校壊されたままで、黙って引き下がれるか!」

「傘美野の奴らの為にも、今度こそお前達を倒す!」

 

俺に続くように、染岡や風丸もレーゼに向かって吠える。敗北の悔しさは、勝利でしか拭えない。2人の、いや、他の皆のやる気も最高潮だ。

 

「………いいだろう。二度と立ち上がれぬよう、叩き潰してくれる」

 

 

雷門対ジェミニストーム。2度目の勝負が今、始まる。




レーゼ(円堂いるけど大丈夫なんだよな!?な!?)

円堂離脱する前に年越しちゃったよ……。
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