ソードアート・オンライン ~剣舞う剣豪~   作:☆さくらもち♪

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第2話

正式リリース日から始まったデスゲームから約1ヶ月ほどが経過しようとしていた。

未だに第一層の迷宮区をクリアした者はおらず、それどころかボス部屋すら見つかっていなかった。

 

「ふっ!」

 

アマネはあの日から誰とも組まず、ソロプレイヤーとして活動をしていた。

ただひたすらに無心でモンスターが湧けばそれを狩り続けて、疲れればそこらで野宿をすることも少なくなかった。

そんなアマネでも知り合いのような相手はいた。

 

「アマネっち、今日もソロなのカ?」

 

木にもたれて休憩しているアマネの背後にはフードで姿を隠したプレイヤーが座っていた。

 

「ええ、まあ」

 

「オレっちと組んでもいいんだゾー?」

 

「それは……僕はソロのが性に合ってるので。ごめんなさい、アルゴ」

 

「そうカ。そう言うと思ってたヨ」

 

この会話も今となっては日常のようになっていた。

いきなり現れるアルゴに対して最初こそ驚きはしていたが、それが何回も続けば慣れてくるものだ。

 

 

 

情報屋として名を馳せるアルゴはSAOプレイヤーからの信頼が厚い。

だがそのアルゴ本人の詳しい情報は全くといっていいほど存在せず、強いて分かることは女性だということしか分からない。

また手練れの為、彼女を襲撃したプレイヤーはもれなく返り討ちにあうことだろう。

 

「アマネっち、今日トールバーナで第一層迷宮区の作戦会議が開かれるけど来るのカ?」

 

「……一応は」

 

「じゃあ今から行こうカ」

 

「了解」

 

アマネも容姿を出来るだけ隠すためにフードを装備するとアルゴと共に『トールバーナ』へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

二人がトールバーナの中に入るとそこそこな人数のプレイヤーが街を闊歩していた。

第一層の迷宮区に近く、そこそこ賑わうこの街には必要な物資が大体存在するからだろう。

そんなトールバーナの広場には一人の男性が立って演説をしていた。

 

「今日はみんな集まってくれてありがとう!」

 

「俺の名前は『ディアベル』!気持ちは……ナイトやってます!」

 

少しばかりのおふざけにその場の堅苦しい空気は消えて、柔らかい空気が立ち込めていた。

ディアベルと名乗った彼によるこの場の空気の掌握を完璧に行っている事にアマネは珍しく関心を抱く。

 

「あの人、すごいですね」

 

「んっ、あーディア坊のことカ?」

 

「ええ。1ヶ月もの間ボス部屋を見つけることが出来なかったからこそ、作戦会議として集ったこの場はかなり堅苦しいように思えました」

 

「そうだろうナ。しかも集まったのは腕に覚えのあるプレイヤーばかりダ」

 

ある特定のことに対するやる気の出させ方が非常にディアベルは上手だった。

現に笑いがありながらも作戦会議としての真剣さは失われていない。

 

「さて今回みんなに集まってもらったのは他でもない!昨日俺たちのメンバーが第一層のボス部屋を見つけたらしいんだ」

 

その言葉に集まったプレイヤーたちは驚きと称賛を送った。

今の今まで見つからなかったボスの部屋をようやく見つけることができた。

それは1ヶ月という停滞していた世界に希望をもたらすものだったからだ。

 

「今日の作戦会議はこのボスに対する対策やパーティと組んで親睦を図るために開かせてもらった」

 

「ひとまずベータテスト時のボスを今一度確認していこう。みんなこれを持ってるかな?」

 

そう言って取り出したのは手帳ほどのサイズの本。

それは情報屋のアルゴが自身の知識を元に製作したガイドブックだった。

 

「このガイドブックによると、第一層のボスの名前は『イルファング・ザ・コボルド・ロード』、武器は斧とバックラーを持っていてHPが削られていくとタルワールに持ち替えるとの事だ」

 

「そしてそのボスに取り巻くモンスターが『ルイン・コボルド・センチネル』。数は3体のみ」

 

「このボスに対して俺たちが取るべき対策は()()()を組むことだろう」

 

レイドというのは数人のパーティをさらに纏めた一種の集団。

SAOでは1つのパーティに最大6人までが限度になり、レイドは更にパーティを8つ纏めたもの。

相手の情報を知っていたとしてもHPが0になれば現実世界でも死を迎えるこの世界において大袈裟とも言える準備など存在はしない。

生存確率を上げることが出来るならばそれは最大限まで引き上げていくのが常識となっていた。

 

「ではみんな、パーティを組んでくれ!」

 

ディアベルは手を叩いて行動を促すと、周りのプレイヤー達は元々話を合わせていたのかどんどんパーティを組んでいく。

しかしソロプレイヤーであるアマネを誘うものはおらず、孤立状態となっていた。

 

