原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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前話を投稿する前と比べてお気に入り三倍ぐらいになってて笑う。
話進んでないうえにキャラ崩壊激しいかもしれないけど、許してください。



別視点とその後

───俺は、なんて無力なんだろう。

 

俺は、円堂に頼ってもらいたくてサッカー部に入ったんじゃなかったのか。

円堂を助ける。それをするのは、今じゃないのか。

やれると思っていた。サッカー部に入ってから今まで、必死に練習を重ねて、必殺技も使えるようになって、帝国とだってきっと戦える。そう、思っていたのに。

 

『ゴーーーーール!!キーパー円堂、このシュートも止めることが出来ず、これで帝国10点目だぁーーーー!!』

 

いつの間にか実況を始めていた、角間がそう叫ぶ。

 

───10点目……

 

帝国のシュートをブロックすることが出来て、俺のプレーは帝国にも通用するんだと思った。

でも、それはただの思い上がりだった。

徐々に開いていく点差。帝国のシュートによってボロボロになっていく円堂を、ただ見ていることしか出来ない。

もちろん黙ってやられるのを見ていた訳じゃない。

相手の攻撃を止めようとした。ボールを持って、攻めようとした。

でも、駄目だった。

帝国のエース、鬼道の実力は俺の想像を遥に上回っていた。いや、鬼道だけじゃない。他の誰を相手にしても俺とはレベルが違う。

ドリブルであっさり抜かれ、パス回しで翻弄され、気づけばシュートを打たれている。

ドリブルで攻め上がろうとしても、ディフェンスラインからでは鬼道が障害となり、上手くいかない。

誰にも負けない自信があったスピードにおいても、帝国の選手は俺と同等か、それ以上の速さを持っている。

 

何も出来ないまま、前半が終わった。

 

ボロボロの体で荒い息を吐く円堂。その生気の失せた顔と、濁った瞳が円堂の前半の苦痛を物語っている。

 

「はぁ…はぁ…。まだだ。まだ、後半が残ってる…。まだ試合は終わってない…。」

 

それが本心ではないのは、火を見るより明らかだ。しかし、諦めの言葉を吐かないのは、キャプテンの責任か、それとも選手としての意地か。

その円堂に、誰も声を掛けない。否、掛けられない。その痛ましい姿に言葉が出てこない。

 

「……もう、後半が始まる。ポジションにつけ…」

 

そう言って、ふらつきながら立ち上がり、フィールドに向かう円堂に何かしてやりたい。俺に出来ることは何かないのか……。

 

───ふと、昔、円堂から言われた言葉を思い出した。

 

あれは、円堂に誘われて一緒にサッカーをしていた時、上手くパスを出せなくて落ち込む俺に、円堂が言った言葉。

 

「失敗なんか気にすんなよ。もっと楽しもうぜ?俺、今お前とサッカー出来て、スッゲー楽しいんだ!」

 

笑顔と共に投げ掛けられたその言葉に、落ち込んでいた心が軽くなった。

 

あの時とは状況はまるで違うが、少しでも円堂を元気づけてやりたい。

そう思って投げ掛けた言葉で、円堂の表情が完全に消え失せた。

何がいけなかったのかは分からない。だが、何かを致命的に間違えたのだと悟った。

俺は、その顔を見るのが嫌で、自分がそんな顔にしたことを認めたくなくて、逃げるように円堂に背を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼に対しての第一印象は決して良いと言えるものではなかった。

その日は嫌なことがあって気分転換がしたくて、私のこの町で一番好きな場所に向かっていた。幼い頃、よく母と父と三人で夕日を見ていたあの場所に。しかし、その日はその場所に先客がいた。

鉄塔を登った私の目に映ったのは、オレンジ色のバンダナを身に付けた少年の姿。別に誰かの所有地ではないのだし、よく考えれば誰かいたとしても不思議ではないのだが、その時の私は思い出の場所に他人が入り込んで来たのが不快に感じたのだ。

 

「貴方、そこで何をしているのかしら」

「ん?……誰だ?」

 

それが私、雷門夏未と彼、円堂守の最初の出会い。

 

それから少し会話をしたのだが、私の言動が高圧的だったこともあり、初対面にもかかわらず口喧嘩に発展してしまった。

気分転換に来たというのに、さっぱりそんな気はなくなってしまった。

今日のことは忘れよう、そう思ったのに。

次の日、学校の廊下でばったり彼と遭遇してしまい

 

「げっ、昨日の偉そうなやつ」

 

などと彼が言うものだから、周囲の目があることも忘れてまた口喧嘩をしてしまった。

それ以降、何度か学校で鉢合わせることがあったのだが、どうにも気が合わないのか大抵は言い争いになってしまう。

しかし、何度も繰り返す内に、気を使わず言いたいことを言える彼との会話を楽しんでいる自分がいた。

この学校の理事長の娘であること。言動が少々厳しいものであること。

私のことを慕ってくれる者もいるが、同時に疎ましいと思う者も多い。

そんな中で彼との会話は、他のことは忘れて本音をぶつけることのできるものだった。打てば響くような会話は楽しく、いつしか、彼の姿を探すようになっていた。

 

帝国学園との練習試合について話した時は少し驚いてしまった。

彼が、サッカー部を弱小と呼んだことを撤回しろと言ったことを。

普段の会話から私は彼が冷静で合理的な思考を持っていると思っていた。サッカー部が弱小なのは客観的に見て、明らかな事実だ。彼がそれを否定したことが意外だった。だから、彼にそう言わせるサッカー部に興味が湧いた。

 

練習試合当日。サッカー部に所属しているのは知っていたが、グラウンドが使えずいつも校外で練習しているようだったので彼がユニフォームを着ているところは初めて見た。普段とは違う雰囲気に、思わず少し格好良いなと思ってしまった。

 

 

試合は一方的な展開になった。雷門は手も足も出ず、帝国がどんどん得点を重ねていく。絶望的な力の差。それを一番理解しているのは帝国のシュートを受けている彼のはずだ。なのに

 

───どうして、立ち上がれるの?

