口数が少ないのは元からです   作:ネコガミ

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本日も1話のみの投稿です。


第27話『小さくなった高校生探偵は困惑する』

side:工藤新一

 

 

「まぁコーヒーでも飲んで落ち着くといい。今知人がお前さんの家から子供の頃の服を持ってくるからのう。話はお前さんが着替えてからにしよう。」

「サンキュー、博士。」

 

博士の家の居間に通された俺は、灰原愛という女に採血された。

 

どうやら博士達は俺が子供になった理由に心当たりがあるらしく、それを確認するために採血したらしい。

 

もっとも、採血された時に灰原って女に文句を言われたけどな。

 

「なんだよ、危機感が足りねぇってよ。」

「儂も愛君と同じことを思うぞ。」

「けどよ博士。」

「まだ確定しておらんが敢えて新一と呼ばせてもらうわい…新一、お前さんは儂達を巻き込んでおる自覚はあるかのう?それも高校生を小学生ぐらいの子供に変えてしまうような何かを持った連中との諍いに。」

 

そんなことは俺だってわかってる。

 

けどよ、直ぐに頼れて俺の言葉を信用してくれそうなのが博士ぐらいしかいなかったんだ。

 

「悪かったよ、博士。」

「はぁ…本当に危機感が足りておらんのうこれは。」

 

ため息を吐く博士の姿にムッとする。

 

しばらくコーヒーを飲んでゆっくりしていると、鼻筋に横一文字の傷痕がある男がスーツケースを片手にやってきた。

 

「爺さん、持ってきたぜ。」

「おぉ、助かるぞい逆木君。」

「いいってことよ。なんか面白そうな臭いがするからな。」

「やれやれ、君は相変わらずだのう。」

 

逆木と呼ばれた男はスーツケースを博士に渡すと去っていった。

 

「博士、今の男は?」

「近くに空手の道場があるじゃろ?」

「あぁ、蘭が通ってるやつか?」

「そうじゃ。そこの師範代じゃよ。」

 

博士に空き部屋を借りて着替えながら考える。

 

蘭が師事するだけあって随分と雰囲気があるやつだったが…。

 

(あの黒ずくめの奴等と似たような雰囲気も感じたぜ…。)

 

着替え終わって博士の所に戻ってきたちょうどその時、灰原が部屋に入ってきた。

 

「結果が出たわよ、阿笠博士。」

「おぉ、どうじゃった?」

「当たりね。」

「そうか…。」

 

会話の流れから察するに、俺が子供になったことと関係があるみたいだな。

 

すると…元に戻れる可能性も?

 

拳に力が入る。

 

「何を考えているのかは想像がつくけど、そう簡単にはいかないわよ。」

「何でだよ?戻れるんだろ?」

「えぇ、戻れるわ。」

「だったら!」

 

灰原はため息を吐きながら首を横に振った。

 

そんな灰原の態度が鼻につく。

 

「新一」

「どうした博士?」

「よく考えるんじゃ。お前さんは子供になって困っておるが、それがどういうことかを。」

「どういうことって…っ!」

 

言われて気付いた。

 

たしかに俺は子供になっちまって困っていただけだが、見方を変えれば『若返る』ってことだ。

 

「博士!これは!?」

「たぶん想像通りじゃよ。お前さんは若返る薬を飲まされたんじゃ。おそらくはまだ毒性が強く、服用に耐えられるかわからん物をのう。」

 

ゾッとした。

 

もしかしたら俺は子供にならず死んじまってたからだ。

 

けど…俺はまだ生きてる。

 

いや、待て。

 

それほどの薬を飲ませた俺を放っておくわけが…っ!?

 

「博士すまねぇ!ここはあぶ…。」

「大丈夫じゃよ。もう対応しておるわい。」

「…博士?」

 

なんだ?俺の知ってる博士じゃないぞ?

 

少なくともこんなに荒事に慣れてなかった筈だ。

 

いったい博士に何があったんだ?

 

注意深く観察すると顔には皺があるのに手には皺が無い。

 

「博士、まさか…。」

「おっと、すまんの新一。もしもし…ふむ、お疲れ様じゃな。あぁ、そうそう。このこと彼には?わかった、任せるわい。」

 

不意に携帯電話が鳴ると博士が慣れた様子でそう対応した。

 

「待たせたの。」

「いや、それよりも博士、あんたにいったい何が?」

「新一、世の中には知らん方がいいこともあるんじゃ。」

 

まるで諭すようにそういう博士の姿に憤りを感じる。

 

「謎は解き明かすものだぜ、博士。」

「では一つ聞こうかの。新一、なぜ連中の取り引き現場を目撃したのかのう?たしか連中が取り引き現場に使った場所はトロピカルランドの筈なんじゃが?お前さん…なぜトロピカルランドにいたんじゃ?」

 

博士の問い掛けに動揺する。

 

先日、学校で蘭がトロピカルランドに遊びに行くという話を聞いた。

 

相手は園子だって話だったが、蘭の様子が園子と遊びに行くというにはどこか違和感を感じた俺は…蘭達を尾行したんだ。

 

「…どうやら知らん方がいいことらしいのう?」

「いや、それとこれとは別…。」

「同じじゃよ。ただ自分にとって都合が良いか悪いかの違いじゃ。そうじゃろう?」

 

そう言ってコーヒーを口にする博士の姿にはどこか凄みを感じる。

 

あの人の良かった博士がこんな凄みを出せるようになるなんて…本当に何があったんだ?




これで本日の投稿は終わりです。

痩せて若返った博士は40代ぐらいのシブいイケオジになっております。

また来週お会いしましょう。
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