ブチギレ戦士アムロ   作:金光初

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第16話

 ジュピトリスに真っ先に近づいたのはグレミートトの部隊だった。グワジン級1隻。

 

 キュベレイ3機。リックディアス10機。

 

「ここで反転して待機。ソロモンやグラナダの部隊が追いつくのを待って、攻撃をしかける」

 

「グレミー総帥。ジュピトリスに接触するのは後でよろしいのでしょうか」

 グレミートトが総帥になった後に、副官となったオウギュストギダンがきく。

 

「後でよい。こちらの強さを見せつければ、ジュピトリスも喜んで従うようになるだろう」

 

「そうですか。しかし、ソロモンとグラナダの部隊に挟撃されたら最悪・・・」

 

「最悪を想定するのは良いことだが、それでも我々の勝ちさ」

 

「グラナダからはニュータイプもありえます」

 

「それでも勝つ」

 自信満々のグレミートトにたいして、オウギュストギダンは少々心配になってきた。

 

 キュベレイの強さは知っているが、グワジン1隻は少なすぎるのでは?

 

 せめてグワジン2隻の戦力は必要だったのでは。

 

 ギレンザビの息子だというが、去年まで17歳のグレミートトなど大部分の人間は存在すらしらなかったのだ。

 

 トト家、マツナガ家、サハリン家などジオンでは名門とされる家系は知られている。

 

 しかし家の名前を知ってるだけである。

 

 パイロットとしてしられたシンマツナガや、少将としてしられたギニアスサハリンと違って、グレミートトの実績は皆無だった。

 

 後々、極秘のニュータイプ部隊を任されていたと、メディアを通じて広く宣伝された。

 

『いくぶん功をあせっているのだろう』

 

 グワジン1隻でソロモンとグラナダの部隊を制し、ジュピトリスを味方につける。

 

 そうすればアバオアクー全ての将兵がグレミートトを認めるだろう。

 

 結局、軍人は戦いで自らの能力を証明するしかないのだ。

 

 ガルマザビも武功をたてるまでは、親の七光りなどといわれていたものだ。

 

 約30分後、ソロモン方面からのグワジン級3隻、グラナダ方面からのグワジン級1隻、接近との報告がはいった。

 

『まいったな。グワジン4隻か』

 オウギュストギダンは苦い顔をしたが、グレミートトは喜びの笑顔だった。

 

 

 

 

 

 グレミーと接触する15分前、ドズルとマクベはレーザー回線で通信した。 

 

「キャスバル総帥からジオン帝国軍とは戦うなと言われております」

 

「こちらもデギン陛下からネオジオンとは戦うなと言われておる。そちらはニュータイプと戦う策はあるのか」

 

「いえ、ありません。こちらは無理にジュピトリスに接触する気はないのです」

 

「アムロレイも連れてこないとは。赤い彗星のやつめ、何か企んでおるな。だが、まあいい。同盟がどうなるかはわからんが、今回は共闘と行こう」

 

「キュベレイに勝つ自信があるのですか? 最低でも一機は絶対に出てきますよ」

 

「ランバラルが、やるそうだ」

 

 ドズルザビは作戦を説明した。

 

 マクベは北宋の壺を眺めながら聞いていたが、聞き終わると、

「それは面白い。やってみましょう。それから戦闘が終わった後は、ジュピトリスとの交渉はお互いに行うということでよろしいでしょうか」

 

「かまわん。 互いに条件を伝えて、ジュピトリスの方で選んでもらえばいいだろう。うらみっこなしでな」

 

 

 

 

 

 グレミートトから見ると、前方から3隻のソロモンからのグワジンが近づいてくる。右側面からグラナダのグワジン1隻。

 

「私もモビルスーツで出ます」

 

 オウギュストギダンの言葉を即座に認める。

 

「ラカンダカランとリックディアス隊を分割して指揮してくれ」

 

 リックディアス隊の指揮は普段はラカンダカランであるが、二つに分けるなら自分が出るべきだとオウギュストギダンは思った。

 

「キュベレイ発進させろ!指揮はシャリアブルに任せる」

 