「アマネっち、こっちこっち」

 

「?」

 

手招きをされながらもアルゴが呼んでくる方へと向かうと男女のパーティの所だった。

 

「紹介するヨ。オレっちのフレンドたちダ」

 

そういわれ紹介されたのは少年と少女とフードを被った相手。

 

「『アマネ(Amane)』です。よ、よろしくお願いします」

 

「あぁ、よろしく。俺の名前は『キリト(Kirito)』」

 

「……『アスナ(Asuna)』」

 

「『ユウキ(Yuuki)』って言います!よろしくね!」

 

幸いにも悪い人ではないと言葉から読み取ると少し安堵する。

ガワでは良い風に装っても内心ではボロクソに言われることもあったアマネはビクビクしていたのだ。

 

「アマネ?……あっ!ログインしたばっかの時にボクと会ったよね?」

 

アマネの名前に違和感を感じたユウキは思い出しながらそう告げた。

 

「えっと……一緒に戦い方とか練習しました?」

 

「そう!そうだよ!あの後鐘の音が聞こえてから転移しちゃったでしょ?」

 

「そう、ですね。でもすぐに抜け出してしまったので」

 

「そっかー、だから見つからなかったんだね」

 

ユウキとの知り合いだと分かるとキリトやアスナも少し警戒を解いたのか段々と話し合いに参加するようになっていた。

あの出来事の後、ユウキはアマネの姿を探したものの見つからず諦めた。

お互いが初めてだらけの中一緒にいたアマネはユウキにとっても信頼のある相手だと思っていた。

 

 

 

軽く談笑をしていると手の叩く音が聞こえた。

その方へ目を向けるとディアベルが立っていた。

 

「みんな、パーティは組めたかな?」

 

その場にいるプレイヤー達を見回して大丈夫そうだと判断すると次のことを話し始めた。

 

「では第一層のボス攻略は明日けっ「ちょっとまってんかー!!!」……キバオウさん?」

 

最後の締めくくりをしようとしたディアベルの言葉を遮ってまで大声で登場したのは一人の男性プレイヤーだった。

 

「ワイの名は『キバオウ』ちゅーもんや」

 

「キバオウさん、どうしたんですか?」

 

「どうしたもこうしたもない!ワイの要件はたった一つや!」

 

「この中にワイらビギナーを見捨ててぬくぬくとしてるベータ上がりがおるやろ!出てこんかい!」

 

「出て来させてどうするんですか」

 

「そんなん決まっとるやろ!持っとるアイテムや金、武器、防具全部ワイらに渡してもらわんとな?!」

 

「そ、それは……」

 

告げられたデスゲームの後、すぐに起きたことはベータテスターと初心者プレイヤーによる争いだった。

ベータテスト時の知識を公開しなかった事をベータテスター達に責任があると押し付けて持っているアイテムや武具などを要求する出来事があった。

もちろんそれはただの押しつけであり、ベータテスター達がビギナーの面倒を見る義務もなく、それに対する反論もあり、そこそこ大きな出来事としてSAO中には広まる有名な話だった。

 

「発言、いいだろうか」

 

そんな重苦しい空気の中一人のプレイヤーが手をあげた。

 

「言ってみーや」

 

「俺の名は『エギル』。キバオウさん、あんたこれを持ってるか」

 

エギルと名乗った彼が持っているのは先ほどディアベルも使っていたカイドブック。

キバオウは当然のように持っていると告げた。

 

「このガイドブックを作ったのは元ベータテスターだ」

 

「んな……」

 

「確かにあんたの言う通り見捨てたやつもいるだろうが、そんなヤツしかいないと決めつけるのはどうだろうか」

 

「確かにエギルさんの言う通りだよ、キバオウさん。今ここでベータテスター達を敵に回して戦力を失うのもいいとは思えない」

 

「っち……わかったわ」

 

非常に不満だと顔に浮かべながらも渋々席に座る。

 

「さて……では作戦は明日決行!午後1時に集合して出発する!解散!」

 

一争いありそうだった作戦会議は終わり、みな各々動いていった。

 

「俺たちはどうしようか」

 

「アマネって宿取ってる?」

 

「いえ、取ってないです」

 

「なら俺のオススメがあるからそこを取ろう。少しだけ値があるけどお風呂付きなんだ」

 

その瞬間フードを被っていたプレイヤー……アスナが飛びつくように反応を示した。

 

「本当!?」

 

「あ、ああ」

 

どうやらお風呂好きらしかったが今までお風呂が付いている宿が全く見つからずなくなく諦めていたようだった。

ユウキやキリトもその喜び具合に苦笑しつつもその目的の宿に向かっていった。

 

 

 

 

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