side:ジン
「兄貴、東都に行った連中との連絡がつきません。」
「…バカどもが!」
ウォッカの報告を聞いた俺は苛立ちから鉄柱を蹴り飛ばす。
バーボンからの情報で事前にゴルゴ13が動く可能性がある事はわかっていた。
だから何度も警告したが、金に目が眩んだバカ共は取引を続けてこの様だ。
だが、あのバカ共が取引を続けたのもわからなくはない。
俺達が奴に殺し屋を送った報復に、組織の資金源を幾つも潰されちまったからな。
「兄貴、どうします?」
「…引き上げるぞ。くそったれ、あのバカ共のせいで新しくアジトを探さにゃならねぇ。」
このアジトを構えるにもそれなりに金が掛かったが、背に腹はかえられねぇ。
「ふふふ、随分と荒れてるわね。」
「…ベルモットか。」
組織で一番気に入らねぇ奴が来やがった。
「ボスからの指示よ。バカなチンピラ達から慰謝料を取ってこいですって。」
ベルモットが投げ渡してきた指令書に目を通すとその場で燃やす。
「了解だ。すぐに取り掛かる。」
「ふふ、それじゃ代わりにここの引き上げは私がやっといてあげるわ。」
「…ちっ。」
ウォッカを引き連れアジトから出る。
「兄貴、いいんですか?」
「いいも悪いも、ボスからの指示だ。」
懐から煙草を取り出し火をつける。
チンピラ達の根城に向けて歩いていると、ウォッカが話し掛けてくる。
「兄貴、疑問があるんですけど、少し前に宮野姉妹を組織に引き入れたじゃないですか?確かあの姉妹の親はゴルゴ13が囲ってる筈ですよね?」
「…あの姉妹を組織に引き入れたのは、ベルモットがボスにワガママを言ったからだ。もっとも、それでベルモットはボスに警戒される様になったがな。」
短くなった煙草を吐き捨てる。
「ボスにしてみれば自身に被害がこなければいいのさ。ボスがあの姉妹に何を研究させているのかまではわからねぇが、ベルモット一人の命で済むなら安い買い物だと判断したんだろうよ。」
「ベルモットはボスのお気に入りだと思ってましたが…。」
「お気に入りだったさ。少し前まではな。だが巻き込まれるとわかっていて側に置いとくほどボスもバカじゃねぇ。今じゃベルモットもボスの居場所を知らねぇよ。」
新しい煙草に火をつけながら得物を手に取る。
「さて、チンピラ共を掃除するぞ。誰に迷惑を掛けたのか、きっちりわからせてやらねぇとな。」
「ちっとは歯応えがあればいいんですがね。」
「平和ボケした日本のチンピラ相手に、期待するだけ無駄だ。」
その後、チンピラ共に鉛弾を馳走してやると、裏のルートを使って日本から離れる。
「ところで兄貴、バーボンはどうするんで?」
「少なくとも、今回の一件でゴルゴ13はバーボンに疑念を持った筈だ。ほとぼりが冷めるまでは使えねぇな。」
「となると、しばらくは公安の情報を得るのに金が掛かりますね。」
「ゴルゴ13の情報に比べりゃ安いもんだ。」
「それもそうですね。」
これで本日の投稿は終わりです。
また来週お会いしましょう。