「フォウムラサメの調子が悪いようです。頭痛薬を飲ませてから出撃させます」

 通信モニターから、フォウムラサメを担当するナミカーコーネルの甲高い声が聞こえてくる。

 

「かまわん。できるだけ急いでくれ」

 

『強化人間は強力だが不安定なのが欠点だな』

 

 ニュータイプに匹敵するパイロットを生産できる強化人間だが、安定性に欠ける。

 

 そのためシャリアブルは、ロザミアバダムやフォウムラサメ並みに徹底的に強化はしていない。

 

 軽度の強化のためシャリアブルが一番安定していた。

 

「ロザミアバダムはどうか?」

 

「刷り込みが上手くいっているようです。問題ありません」

 

 ロザミアバダム担当のローレンナカモトが誇らしげに言う。

 

 アバオアクーのニュータイプ研究所はムラサメ研究所と言われ、ムラサメ博士が指揮をとっている。

 

 ナミカーコーネルとローレンナカモトはムラサメ博士の後継の地位をめぐっている。

 

 そのことが良い方向に作用し、ムラサメ研究所の成果は格段に上がっている。

 

 ロザミアバダムにはゲーツキャパを兄だと思い込ませる実験をしているのだ。

 

 この実験をしてからロザミアは格段に安定性が増していた。

 

 フォウムラサメにも、これをやりたいところだが記憶のない彼女には無理。

 

 

 

 

 

 ドズルの艦隊は36機のリックディアスを出撃させた。 これは全てのモビルスーツである。

 

 真ん中に位置するドズルのグワジンからはロンメル隊。

 

 左に位置するグワジンからはシーマガラハウ隊。

 

 右に位置するグワジンからはランバラル隊。

 

 モビルスーツだけでなく、岩石も排出していく。

 

 ロンメル隊は艦隊の前面で護衛。

 

 シーマガラハウ隊とランバラル隊は、二手に分かれて岩石とともに敵のグワジンに近づいていく。

 

 

「岩石をまいての戦いか。考えたものだ。たぶんダミーも混ぜてあるぞ。リックディアスは問題ないが、キュベレイのファンネルは?」ラカンが喋る。

 

「大丈夫だ。普段よりは操作しづらくなるが、それはどのモビルスーツも同じであろう」シャリアブル。

 

「艦隊は近づいて来ないな。3隻の数の利をいかしてくると思ったが」オウギュストギダン。

 

「モビルスーツで決着をつけるということか。だがやはり、グラナダからのグワジンが気になるな。あちらは岩石を撒き散らしてこないから、私一人で仕掛けてみる。ただし、アムロレイの部隊が出てきたら、一人では厳しい」シャリアブル。

 

「リックディアスを三つに分けよう。ラカン少佐が3機とフォウムラサメで右からの敵に当たってくれ。私と3機、ロザミアバダムで左からの敵に当たる。シャリアブル少佐はグラナダからのグワジンを頼む。残りリックディアス4機は、ここで待機。グラナダからのグワジンの出方しだいで臨機応変に対応する」

 階級が一番上のオウギュストギダン大佐が結論をだす。

「グレミー総帥もよろしいでしょうか?」

 

「任せる。待機してるリックディアスには、こちらから指示を出す。後方からのほうが全体を見渡せるからな」

 

 

 

 

 キュベレイが1機、近づいてくるのを見てマクベはモビルスーツ隊を発進させた。

 

 12機のリックディアス。

 

「敵を倒す必要はない。時間稼ぎをすればいいだけだ。全てはランバラルに任せろ」

 

 12機のリックディアスから何のプレッシャーも感じないシャリアブルはグレミーに通信を送った。

 

「敵にニュータイプはいません。待機させてるリックディアスは岩石地帯に送ってください」

 

「大丈夫か? あの黒いリックディアスは三連星ではないのか」

 

「大丈夫です。遮蔽物のない空間では少数の味方は邪魔なだけです。数が違いすぎるため防戦になりますが、問題ありません」

 

「分かった。岩石地帯を攻略したら、すぐに援軍を送る」

 

 

 

 ラカンダカラン隊はシーマガラハウ隊に対して、優勢に戦いを進めていた。

 

