ムゲンソードアンドシールド   作:トサカヤキキ

3 / 15
ホープ
ヒバニー
lv6
特性:リベロ
性格:ようき
わざ:たいあたり
  ????

サッチムシ
lv4
特性:???
性格:???
わざ:むしのていこう


開会式

「サッチムシ!むしのていこう!」

 

サッチムシは目の前のホシガリスに対して周波を当てる。ホシガリスは目を回して倒れ込み、しばらくすると何処かに逃げていった。

2番道路、湖の映える美しい空間と、かつてのマグノリア博士の邸宅をはじめとした往来の住民の家があった。

現在のマグノリア博士の邸宅は彼女の意向で、ホップとソニアの第二の研究所として稼働している。

 

「よくやったぞ!サッチムシ」

 

その正面の草むらでホープはサッチムシを鍛えていた。

サッチムシは嬉しそうに頭を振りホープに感情を伝える。サッチムシを捕まえたことに関して、グローリアとの出会いも、何処か気恥ずかしくて言えなかった。ただ、経緯については先輩のトレーナーが親切に付き合ってくれたとだけ伝えた。

ねがいぼしについては言い訳することもできず、まどろみのもりに行ったことと、オリーブからねがいぼしをもらったことを正直に話すと、ホップから怒られたが、納得してもらい、アクセサリーにした。

義務教育を10歳で終える世界では、頭の回転も速くなると同時に感情の成熟も早い。特に、ジムチャレンジを終えると途中で諦めても経験を積み、すぐに研究者の卵となることもできる。ホップがその際たる例であり、漠然とした目に見える目標から自分の考えた目標になる人間も多い。

ホープも同じように、20年間無敗のチャンピオンというゲームのラスボスのような目標が見えているため、他の道が分からない少年にとってはそれしか見えなかった。

 

「そろそろ行くか」

 

開会式は朝方のため、前日からエンジンシティに泊まり込むのが、一般的なジムチャレンジャーの行動で、老舗のポケモンリーグ提携企業のスボミーインから無料で部屋が提供されている。

研究所に入り、両親に出発を伝える。当初は駅まで送ると言っていたが、駅よりも研究所の方が良いというホープの意思と伝説のポケモン故にあまり人前に出せないザマゼンタとの挨拶もかねてということでこちらと決まった。

 

「気をつけていってくるんだぞ」

「日差しが強いと目が焼けちゃうからこれを渡しとくね」

 

ホップから頭を強く撫でられ、ソニアからはソニアのものとよく似たサングラスを渡される。

ザマゼンタは、ホープの服を少し嗅ぎ、一鳴きして挨拶がわりとした。

 

「じゃあいってくる!」

 

ホープはソニアのように頭にサングラスをかけて、外に出る。近くの駅という、見慣れた風景だが、いつもよりも明るく見えた。

ホープを送り出したホップたちは昨日の出来事について、話し合っていた。

 

「オリーブさん、まだブラックナイトのことを、ローズ委員長を止められなかったことを悔やんでるのかしら」

 

ブラックナイト、人工的にローズが発生させたガラル地方のポケモンをダイマックスさせ、結果的に1000年後のエネルギー資源の枯渇を無くそうとしたものである。結局、その鍵を握るポケモンを現チャンピオンのユウリとホップたちが撃退し、ユウリが管理することで、再発の機会はなくなった。

 

「…ローズ委員長はガラルの未来のために今を犠牲にしようとした。それは変わらないし、変えられない。けど、あの注意喚起があったからこそ今があるんだ。彼女の中で踏ん切りをつけるのを待つしかない」

「そうね」

 

ブラックナイトの以後、主導していたローズの思惑について、様々なメディアが大々的に取り上げた。当初、日程がジムチャレンジの期間と被り、ジムを封鎖してジムリーダーたちが暴走するポケモンに対応しながら発生したエネルギーを活用するという目論見であったこと、ローズ委員長が先を見据えすぎて暴走した結果として処理された。無論その中の実行犯にはオリーブもいたとされたが、マクロコスモス自体がローズのワンマン経営とローズの根回しによって、世間にマクロコスモスとポケモンリーグの腐敗ではなく、ローズの狂気というだけで留まった。

しかし、それでもローズに心酔していたオリーブにとって、自分だけが日の光を浴びる生活は耐え難く、細身にもかかわらず炭鉱で無償の労働を行ったり、各方面への謝罪へ出向いたことは、関係者の記憶に新しい。

