カリフォルニアロール。カレーライスの軍艦巻き。
一年戦争が終了した後、ホワイトベースの料理長タムラがオープンさせた、寿司屋はそんなメニューが並んでいる。
そこで働くことにしたハヤトコバヤシは不満だらけだった。
宇宙世紀80年ともなれば純粋な種族など残ってはいない。
アムロやタムラ料理長は日系人ではあるが混血がかなり進んでいる。
ハヤトコバヤシは宇宙世紀では珍しい純粋たる日本人であった。
それに誇りもあり、パチモンみたいな寿司は大嫌いだった。
しかし食べていくためにはしょうがない。
我慢して働いていたが、麻婆豆腐の軍艦巻きが登場した時には呆れ果てて、やめることを決意した。
宇宙世紀0083。それなりに蓄えもできて、18歳になったハヤトコバヤシは独立することにした。
本格的な魚の切り身を乗せた握り寿司店をオープンさせたが、客足は鈍く、半年で閉店した。
純粋なスシなど誰も求めていないのだ。
「この店、カリフォルニアロールないの」
何度そんな言葉を投げかけられただろう。そのたんびにハヤトコバヤシの心は荒んでいった。
自分の店をオープンさせる時に、フラウボウがついてきてくれなかったことにショックだった。
結果としてはその選択は大正解だったわけだが。
店がうまくいけばプロポーズして結婚する予定だった。
何もかもが台無しだ。
いつしか戦争さえなければ。
そんなふうに思うようになり、みんなの前から姿を消した。
その場しのぎの底辺の仕事を転々として裏社会に片足を突っ込んだりもした。
そんな彼に声をかけてきたのは秘密組織ティターンズだった。
地球生まれの人間のみを集めた、地球史上主義者のテロ集団だ。
別に彼らの主張に何の正当性も感じなかったが、ただ社会に不平不満を持っている連中との付き合いは心地よかった。
宇宙世紀0087。1月1日。
ハヤトコバヤシはサイド3ズムシティの近くでダミー岩石の中に身を隠したモビルスーツに搭乗していた。
ハヤト以外にも他のデブリに10機のモビルスーツが隠れている。
1機をのぞいてすべてジムカスタム。
今となっては旧世代の遺物だ。
しかしたった1機は、最新鋭のガンダムタイプ。
ズムシティーの前ではドズル大将麾下の アステロイドベルト遠征軍、百数十隻の船が並んでいた。
新皇帝となったギレンザビの遠征開始命令を待っているのだ。
ハヤトコバヤシ達の狙いは第一目標、ズムシティーの皇帝ギレンザビ。
第2目標は艦隊の中央に位置する遠征軍総大将ドズルと艦隊。
第3目標は艦隊の最後尾に位置する隠居したデギンとガルマザビ准将。
最も第1目標を達成できるかどうかでさえ危うい。自分が生き残る確率はゼロであろう。
あと少しで自分が死ぬ。そういう時には過去を思い出してしまう。
ホワイトベースに乗った時、アムロたちに置いて行かれた時、色んな事を思い出した。
そして隊長機のジャマイカンのジムカスタムから突撃の号令。
ハヤトコバヤシは躊躇うことなく、ダミーの中から飛び出した。
ドズル艦隊左翼とズムシティの間でダミーから飛び出したテロ部隊。
ズムシティめがけて突っ込んでいく。
コロニーの前にはギレン親衛隊のグワジンが三隻。
次々とモビルスーツを発進させる。
現在の主力モビルスーツはエースパイロットにリックディアス、一般兵にはハイザック。
いずれもジオン系と連邦系の技術を合わせた高性能機。
ジムカスタムでは歯が立たないため、テロ部隊は撃破よりも時間稼ぎに全力を注いだ。
作戦の成功いかんは核バズーカ搭載型ガンダム、サイサリスにかかっている。
次々と撃ち落とされる仲間のジムを一切気にすることなく、ジェリドメサはサイサリスを突貫させる。
「なんだあのバカでかいモビルアーマーは!」
巨大な緑色のモビルアーマーがサイサリスにせまってくる。
本当であればグワジンをこえたところでバズーカを打ちたかったのだが、巨大モビルアーマーが迫っているため、早めにズムシティーにむけてバズーカを発射した。
ただのバズーカ一発だと思ったのだろう、モビルアーマーもモビルスーツもグワジンも気にも留めなかった。
ズムシティのコロニーには飛来する岩石やスペースデブリなどを撃ち落とすための迎撃システムがある。
バズーカ1発など誰も気にも留めない。
じっさいに迎撃システムが作動してバズーカ弾を撃ち落とす。
だが、巨大な核爆発がズムシティを吹き飛ばした。
サイサリスのバズーカは核弾頭だったのだ!
皇帝ギレンを始めコロニー内で生存者は0!
