原作を壊したくない円堂守の奮闘記   作:雪見ダイフク

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遅くなってすまねえ……。
考えるの面倒だから、細かいとこはご都合主義で押し切るわ。
後からどうにか帳尻合わせればええやろ。


戦慄!オーガの力

あれからどうにか話し合いで解決出来ないかと対話を試みたのだが、全く要領を得ない返答が帰ってくるだけだった。

こうなった時点で試合をする以外に道はないらしい。

 

「はあ……。なんかごめんな。変なことに巻き込んじまって」

「いや、試合をするのはいいんだけれど……。どういう状況なんだい、これ?」

「正直俺もあんまよく分かってないんだが……友好的じゃないことだけは確かだな」

「……そういえばさっきもサッカーを捨てろだとか言ってたね。彼らの目的は円堂君ということか………」

 

そう言って少し考え込むアフロディ。あいつらのことを知識として知ってる俺は兎も角、こいつらからしたら本当に訳が分からないだろうからな。

 

「分からないことは多いけれど………君が戦うと言うのなら、僕達も力を貸そう。恩人である君を見捨てるような真似は出来ないからね」

「聖人か?お前」

 

前からたまに思ってたが、神のアクアを使ってた頃と比べてこいつ性格変わり過ぎじゃないか?いや、元々こっちの方が素なんだろうけど。

 

「何だか知らんが、こんな奴らさっさと倒して帰ろうぜ」

「俺達に気を使う必要はないぞ。俺達は俺達で勝手に戦うだけだからな」

「世宇子のゴールは任せるぞ、円堂」

 

デメテルやヘラ、ポセイドンもそんな言葉を掛けてくる。原作だと世宇子のメンバー個人を掘り下げるようなエピソードはなかったから分からなかったけど、実際に関わってみると気の良い奴らなんだよな。

劇場版だと世宇子はオーガに36-0の大差で敗れた。神のアクアを使用した状態の世宇子がだ。とは言っても今の世宇子は弱体化したとはいえ、原作の世宇子よりかはまだ強い。同じようなことにはさせない。36点も死んでも取られるものか。そんな阿呆みたいな大量得点が許されるのは豪炎寺だけだ。

 

────俺はサッカーを捨てたりなんてしない。必ず勝つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーガの待つフィールドに世宇子の選手達が散らばっていく。俺は世宇子のユニフォームを持ってないから雷門のものを着ているが、ゴールから見える景色は全然違って新鮮だな。

………中でも10番を背負ったアフロディの背中を見ていると違和感を覚えるな。俺にとっての10番は豪炎寺ってイメージが染み付いてるから、味方で違う奴が10番付けてるのは嫌って訳じゃないけど、何となくしっくりこない。勿論アフロディが相応しくないなんて思ってる訳じゃないが。

世宇子の皆も定位置について試合の準備が整った訳だが、審判とかどうするんだろうか。

 

すると俺の視線の先でバダップが徐ろに右手を上げ、フィールド脇の上空へと向ける。ほんの一瞬の間の後、バダップの右手の先にホログラムで試合時間が表示された。………そんな便利な技術あんの?

で、審判は………もう何もする様子はないな。え、審判無し?ウッソだろお前。……いや、待てよ。よく考えたらいてもいなくてもあんま変わらんか。どうせ試合続行可能かどうかの判断ぐらいしかしないし。

 

ボールは俺達から開始みたいだな。試合開始を告げる笛の音が鳴り響き、試合が………え?今どっから笛の音聞こえた?誰もいないんだが?

…………うん、考えるのはよそう。今は試合に集中だ。

 

 

 

 

 

デメテルが軽くボールを蹴り出しキックオフ、と同時に一瞬で距離を詰めたエスカバとミストレによってボールを奪われる。

かなりのスピードだな……。あの時見たグランの目で追えない程の理不尽な速度ではないものの、ついて行くのは相当難しいだろう。

俺の考えを肯定するかの如く、パスを回すオーガの選手達にこちらは全く対応出来ていない。

 

「無理に追うな!ゴール前を固めろ!」

 

闇雲に追い回しても体力を消耗するだけだ。相手の動きに慣れるまではとにかくゴールを死守するしかない。俺の指示に従い、ディフェンス陣はゴール前を塞ぐようにポジショニングをとる。しかしこれは────

 

「馬鹿!もう少し広がれ!密集し過ぎだ!!」

 

ゴール前を固めろとは言ったが、これはやり過ぎだ。サイドもがら空きになってしまっているし、目の前にDFが集結したせいで俺の視界も制限されてしまっている。

自分の指示が生んだ状況に危機感を覚えていると、ボールがエスカバに渡ったのが見えた。ゴールから少し離れた位置ではあるが、そのままシュート体勢に入る。

エスカバの背後の地面から赤い色をした箱のような物が現れ、そこにエネルギーが充填されていく。

 

「デスレイン!!」

 

エスカバがシュートを放つと同時に、その背後から無数の砲撃が放たれる。空を埋め尽くす、漆黒の光弾は正しく雨のようだ。

 

「「「裁きの鉄槌!!」」」

 

このシュートをブロックするべく、ディフェンス陣が一斉に必殺技を発動するが、この瞬間においてはそれは悪手だった。

 

────しまっ……!?これじゃ見えねぇ!!