しかし、ヒトの技術の進化による資源の消費も同時に浮き彫りになり、ローズ委員長の1000年後の枯渇がこの消費を継続すればの考えで計算されていたことと発表され、再計算されるなど、エネルギー消費についても考えられるようになった。

その結果、無限の未来というスローガンを掲げたムゲン団が発足したという噂もある。

 

「さて、俺たちはホープに過干渉せず、研究するか」

「あら、干渉する暇もないわよ?」

「え、そんなの聞いてないぞ」

「言ってないもの、晴れやかな気持ちで送り出せてよかったでしょ」

「やっぱりソニアには敵わないぞ」

 

頭をかきながら白衣を整え、2人は研究所に戻る。ザマゼンタはエンジンシティとまどろみのもりの方向をそれぞれ見ると、一つ大きな遠吠えをして、研究所に戻った。

 

・エンジンシティ

 

翌日、気品と大きな歯車が目立つ街、エンジンシティはジムチャレンジの開会式の日とあり、非常に賑わっていた。ローズタワーにつぐ高さの時計塔が建設された以外には、街の様子は飲食店や建築物の一部が変わった以外で、大きな変化はない。物事の潮流が大量生産ではなく、今あるものをより美しく直すに変換したためだ。過去をもってして未来を切り開く。それが今のガラルの風潮であり、その象徴がこのエンジンシティだ。

 

「チャンピオン、そろそろ開会式です」

 

オリーブがエンジンシティのとある場所から景色を眺めるユウリに声をかける。炭鉱で奉仕活動している最中に出会った希望を持っていた頃の少女とは違い、今では何処か遠くを見ており、痛々しい。

それが年齢相応の見た目であればまだ救いはあったが、未だに少女の姿をしているのは、彼女が過去に囚われているように見えて悲惨であった。

 

「今行く」

 

かなり精神的なストレスが溜まっているのか、機械じみた単語選びに、かつてのローズが何故か重なった。行動や単語の裏に様々な思惑があり、その全てがいつでも実行できるというスイッチをなぞり続ける狂気である。

ローズにとって、1000年後のガラルのエネルギー枯渇が明日のことのように感じられたように、ユウリの過去の想起が早朝に起きたように踏ん切りがついていないのだ。

それでも優しい言葉をかければ何かが崩壊してしまうと察しているオリーブは、彼女に対してビジネスライクに徹した。

 

「チャンピオンらしい所作をなさってください。どこで誰が見ているかわかりませんので」

「ちょっとは息抜きさせてよぉ、オリーブさん。開会式の後も一番道路に行って自称ムゲン団こらしめなきゃならないのに」

 

その苦笑に、ローズが逮捕される直前に交わしたいつも通りのコミュニケーションを思い出し、眉毛が動く。

ユウリが退出し、1人部屋に残ったオリーブはデコをガラス窓に当てて項垂れる。

 

「オリーブ、本当にダメなこ」

 

ユウリは開会式の会場の控え室に立つ。かつてはローズ委員長が行っていた委員長による開会とジムリーダーたちの紹介、しかしブラックナイト以降、委員長に権力を渡しすぎたとして、現在の委員長にある権限の一部がガラルの英雄であるチャンピオン、ユウリに移動した。

そのため、チャンピオンに合わせた開会式が行われるようになったのだが、その影響により、民間のアナウンサーが紹介を務めることとなった。

壮年のアナウンサーの覇気を持った声と流れる軽快な音楽がユウリの心を刺激する。

 

「ポケットモンスターの世界へようこそ!皆様、大変お待たせいたしました!」

 

チャンピオンリーグに参加できる人間はかつてのブラックナイトの影響により、ジムチャレンジの推薦状を貰おうとする人間が極端に減り、ユウリがチャンピオンになった2年間はジムリーダーのみのチャンピオンリーグになった。

その影響で減った観客数とは違い、大きな歓声が控え室まで響いている。

 

「年に一度のガラル地方の祭典、ジムチャレンジが開催されます!」

 

そのマンネリに対抗する苦肉の策として、過去にジムバッジを8つ手に入れていればチャンピオンリーグに出場出来るというものとして、変則的な取り組みも行った。

その結果、ポケモンリーグは存続し、メディアのロトムカメラが特設された画面と、スタジアムに集まったチャレンジャーたちを映す。

 

「バッジを8個手に入れたすごいトレーナーがチャンピオンが鎮座する、チャンピオンカップに出場できます!」

 