「岩石地帯を作っておきながら、こうも消極的に戦うとは、本命はやはりグラナダからのほうか」

 

 こちらを倒す気がなく、岩石に隠れて時間稼ぎばかりをしてくる敵に苛立っていた。

 

 逃げ回り、隠れ回る敵を撃破するのは、岩石地帯では困難なのだ。

 

 フォウムラサメのキュベレイもファンネルを有効活用できていない。

 

「大丈夫か、フォウムラサメ中尉」

 

「岩石が邪魔で」

 

「焦ることはない。こちらが優勢なのは間違いないのだから」

 

 もしもニュータイプがグラナダから来ているなら、一刻でも早くシャリアブルの援護に行きたいのだが、だからといってここでフォウムラサメを焦らせてもしょうがない。

 

 ラカンみずから、ようやく1機撃破したところで、 待機させていたリックディアス2機がやってきた。

 

「マシュマーセロです。グラナダからのモビルスーツは黒い三連星を含む12機のリックディアスでした。シャリアブル少佐は1機で抑えるそうです。残り2機はオウギュストギダン大佐のほうにいきました。岩石地帯のモビルスーツを殲滅したら、深追いせずにシャリアブル少佐の援護に行けとグレミー総帥がおっしゃってました」

 

「うむ。わかった」

『グラナダからが本命ではない? そしてここも本命ではない。ならばオウギュストギダンのほうが本命か! しかしどうやってキュベレイを倒す』

 疑問を感じながらも全力でシーマガラハウ隊を攻撃するラカンダカランであった。

 

 

 

 

 ランバラル隊のグワジンでは、青いリックディアスを含むリックディアス全機が出撃した後。

 

 岩石を撒き散らし。その後に、

「ハモン、いってくる 」

 

「戦果を期待しています」

 

「ハハハハハ、焦るなよハモン。ヴァルヴァロ発進する!」

 自身の愛機である青いカラーリングのリックディアスではなく、モビルアーマーでランバラルは出撃した。

 

 散らばる岩石に紛れていたためグレミー側は、これを見落とした。

 

 

 

 

 

 

 ズムシティーの戦いで猛威を振るったニュータイプ専用機キュベレイ。

 

 ろくに新型モビルスーツ開発ラインを持たないソロモン陣営。

 

 数で押すしかない。

 

 それぐらいしか思いつかなかったものが大半であったが、ランバラルは自信を持って倒せると断言した。

 

 一年戦争が終わった後、ギレン総帥の命令でニュータイプ専用機とモビルアーマーの開発は終了となった。

 

 もちろんそれは建前で、裏で極秘に開発を続けキュベレイやノイエジールを完成させたのだが、表向きは開発は凍結となっている。 

 

 表向きに一番最後に作られたモビルアーマーはビグロの進化系であるヴァルヴァロ。

 

 そのヴァルヴァロを改良したヴァルヴァロ改をランバラル少佐は求めた。

 

「本当にそれだけでいいのか?」

 

「大丈夫です、ドズル閣下」

 

「それだけで、キュベレイに勝てるのか」

 

「ゲリラ屋にはゲリラ屋の戦い方があります」

 

 ジュピトリスとの交渉には当然グレミー陣営もネオジオンも出てくる。

 

 戦闘の可能性もある。

 

 重要なことのためソロモンからドズル自らでる。

 

 護衛はソロモン最強部隊ランバラル隊を含むグワジン3隻。

 

 ドズルザビ自ら出撃することを、マハラジャカーンなどは止めた。

 

 しかしランバラルを信じてドズルは出陣。

 

『地球連邦の戦いの時だって、最初は誰もが勝てるわけないと思ったものだ』

 

 正攻法では勝ち目がないかもしれないが、奇襲なら十分に勝利は可能だと思った。

 

 

 

 

 

「青いリックディアス! ランバラルの部隊か」

 

岩石地帯でランバラル隊と交戦したオウギュストギダンは手強いと思った。

 

 連携がよくとれていて、個々の力ではなくチームとしての強さでは負けていると思った。もちろん数でも負けている。

 

