「2度もぶった!親父にもぶたれたことないのに !!」
ホワイトベースの自分の部屋でアムロはブライトに二度も殴られた。
「それが甘ったれなんだ!殴られもせずに一人前になった奴がどこにいるものか」
大げさなポーズをとりながらブライトが叫ぶ。
「もうやらないからな。誰が二度とガンダムになんか乗ってやるもんか!」
「アムロ。今のままだったら貴様は虫けらだ」
「そんなにガンダムを動かしたいんだったら、あなた自身がやればいいんですよ 」
「何? できればやっている。貴様に言われるまでもなくな!」
「じゃあやれよ。あんたが乗ってみろ。ガンダムに乗ってみろ」
「何を言うか! ホワイトベースの指揮は誰がやるんだ 」
「リード中尉がいるじゃないですか」
ルナツーを出発したホワイトベースに護衛としてサラミスがつけられた。
そのサラミスの艦長がリード中尉だ。
大気圏突入時にカプセルで先導したが被弾して、現在はホワイトベースに乗っている。
「何を言うか!」
痛いところを突かれてブライトは焦っていた。
「あんたみたいな代理で艦長やってるやつと違って、リード中尉は正式なサラミスの艦長だ。
階級だってリード中尉の方が上でしょう。ホワイトベースの指揮はリード中尉にとってもらいましょう。
ブライトさんはガンダムに乗ってください」
「だが、シミュレーションも訓練もやってないし・・・」
「何を言ってるんですかプライドさん。僕だってシミュレーションなんてやってませんよ。
訓練だって受けてませんよ。サイド7でガンダムに乗る前はマニュアルを
パラパラと見たぐらいですよ」
「いやー、でもね、やっぱりちゃんと実績のある人が乗ったほうが
いいんじゃないかなとも思うんだよね。 アムロほどの才能があれば、
シャアだって越えられると俺は思ってたんだ 」
「今度はゴキゲンとりですか? 今更そんなもんが通用すると思いますか。
早くガンダムに乗ってくださいよ。できるならそうするって言ってたじゃないですか。
もしかしてビビってるんですか? 正規の軍人であるあなたがビビってるんですか?」
「分かったよ! のってやるよ! のればいいんだろう!」
やけくそでブライトが叫ぶ。
こうしてブライトはガンダムに乗ることになった。
「ブライトノア。ガンダムいきまーす」
着地でこけるガンダム。
「ぐはぁぁ! 発進時の G がこんなにすごいとは」
その衝撃で盾を落としてしまう。
「何やってんですか、プライドさん」
通信モニターの向こうでアムロが見下すような顔で発言する。
「どうしたっていうんだアムロ。調子が悪いのか」
ガンダムの動きのぎこちなさを見てリュウが心配する。
「現在ガンダムにはブライトさんが乗ってます。ガンキャノンとガンタンクは援護をお願いします」
セイラさんの通信が入る。
「けけけけけっ。 プライドさんがガンダムに乗ってるのかい。お手並み拝見としますか」
カイシデンが嬉しそうにケタケタと笑う。
「出てきたな白いモビルスーツ。ビービ隊はモビルスーツを攻撃しろ。私の部隊は木馬をやる」
ガルマザビ大佐が部下のドップ隊に指示を出す。
「狙っているのに当たらない。こんなに射撃が難しいとは」
ブライトは迫り来るドップをビームライフルで討ち落とそうとするが全く当たらない。
しかしトップからの攻撃はめちゃくちゃ当たりまくる。
「ブライトさん、ちゃんと回避行動を取ってください。まったく、それじゃあいい的ですよ」
「うるさいぞアムロ。こっちだって大変なんだ」
「戦闘中に横から口を出されるとイライラするでしょう。今まであなたがやってきたことだ。
自分がやられたらよくわかるでしょ」
戦闘中のホワイトベースから離れたところにいるガウ攻撃空母。
「しかし見事じゃないかガルマ大佐の攻撃は。親の七光りで大佐になっただけの人物ではないな」
ガルマに手を出すなと言われてガウで待機中のシャア少佐。
「少佐、我々は見ているだけでよろしいのでしょうか」
「どうしようか? ヘタに手を出してガルマの機嫌を損ねたくない。
だが・・・今回は白いモビルスーツの動きがいつもと違うな。
ガルマ大佐との通信回線を開いてくれ」