 

〈デスレイン〉の光弾は数こそ多いが、本物は当然一つだけだ。ならばそれ以外をブロックしたところで意味は無い。重要なのは本物のボールを見分けることなのだが、眼前に展開された〈裁きの鉄槌〉の壁がブラインドになってそれが見極め切れない。更にはその壁もほんの僅かな時間で粉砕される。

 

「本物は……これか!!ゴッド……ぐあっ!!!!」

 

シュートがゴールに届くまでの一瞬で本物を看破し、〈マジン・ザ・ハンド〉よりも発動の早い〈ゴッドハンド〉で対応しようと試みるも、それすら間に合わず体ごとゴールに叩き込まれた。

 

オーガ、先制。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、すまん円堂……。俺達のせいで……」

「いや、お前らのせいじゃない。今のは俺のミスだ」

 

アポロンが真っ青な顔で謝ってくるが、そもそも今のは雷門の皆と同じ感覚で指示を出した俺が悪い。俺達は一緒に特訓をしていたが、こんなことになるなんて予想してなかったし、当然ディフェンス間の連携の確認も練習も行っていない。そんな状態じゃこうなって当たり前だ。

それに加えて世宇子は神のアクアを使っている間、格下の相手とばかり戦っていて連携をとって守備をする機会などずっと無かったことも拍車を掛けた。

少なくとも俺がきちんとその辺りを考慮出来ていれば、こんな失点の仕方はしなかったはずだ。

 

「誰のせいでもないよ。まだ1点だ。切り替えていこう」

「……そうだな。次は止めてみせる」

 

アフロディの言葉に頷き、気持ちを切り替える。まだ試合は始まったばかり、いくらでも取り返す時間はある。

 

 

試合がリスタートし、今度はこちらがパスを繋いで攻め上がっていく。ボールはデメテルからヘラ、アフロディを経由してヘルメスへ。

 

「ヘブンズ───」

「「「シグマゾーン!!」」」

 

〈ヘブンズタイム〉による突破を図ったヘルメスだが、それよりも早く、ドラッヘ、イッカス、ジニスキーの連携技でボールを奪われる。

ドラッヘが奪ったボールをすかさずエスカバへと繋ぎ、エスカバがそのままドリブルで攻め込んで来る。

 

「エンゼルボール!!」

 

エスカバの進路に立ちはだかったディオとヘパイスだったが、エスカバが軽くボールを蹴り上げると、ボールに天使のような輪っかと羽が生え、自由自在に空中を飛び回るボールを捉えきれず、あっさりと二人は抜き去られてしまった。

 

────こいつら、必殺技はゲーム仕様かよ!?

 

劇場版では展開や尺の都合もあってか、バダップ、エスカバ、ザゴメルの三人しか必殺技は使用しなかった。だが、ゲームにおいて登場した際には全員が強力な必殺技を覚えていた。そして重要なのはこいつらが登場したのは三作目の世界編であり、当然必殺技も世界でも通用するレベルの強力な技が多い。こっちがゲーム一作目に相当する、フットボールフロンティア編の技しか殆ど使えないことを考えると、かなり状況は厳しくなった。

 

ゴール前まで攻め込んで来たエスカバを止めようと、アポロンとアレスが向かっていくが、エスカバは二人を充分に引き付けて逆サイドのミストレへとパスを出す。完全に逆を突かれた形となり、ノーマークのミストレへとボールが渡る。

ミストレは上空高くへとボールを蹴り上げ、それを追うように自分も跳躍。両足でボールを捻じるように変形させ、赤黒い稲妻が迸る。

 

「デススピアー!!」

「あれは、鬼道君の……!?」

 

ミストレが〈デススピアー〉を使ったことに驚愕するアフロディ達だが、そんなものはお構い無しに強烈な不快音を響かせながら、死の槍は雷門ゴールへと墜ちる。

 

「あの時は一人じゃ無理だったが……今度は止める!!」

 

帝国戦の時よりも、俺だってずっと強くなっているんだ。〈デスブレイク〉なら兎も角、〈デススピアー〉なら止められない道理はない。

左手を胸に当て気を集中、それを爆発させ背後に白銀に輝く魔神を形成する。更にその体躯を覆うように気をまとわせ、鋼鉄の鎧と化す。

 

「マジン・ザ・ハンド!!」

 

俺の動きと連動し、突き出された魔神の左腕が迫り来る死の槍を受け止める。瞬間、あまりの負荷に吹き飛ばされそうになる体を懸命に抑え込む。

 

────お、重い……!!あの時の鬼道のデススピアーよりも……!!

