原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

79 / 107
お久しぶりです。遅れてすまねえ……。
なんか色々忙しくて書く時間もないしモチベーションも上がらないし、もう散々……。

お詫びにちょろっと豪炎寺サイドをぶち込んだから許して。


化身対決!鬼道vs吹雪!!

 

試合は再び振り出しに戻り、雷門のボールから試合が再開される。鬼道はひとまずボールを中盤の不動へと下げる。不動はこのボールをサイドの風丸へとはたく。

鬼道は自分が未だ動揺から完全に立ち直っていない自覚があった為に不動に指揮を委ねる選択を取った。不動は化身の脅威を正確に推し量れている訳ではなかったが、正面から相手をするのはまずいと判断しサイドへ展開した。普通に考えて選択としては間違ってはいない。だが相手が悪い。

 

吹雪が腕を無造作に振るうと背に従えたゲルダが同じようにその手に持った槍を振るう。すると凄まじい突風が吹き荒れ、これをまともに食らった風丸があっさりと吹き飛ばされる。ボールは風に巻き上げられ、上空へ。

 

「しまった……!!早くボールを……!?」

 

こぼれ球を確保するように指示を出そうとした不動だが、既に上空でボールをキープしている吹雪の姿に思わず目を見開く。

 

────あの一瞬でこの距離を詰めたってのか!?なんてスピードだ……!!

 

本気になり化身を発動したことでパワーだけでなく、スピードも一段ギアが上がっている。先程までとはまるで別人とすら思える程の速さ。その吹雪の着地際を狙って塔子が詰め寄るがゲルダの横薙ぎの槍の一振で簡単に蹴散らされる。雷門陣内の浅く攻め入った位置ではあるが早くもシュート体勢。

振り抜かれた右足から放たれたシュートはディフェンスの間を縫うように高速で通過し、飛びついた源田の手を弾き飛ばしてゴールネットに突き刺さった。

 

あっさりと勝ち越しのゴールを決めた吹雪は静かに自陣へと戻っていく。恐るべきはその実力。一対一ではまるで相手にならない。

このゴールで鬼道の中の動揺は完全に消え失せた。その代わりに覚悟を決める。

 

────化身に対抗するには化身をぶつけるしかない。あいつは俺が抑える。

 

目には目を。歯には歯を。現状はそれが最も有効な手段だと思われる。問題は鬼道のスタミナがどこまでもつかだが、それは吹雪も同じだ。多少のリスクを許容してでも吹雪を止める必要がある。これ以上の追加点は致命傷になる。

 

「はあぁぁぁぁ!!」

 

試合再開と同時に化身を出すべく、鬼道が気合いを込める。背中からどす黒い影が溢れ出し異形を形作っていく。

 

「遅過ぎるな」

「がっ!?」

 

だが漆黒の鬼が姿を現すことはなく、異形が形になるよりも早く鬼道に詰め寄った吹雪が強引にボールを奪い取った。

化身には化身をという鬼道の考えは決して間違ってはいない。しかし鬼道の化身は発現してからあまり使っておらず、練度もそう高いとは言い難い。化身を出現させる際には集中する必要があり、その間はどうしても隙が出来る。その隙を見逃さない吹雪ではない。更に言えば化身を出した瞬間から今まで、試合が中断している間も含め化身を常時発動し続けている為、吹雪にはそんな隙はない。

 

「鬱陶しい凡人共が。私の前に立つな」

 

吹雪に詰め寄ろうとする雷門の選手を見て、吹雪はゲルダの持つ槍の石突きで地面を叩く。すると吹雪の左右からゴールまで続く巨大な氷壁が迫り上がる。その壁に雷門の選手達は阻まれ、吹雪の眼前にはゴールへと一直線に繋がる道が出来上がる。

 

「エンペラーロード」

 

その名称は原作ゲームにおける世界編でチームガルシルドが使用する必殺タクティクスと同様だが、完全に個人の力だけで成されたこの状況をタクティクスと呼べるかは怪しいところではある。しかし齎す結果が同じならその名を使っても何もおかしくはないだろう。

 

各々が眼前には聳え立つ氷壁を破壊しようと必殺技を繰り出すが、氷壁はその程度ではびくともしない。己が用意した遮る物のない道を吹雪が駆け抜ける。瞬く間にゴール前まで到達した吹雪がシュートを放つ。

 

「ハイビーストファング!!………ぐぁぁぁぁぁ!!!!」

 

大気を裂くゲルダの強烈な槍の一突きと共に放たれたシュートは、源田の発動した〈ハイビーストファング〉をあっさりと打ち破り、ボールは雷門ゴールに突き刺さった。

 

3-5

 

吹雪の圧倒的な力の前に、一度は勝ち越したはずが瞬く間に追いつかれ、突き放されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

判断を誤った。今の失点の責任は、間違いなく俺にある。同じ化身なら対抗出来るはずだと、安易に考えてしまった。そのせいであんな明白な隙を晒し、この状況を招いた。

3点。勝つ為には、吹雪を完全に押さえ込んだとしても最低でも3点が必要だ。正直、絶望的と言っていいだろう。だが諦める訳にはいかない。

 

