本日投稿1話目です。
Side:デューク・東郷
とある国の過激派武装組織を壊滅させた俺は、密かに俺を狙っていた敵から身を隠す為に過激派武装組織のボスが作った地下道に入る。
そして地下道を移動して地上に出ると敵の不意をついて狙撃したのだが、敵は超反応で俺の狙撃を回避してみせた。
俺は僅かに驚くが回避して体勢を崩した敵をもう一度狙撃する。
しかしまたしても回避されてしまい敵に反撃されると、俺は転がって敵の射撃を回避して地下道に逃げ込む。
(あの反応速度…ドーピングか。)
地下道にて敵が来るのを待ち受けるが、地下道の入り口まで来た敵が退く気配を感じる。
俺を殺すのが目的ならば敵がこのまま退く筈がない。
なら敵は長期戦を選択したのだろう。
俺は警戒をしつつも心身を休めると、今回の一件を思い出していた。
事の始まりは日本政府関係者の男が、とある国の過激派武装組織の排除を依頼してきた事だ。
この過激派武装組織はとある国で親日派の現政権と対立する反日派を支援しており、その事から依頼者は先々の外交問題を危惧して依頼をしてきたのだ。
もっともこれだけならばよくある依頼の一つだ。
自国の組織を動かすよりも安上がりだからな。
もちろん国家の威信とやらの為に自国の組織で解決に動くケースもあるが、そういった時にはメディアコントロール等を含めた諸経費で莫大な金が掛かる。
故に日本政府の関係者が俺に過激派武装組織の排除を依頼してくるのは不自然ではないのだが、今回の依頼に俺は違和感を覚えた。
違和感の理由は依頼が依頼者個人でのものだったからだ。
過激派武装組織が壊滅すればその組織が根を張っていた国だけでなく、かの国と外交がある各国にも少なからぬ影響が出るだろう。
故にその影響を緩和する為に最低でも自国の政府閣僚へ根回しをしておく必要があるのだが……それをやるには依頼者では力不足だった。
特に日本は政党や派閥が多く意見調整だけでも時間が掛かるからな。
下手をすれば依頼者の政界での命運が尽きる案件なのだが……依頼者にそのデメリットを気にした様子はなかった。
そこで俺は依頼者の背後に何者かがいると予測した。
情報屋をやっている傭兵時代の仲間に依頼をして探ってもらうと、依頼者の背後にペンタゴンの関係者がいるのがわかった。
更に探ってもらうとそのペンタゴンの関係者は【バイオニック・ソルジャー計画】を推進している人物だと判明した。
バイオニック・ソルジャー計画…これは人工受精で造った子供を、科学的トレーニングとドーピングで最強の兵士へと育て上げる計画だ。
傭兵時代の仲間からの情報によればその計画は既に最終段階まで進んでいるらしく、後は造り上げた兵士の強さを証明するだけだったそうだ。
そしてその兵士の強さを証明する相手として俺を選ぶ可能性があると……。
あくまで可能性である内は見過ごしてもよかった。
甚だ迷惑な話だがな。
だがこうしてハッキリと敵対したからにはギルティだ。
虚偽依頼をした依頼者とペンタゴンの関係者の男へ報復をしなければならないが、先ずは俺の狙撃を回避したあの男を処理しなければならない。
(奴がドーピングに頼らずにコンディションを整えられるのならば少し面倒だが……。)
俺はコンディションを整える為に瞑想を始めながらそう考える。
そして地下道に潜ってから20日後、瞑想で心身共にベストコンディションに整えた俺は敵に仕掛けるのだった。
◆
Side:デューク・東郷
敵対した男の処理を済ませた俺はニューヨークのとある高級ホテルに部屋を取りコールガールを喚んだ。
まだ依頼者とペンタゴンの関係者への報復が残っているが、敵対した男の処理の為に作ったベストコンディションである今の状態では、不意に誰かが近付いた際に反射的に攻撃してしまう可能性が高い。
このベストコンディションは兵士としてのものであるので戦場では役に立つが、平和な日常には不適格な程に感覚が過敏になってしまっている。
故に早々に鎮める為にコールガールを喚んだのだが、ホテルの部屋にやって来たのはコールガールではなく【峰不二子】だった。
「はぁい、デューク♪」
気軽に挨拶をした不二子が部屋に入ってくる。
「悪いけど貴方が喚んだコールガールには帰ってもらったわよ。代わりに私が相手を……ね。」
そう言って服を脱いだ不二子が俺をバスルームへと誘う。
そして慣れた手付きで俺を洗い始めた。
数年前に依頼を受けて以来、彼女は時折こうして俺と身体を重ねたり情報収集等で俺の仕事をサポートしようとしてくる。
そういう時はもちろん報酬を払っているのだが、彼女が自らの意思で俺をサポートしようとするのは何故だ?