 

あの時感じた威力も恐ろしいものだったが、当時の鬼道より高い身体能力を持つミストレが放った〈デススピアー〉は、それを更に上回る。

負荷に耐え切れず、魔神の纏う鎧に罅が入り、徐々に砕け散っていく。

 

「ッ………く……お…ぉぉ………!!」

 

ギリギリのところで数秒踏み留まったものの、抵抗虚しく魔神は消し飛ばされ、ボールはゴールへと向かう。

失点を覚悟した俺だったが、必死の抵抗が功を成したか、ボールはゴールバーに嫌われフィールド外へと弾き出される。

 

「た……助かった……」

 

辛うじて失点は免れたが、決して喜べる内容ではない。ミストレの放つ〈デススピアー〉でこれなのだ。よりキック力は上であろうバダップの放つ〈デススピアー〉はほぼ止めるのは不可能と見て間違いない。〈デスブレイク〉に関しては正直考えたくもない。

 

「立てるかい?円堂君」

「え?あ、ああ。ありがとう、アフロディ」

 

いつ間にか戻って来ていたアフロディの手を借り、立ち上がる。

 

「彼等、想像以上の実力だね……」

「ああ……。正直このままだと不味いな」

 

今のままだと、相手の動きに慣れるとかどうこう言ってられる状況じゃない。攻められっぱなしじゃいつかジリ貧になる。

 

「……円堂君、どうにかして僕にボールを繋いでくれないか」

「何か考えがあるのか?」

「ああ。この流れを一度断ち切る」

「……分かった。任せろ」

 

アフロディにどんな考えがあるかは知らないが、今はやれることは何でもやるべきだ。上手くボールを確保出来ればいいんだが……。

 

 

オーガのコーナーキックから試合が再開される。サンダユウの蹴ったボールはゴール前上空へと高々と上がる。そのボールに反応するのはエスカバとミストレ。どっちがシュートを打つつもりかは分からないが、どっちにしろ〈デススピアー〉が飛んでくるのは確実だろう。だが───

 

「させるかぁぁぁぁぁ!!!!」

「「!?」」

 

その場で跳躍し、ゴールバーを足場にして更に飛ぶ。驚愕に目を見開くミストレとエスカバの頭上のボールを思い切り殴り付ける。

 

「いっっけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

渾身の力を込めてパンチングし、クリアしたボールが中盤のアフロディの元へと一直線に向かう。コーナーキックで上がって来ていたオーガの選手達はこれをカット出来ず、アフロディへとボールが通る。

 

────さあ、ボールは届けたぜ。いったい何する気だ?

 

「………いくよ」

 

その背に純白の六枚羽を形成したアフロディが、ボールと共に上空へと舞い上がる。

 

「まさか!?その位置から打つつもりか!!」

 

上空のボールがアフロディの送り込む気によって白い稲妻を纏い、その表面を圧縮された気が覆う。そのボールをアフロディが渾身の力で蹴り放つ。

 

「真ゴッドノウズ!!」

 

敵味方全員の意表を突いた、自陣からの超ロングシュート。文字通り今までの流れを完全に一刀両断するそのシュートが、オーガのゴールへと向かう。

かなり強引ではあるが、今の状況なら有効な一手だ。それに〈ゴッドノウズ〉のパワーなら〈ニードルハンマー〉ぐらいならもしかして破れるんじゃないか?

 

しかし、そんな俺の甘い考えを嘲笑うように、オーガの誇る堅牢なるゴール前の壁が、シュートの前に立ち塞がる。

 

ブボーがその小さな拳を地面に叩きつけると、周囲の地面が隆起し、それにより衝撃波が巻き起こる。

ゲボーが上空で回し蹴りを放つと、その前方に禍々しい紫色の衝撃波の壁が形成される。

 

二重の壁に正面から衝突した神の一撃は、ゴールに届くことすら出来ずその勢いを失った。

 

「ゲボゲボゲボ!」

「ブボブボブボ!」

 

「なっ……!?」

 

今のは……〈グランドクエイク〉に〈デーモンカット〉か?共に世界編でも上位に位置づけされる強力なディフェンス技だが、距離があったとはいえアフロディの〈ゴッドノウズ〉の威力を殺し切るとは……。

 

 

 

〈デスブレイク〉はおろか〈デススピアー〉を止めることすら難しく、オフェンスはFW二人の〈エンゼルボール〉と〈デビルボール〉、それにゲーム通りなら〈キラーフィールズ〉もあるよな。ディフェンスは〈シグマゾーン〉に〈グランドクエイク〉、〈デーモンカット〉。それを潜り抜けたとしても待ち受けるのは無印最強のキーパー技の一角足る〈ハイボルテージ〉。

おまけに個々の身体能力でも劣る上に、こっちは即席チームで連携すら危ういときた。

 

 

……………………これ勝てる要素ある?

 




作者は迷ったんだ。うん、散々迷ったんだよ。でも決め切れなくてね。
だから皆で決めてくださいお願いします。

助っ人に来るのは誰がいい?

  • 豪炎寺&シュウ
  • 虎丸&飛鷹
  • フィディオ&エドガー
  • 天馬&フェイ
  • 白竜&ザナーク
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