その後、新兵用の宿舎に移動。
これがまた狭くてボロい部屋。
しかも個室ではなく相部屋だった。
殺風景な部屋に二段ベッドが二つ。
アムロ達四人はここで暮らすことになるのだ。
翌朝午前4時起床。
アムロとカイは新兵訓練、いわゆるブートキャンプの開始だ。
ランニングから始まり、腕立て伏せ、腹筋、スクワット、 そして粗末な朝食。
ホワイトベースでの食事はアムロはパイロット用の食事をとっていた。
あれは大してうまいものではなかったが、ここの朝食に比べたら何倍もうまい。
朝食が終わったら施設の掃除。
ちょっとでも塵ひとつでも見逃そうものなら 、教官のラルフ中尉の鉄拳が飛んでくる。
この鉄拳は文字通り鉄の拳。
ラルフ中尉は戦争で左手首から先を失い鋼鉄製の義手をつけている。
この鉄拳に比べたらホワイトベースでブライトに殴られた2発なんて可愛いもんだ。
掃除が終わったらまた基礎体力のトレーニングが待っている。あまりにも厳しくてトレーニング後の昼食はろくに食べられない。
実際にアムロはゲロを吐いた。
昼飯の後は座学が待っている。
座学と言うと楽そうに聞こえるが、午前中の肉体的疲労と昼飯の相乗効果で強烈な睡魔が襲ってくる。
もちろんちょっとでも、うとうとしようものなら鉄拳が飛んでくる。
座学が終わると今度は軍隊格闘術、しかも屈強なラルフ中尉の部下が実戦形式で教えてくれる。
夕方7時に訓練終了。
夕食を食べ、ようやく部屋に戻ってきたアムロとカイ。
「アムロ、こいつはだめだ。こんなの続けてたら死んじまうぜ」
「僕も同じ意見です」
訓練中は私語禁止のため、ようやく会話をすることができた。
訓練中は私語だけでなく教官に対しても話しかけることは許されない。
しかも教官に話しかけられた時はイエスサーしか答えることは許されない。
「これだったらジオンに降伏してた方が良かったぜ」
「それには同意しかねますね。あれだけジオンの部隊を倒してきましたからね。捕虜になったら殺されてたかもしれませんよ」
「でも南極条約ってのがあるんじゃねえのか」
「毒ガス使ったりコロニー落としたりするような軍隊ですよ」
「そうだな。それよりブライトたちはどうなってるんだろうな。奴らは士官候補生だから楽してんじゃないの」
アムロとカイがシャワーを浴び終わった頃、ブライトとリュウが帰ってきた。
カイが新兵訓練の内容を説明。
「俺たちだって散々な目にあったよ。士官候補生だから顔は勘弁してくれたらしい」
そう言いつつブライトとは上着を脱いだ。体中アザだらけだった。
「ちくしょうなんで俺たちはこんな目にあわなきゃなんねんだ」
「さあな考えてもしょうがねえ。とにかく早く寝ることだ。俺も新兵訓練の時はすぐに寝ていた。眠らないと体が持たないぞ」
「まってくれよ消灯時間は9時だって聞いてるぞ」
「馬鹿野郎。 1分でも早く寝ろ。 眠らないやつから脱落していくんだ」
プライドとリュウがシャワーからもどってきた後、消灯して寝た。
「ザクを何機倒したか知らないが、調子に乗ってるんじゃないぞ!貴様は虫けらだ」
「イエッサー」
「ニュータイプだなんて言われてるらしいが、いい気になるんじゃねーぞ!貴様は蛆虫だ」
「イエッサー」
「大尉の息子らしいが、親の七光りなんぞ通用しねえからな。甘ったれてるんじゃねーぞ!」
「イエスサー」
一週間経ってようやく過酷なトレーニングに慣れてきたら、ラルフ中尉の言葉による攻撃が激しさを増してきた。
アムロは何度もブチギレそうになるが、ブチギレてもいいことはひとつもないのは分かっているから耐えるしかない。
逃げることもできない。
ジャブローは地下にある基地。地上への出入り口は厳重に監視されている。
仮に何らかの方法で地上に出たとしてもそこは南米アマゾンの密林。
どうしようもない。
あまりにも理不尽な暴言に、とうとう我慢できなくなりブチギレようとした昼下がりのアムロ。
その時ようやく助け舟が現れた。
「新兵訓練は中止だ!ラルフ中尉やめたまえ」
「どういうことですか大尉。いったい誰の命令ですか? こっちはゴップ大将から、厳しく訓練するように仰せつかっているんですよ」
「レビル将軍、直々のご命令だ。ゴップ大将も了承済みだ」
感想、評価よろしくお願いします