口数が少ないのは元からです   作:ネコガミ

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本日は1話のみの投稿です。


第16話『元公安も今はGファミリーの一員』

side:デューク・東郷

 

 

アメリカでの依頼を終えて両親の店に戻ると、毛利蘭と鈴木園子の二人が軽食をとっていた。

 

二人は俺を見るなり夏祭りに誘ってくる。

 

ふと疑問に思い工藤新一の事を問い掛けたが、二人共に既に彼に対して興味は無いらしい。

 

アメリカで見た彼からは才能を十分に感じた。

 

だが彼はその才能の発露を非日常に求めている。

 

彼女達はそんな彼に気付いたのだろう。

 

ならば彼女達が彼から離れるのも致し方ない。

 

だが、俺を夏祭りに誘うのは何故だ?

 

彼女達が俺に好意を寄せられる理由は何だ?

 

何のメリットがある?

 

会話をしながら思考をしていると、降谷零…もとい安室透が会話に交ざってくる。

 

すると不意に…。

 

「デューク、夏祭り当日は僕がヘルプに入る。だから折りを見て彼女達のエスコートをお願いするよ。」

 

この透の言葉に両親も賛同してしまい、俺は夏祭りの日に彼女達をエスコートする事が決まってしまった。

 

それからしばらくして彼女達が帰り店に客がいなくなると、不意に父が話し出す。

 

「近頃近所で騒がしいネズミがいるのに気付いているか?」

 

俺と透は父の言葉に頷く。

 

「そいつらはどうも黒の組織と繋がって『物』を持ち込んでいるらしい。随分と近所迷惑なもんだ。…駆除するぞ。」

 

また揃って頷くと父が透に目を向ける。

 

「透、今回の一件はお前が仕切れ。」

「っ!?…いいんですか?」

「お前はもう俺達の身内だ。なら、俺達の流儀に慣れてもらわねぇとな。」

「…わかりました。」

 

満足そうに頷いた父は次に俺に目を向けてくる。

 

「というわけだ。今回の一件は透がプロデュースする。後で口座に振り込んでおくから、確認したら透の指示通りに動いてくれ。」

「…了解。」

 

話を終えた俺は日課のトレーニングをする為に地下へと向かうのだった。

 

 

 

 

side:安室透

 

 

初めて一斗氏に仕事を全面的に任された高揚から身体を震わせる。

 

「怖いか?」

「いいえ、武者震いですよ。」

「そうか。」

 

コーヒーを口にする一斗氏に問い掛ける。

 

「一つ聞いても?」

「答えられることならな。」

「何故御二人は隠居を?貴方達ならまだ第一線を張れる筈だ。」

 

一斗氏が煙草をくわえると、店の片付けを終えたソーフィア氏が火をつける。

 

阿吽の呼吸は正に夫婦のものだ。

 

「…親の役目が何かわかるか?」

「養育…でしょうか?」

「それは親の義務だな。俺が考える親の役目は…子に生き方の選択肢を増やしてやることだ。」

「生き方の選択肢…。」

 

一つ頷いた一斗氏は語り始める。

 

「例えばプロのアスリートになりてぇって子供がいる。親はその夢を応援するなりして子供の歩みを手伝ってやるだろ?けど夢敗れた時の保険も用意しておくのが親の役目ってもんだ。」

 

ギュッと煙草を揉み消した一斗氏が新たな煙草をくわえるとソーフィア氏が火をつける。

 

「貴方は知らないだろうけど、デュークは一度心を壊してしまったの。」

 

ソーフィア氏の言葉に驚いて目を見開く。

 

「親馬鹿に聞こえるでしょうけど、デュークは本当に才能がある子だったわ。それこそ、初陣を迎える前に私と一斗の技術を余すことなく受け継いでしまえる程に…。」

「それが嬉しくて俺達は…あいつの心の悲鳴を聞き逃してた。」

 

二人は懺悔をするように語り続ける。

 

初陣を終えたデュークはそれからも少年とは思えない戦果を上げ続けたそうだ。

 

だがある日、彼は無表情で声も無く一人涙を流していたらしい。

 

「…戦場から離すことは出来なかったんですか?」

「今までやってきた事に意味がなかったと捉えかねない。そう考えるとそれは出来なかった。」

「だから戦場でどうにか折り合いをつけさせるしかなかったわ。」

 

僕はどこかで彼が神話に登場する英雄の様に考えていたのかもしれない。

 

…馬鹿か僕は。

 

彼だって僕と同じ人間なんだ。

 

ただ出来る事に違いがあるだけだ。

 

その出来る事の違いだって個性に過ぎない。

 

「話が逸れちまったな。俺達が引退したのは、デュークに裏の人間も表で生きられるって教えるためだ。」

「でもあの子はそう簡単に表で生きようとは思わないでしょうね。」

「なるほど、それで女ですか。」

 

僕の言葉に東郷夫妻が揃って頷く。

 

「女は男で変わるって言うが、その反対も然りだ。」

「そういうわけで透にはこれからも協力してもらうわよ。第一候補は不二子だけど、あの娘は今の状況を楽しんでしまってるからね。だから梃入れの為にあの娘達をってわけ。」

「なるほど。」

 

例の薬も完成が近い。

 

それはつまり、デュークが常に全盛期のパフォーマンスを維持し続けられる様になるということだ。

 

それが福音となるのか悪夢となるのか…それは個人個人の立場によるだろう。

 

少なくとも僕にとっては福音なのが幸運だ。

 

願わくば日本にとっても福音となってほしいものだ。

 

だがデュークとて不死身というわけじゃない。

 

だからこそ二人はデュークに日常を生きるという選択肢を増やそうとしているのだろう。

 

その一助を担うか…存外楽しめそうだと思うと、僕も随分と染まってしまったと実感するな。

 

ポアロでの仕事を終えての帰り道、僕はネズミ駆除の構想を練っていくのだった。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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