コロニー前面に展開していたグワジン二隻が巻き込まれて爆発。
腰に備え付けていた二発目の核弾頭をバズーカにセットしドズル艦隊に向かうジェリドメサ。
艦隊からは次々とモビルスーツが出撃していた。
できるだけ中央にいる総大将ドズルザビを巻き込む形で核爆発を起こしたいが、無理そうだった。
リックディアスのビームライフルが直撃する寸前、ジェリドメサは核バズーカを発射した。
ドズルの元には届かなかったが、核爆発は艦隊の左翼を薙ぎ払う。艦隊の1/3が消滅した。
あまりにも近くで爆発したためジェリドメサのサイサリスも巻き込まれた。
「ジオンのクソ野郎にデカいの喰らわせてやったぜ! 青き清浄なる水の星のために!」
ティターンズのスローガンを叫び、満足してジェリドメサは死んでいった。
テロ部隊の最後の一機、ハヤトコバヤシの乗るジムカスタムが撃破されても、戦いは終わらなかった。
ギレン親衛隊の巨大モビルアーマー、ノイエジールのコクピット内で、ニュータイプ、シャリアブルは皇帝暗殺事件の黒幕を感じ取っていた。
フラナガン機関とは別のニュータイプ研究所によって強化されたシャリアブルの洞察力は、噂ではアムロレイを超えていると言われている。
その能力で事件の黒幕がキシリアザビだと分かったのだ。
「皇帝陛下の仇討ちである。黒幕はキシリアザビ!成敗する」
通信装置に叫びながらキシリアザビのグワジンめがけて突き進む。
ドズル配下の戦艦とモビルスーツは、あまりの事態にノイエジールに攻撃することができなかった。
アステロイドベルト遠征に参加しないため、最後列に位置していたキシリアザビ。
「ノイエジール?どういうことだ?」
「ニュータイプの勘だと思われます」隣のグワジンを指揮するシャアとの通信。
「落とせるかシャア大佐」
「たかが一機のモビルアーマー。大したことありません」
「そうか頼んだぞ。一応念のためにうちの船からもモビルスーツを出す」
即位式と遠征の出陣式にキシリアザビは二隻のグワジンしか連れてきていない。
一隻は自分の乗るグワジン、黒い三連星やジョニーライデンが乗っている。
もう一隻はシャアアズナブルの指揮するグワジン、アムロレイやララァスンが乗っている。
こちらはアステロイドベルト遠征に参加の艦だ。
ガルマザビが6隻のグワジンを連れてきていることを考えると2隻は少ない。
これはギレンザビを警戒させないためである。
ドズルから戦闘を止めるように通信が入ってきたが怒鳴り返す。
「仕掛けているのは向こうの方だ。向こうに止めさせろ!」
最初にノイエジールに攻撃を仕掛けたのはララァスン中尉のガンダム、フルバーニアン率いるリックディアス6機の部隊。
これは最初は互角の戦いだったが、すぐに均衡は崩れた。
シャリアブルの呼びかけで核爆発から残ったギレン親衛隊グワジン、最後の一隻のモビルスーツ部隊が参戦したのだ。
リックディアス2機、ハイザック7機。
モビルスーツデッキでは、さらに2機の新型モビルスーツが発進準備に入っていた。
「そらが・・・宇宙がおちて・・・」
「ロザミー、大丈夫」
「大丈夫なものか!この不愉快さ」
「それはキシリアから来るものだ。シャリアブル大尉が言っている」
「なら、アレを落とす」
「そうだロザミー 。良い子だ」
研究者に言われ発進するロザミアバダム少尉。
「フォウ、あなたもいきなさい。記憶を取り戻したいのでしょう」
「わかった」
こちらも研究者に言われて発進するフォウムラサメ少尉。
モビルスーツデッキに艦長から通信が入る。
「強化人間は使い物になるのか?」
「パイロットも機体もテスト中ですから分かりません。でも出すしかないんでしょう」
ジョニーライデンと黒い三連星のリックディアスが混戦に飛び込んでいく。
キシリアのグワジンで他のモビルスーツ10機は防衛のため艦の前で待機。
最後に参戦しようとしたのはアムロレイの超巨大ガンダム、デンドロビウム。
年末休暇の前にはアムロレイがデンドロビウムのパイロットになることは知らされていた。
一年戦争の時なら、自分の新しい機体に少しでも早く習熟しようとしていただろう。
しかしアステロイドベルト、片道1年以上の先にいる敵と戦うと思っていたアムロは対応が遅れた。
今回の出陣式によるゴタゴタだって、アムロレイは昨日の夜に聞かされたのである。
「ティターンズがテロを起こそうとしている情報をキャッチしたので、それを見逃しギレンザビを殺害してもらおうということですか」
昨夜アムロはキシリアに確認した。
キシリア本人、アムロ、シャア、ララァ、黒い三連星がいた。
「そういうことだ。ここにいるもの以外で知っているのは、グラナダの留守を任せているマクベ。モビルスーツを提供してもらっているアナハイムのトップ。そしてデギン前皇帝。ギレンさえ討てば後は前皇帝陛下が収めてくださる」
「そんなに上手くいくもんでしょうか」