『キュベレイのファンネルが有効に使えれば、こちらが全然有利なのだがな。ならば指揮官を狙うか』

 

 青いリックディアスを追いかけるオウギュストギダンだったが、キュベレイの方で照明弾が上がるの確認した。

 

 リックディアスの指の根元にはトリモチ、照明弾、信号弾、消火剤などがしこまれている。それを敵が打ち込んだみたいだ。

 

 離れた距離から照明弾を見ていたオウギュストギダンは、 キュベレイに突っ込んでいく赤いモビルアーマーを発見した。

 

「何だアレは? ビグロ? いやヴァルヴァロ」

 

 一年戦争において実践投入されなかったヴァルヴァロは知られていなかった。

 

 ヴァルヴァロに気付いただけでも大したものだ。

 

 間に合うわけはない、と解っていたがオウギュストギダンは全速力でキュベレイに向かった。

 

 旧式のモビルアーマーに何ができるのだと思ったが、嫌な予感が湧き上がってくる。

 

「ランバラルほどの男が意味もなく旧式を使うはずがない。勝算があるのだ」

 

 

 

 

 

 

 ロザミアバダムと、そばのゲーツキャパには余裕があった。

 

「ロザミィー。突っ込んでくる馬鹿がいるぞ」

 

「わかってる、お兄ちゃん」

 

『どいつもこいつも、ちまちま隠れて!』

 岩石地帯を有効利用して積極的に仕掛けてこない、敵リックディアスにロザミアバダムは苛立っていた。

 

 そんなところに正面から仕掛けてこられたわけだから、願ったり叶ったり。

 

「いけぇ!ファンネル!」

 

 10基の全ファンネルをモビルアーマーに向ける。

 

 

 キュベレイのファンネルに対して、ランバラルのヴァルヴァロは乱射で応戦。

 

 メガ粒子砲。ビームガン2門。

 2連装ミサイルランチャー2基。110mmガトリングガン4門。

 

 これらを惜しげもなく、まきちらす。

 

 ガトリングガンなど弾数は多くても威力は小さい。

 

 しかし、小型のファンネルを落とすには十分だ。

 

 キュベレイのファンネルが7基、破壊された。

 

 

 

『これが目的か!確かにモビルアーマーには豊富な武装がある。それでファンネルを破壊してしまえば、キュベレイなど、ちょっとばかり高性能な機体にすぎない』

 

 オウギュストギダンは心のなかで叫んだ。

 

 さらに驚いたことに、キュベレイのファンネルから放たれたビームはヴァルヴァロにはじかれた。

 

『ビームコーティングだと! 完璧なビームコーティングなどありえん。小型のファンネルのビームだから弾かれるのだ。その証拠にゲーツキャパのビームライフルは避けている。恐るべしランバラル』

 

 

「ファンネルがきかんとは!ならばビームサーベル」

 

 ゲーツキャパはビームサーベル抜きはなち、ヴァルヴァロに向かおうとするが、敵の青いリックディアスに阻まれ、鍔迫り合いとなる。

 

「ランバラル少佐! いまです」

 

「でかしたぞアコース!」

 

 ヴァルヴァロ最大の射撃武装メガ粒子砲でしとめようとするが、ロザミアも負けてはいない。

 

 ファンネルでメガ粒子砲の発射口を破壊。

 

「さすがだなニュータイプ!だがこれはどうだ」

 

 

 ヴァルヴァロから放たれる3つの杭みたいなものを、ロザミアバダムは気にもとめなかった。

 

 それらはキュベレイにもファンネルにも向かってこない。

 

 そんなものを相手にしてる暇はないのだ。

 

 ヴァルヴァロのビーム、ミサイル、ガトリングによってファンネルは残り1基!

 

 岩石地帯の戦いにおいて、大きな岩石の前に位置するのは常道である。

 

 特にキュベレイはファンネルの操作もしなくてはならないため、背後からの攻撃を防ぐためにも有効なのだ。

 

 しかし今回はそれが仇になった。

 

 プラズマリーダー!

 

 キュベレイの背後の岩石に突き刺さった3つの杭に囲まれた範囲内に高電磁波攻撃!

