口数が少ないのは元からです   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です。


第9話『お嬢様はGに興味津々』

Side:鈴木園子

 

 

少し前から親友の蘭の様子が変わった。

 

あれだけ工藤君にべったりだったのに、今では完全に異性としての興味が失くなったみたい。

 

工藤君には悪いけど安心したわ。

 

蘭が工藤君のせいで危ない事件に巻き込まれたら堪らないもの。

 

そういえば工藤君は少し前に学校で起きた事件を解決した後、先生達にこっぴどく怒られたみたいね。

 

事件を解決したのは凄いけど、そこに至るまでの過程が人騒がせ過ぎたものねぇ。

 

蘭の様子が違ったのもあって私も根回しをしなかったし、彼が怒られるのも当然よね。

 

実はこれまで彼が事件と聞いて暴走する度に、私が根回しをして大きな騒ぎにならない様に調整をしてきた。

 

とはいっても私が何かをしたのではなく、おじさまにお願いして動いて貰っただけなんだけどね。

 

これは工藤君の為じゃなくて、あくまでも巻き込まれた蘭まで怒られない様にする為だったわ。

 

けどそのせいで工藤君が持ち上げられる流れが出来ちゃったのよねぇ。

 

普通の子供には出来ない事…事件を解決してみせて、非常識な行動をしても大人に怒られず、その上でアイドル顔負けの顔立ちとくれば、皆もヒーロー扱いしちゃうのも当然かもしれないわね。

 

私は友人の一人として何度も彼に自重するように言ってるんだけど、彼は全く聞く耳を持たないわ。

 

でもこれは蘭も同じだったのよねぇ…。

 

どういった心境の変化があったのか気になったから蘭に直接聞いてみたんだけど、どうも一人の男性が関わっているみたい。

 

その男性の名前は…デューク・東郷。

 

聞き覚えのない名前に疑問が浮かんだけど、その疑問は後回しにした。

 

蘭をからかうのに忙しかったからね。

 

帰ってからおじさまにデューク・東郷って人を知っているか聞いてみたんだけど、その時のおじさまの顔はいつもの優しいものじゃなくて、鈴木財閥相談役としてのものになっていた。

 

かなり軽い気持ちで聞いたんだけど、デューク・東郷はおじさまの顔色を変える程の人物みたいね。

 

鈴木家の家訓…おじさまが家族に伝えている教訓に『自らが一流になる必要はない。だが一流を知る人間になれ』って言葉があるわ。

 

これはおじさまの持論の『世を創るのは一握りの天才だが、大事なのはその天才に活躍の場を与える事だ』って考えからきてる言葉。

 

まぁ要するに、人を観る目を持てって事ね。

 

そんな事を言うおじさまの人を観る目は間違いなく一流よ。

 

なにせ鈴木財閥を日本どころか世界でもトップクラスの財閥まで押し上げたんだから。

 

まぁ、鈴木財閥が日本トップクラスから世界トップクラスになれたのは、ハワード・ロックウッドって世界一の富豪が転けた時におじさまが動いたのが大きいらしいんだけどね。

 

それでおじさまが言うには、デューク・東郷って人はおじさまが知る限りで世界最高の男みたい。

 

ここまで言い切るおじさまは初めてだから驚いたわ。

 

それでデューク・東郷に興味を持ったんだけど、彼と会う機会は意外と早く訪れた。

 

ある日、蘭と一緒にポアロで軽食を食べてたら不意に彼と会えたの。

 

一目見て全身に鳥肌が立ったわ。

 

私も鈴木財閥の者として小さい頃から人を観る目を養ってきたつもりだけど、おじさまと比べればまだまだなのよね。

 

でも、彼はそんな私でも分かるくらい一流の…いえ、超一流の男だったわ。

 

高身長に服の上からでもわかる分厚い筋肉…アスリート?格闘家?違うわね。

 

彼を観察しながら記憶を探る。

 

たしか彼みたいな雰囲気の人に会った事がある気がするんだけど…。

 

あっ!思い出したわ!自衛隊の人よ!

 

それも普通の隊員じゃなくてレンジャーの人!

 

思い出してスッキリしたわ。

 

でもあのレンジャーの人とは目付きというか眼光が違うというか…。

 

そうだわ!おじさまの友達!大戦で従軍経験のある人と似てるのよ!

 

でもそうなるとこの人って…。

 

そこまで考えたところでデューク・東郷さんと目が合った。

 

彼の目はまるでこれ以上詮索するなって言っているような…。

 

「園子?」

「へっ?」

 

蘭に話し掛けられて我に還った。

 

「あっ、いやーなんでもないわ!あははは!」

 

うわー、久し振りにやっちゃったわ…。

 

こんなにあからさまに観てたらそりゃわかるわよね。

 

反省反省。

 

そこからは私も会話に入って彼の人柄を知っていった。

 

博識、冷静沈着、経験豊富と、20歳前後とは思えない程に出来た人だったわ。

 

いったいどんな人生を送ればこうなるのかしらね?

 

しばらく話をしていると不意に蘭が彼をプールに誘った。

 

驚いたわ。

 

蘭が工藤君以外の男を誘うなんて初めてだったんだもの。

 

でも彼は断りそうな雰囲気で口を開こうとしたわ。

 

そうしたら彼の両親が了承しちゃったのよね。

 

いきなりの展開に流石についていけなかったわ。

 

でもちょうどよかったかしら。

 

長期休みに遊びに行くのに保護者が必要だったし、なんか彼に俄然興味が沸いてきていたし。

 

話が終わってポアロを出ると、私は蘭と別れて迎えに来ていた車に乗り込む。

 

車に揺られて思い返すのは彼…デューク・東郷さんの事。

 

同年代の子供とは違う大人の男性。

 

一見で全身に鳥肌が立つ程の何かを秘めた男性。

 

ふふ…遊びに行く日が楽しみね。

 

蘭、今はまだ憧れとかが強いみたいだけど、もたもたしてたら誰かに取られちゃうわよ?

 

彼は工藤君以上に競争倍率高そうだもの。

 

他の人に取られるぐらいなら私が貰っちゃおうかしら?

 

友情と恋は別だし。

 

まぁ、私も今は恋というよりはあの人に興味津々って感じなんだけどね。

 

気分良く鼻歌を歌っているとあっという間に家に着いたのだった。




本日は2話投稿します。

次の投稿は9:00の予定です。
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