原作の彼女の性分を鑑みれば……いや、今更原作知識を当てにしても意味は無いな。
この世界は物語の中ではなく俺が生きていく現実なのだ。
そこを間違えると夢と現実の境界を見失い、末には無様な破滅が待っているだろう。
裏の世界で生きていく以上、何時かは破滅が訪れるだろうが……その時はせいぜい俺らしく終わりたいものだ。
そう考えていると不意に不二子が視界に入り、反射的に彼女を手刀で攻撃してしまう。
辛うじて寸止めする事は出来たが危うく彼女を殺すところだった。
「ふふ、コールガールを帰してよかったでしょう?並みの女じゃ今ので腰が抜けちゃって、するどころじゃなくなってしまっていたもの。」
そう言いながら彼女は艶やかに微笑み股間を撫で上げてくる。
「さぁ、始めましょう。貴方のその滾り……私が全部受け止めてあげるわ。」
そう言って彼女はその瑞々しい唇と共に豊満な胸も押し当ててきたのだった。
◆
Side:峰不二子
目を覚ますと隣にデュークの姿はなく、代わりに書き置きと共に100ドル札の帯封が3つ残されていた。
書き置きにはこのスイートルームを十日取ってあるから好きに使えと書かれている。
「もうっ!相変わらずなんだから!たまには私とゆっくりしてもいいじゃない!」
彼がいない事に不満を口にしながら書き置きを灰皿の上で燃やすとバスルームに向かう。
そして身体を洗い始めると思い浮かぶのは昨日の情事ではなく過去の事。
まだ鞍馬忍者の末裔だった頃の私。
人目を避ける様に鞍馬山の奥にあった里で私は生まれた。
物心ついた頃からくノ一になるべく養育されていた私だけど、世間を学ぶ為に小学校に通う様になってからは里の在り方に疑問を持つ様になった。
それも当然ね。
自分を出して人生を楽しんでいる皆と耐え忍んで自分を押し殺している私……疑問を持つなというのが無理な相談だもの。
それでも両親を始めとした里の皆が『かつて我等の先祖は九郎判官を~』なんて宣うから我慢をしていたけど、ついに我慢ならない事が起こった。
それは私が15歳になった頃、里長に彼の息子の相手を勤める様に言い渡された事。
くノ一である以上はそういう事も必要なんだと理解していたつもりだわ。
でも納得するかは別だった。
だって相手の里長の息子はどこが耐え忍んでいるのかわからない程に肥え太っていて、間違いなく忍び働きなんて出来ない豚だったんだもの。
そんな豚に初めてを捧げるなんて絶対にあり得ない。
だから私は床の間で下劣な笑いをしていた豚の股間を強かに蹴り上げると、豚が所持していた金品を盗んで里を抜け出した。
里を抜け出した私はとりあえず人目のあるところに向かおうとしたんだけど、そんな私の肩を掴む者が現れた。
追手がくるにしても早すぎると思いながらも私は肩を掴んできた者を攻撃する。
けどその攻撃は中断する事になった。
何故なら私の肩を掴んだのは私の父だったから。
私は父に何故私が里を抜けるのかわかったのかを問うと、父は『娘の事がわからず何が親か!』と返してきた。
見渡すと峰一族の皆が旅支度をしていた。
どうやら皆も里長の横暴に愛想が尽きたみたい。
私達は一族揃ってアメリカに渡った。
日本国内では里からの追手が尽きないと判断したから。
でも、その判断も甘いものだった。
私に拒まれて面子を潰された里長とその息子は、執拗に私達に追手を差し向けてきた。
追手との戦闘で一族の者が一人また一人と倒れていき、遂に私と両親も追手に追い詰められたその時…一人の男が現れた。
短い人生経験ながらそれまで出会った人達とは比べ物にならない存在感を発していた男は、ただそこに立っただけで私達や追手の耳目を集めてしまった。
数瞬の硬直の後に目撃者を消すべく追手の一人が男に仕掛けたのだけど、男は目にも止まらない拳銃の抜き打ちで追手の眉間を一発で撃ち抜いてしまった。
そこからは男の独擅場だった。
追手の一人があっさりと殺された事で残った追手の動きが一瞬止まると、男は一息で残り全員の眉間を撃ち抜いてしまったの。
追手を全て倒した男は拳銃のリロードをしながら……。
「……まだ生きる意思が残っているならついてこい。」
そう言って一人で歩き始めた。
私達三人は男についていくか戸惑った。
色々とあって疑心暗鬼になっていたから。
それでも辱めを受ける前に自決するか、犬死覚悟で里長と息子の首を狙って捕らわれの身となるかを迫られていた状態だった私達は、覚悟を決めて彼についていった。
彼に連れられてついた所は【クラブバー:ドッグタグ】という店だった。
彼は慣れた様子で店に入ると大柄な男と一言二言話をして店の奥へと歩いていった。