   

 プラズマリーダーは杭を突き刺す場所がなければ使えない。

 

 何もない宇宙空間では使えない武装なのだ。

 

 岩石地帯を作り出したのは、目くらましや奇襲攻撃のためだけではなくてプラズマリーダーのためでもあったのだ。

 

キュベレイを助けようと、気を取られたゲーツキャパはアコースに撃破された。

 

「アッザムリーダーみたいなものなのか!」

 各軍のエースパイロットが集められたオデッサの戦いでオウギュストギダンはアッザムリーダーを目撃した。

 

 かなり離れた距離からだがビームライフルで杭の一つを破壊した。

 しかしキュベレイは身動きひとつしない。

 

「遅かったか」

 ロザミアバダムが死んだのか気絶しただけなのかはわからないが、どちらにせよ戦場では致命的と言える。

 

 助けに行こうとするオウギュストギダンに敵リックディアスが2機せまる。

 

 

 

「どうやら敵は動けん。アコース、コズン。捕獲する。腕は切り取って構わん」

 

 ビームサーベルでキュベレイの腕が切り落とされる。

 

「アコース。グワジンまで運べ。ドズル閣下には撤退を進言しろ。ヴァルヴァロの武装が半分はやられた」

 

 アコースはファンネル1基も回収し、キュベレイを連れてさがった。

 

 

 連れ去られていくキュベレイをオウギュストギダンにはどうしようもなかった。

 

 それどころか自分の命が危ない。

 

 自分を含めてリックディアス2機で、ヴァルヴァロと9機のリックディアスを相手にしないといけないのだ。

 

 岩石地帯を利用して徹底して逃げまくった。

 

 しばらくすると、待機していた2機のリックディアスが援軍に来てくれたおかげで、なんとかグレミーの元まで撤退できた。

 

 

 三陣営ともモビルスーツをグワジンに帰還させた。しかし修理や補給をいそぎ、次の戦闘に備えている。

 

 

 腹が立ってしょうがなかったグレミートトだが、怒りを表に出すのは自重した。

 

 それをしては誰もついてこなくなる。

 

「さすがはランバラルというべきだな。ニュータイプ以外のエースパイロットにも高性能機を配備するべきだと、オウギュストギダンにも言われたが、まさに、その正しさが証明されたな」

 

「恐れ入ります」

 

「こちらはキュベレイ2機。リックディアス9機。敵はソロモンとグラナダ併せてリックディアス46機、モビルアーマー1機」

 

「互いにモビルスーツを2機ずつ失ったわけですが、こちらの1機がキュベレイですから、被害は大きいです」

 シャリアブルが悔しげに言う。 

 

「シャリアブル少佐は12機のリックディアスを相手にして、1機撃破したわけだが、どう感じた」

 

「あのまま戦闘を続けたなら5、6機は撃破できたはずです。しかし、その頃にはファンネルのエネルギーがなくなり、結局はこちらが撃破されると思います」

 

「そうか」

 

「こちらを撃破するつもりで攻撃してくれれば、こちらも闘いやすいのですが、ひいて守られるとなかなか撃破できないものです」

 

「では、これからどうする?」

 グレミートトは主な者にといかけた。

 

「攻撃すべきです。岩石地帯の外で戦うなり、岩石をグワジンで破壊してからなら勝利できるでしょう」

 ラカンダカランが即答する。

 

「それは強引すぎます。ランバラル隊と闘いましたが、かなり手ごわかったです」

 オウギュストギダンが慎重に答える。

 

「このまま待機してジュピトリスと合流するのも手です」シャリアブル。

 

「ジュピトリスは後どのくらいでつくのだ」

 

「30分ほどです」オペレーターが答える。

 

「モビルスーツの総力戦で負ける気はしませんが、こちらがグワジン1隻にたいして、敵は4隻。モビルスーツ戦は機体性能やパイロットの質で、少数でも勝ち目はありますが、艦隊戦は別です。艦隊戦になれば圧倒的に不利です」シャリアブル。

 

「たしかに。シャリアブル少佐の意見に賛成です。ジュピトリスを待ちましょう」オウギュストギダン。

 