 

彼は決して、倒れなかった。何度強烈なシュートを浴びて、地に倒れ伏しても、立ち上がる。

 

───もう、立ち上がらないで

 

これ以上彼が傷ついていくのを見るのが嫌だった。なのに、その姿から、目を離すことが出来ない。そして

 

───その白銀の輝きに、心を奪われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円堂がシュートを止めた。それを認識すると同時に帝国ゴールへ向かって走りだす。まさか鬼道のシュートが止められるとは思っておらず油断していたマーカーは反応が遅れ、俺に追いつけない。

円堂と視線が絡み合う。パスが来る。

しかし、円堂はパスを出す前に限界を迎えたか、その場に崩れ落ちる。それを目にして思わず足を止めかけたが、ボールに向かっている帝国の寺門、その死角から必死の形相で追いすがる影野の姿を見て、止めかけた足を動かす。皆を信じろ。俺の元に必ずボールは届く。

 

そして、確かにボールは俺の元に繋がった。

 

影野、風丸、半田、染岡。一年の頃から共に雷門サッカー部を支えてきた、大切な仲間達

 

────お前達が繋いだこのボール、決して無駄にはしない!!

 

決意と共に空中へと舞い上がる。回転し、左足に炎を纏う。だが、足りない。こんな炎では〈パワーシールド〉を打ち破れない。

 

────もっと熱く、もっと激しく、燃え上がらせろ、魂を。

 

炎が勢いを増す。仲間達の想いを胸に、力強く、見る者に勇気を与える、暗闇を晴らし明るく照らす、希望を灯せ。

 

「ファイア……トルネエェェェドッ!!」

 

仲間達の想いを乗せたその一撃は、後に多くの者に語り継がれる、伝説の幕開けとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国学園のとある一室で二人の人物が向かい合う。一人は帝国学園サッカー部キャプテン、鬼道有人。もう一人はサングラスを掛け、茶髪のオールバックをポニーテールでまとめた男。帝国学園総帥、影山零治。

 

「鬼道、お前はあのチームの情報をどこで手に入れた」

 

影山が鬼道にそう問いかける。サングラスの隙間からは鋭い眼光が覗いている。

 

「……………」

 

鬼道は何も答えない。その眼光に怯むことも、目を逸らすことも無く、ただ無言を返すのみ。

 

「……まあ、いい。もう下がれ」

 

鬼道が答える気がないのを察したか。影山は鬼道にそう言い、退出を促す。鬼道は無言のまま、その言葉に従いこの場を去る。

部屋には影山一人が残される。

 

「……鬼道。お前は、私の敵となるか」

 

その呟きは、誰にも聞かれることはなく、静かに闇に溶けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝国との試合の後、俺は鉄塔広場に来ていた。体中が痛いし、直ぐに家に帰って休みたいところではあったが、どうしても感覚を忘れないうちに〈ゴッドハンド〉の練習をしたかった。今日の試合でやっと使えるようになったんだ。早くものにしないとな。

最早使い慣れた吊りタイヤを手に取り、思い切りぶん投げる。

右手を構え、気を集中する。よし、

 

「ゴッドハンド!!」

 

俺の叫び共に〈ゴッドハンド〉が発動する。必殺技を自分の意思で使えることに感動を覚える、が

 

────あれ、なんか薄っ……?

 

吊りタイヤを右手で受け止め、まるでガラス細工のように呆気なく〈ゴッドハンド〉は粉々に砕け散った。

 

「へっ?……ぐぼぁあ!?」

 

間抜けな声を上げる俺だったが、タイヤは当然止まることなく俺の体を吹っ飛ばした。

全身に走る痛みに悶えながら頭の中を疑問が埋め尽くす。

 

────何故だ。習得出来ていなかったのか?しかし、発動は出来たぞ?どうなっている。

 

痛みを堪えながら何とか立ち上がり、再度吊りタイヤを手に取る。

 

「……もう一度だ」

 

今度はしっかりと観察するぞ。迫り来るタイヤに向かって再び〈ゴッドハンド〉を発動する。そう、確かに発動は出来るのだ。

 

ただ、色は薄く、厚みも無いだけで。

 

またしても宙を舞う俺の体。仰向けに倒れながら、嫌な確信を得る。

だが、それを認めたくはない。

 

────今日は、もう帰って休もう。そうだ、疲れていたのが原因だ。そうに違いない。きっと明日になれば大丈夫さ。

 

 

 

 

 

そんな俺の願いは、翌日、密かに練習していたのだと宣った半田の〈ローリングキック〉によって〈ゴッドハンド〉を破られ、完全に否定されるのだった。

 




イナイレの二次創作のヒロインはエイリア勢だったり、TSアフロディだったり、音無だったりが多いですよね。
この小説にヒロインがいるとしたら夏未です。
作者の力量不足でオリキャラみたいになっちゃってますがここは譲れません。
円堂のヒロインは夏未です。ふゆっぺ?秋?知らんな。

誰か円堂と夏未の甘々な恋愛小説書いてくれ。私が喜びます。
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