すると大柄な男は「うちの客は荒くれが多くてな。真っ当な従業員は直ぐに辞めちまう。だから荒事に慣れている従業員がちょうど欲しかったところだ。」って言って、私と同い年ぐらいの少女に後を任せて店の奥に行ってしまった。
急な話についていけず呆然とする私達に、私と同い年ぐらいの【レディ】と名乗った少女が声を上げた。
「ったく、【デューク】の旦那も【ファルケン】も勝手なもんだぜ。仕方ねぇ、そんじゃ適当になんか腹に入れるか。」
そう言ってレディは手早く作った料理を私達に出してくる。
おそるおそるとそれを口にすると、その暖かさに私達親子は涙を流した。
「おいおい大袈裟だろ。はぁ……デュークの旦那も面倒な奴等を連れてきたもんだ。」
言葉には少し棘があったけど彼女の雰囲気はとても優しいもので、私達親子は涙を流しながら食事を続けた。
食事が終わるとお腹が膨らんだからか心が落ち着き、私達親子はレディに自己紹介をした。
そして自己紹介が終わった後に、私は私達を助けてくれた男についてレディに聞いた。
「なんだ不二子、デュークの旦那の事が気になんのか?」
レディはあの男……【デューク・東郷】の事を教えてくれた。
曰く、傭兵団ゴルゴに所属していた一人で、裏の世界では【ゴルゴ13】の異名で呼ばれている男である。
曰く、傭兵団ゴルゴ解散後はフリーのスナイパーとして活動しており、その依頼成功率は99%に達する凄腕である。依頼の失敗もミスファイアによる一度だけ。
曰く、世界一の金持ちだったハワード・ロックウッドを殺し、ミステリーの女王を殺す為に軍の基地を壊滅させた……という噂がある。
他にも彼に関する話は色々あるらしいんだけど、レディは「あまり喋り過ぎるとヤバイからな。」と言って肩を竦めると話を打ち切った。
そしてちょうどその時、デューク・東郷が大柄な男と一緒に地下から上がってくるのを目にすると、私は土下座をして彼に依頼をした。
依頼内容は鞍馬山の里長とその息子の暗殺。
そして対価は……私の身体。
海外で一年に及ぶ逃亡生活を続けてきた私達に対価として差し出せるものなんて……もう命か体しか残っていない。
だからこそ私は自身の身体を対価として提示した。
けれど彼は……。
「……俺は複数の依頼を同時に受けない。」
と言って私に欠片も興味を示さずに去っていった。
彼に追い縋ろうとしたけどレディに止められ、去り行く彼の背中を見送るしかなかった。
崩れ落ちた私に聞かせる様にレディが話し始める。
「なぁ、【ファルケン】。旦那の今回の獲物はなんなんだ?」
「1キロ先のフットボールだ。」
「ひゅう、そいつはまたクレイジーだ。それで、終わったらどうするって?」
「一度戻ってくるそうだ。地下にいる【デイブ】に此処に来る前に使ったリボルバーの調整を頼むらしい。態々デイヴに頼むほどの消耗ではないんだろうが……まぁ、あいつらしい判断だな。」
そんな話を私に聞かせたレディはウインクをしてきた。
その後、ドッグタグに戻ってきた彼に改めて依頼をすると、私達親子は追手に脅えぬ日々を手に入れ……私は少女から女になった。
シャワーを止めた私は新しいバスローブを羽織って部屋に戻る。
「ふぅ、お腹が空いたわね。とりあえずルームサービスを取ろうかしら。」
私は峰不二子。
元鞍馬忍者のくノ一で、今はデューク・東郷のサポートをする者の一人。
情報収集だけじゃなくこうして彼と身体を重ねるのも恩返しの一つなのだけど……半分以上私情なのは乙女の秘密。
母さんとレディにはバレバレだけどね。
「それとファルケンに連絡を入れて休みを貰いましょ。彼の好意は素直に受けとらなくちゃね♪」
本日は2話投稿します。
第5話でお分かりいただけたと思いますが、不二子はゴルゴガール入りとなりました。
それと補足という名の蛇足をば…。
・峰那須人(みね なすと)
不二子の父。拙作オリキャラ。
元鞍馬忍者。
・峰鷹子(みね たかこ)
不二子の母。拙作オリキャラ。
元鞍馬忍者。
・ファルケン
ドイツ系アメリカ人。キャラモデルは海坊主。
ドイツ系である事に誇りを持っている為【ファルコン】というと怒る。
・レディ
中国系アメリカ人。キャラモデルは二丁拳銃。
完全にやさぐれる前にファルケンに拾われたのでキャラモデルよりもマイルドな性格。
・デイブ
30代前半でありながら世界で5本の指に入る若き天才ガンスミス。
いったい何マッカートニーなんだ…。
コナンの原作開始前にキャラ紹介を書く予定ですので詳しくはそちらで。
次の投稿は9:00の予定です。