そして現在、かつてのダンデ全盛期にも劣らない観客数とチャレンジャー数を確保し、元のルールに戻りつつある。

映写機により3Dのガラル地方の地図が空中に浮かぶ。

しかし、その弊害として、チャンピオンユウリの神格化により、ジムリーダーの実力順のジムチャレンジから、かつてチャンピオンが通った道乗り順のトライアスロン形式となったのだ。

 

「殿堂の道を辿り!ガラルのチャンピオンとなる希望の星たちに対するは!それを見定めるジムリーダーたちの登場です!」

 

それぞれのジムが配置されている場所が点灯し、まるで星座のようにガラルの地図を照らすとともにジムリーダーが入場する。

 

「ジャイアントファーマー!くさタイプの専門家 ヤロー!」

 

優しげな顔つきであるが歴年の日焼けと農作業により隆起した筋肉が強調された壮年の男性が大きく手を振る。

 

「アメイジングウェブ!みずタイプの女王 ルリナ!」

 

美しさに磨きがかかり、年齢が分からないほどのモデル体型の女性が髪をたなびかせる。

 

「燃え続ける炎!ほのおとともにある男カブ!」

 

年齢に対して一切の腰の曲がりなく行進する男

 

「ミステリアスボーイ!ゴーストタイプのオニオン!」

 

かつての弱々しさは無く、仮面の内から闘志の意思が見える青年

 

「ファンタスティック アクター!フェアリー使いのビート!」

 

自信満々でしなやかな動きを見せる青年

 

「ハードロック!岩タイプの使い手!マクワ!」

 

髭を蓄えた巨岩の如き男がスマートなアピールを行う。

 

「パンクアンドクール!あくタイプのヒロイン、マリィ」

 

髪を伸ばし、成長した女性が柔らかい表情を見せる。

 

「ドラゴンゲートキーパー!

トップジムリーダーキバナ!」

 

かつて自撮りをしていた人懐っこい男はその鳴りを潜め、鋭い瞳と闘志を放つ。

その様子を見て、ユウリは歳を重ねるごとにその口上に辟易していた。専門家、プロフェッショナル、女王、どれも聞こえはいいが、平均年齢が高くなった上に、顔ぶれに変化がない。若い芽が育たなくなった土壌で古い木が鎮座しているように見えて、気分が重くなった。

 

(ホップがチャンピオンなら…)

 

ありもしない空想が頭を過ぎる。若くして研究者の道を目指せたホップならばもっとうまい運営ができるかもしれない。

前チャンピオンの弟として兄を倒すというドラマがあったとしたらよりジムリーダーを目指す人間が増えたかもしれない。

ザマゼンタかバイウールーかどちらかのポーズをダンデのように作り、より多くの協賛企業をつないでいたかもしれない。

その度に、ファイナルトーナメントで自分に負けたホップが、チャンピオンへの道の未練を消したような顔を浮かべる様子が想起される。

 

「ウッ…」

 

口から酸っぱいものがこみ上げる。すぐさまヤドランを出し、自身にいやしのはどうを当てさせる。

 

「ヤドラン、ごめんね」

 

いやしのはどうのために呼び出されるヤドランに謝り、控え室から出る。

 

 

「そして、それらを待ち受けるのは無敗の女王!ユウリだーーーー!」

 

チャンピオンとして、ふさわしい表情を作り、控え室から会場へ出る。

会場にいるホープは歓声が一際大きく響くのがわかった。大歓声の中表れたチャンピオンの気迫は生で見ると凄まじいものであった。ホープには、まるでキョダイマックスしたポケモンが目の前にいるような感覚が押し寄せる。

異常に神格化された英雄とメディアが言っていたこともあったが、そんなことはないとホープは肌で感じる。目つきが違う。常に重圧を跳ね返したような背筋は、華奢であるにもかかわらず、剣と盾をあしらえたユニフォームに負けない生命力があった。マクロコスモスだけのスポンサーロゴの入った白いマントが神聖さを引き立たせた。

 

「あれが、チャンピオン」

 

開会式の熱とチャンピオンのオーラにホープはただ圧倒されることと、その情景が記憶に深く根付いた。開会式が終わると、チャレンジャーたちは特設された大型のアーマーガアタクシーに乗り、ハロンタウンに向かう。これは、エンジンシティからワイルドエリアを一望し、ガラル地方の広大さをチャレンジャーたちに見せるためでもあり、遊覧船のように空を飛ぶ中で、チャレンジャー同士の交流を図り、ジムチャレンジ後もコネクションを作らせるためだ。