ここから先は一度のミスが命取りになる。神経を研ぎ澄ませ。精神を集中させろ。

 

背中から溢れた影が漆黒の鬼へとその形を変えていく。今度こそ顕現した羅刹の王が咆哮を轟かせる。

 

勝つ。その決意を胸に、目の前の敵を見据える。

 

「そうだ。それでいい。全力を持って向かって来るがいい。それをねじ伏せてこそ、価値がある」

 

認めよう。吹雪は俺よりも確実に強い。今のままでは勝てない。余分な物は捨てろ。味覚も触覚も嗅覚も、今はいらない。地を蹴る感触も、ボールを蹴る感触も無くなったとしても、体がそれを覚えているならば、俺は戦える。聴覚は必要か。……否。ここから先は周りに気を使う余裕も、周りが入り込む隙もありはしない。視覚は必要だが、そこに色はいらない。ゆっくりと視界に映る景色が色を失い、モノクロに染まっていく。

極限の集中が齎す引き伸ばされた意識の中で、力強く大地を蹴る。

 

 

二つの極星が糸を引くように引き合い、二人の化身使いは激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠い空の下。二つの大きな気がぶつかり合うのを感じて、思わず動きを止めた。一つは自分もよく知るもの、もう一つは分からないが、相当の実力者であることは確かであろう。

 

「どうかした?」

 

突然固まった俺を訝しんだか、少し離れた所でこちらを見ていたシュウが声を掛けてきた。

 

「………いや、何でもない」

 

この間から何やら面白そうなことになっている鬼道が少し、ほんの少しだけ羨ましくはあるが、今は自分のことに集中しよう。俺にとってのお楽しみは逃げも隠れもしない。グランの顔を脳裏に思い浮かべれば、あの時抱いた怒りと悔しさが溢れ出す。

 

怒りに呼応して体から漏れ出した炎を左足に収束させる。激しく燃え盛る紅蓮の炎の熱量で、周囲の空間の景色が歪んでいく。

目の前に鎮座する身の丈程の大岩に向かって左足を振り抜けば、まるで豆腐でも砕くかの如く、大岩はバラバラに砕け散る。空中に四散した大岩の欠片を無造作に蹴り飛ばせば、欠片は一瞬で灼熱の弾丸と化し、軌道上の大木をへし折り数十メートル先の滝壺へと着弾。巨大な水柱が立ち、辺りに大量の水しぶきが撒き散らされる。

 

妥協はしない。ジェネシスとの最終決戦。そこを照準に徹底的に鍛え上げる。その時まで────

 

「待っていろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鬼道と吹雪の蹴り足が衝突し、周囲に氷と闇が入り交じった衝撃波が吹き荒れる。ブルートの剣とゲルダの槍が激しく鍔迫り合い、火花を散らす。逃げ場の無くなった衝撃が弾け、両者同時に後方へと弾かれる。

ボールはその場でギュルギュルと音を立て回転しながらその場に留まっている。

 

────互角。

 

両者再び同時に地を蹴り、ぶつかり合う。

ブルートが横薙ぎに大剣を振るえば、ゲルダが槍の柄でそれを受け止め弾き返す。その勢いのままに突きを放つと間一髪のところでブルートが剣の腹でそれを遮る。どす黒い瘴気を剣に纏わせ、ゲルダの槍を弾いたブルートが上段から袈裟斬りを放つ。しかしゲルダが体を捻りこれを躱し、ブルートの斬撃はフィールドを切り裂くだけに終わった。その隙に今度はゲルダがその手に持つ槍に極寒の冷気を纏わせ、横薙ぎの一撃を放つ。直撃するかと思われた瞬間、ブルートが身をかがめゲルダの槍は空を切る。ゲルダのがら空きの胴に向かってブルートが大剣を斬り上げる。と同時にゲルダが素早く槍を持ち直し、上段から振り下ろす。再び鍔迫り合いになるが、上を取っているゲルダの方がやや有利か。ジリジリと押し込まれるブルートだったが、剣を傾けてゲルダの攻撃を受け流すことに成功する。そのまま回転斬りを放ち、ガードは間に合ったものの、ゲルダが弾き飛ばされる。すかさず追撃を仕掛けるブルートだったが、ゲルダがその手に氷の槍を形成し投擲したことで阻まれる。

睨み合う両者。次の瞬間には同時に距離を詰め、再びぶつかり合う。

 

 

熾烈を極める二柱の化身の激突。果たして勝利の女神が微笑むのは鬼道か、吹雪か。




最後の方もはやサッカーの描写じゃなくて草


アンケート締め切りました。合計967件の投票、ありがとうございました!
今後の展開の参考にさせていただきます。………まあ結局オリキャラ出る可能性はあるんですけどね!その場合は少しでも受け入れてもらえるようなキャラに出来るように頑張ります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。