ガルマは絶好調だった。ビービ隊がモビルスーツ部隊に有効に戦闘をしていたし、
自身の部隊は木馬に着実にダメージを与えていた。
「このまま行けば木馬もモビルスーツも撃墜するのは時間の問題だ」
「ガルマちょっといいか」
「どうしたシャア」
「私もザクで出ようと思う」
「いやいや私だけで大丈夫だ。落としてみせる」
「もちろん今のままでも落とすことはできるだろう。
だが今回は白いモビルスーツの動きがあまりにも悪すぎる。
となれば撃破するだけではなく捕獲することも可能じゃないのか」
「確かにそうだな。あの戦艦もモビルスーツもジオンに比べたらはるかに高性能なものだ。
もし捕獲することができたらどれほど戦争を有利にできるか分からない 」
「そういうことだ。これはジオン十字勲章どころの話ではないぞ」
「よしわかったシャア。モビルスーツの相手を頼みたい」
「ガウからモビルスーツ出撃!3倍のスピードで迫ってきます!シャアです」
ホワイトベースのブリッジにオペレーターの声が響き渡る。
「シャアが出てきたのか。まずいぞアムロ。どうする」
リード中尉が不安そうに聞いてくる。
「シャアの相手は無理でしょう、僕が出るしかありませんね。
ブライトさんには十分反省してもらえたでしょう。
ホワイトベースにガンダムを帰還させるように言ってください」
満足げな顔でアムロはモビルスーツデッキに走っていく。
これでブライトが反省して偉そうな態度を改めてくれたら、これから先の戦闘が楽になる。
そう思って ブライトを出撃させたのだが、うまくいったようだ。
だが、ここから先はアムロの思い通りにはいかなかった。
「ブライトさん戻ってください。ホワイトベースに戻ってください。アムロと交代してください」
セイラがガンダムに呼びかける。
「ブライトさん、早くホワイトベースに戻れ。アムロじゃないと無理だ」
カイがイライラしながら叫ぶ。
ブライトもホワイトベースに戻りたいのだが、ドップの攻撃が激しくてとてもじゃないけど戻れない。
そうしてるうちにシャアが近づいてくる。
「うおぉぉぉぉ! 当たれぇぇ!」
ガンダムのビームライフルを連射するが、シャアのザクはそれを全てかわし突進してくる。
「やはり動きが全然違う。いつものパイロットではないのか。これなら捕獲するのも簡単だな」
ヒートホークでガンダムのビームライフルを切断する。
そしてガンダムがビームサーベルを抜く前に、両肩のサーベルの柄を破壊する。
「畜生」
ブライトはやけくそになり頭部バルカンを乱射するが、
かがみこんでいるザクには当たらない。そして弾切れ!
コックピットでブライトは悔し涙を流していた。
アムロほどに上手く戦えるとは元々思ってはいなかった。
しかしカイやリュウだってそれなりに戦えてはいたんだから、
自分もそれなりに戦えるはずだと思っていた。しかし何もできなかった 。
それどころか足手まといにさえなっていた。悔しい。悔しすぎる。
「うおぉぉぉぉぉ!」
「やらせんぞおぉぉぉぉ!」
ガンキャノンとガンタンクがシャアザクに集中砲火を浴びせる。
しかし赤い彗星には全く通用しなかった。
ドップ編隊の攻撃によりホワイトベースのエンジンはダメージを受け、高度が低下している。
「これ以上エンジンに被弾したら墜落しますよ」
「モビルスーツはどうなってる? ホワイトベースの援護にはこれないのか?」
「無理です。シャアと対戦中です」
「ガンキャノン、ガンタンクともに弾切れです」
「シャアのザクがホワイトベースに向かってきます」
ホワイトベースのブリッジはパニック状態。
「こうなったらしょうがない。降伏しよう」
リード中尉の降伏提案にクルーたちは無言でうなだれた。
みんな解っているのだ。もう負けだ。
後は玉砕か降伏しかないのだ。
「軍人だけなら玉砕でもいい。しかし避難民もいるし、大半の乗組員は民間人だろう。
降伏が一番だとおもう」
リード中尉の言葉に全員がうなずいた瞬間、モビルスーツデッキのアムロが割り込む。
「まってください。最後にやらせてください。うまくいけば追い払えるかも」
アムロはコアファイターで発進した。