 

ホープは未だに開会式の熱に浮かされていた。ポケモンの気迫はザマゼンタで知っている。しかし、ヒトがあれほどの気迫を出せるとは知らなかった。加えて、どこかで聞いたその声も合わせて呆然とするしかなかった。

 

 

・一番道路

 

 

ハロンタウンについたチャレンジャーたちは各々の方法でヤローのもとへ向かう。既にポケモンを持っているものは鍛えるために、親から借りたポケモンしか持っていないものは捕獲するために一番道路へ向かう。兎にも角にも一番道路なのだ。

一見、野生のポケモンを大量のトレーナーが襲うような図式になるが、実際はそうでは無く、大量に配置された協賛企業の従業員や、住民が気兼ねなくポケモンバトルするために野生のポケモンの乱獲は起こらず、むしろヤローでつまずくトレーナーを少なくするのが目的である。

ジムチャレンジ期間内に8つのバッジをゲットするためガラル地方を回ると言ってもアーマーガアタクシーはチャレンジャーは無料で使えるため、さして移動に制限はない。

事実、ホープの周りのトレーナーはロトム自転車で走ったり、ガラルポニータに乗って駆け抜けたり、アーマーガアタクシーを使っているものも見かける。

ホープは、昔ながらの徒歩で向かうことにした。しばらく歩くと、老人のショップがあり、繁盛している様子で、デリバードが目を回しながら商品を運んでいる。老人の言っていた孫は見当たらないが、その老人の息子夫婦らしき2人が溢れんばかりのジムチャレンジャー達のどうぐ購入を手伝っている。

ブラッシータウンの方が近くなった頃、1人の少女が黒い服の男女の前で泣いている。

 

「お願い!私のロトム返して!」

 

見ると開会式で見かけた1人であった。その前にいるものたちは黒いロング丈に手のようなものが何かを掴むマーク、ムゲン団のマークが書かれている。

 

「うるせえ!負けたんならピーピーいうな!」

「こっちもちゃんと10倍の金払うって言ってただろ!」

「何やってるんだお前ら!」

 

ホープが2人の前に駆け寄る。

 

「あんたには関係ないな!」

「俺たちは無限の未来を作るムゲン団、こいつ、ジムチャレンジする前に服買って金がないから、やさしーオレたちがムゲンのカネをあげようとバトルしてたわけ!」

「けど、ムゲンのカネをフツーのバトルで出せるほどお人好しじゃねーから負けたらもってるポケモン渡すって言ったわけ」

 

自身のポケモンを賭けの対象にすることはこの世界では褒められた行為ではない。しかし、コイキングを500円で売り捌くことが全く違法ではないという見解が出ており、双方が合意すればポケモンをポケモンバトルの報酬にすることも可能である。目の前の少女は、見るからに真新しい服を着ており、それを土ぼこりで汚している。ようは、初心者狩りにあっただけである。

 

「な!そんなこと言ったのか!」

「だって、お父さんのロトムなら負けないと思って…でも全然いうこと聞かなくて…」

 

だがポケモンにはそんなことは関係ない。気に入らない主人・力のない主人に従うような機械的なものではなく、主人と認めて初めて従うのがポケモンである。こうなれば、どちらが悪いとは言えない。相手を舐めて誘惑に負けた少女にも非があるし、明らかな初心者狩りにも非がある。

周りの誰もが助けなかったのは、少女が完全な被害者ではないからだ。

ホープは意を決して、2人組に向かう。

 

「…俺が負けたら10倍の金を出す!だから俺が勝ったら返してあげてくれ!」

「やさしー!でも10倍の金だせんのか?6000円だぞ!出せないハッタリに付き合うほど優しくないからな!」

「っ…」

 

ホープの手元には丁度お小遣いとしてもらった3000円しかない。しかし、ポケモンを賭けるのは、チャンピオンからもらったヒバニーとグローリアとの思い出もあるサッチムシというホープにとっては大きすぎるものであった。

 

「じゃあ私も混じっていいですか?」

 

不意に後ろから声をかけられる。それは一度あった女性、グローリアであった。

 

