相変わらずサブタイトル思いつかないせいで適当。
「は………はっくしょん!!うぅ……寒いッス……」
東京を後にしたキャラバンは、道中で何度かのトレーニングを挟みながら北海道へと辿り着いた。
現在は目的地である白恋中を目指し、雪道を進んでいる。
窓から見える雪景色を眺めながら、鬼道は目的の人物について思考を巡らしていた。
────吹雪、か……。
鬼道が気にしているのはジェミニストームから大量得点を奪ったという吹雪の実力について………ではない。鬼道が考えているのは吹雪は
────俺達と同種の存在なのか、否か。
円堂守、豪炎寺修也、鬼道有人。イナズマイレブン無印の原作における主要キャラクターを3人挙げろと言われれば大抵はこの3人の名を挙げるのではないだろうか。そして4人目を挙げるとすれば吹雪士郎の名を挙げる者は多いはずだ。主要キャラという括りで考えれば吹雪も転生者である可能性は否定出来ない。
鬼道の中では吹雪が転生者であると考えるに足る仮説が成り立ちつつある。
雷門や帝国のメンバーは現時点で原作よりも確実に実力は上だ。それは自分達が関わっていたことが大きな要因となっているのは間違いない。
世宇子が強くなっていたのも元を辿れば、影山が鬼道に影響を受けた結果と言えるし、木戸川の西垣に関しても一年次のフットボールフロンティアで帝国と対戦したことが関係している可能性はある。そう考えると一之瀬が原作よりも強くなっていたのが不可解ではあるが、強力な必殺技は習得していても、身体能力やテクニックは当時の鬼道と互角のレベルだった。
これらのことから、一部の例外はあるとしても、基本的には原作よりも強くなっているのはイレギュラーである自分達と関わりのある者だけと考えていいはずだ。エイリア学園に関してはエイリア石とかいうよく分からないアイテムの影響もあるのだろうし、今は置いておく。
ジェミニストームとの試合で吹雪が残したという成績は原作の強さのままでは確実に無理だと断言出来るレベルのものだ。原作でもシュート力だけならジェミニストームを圧倒していた吹雪だが、ディフェンスに突破を阻まれる場面もあったし、なにより実力の劣る白恋のメンバーをカバーしつつ、相手を蹂躙出来る程の実力はなかった。失点をたった3点に抑えたことから見ても、白恋中というチーム自体が原作よりも強くなっていると考えた方が自然だが、その原因となったであろう吹雪が転生者である可能性はそれなりに高い。
そしてもう一つ、道中で春奈が吹雪について調べていくうちに浮かびあがった、ブリザードの吹雪、熊殺し、等の原作にもあった異名とは明らかに毛色の違ういくつかの異名。
【氷の支配者】【暴君】【雪原の帝王】
原作にはこんな異名は存在しなかったはずだ。そのどれもが、原作の吹雪のイメージとはかけ離れている。噂だけが一人歩きしてしまっている可能性もあるが、それでも同じような方向性の異名が複数存在するということは、それらを連想させる何かがあるのだろう。
転生者でなかったとしても、原作の吹雪とはプレイスタイルそのものが違うことはほぼ確定だと考えていい。
────まあ何にせよ、これ以上の情報が出てこなかったのだから、直接会って確かめてみるしかないか。
思考を打ち切った鬼道だが、窓の外はいつの間にかかなりの猛吹雪となっており、ホワイトアウトとまではいかずとも視界は大分悪くなってしまっている。
等と思っているとキャラバンがガクッと揺れ、停止した。
「こりゃ雪だまりにタイヤをとられたか?ちょっと見てくる」
キャラバンの運転手をしている古株さんがそう言い、外の様子を見に行こうとするが………何か、こんなシーンが原作でもあったような……。
という鬼道の思考は突然のキャラバンの激しい揺れにかき消された。
バランスを崩した古株さんが転倒し、皆も混乱しているようだ。
「ひぃぃぃぃぃぃ!!??」
「きゃ!?」
「な、何だ!?」
目金が悲鳴を上げ、そちらを見ると何やら外を指さしているようだが……。
