ブチギレ戦士アムロ   作:金光初

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第8話

 アムロがレビル将軍のビッグトレーのそばまで行った時には、ジオンのモビルスーツに囲まれていた。

 

 連邦軍のジム部隊も多数駆けつけていたが、次々と倒されていく。

 

 ジムもビーム兵器を持っているため、決してドムに劣るというわけではないが、 パイロットの技量に差がありすぎた。

 

 アムロでさえスカート付きには手を焼いているほどなのだ。

 

 連邦軍のモビルスーツパイロットはオデッサが初の実戦だというものもたくさんいるのだ。

 

 ビッグトレーのレビル将軍から撤退命令が出された。

 退路を塞いでいる北のモデルスーツを排除しろとのことだ。

 

 北の包囲を突破しようとガンダムを突っ込ませるが敵は上手だった。

 距離を取って上手く交わされる。

 

「なんだこいつら急に消極的になりやがったぞ。もしかしたらいけるか」

 カイシデンが叫ぶ。

 

「そうじゃないんです。もう勝ちが決まってるから無理な攻めをする必要はないんですよ。時間が経てば東からエルランの部隊がやってくるから、それを待ってるんですよ。敵からしたら今無理に攻める必要はないんですよ。敵は、とんでもない熟練のパイロット達ですよ」

 

 スカート付きが近づいてこないため、射撃戦になっている。だが当たらない。

 そしてビームライフルのエネルギーが空になった。

 

 アムロは一旦ビックトレイのモビルスーツデッキに予備のビームライフルを取りに入った。

 ここでシールドを捨て両手にビームライフルを装備した。

 

「アムロ! シールドもなしで大丈夫か?」

 前線に戻るとリュウホセイが声をかけてくる。

 

「このくらいしないと、この包囲は突破できないですよ。僕が突っ込みますからカイさんとリュウさんは援護お願いします」

 両手のビームライフルを乱射しながらガンダムを突っ込ませると、さすがにスカート付きは怯んだ。

 この間にビッグトレーが前進してくれていたらよかったのだが、敵モビルスーツに囲まれ、ろくに前進できないようだった。

 

 

 

 

 

 ビッグトレーの指令所ではレビル将軍の幕僚たちが大騒ぎしていた。

 

「エルランめふざけやがって」

 

「あの裏切り者め」

 

「北だ!北の包囲を突破しろ」

 

「ジム部隊は何をやってるんだ」

 

 そんな混乱の中レビル将軍は立ち上がった。

 それだけで周りの連中の騒ぎがしずまる。

  歴戦の将軍の貫禄というものであろう。

「ビッグトレーを北に前進させろ。モビルスーツ部隊に退路を切り開いてもらうのではなくて、ビッグトレーで自ら退路を切り開くつもりで突貫させろ」

 

「そんな! ムチャです。スカート付に蜂の巣にされます」

 

「ビッグトレーの装甲なら大丈夫なはずだ」

 ビッグトレーは移動司令基地と言われる程で、でかく頑丈にできている。ビーム兵器ならともかくバズーカなどの実体弾ではそう簡単に落とされはしない。

 

「しかしいくら装甲が厚くても何度もくらえばいつかは・・・ 無茶です」

 

「東からエルランの部隊がやってきたらその無茶さえできなくなるぞ」

 

「ドラゴンフライで脱出するのはどうでしょう」

 ビッグトレーのブリッジ上部には小型ながら飛行甲板があり軽飛行機ドラゴンフライの発進ができる。

 

「こちらの航空部隊が健在ならそれもありだが、フライマンタ部隊はドップと敵の新型モビルアーマーで壊滅状態だ」

 即座にレビルは否定する。

 軽飛行機での脱出は、本当に最後の最後での手段だ。

 

「それなら西に、西に退路を取りましょう。北にスカート付き、東にエルラン、南にオデッサ。 西にもモビルスーツはいますが北ほどではない」

 その幕僚の言葉に他のものも同調しだした。それを聞いてレビル将軍は呆れ果てていた。

 

 開戦からの一週間戦争、ルウム戦役で甚大な被害を受け多くの被害を出し、この程度のこともわからないものたちが将軍の幕僚として存在している。

 まさにこれこそが連邦軍の最大の弱点とも思えた。

 

 連邦軍はベルファスト基地から北欧を通ってワルシャワで集結。

 その後、南下しオデッサに進軍した。

 そのルートを逆に撤退すれば間違いなくベルファストまで戻れるはずだ。

 これが北ルートの撤退である。

 この戦場では北の退路はスカート付きに囲まれて突破しづらいが、

 そこさえ突破すれば比較的安全にベルファストまで戻れる。

 

 それに比べて西ルートはどうか?