「グローリア?!なんでここに!」

「私はハロンタウン出身よ。一番道路にいてもおかしくないでしょ?」

「なんだ?知り合いか?」

「なんでもいーや!金出せるんならダブルバトルでもいいぜ!」

「ええ。お金はバトルで溜まってますから。ホープ、一緒に戦って?」

「え、ああ!いいぞ!その子のロトム返してもらう!」

 

4人がモンスターボールを構え、バトルが始まる。ムゲン団のしたっぱ達は女が頭の黄色く染まったガラルヤドン、男がタマタマを繰り出した。

 

「いけ!ヒバニー!」

「行って、アップリュー!」

 

グローリアは、カジッチュの進化系であるリンゴが変形して生まれたようなドラゴンを繰り出す。

 

「アップリュー!ヤドンにおどろかす!」

「ヒバニー!タマタマにひのこ!」

 

アップリューが目にも止まらぬスピードでヤドンの目の前に近づき大声で鳴く。ヤドンはその音の反響に目を回し、戦闘不能となる。ヒバニーは自身の発火性の高い毛皮を擦り、炎を生み出しタマタマに振りかける。くさタイプであるタマタマは殻が燃え、悶えながら戦闘不能になる。

 

「うっそだろおい」

「やさしくなーい」

 

ムゲン団のしたっぱたちは素早くボールにポケモンを回収すると、ばつが悪そうにロトムの入ったボールを少女に返し、ファイトマネーである600円をスマホロトムからホープたちに送金する。

 

「これでいいだろ」

「じゃ、そういうわけで!」

 

ムゲン団達はそれが終わるとヨロイジマの某ヤドンのような速さで高速で逃げ出す。

 

「あ、待て!」

「…」

 

ホープは追いかけようとするが、あまりにも早いため追いかけることはできず、グローリアはそのまま静観する。

少女はロトムをボールから取り出し、安堵したのか何度もごめんねと謝っている。そんな少女にグローリアは話しかける。

 

「…負けたらそんなことになると分かってたのに、何で勝負を受けたの…」

「だって…」

「まあまあまあ、グローリア、この子も反省してるんだしさ。取り返せたんだし良かったじゃん!」

「…そうね。取り返せば良いもんね」

 

ホープの言葉に少し反応し、小さくつぶやくと少女に言いすぎたと詫び、少女も気をつけると行ってロトムと一緒にかけていく。

 

「…ごめんなさい。彼女だって辛かったのに」

「いや、グローリアがポケモンを大事にしてるって伝わったぞ!」

 

落ち込むグローリアにホープは取り繕い、グローリアの反応を伺う。

 

「そう、嬉しい」

 

儚く笑うグローリアにホープはまた心臓が強く跳ねた気がした。

 

「な、なあ、グローリアはここから何処かに行くのか?」

「ちょっと駅…ブラッシータウンまで」

「じゃ、じゃあ一緒に行かないか?さっきみたいなのがいるかもしれないし」

 

グローリアは少し考えたのち、了承する。そこからホープはグローリアの歩幅に合わせて歩いていく。ブラッシータウンまでの道のりは、かつては獣道であったが、舗装され、ヒトの通る道は石畳、離れて草むらに入る方向にはきちんと立て札と柵が取り付けられており、以前よりも人と他の棲み分けがなされていた。

暫く歩いていると、ホープはグローリアの繰り出したアップリューについて、とあることを思い出す。

 

「な、なあ。グローリアのアップリューは、だ、誰かからもらったのか?」

「え?私が捕まえたポケモンだけど?」

「そ、そうか。なら、いいんだ」

 

アップリューの進化前であるカジッチュは異性に告白するとき渡すと恋が叶うという噂が父親の時代からあったという。いわゆる告白のサインであり、希少なドラゴンタイプで可愛らしい見た目のガジッチュを渡すという、相手のことを思っているという意思表示から尾鰭がつき、結果的に噂となっている。

グローリアは何かを察したように意地の悪そうな顔をしてグローリアはホープの顔を覗き込む。

 

「もしかしてカジッチュの恋の噂のこと?」

「い、いや!そんなことはないぞ!」

 

ホープは言われたことが的中したことに恥ずかしさのあまり手で顔を隠そうとする。丁度鼻から上が隠れるようになった時、腕の隙間から見えたグローリアの顔から生気が抜けたような気がした。

しかし、次の瞬間、素の表情に戻り明るくごめんと繰り返すグローリアにホープは安堵し、ブラッシータウンまでの道中を過ごした。




グローリア?
手持ち
アップリュー
lv??
特性??
性格??
わざ:おどろかす
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