「ジュピトリスが味方するとは限りません」ラカン。

 

「それは大丈夫。ジュピトリスのパプテマスシロッコは味方になります。たとえ味方にならなくても敵になることはありません。最低でも中立です」シャリア。

 

「なぜそんなことが分かる」

 

「同じ木星帰りの男として、興味があったので調べました。相当な野心家です」

 

「野心家だとなぜ味方する。大将首が取れるチャンスではないのか」

 

「そんな低レベルな野心家とは違います。自分がトップに立ちたい男です。三つ巴の今の状況を変えたくないと思うはずです」

 

「興味深い話だな」グレミートト。

 

「もしグレミー総帥を倒せば、ジオン帝国やネオジオンで優遇されるでしょう。しかし一対一の戦いでは、すぐに戦争は終わります。さきの大戦では人類史上初の宇宙戦争でありながら1年間ほどで終了してしまいました。三つ巴の方が長期間戦争は続きます。歴史では2カ国の戦いより多国間の戦争のほうが長期化します。三國志や戦国時代などがそれです。そちらの方が野心家の男にとっては成り上がるチャンスなのです」

 

「そういう考え方もあるのか」

 

「幹部程度になりたいのであれば、グレミー総帥を狙ってくるでしょうが、自分の旗を上げたい男なら別です」

 

「よし解った。敵が仕掛けてこなければ、このままジュピトリスを待つ」

 グレミートトは決断した。

 

 

 

 

 ドズルの艦隊にマクベが合流して、こちらでも話し合いが行われた。

 

「敵のトップが戦艦一隻で目の前にいるんだから、狙わない手はないだろう」

 シーマガラハウが高らかに言う。

 

「だが、ヴァルヴァロは試作機のため替えの部品はない。武装の半分を失っては、同じ手は二度とは通用しない。ヴァルヴァロの装甲にファンネルのビームが聞かないと知って、武装をピンポイントで狙ってきました。キュベレイのパイロット、恐るべき腕の持ち主でした」ランバラル。

 

「艦隊戦を仕掛ければいいじゃないの。4隻と1隻。モビルスーツ隊はさっきと同じように時間稼ぎ。実際に戦ってみてわかったけど、ランバラル少佐の言うようにキュベレイは厄介だよ。でも時間稼ぎならできる」

 

「確かに艦隊戦なら、ニュータイプなどは関係ない」

 デザートロンメルもシーマガラハウに同意する。

 

「マクベ殿はどう思われますか? 」ランバラル。

 

「策士で知られるマクベ殿。私も気になります」シーマ。

 

「こちらはグワジン1隻。自分の船だけではどうしようもないので、ドズル閣下にお任せします。ただし早めに決めないとジュピトリスが、この宙域にやってきます。位置的に先に接触するのはグレミーでしょう」

 

「でもこちらが有利になる可能性もあるのでは。グレミー包囲網が完成するかも」ロンメル。

 

「それは楽観的すぎます。交渉相手なので調べましたが、野心家のパプテマスシロッコは 戦争終結を早めるような真似は絶対にしません」

 

「それはどういうことだ」ドズル。

 

「グレミートト以外にギレンザビ陛下の血を引いているものはいるわけがないと思います。つまりグレミートトが死ねばアバオアクーは降伏するのか徹底抗戦するのか知りませんが崩壊です。この半年間なぜ膠着状態が続いたのですか?三つの陣営が入り混じっていたからです。もしも2カ国間の戦いなら、もっと早くしかけていたでしょう。一年戦争のように」

 マクベにとっては絶対に当たると信じているよみである。

 

 同じようなことをマクベとシャリアブルは語った。

 シャリアブルはニュータイプの洞察力を持ってシロッコの本性を言い当てたが、マクベは自分自身が野心家だから分かるのだ。

 

 

「艦隊戦だ! グレミーの首を取る」

 ドズルは決断した。

 

 しかし戦闘が開始されることはなかった。

 

 ジュピトリスから先行した、パプテマスシロッコの乗るメッサーラが到着したのだ。

 




感想ありがとうございます。
 
ゼータ時代になり登場人物ふえて混乱気味ですが頑張ってつづけます
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