「く、熊が……」
「なに!?」
原作でも熊が襲って来たことを思い出した鬼道だが、時期がズレていることもあり、完全に無警戒だった。
まさかこの広い雪原で同じように襲われるとは。いったいどんな運の悪さなのか。
そして鬼道がそんな悪態を心の中でついている間も、キャラバンは激しく揺られている。このままではいずれ転倒させられるだろう。そうなれば逃げることも困難だ。
────仕方ない。自信はないが、やってみるか。
流石に熊は相手をしたことがないが、原作当時の吹雪に何とか出来たのなら、自分でもやれるはず。
そう思い行動に移そうとした瞬間、ソレは鬼道の視界に映った。
窓越しかつ視界も悪く、はっきりと見えた訳では無い。しかし、風に靡く白いマフラー、やや紫がかった銀色の髪、鬼道が知るよりも鮮やかな色彩を放つ翡翠の瞳。その少年の名は────。
キャラバンが大きく揺れ、視界が傾く。そして、凄まじい轟音と共に襲い掛かる浮遊感。
衝撃で皆が体勢を大きく崩す中、いち早く状況を察した鬼道がキャラバンの外へと飛び出る。制止する音無の声が聞こえたが、今はそれよりも確かめなければならないことがある。
しかし、外に出た鬼道はそこに誰の姿も認めることが出来なかった。そこに残されていたのは、直線状に削り取られたように大きく抉れた雪面と、何か大きな物を引き摺ったような跡だけだった。
「わあ〜!凄い、本物の雷門中だ!」
「テレビで見たのと同じだ!サインちょうだい!」
結局あの後、少し周りを探してみたが誰も見つからず、あれが本当に吹雪だったのかも分からず終いだったが、本人に会えばはっきりするだろう。
無事に白恋中へと到着した俺達はグラウンドで練習中だった白恋中のサッカー部を訪ねた。
最初は突然の訪問者に訝しげな態度だったが、それが雷門中のサッカー部だと分かった途端、態度が軟化した。
その姿には強豪が纏うような雰囲気は微塵も無く、風丸達は本当に彼等がジェミニストームを倒したのかと疑問を抱いているようだが、どうせ吹雪一人の力で勝ったのだろうから、こんなものだろう。
しかし肝心の吹雪の姿は見えない。先程見たのが本当に吹雪なら、まだ戻って来ていないのかもしれない。
「吹雪士郎君は?どこにいるのかしら?」
『えっ……』
それまでは雷門のメンバーにいっそ馴れ馴れしいとすら思える態度でぐいぐいと迫っていた白恋中の面々が、監督が吹雪の名を出した途端に固まった。
「ふ、吹雪、君?えっと……今日はまだ来てないよね……?」
「多分、まだ帰って来ないと思うけど……」
「北ヶ峰に行くって言ってたから、まだ大丈夫……なはず……」
恐る恐る各々で確認を取り合うその姿に違和感を覚える。どうにも出来れば戻って来て欲しくない、とでも思っている様子だし、吹雪について話す彼等の目には怯えの色が見える。もう少し詳しく聞こうと思い口を開きかけたところで、直感的に何かを感じ取った。
時間の流れが遅くなったような感覚。遅れて微かに耳に届いた、何かが空気を裂くような音。
それに気づけたのはほぼ偶然に近い。空気を裂いて死角から飛来する、青白い冷気を纏ったボール。何もしなければ頭部に直撃していたであろうそのボールを、半ば反射的に自ら体勢を崩しオーバーヘッドに近い体勢で蹴り返す。
咄嗟のことで加減も出来ずかなりの威力があったはずのボールは、打ち返された先にいた人物によってあっさりとトラップされ、軽く蹴り上げたボールをその手に持つ。
グラウンド脇の土手の上からこちらを見下ろすその少年の目は、氷の如く冷えきっていた。
吹雪のファンに怒られる覚悟はもう決めたんだ。
オリキャラ登場するのは許せる?※エイリア編及び世界編では出るとしても一瞬です。
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許せる
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やめてほしい