口数が少ないのは元からです   作:ネコガミ

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本日も1話のみの投稿です。


第25話『天才美少女と発明家の交流』

side:灰原愛(宮野志保)

 

 

私達姉妹が黒の組織を抜け両親と再会してから数ヵ月が過ぎた。

 

あの黒の組織で過ごした日々がまるで嘘かのように平和な時間が過ぎていく。

 

「愛君、ちょっとこれを見てくれんかね?」

 

阿笠博士に呼ばれた偽名に自然に反応すると席を立つ。

 

私は両親に合わせて偽名を名乗ることにしたのだけど、その偽名を『灰原愛』とした。

 

愛はデュークへの想いから想起したもの。

 

もし両親と再会出来ず姉さんを失っていたら…『愛』ではなく『哀』と名乗っていたかもしれないわね。

 

「何かしら博士?」

「東郷君の役に立つかと思って作ってみたんじゃが、君の意見を聞いてみたくての。」

 

そう言いながら博士はネクタイと仕様のデータを見せてきた。

 

「強い伸縮性で車に積んであるジャッキの様にも使える特殊なネクタイなんじゃが…どうかね?」

「発想はいいと思うわ。後は彼が気に入るかどうかね。」

 

現物と仕様データを目に思考をする。

 

おそらく彼はこれを気に入ると思うわ。

 

「ところで博士、これは特許を申請するの?」

「いや、そのつもりはないのう。金には困っておらんし。」

 

博士の言葉を聞いてため息を吐く。

 

もしこれやこれに類する物が災害現場等で活用されるようになれば、阿笠博士の名前は一躍世界的なものになってもおかしくないわ。

 

だというのに本人にはそのつもりが全く見られない。

 

阿笠博士のこういう行動は今日だけのものじゃないわ。

 

博士が言うには彼一人に認められればそれで足りるんだとか。

 

個人的にその気持ちはよく理解出来るけれど、科学者としては少し複雑ね。

 

「そういえば明日香君はどうしたんじゃ?」

「姉さんなら透さんとデートよ。」

 

姉さんは偽名を『明日香』とした。

 

本名の『明美』の一字は残したかったみたい。

 

「若いというのはいいのう。」

「博士も十分若いわよ。その見た目ならね。」

 

博士と出会った当初は頭頂部に毛髪がなく、更に残っている毛髪が白くて正に老人という表現が相応しかった。

 

けど今は違う。

 

改良したAPTX4869を服用した博士は、頭頂部に黒々とした毛髪が戻って若々しく、見た目は40代前半ぐらいに見える。

 

もっともそのせいで日常的に毛髪を白く染め、更にメイクで元の年齢に近付けないといけないのだけどね。

 

「若返ったのはいいんじゃが、ご婦人方から質問攻めにされるのは勘弁してほしいわい。」

「あら、私には博士が喜んでいる様に見えたけど?」

「そりゃ最初は嬉しかったがの。じゃが、ああも有無を言わせぬ重圧を掛けられ続けると老け込みそうなんじゃよ。」

 

毛髪を染めてメイクをしても、美に敏い女性なら博士の肌の艶が違うのは直ぐにわかるわ。

 

それに博士を質問攻めにするのは女性だけじゃない。

 

以前の博士を知る男性も博士を質問攻めにするわ。

 

こういう男性は毛髪に悩みを抱える人が多いわね。

 

APTX4869の研究に一区切りがついた両親は現在、そういった人達を誤魔化す為の物を研究している。

 

これは今後継続的にAPTX4869を使用する為に必要なもの。

 

それでも誤魔化すのには限界があるから、ある程度の月日が経ったら引っ越して別人にならないといけないけどね。

 

「愛、すまないが少し手伝ってくれるか?」

「わかったわ、お父さん。それじゃ博士、失礼するわね。」

「愛君、根を詰めすぎないようにな。儂達には時間がたっぷりあるんじゃから。」

「…えぇ、わかってるわ。」

 

博士の言う通りに私達には無限にも等しい時間がある。

 

人の心がそれほどの長い時間を生きることに耐えられるかはわからないけど…少なくとも退屈はしないでしょうね。

 

何故なら私達は世界一刺激的な男を知っているのだから…。




これで本日の投稿は終わりです。

また来週お会いしましょう。
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