「私の後をガルマに譲ると言ったら認めてくれたよ。父上が ドズルもガルマも抑えてくれるだろう。もしも無理なら分割統治で妥協するてもある。どう転んでも今のギレン独裁よりはましだ」
戦場では予測しないことが起こるとは言え、こんなことになるとはアムロレイには想像もつかなかった。
ノイエジールは相当手強いと思う。
あの混乱の中で黒幕がキシリアザビだと気付いたのは、相当なニュータイプ能力の持ち主だとみた。
さらに具合の悪いことにアムロの調子は万全ではなかった。
成長しすぎたニュータイプ能力はテロ部隊の最後のジムカスタムが爆発した時、パイロットがハヤトコバヤシだということに気づかせた。
『アムロ、すまない。俺はバカだったよ』
宇宙を半透明の裸で漂うハヤトがアムロに話しかける。
「本当に馬鹿さ。バカだよハヤト。フラウボウに何て言えばいいんだ」
『フラウボウのこと頼んだぞ』
「勝手なこと言うなよ」
『そうだよな。 勝手なこと言ってごめん。でもホワイトベースでもアムロレイに任せておけば大丈夫ってみんな思ってたのさ』
「大丈夫なもんか」
アムロは涙を流した。薄れてゆく声でハヤトは言った。
『前に言ったことを覚えているな。シャアアズナブルには気をつけろ』
そしてハヤトは消えていった。
デンドロビウムは中心にステイメンと呼ばれるモビルスーツが配置されている。
それにオーキスと呼ばれる武装システムが付け加えられた、複雑な火器管制システムを搭載した、モビルスーツとモビルアーマーの合体的マシンである。
そのため準備に手間取り発進が遅れた。
「アムロはノイエジールをやってくれ。他はこちらで引き受ける」
発進してすぐシャアアズナブルの指示に従い ノイエジールに仕掛ける。
「アムロてめえ、デカくて目立つやつを横取りしようってのか?」
黒い三連星が絡んでくるが、
「モビルスーツの指揮はシャア大佐に任せてある。従え!」
キシリアザビの通信により悔しそうな表情を浮かべながらも我慢する三連星。
巨大兵器同士決着をつけるべきと思ったのかノイエジールもデンドロビウムに攻撃を仕掛けてくる。
アムロレイは、自分に注意を向けさせ徐々に混戦状態からノイエジールを引き剥がす。
「大佐。エルメスのビットと同じサイコミュ兵器です」
ギレン親衛隊の白いモビルスーツが、背中からビットらしきものを展開してるのをみて、驚くララァ。
「厄介だな。 しかも2体もいる。ララァ、1体を引き受けてもらえるか。もう1体は私がやる」
「危険です大佐」
「しかしやるしかないだろう。イチカバチカ接近戦を仕掛けるしかない」
エルメスのビットみたいな多数の無線ビーム砲を相手にする場合、一つ一つ撃ち落としていくか、接近して相手の本体に近づくことでオールレンジ攻撃を打ちにくくさせる。それぐらいしか対処方法はない。
「おい!ジョニーライデンがやられたぞ」
「シャアアズナブル何とかしろ」
「あっちこっちから打ってくるぞ」
黒い三連星が喚き散らす。
「とにかくやるしかない。私とララァ中尉が接近戦を仕掛ける。黒い三連星と他のモビルスーツはビットを攻撃しろ。敵の他のモビルスーツにも注意しろよ」
ララァスンのフルバーニアンは武装はビームライフルとビームサーベル、バルカンとオーソドックスだが、機動力は半端ない。その機動力を活かしてキュベレイにまとわりつくことができた。
しかしシャアアズナブルのリックディアスでは苦戦した。
モビルスーツ部隊の苦戦を知ったアムロレイは、早めに仕掛けることにした。
それまで射撃と回避しかしてこなかったノイエジールとデンドロビウム。
アムロはメガビームを一発打ち、回避したノイエジールにマイクロミサイル108発をばらまく。
標準サイズのモビルスーツに乗っていたらシャリアブルは余裕でかわしただろう。
しかし巨大モビルアーマーでは全部はかわせず、いくらかをもらってしまう。
マイクロミサイルではそこまでのダメージにはならないのだが、その隙にデンドロビウムが直進する。
『なんだこれは。スキだらけ。あたりに来てるようなものじゃないか』
シャリアブルは不思議に思った。撃墜王アムロレイにしてはあまりにも無雑作に過ぎる。
メガ粒子砲をデンドロビウムめがけて打ち込む。
メガ粒子砲が向かってくるのを気にも留めずに直進するアムロレイ。
ビームが当たる直前、アイフィールド装置が作動しバリアーによってビームを消滅させる。
大型ビームサーベルを引き抜き切りつける。
かわして距離を取るノイエジールに対して回避できないタイミングでメガビームを打ち込むが、これも I フィールドバリアーに弾かれる。
お互いに アイフィールドバリアを確認したニュータイプ2人は、このままでは戦いが長引くことを悟った。
評価感想ありがとうございます
0083の機体は0086完成なので基本スペックが
向上してるという設定です
鋼龍さん、鮃鯛※JVA風烏賊(偽)さん、ザキトシさん
誤字脱字報告ありがとうございます。