ホワイトベースから離れた場所で仰向けに倒れているシャアザク。
「当たり所が悪ければこんなものか」
ガンダムの上半身アタックで操縦系統がいかれてしまったらしい。
戦闘は終了しているわけだから、シャアはノンビリと回収を待っていた。
そこにホワイトベースから砂煙をあげながらバギーが向かってくる。
ホワイトベースの乗組員が、因縁のある赤い彗星のシャアの命を狙って、やけくそになって攻撃しに来たのかと思ったが違った。
「アルテイシア!」
「にいさん!」
兄妹が再会し抱き合う。
それを岩陰から覗き見るのはハヤト・コバヤシ。
ハヤトはコアファイターに乗れなかったため、歩いてホワイトベースに戻る途中だったのだ。
「アルテイシア。時間が無いからよく聞くんだ。このままジオンの捕虜になるのは良くない。 セイラ・マスを名乗ればジオンダイクンの娘だと気づく奴が出てくるだろう。かといって今更、偽名を使えばホワイトベース乗組員たちがおかしいと思うだろう」
キャスバルダイクンとアルテイシアダイクンが、
エドワウマスとセイラマスに名前を変えたのは、知ってる者は知ってるのだ!
「どうすればいいの兄さん」
「このまま立ち去るんだ。さいわい軍服を脱いできたのはよかった」
「ええ。元々民間人が戦闘行為とかまずいのでしょう。そういったこと言ってる人がいたから念のため着替えたの」
「よし。ここから離れて近くの町までいくんだ。後から必ず迎えに行く」
「わかったわ」
ミデア輸送隊はロッキー山脈を南下してジャブローへむかっていた。
コアファイター4機のみで合流したアムロたちにたいして、ミデア輸送隊の隊長マチルダ・アジャン中尉は優しかった。
「あなたがただけでも無事でよかったです。よくぞ生き延びてくれました」
「そんなこといったって本当はホワイトベースやガンダムがなくて、ひよっこ4名だけでがっかりしてんじゃない?」
ひねくれものカイが言う。
「ジャブローではモビルスーツの量産が進んでいるわ。それにガンダムなどの実戦データがあるのとないのじゃ大違いよ」
「なるほど。じゃあ本命はパイロットの俺たちじゃなくてコアファイターだったのね。ケケケッ」
「だったら今すぐ降りてもらおうかしら」
「そいつは冗談キツイっすよマチルダさん」
ワハハハハッ!
あれほどの激戦のあとだからこそ笑うのだ。
深刻に考えると気がめいってしまう。
アムロ、ブライト、リュウ、カイの4名はすっかりマチルダ中尉に惚れてしまった。
海岸までとはいえジオンの勢力圏である北米までミデアのみで到達し、またジャブローまで帰ろうっていうのだ。
そのクソ度胸と美貌そしてユーモアも併せ持つ懐の深さに惚れてしまった。
「ミデアはVTOL、垂直離着陸ができるから山あいを飛んだりすれば案外みつからないものよ。護衛なんかつけたほうが、よっぽど危険かもね。もっとも護衛を断ってるわけじゃなく人手不足でつけられないだけだけどね」
ミデアのみで怖くないのかと聞いたら、あっけらかんと笑顔で答えてくれた。
ミデア輸送隊では楽しいひと時をすごせたが、ジャブローに着いたら過酷な日々が待っていた。
「よくも連邦軍最新鋭の艦とモビルスーツをむざむざと失ってくれたな」
ジャブローについてすぐにあわされたのはゴップ大将だった。
ねちねちと責め立てられうんざりした。 ホワイトベースの活躍を認めてくれていると言うレビル将軍は現在ジャブローにはいないから、目の前の醜悪な肥満したコップ大将がジャブローで一番偉いらしい。
マチルダ中尉からレビル将軍がジャブローに戻ってくるまでの我慢だと聞かされていたアムロたちだが、1時間たりとも我慢できそうになかった。
「あの 、ちょっといいですか?」
ゴップ大将の長話を30分ほどでどうしても我慢できなくなったアムロが口を開きかけたが、
「貴様!大将閣下の話を遮るのか!」
ゴップ大将のそばにいた将校にぶん殴られた。
何ていうことだ。こんな前時代的な暴力がはびこっている軍隊なんて腐りきっている。
殴られるのは嫌だから黙って聞いていたが最終的にはとんでもない話になっていた。
コップ大将の話を要約すると・・・
ホワイトベースとモビルスーツを失ったのは素人だからまあ許してやろうと言うことだ。
しかし民間人が軍の最重要機密であるホワイトベースとモビルスーツを動かしたのは許しがたい。
これはルナツーでも言われたことである。
よって、アムロとカイはサイド7で現地徴用兵という扱いになった。
そして新兵訓練を受けてもらうということだ。
正規の軍人であるブライトとリュウは、士官候補生としてパイロット候補生として再特訓ということになる。
評価、感想よろしくお願いします。
ギレンの野望だとジャブローから北米まで、ミデアだけで移動は無理だってハッキリわかんだね。
それをやってのけるマチルダさんはマジでヤバイ!