 この周辺では、確かに西の包囲は薄い。

 フランスのドーバー海峡を渡れば最短でベルファストにかえることができる。

 しかしオデッサの戦いに参加していないユーリケラーネ少将率いるジオン軍ヨーロッパ方面軍はイタリアにいる。

 イタリアから北上してきたヨーロッパ方面軍とフランスで激突するはずだ。

 そんな中、退却しながらドーバー海峡なんぞ渡れるもんではない。

 

 兵法において敵を完全包囲せずに、逃げやすい場所を作っておくのは初歩中の初歩。

 間違いなくキシリアやマクベはワザと西をあけている。

 歳はとりたくないものだ。

 ルウム戦役以上の疲労感を感じていた。

 

 

 

 

 

 ようやく北に前進を始めたビッグトレーの前でアムロは奮闘していた。

 

 十機撃墜までは数えていたがそこからはもう無我夢中で数えてない。

 

 ようやく突破の糸口が見え始めてきたころ、更なる試練が襲う。

 ビームライフルの弾が尽きた。

 

 ようやく突破しかけたのにビッグトレーに戻ると台無しになる恐れがあった。

 まともに戦えているのはガンダム部隊だけなのだ。

 

 カイシデンとリュウホセイの陸戦ガンダムは 性能ではスカート付きに勝っているようだが、パイロットの腕前としては劣っているので互角。

 

 自分が何とかするしかない。

 

 腹をくくったアムロはビームライフルを捨て、両手にビームサーベル二刀流。

 

 ビームライフルを捨てたガンダムを見て、チャンスと捉えたのか、

 右前方から一機のスカート付きが突っ込んでくるのが見えた。

 

「ビームライフルがなくてもやってやる!」叫ぶアムロ。

 

 バズーカを打ちながら突っ込んでくるスカート付き。

 

 かわしながら左サーベルでバズーカを切断し、右サーベルでとどめを刺そうとした時。スカート付の背後から、もう一機のスカート付が現れた。

 

『くそッ!2機が重なっていたのか!』

 G3ガンダムにはマグネットコーティングが施されている。その超絶反応により2番目のバズーカを横っ飛びに交わすことができた。

 

 しかし3機めのスカート付きが バズーカを打つ。

 

「3機が一列になっていたのか!」

 

 バズーカを食らってガンダムの左肘が吹き飛ぶ。

 

 とどめを刺そうとしてくる3体のスカート付き。

 それを防ごうとするカイシデンとリュウホセイ。

 

 敵の狙いはリュウホセイに移ったようだ。

 最初のバズーカでシールドが吹っ飛ばされ、二発目の直撃で撃破された。

 

「リュウさーん!」

 

 さらなる絶望が通信装置から聞こえる。

「機関部をやられた! ビッグトレーは行動不能。レビル将軍はドラゴンフライで脱出される。 モデルスーツ隊は援護。フライマンタ部隊は護衛に付け」

 

 ビッグトレー上部からドラゴンフライが飛び立とうとする。

 上空ではフライマンタは劣勢だ。

 さらに敵モビルアーマーがフライマンタを蹴散らしていく。

 

 援護しようとジム隊は上空にビームを撃つ。

 上空に気を取られたその隙をスカート付が見逃すはずがない。

 さらに討ち取られるジム。

 

 ビームライフルのないアムロにはどうしようもなかった。

 ガンダムのジャンプでも届かない!

 

 飛び立とうとしたドラゴンフライが、スカート付きのバズーカで撃ち落とされた。

 

 レビル将軍。戦死!

 連邦軍の戦線は完全に崩壊した。

 




3機のドムはモチロン黒い三連星です。

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