藤丸立香は間違った青春ラブコメに巻き込まれる 作:小説大工の源三
立香side
留美ちゃんと話していたジャック達から彼女の元気がない理由を教えてもらう。案の定いじめだったのだが、彼女自身も一度加担しており自分だけが助かるのはお門違いといった考えで助けを求めることをしなかったようだ。
それでも謝りに行く勇気が出たらしい。それと彼女と遊びたいのか住所を教えてあげたいらしい。鶴見先生に伝えてからと言って、カレーを食べる。
少し騒がしくなったものの食べ終えると、結衣がポツリと声を漏らす。
「大丈夫かな……」
「何か心配ごとかね?」
「ちょっと孤立している子がいて」
全員、留美ちゃんが孤立していることを理解している。どうにかしてあげたいのは人間として正しい、だがそれを今すぐ解決できるなどオレ達には出来ない。
「ああ、あの子ね~確かに可哀そう」
「あれは違うぞ葉山、好きで一人でいるんだ」
「八幡それってどういうこと?」
「鶴見は自分から一人になっているってことだ。どんな理由かは知らないが……」
「前までのお兄ちゃんみたいにってこと?」
「小町からしたらそうだ……」
「それでどうするのかね?」
「俺は出来る範囲でなんとかしてあげたいです」
「無理よあなたでは」
葉山の一言も雪乃の一言でバッサリ切り捨てられる。
「どうかな、昔とは違う」
「どうかしら……」
冷たく雪乃はあしらった。去年の夏頃雪乃の家にみんなで行った時に彼女本人から聞いたのだが。
葉山とは幼馴染みで小学校も同じ学校に通い最初は仲が良かったのだが、葉山が人気者になり周りからモテていたそうだ。雪乃と葉山が仲が良いのをよく思わない女子達が雪乃を虐め始めた。そこに葉山が助けに入る、そこまでは良かったのだが、解決方法が話し合いというものだった。女子達は虐めをやめると言い葉山もそれに納得してその日は終わったのだが、次の日から虐めは陰でエスカレートしていき、それに耐えきれなくなった彼女は両親と姉である陽乃さんに相談、虐めっ子達は立場を失い、間接的にも虐めを悪化させた葉山は雪乃との婚約が破談となった。
というのが雪乃と葉山の関係らしい。
「先生、これは奉仕部として……いち生徒として動きたいです」
「雪ノ下……わかった、比企谷達はどうする」
「俺はこのまま何もしないほうが鶴見への被害が少ないかと」
「なっ、見捨てるというのか!ヒキタニ!」
「見捨てるんじゃない、出来ることはないんだよ。逆に葉山、お前は何をして助けるつもりだ?」
「それはもちろん鶴見ちゃんを周りの子達と話し合わせて……」
それに反対したのは結衣だった。
「隼人くん、それじゃダメだよ。仮に話し合わせて仲良くなってもそれはその場しのぎに繕うだけであたし達が帰ったら、余計エスカレートするだけだよ」
すると葉山の隣に座る三浦が声を上げて結衣に質問する。
「じゃあ結衣はどうするのさ」
「それはまだわかんないよ……虐めってデリケートな問題だから、下手に行動して悪化させたら取り返しがつかないもん……」
しばらく沈黙が続く。すると海老名が手を上げて意見を言う。
「趣味に生きればいいんだよ。同じ趣味の人と出会えれば友達になれるし」
そこで一呼吸置く。
「わたしはBLで友達が出来ました!ホモが嫌いな女子なんていません!だから雪ノ下さんにキリエライトさんもわたしと」
「優美子、姫菜とお茶取ってきて」
「おっけー、ほら姫菜行くよ」
「待って!今布教の途中!」
ずるずると三浦に引き摺られる海老名が消えていく。
「彼女、私に何を勧めようとしたのかしら……」
「ゆきのんは知らなくていいよ……」
「立香さん……」
「忘れようさっきのことは」
それでも海老名の言う通り趣味で友達を作るのはいい方法だと思う。その後もポツポツと意見は出るものの現実的なものは出ない。
「立香くんは何か方法浮かんだ?」
八幡の隣に座る彩加から質問される。
「この問題自体を解決とまではいかないけど、マシュと考えたものなら」
「お願い、僕じゃわからないから……」
「留美ちゃんのことはオレ達が連れてきたジャック達に任せて欲しいんだ」
「ジャックちゃん達にですか?確かに歳も近いからふれあいやすいとは小町も思いますけど……」
「留美ちゃんとジャック達はもう打ち解けているし、別にクラス内での流行りを無くせる訳でもない。ならこの林間学校で彼女が楽しいと思える時間を作ってあげるのが一番先だと思う。元々留美ちゃんがこうなった原因は、彼女自身にもあるからね……ジャック達から聞いたけどクラスでクラスメイト一人を無視するのが流行っているって彼女の口から言ってて最初は自分も無視する側にいたから自分だけが助かるのは……っていう理由だから」
口が渇いてくるのでお茶を飲む。
「それに今留美ちゃんは自分から無視した子に謝りに行こうとしています。それに私達高校生が口を出すのはいけないことです」
ふぅと一息つく。
納得しないのか葉山が反論する。
「それじゃあ根本的な解決にはならない、別の方法を考えよう」
オレの意見が100%正しいとは言わないけど、八幡に否定されて結衣にも否定されたやつがまともな意見を言うとは思えない。
「ならどんな方法があるのでしょうか?」
「それは……」
マシュの質問に葉山はいい淀む。真っ先に自身の仲間と思っている結衣に否定されたのだ、新しい意見がすぐに出る訳もない。
「でも二人の意見はみんなが仲良くなれてないからダメだ」
今度はオレ達の意見を潰しにくるのか……
なんかイライラしてくる。
「あら、私は立香の案に賛成よ。安全で鶴見さんの心も救われると思うわ」
「俺も立香の案がいい。鶴見が自分から動こうとしているなら見守るのが一番だ」
すると今までしゃべらなかった平塚先生が口を開く。
「確かに藤丸の案が現実的だ。しかし葉山何故君は反対なんだ」
「それはみんな仲良くした方がいいと思っています。だからこそこの状況を乗り越えて強い友情が作れればいいと」
「それで君の案は?」
「それは……」
「ないのなら今は藤丸の案に合わせておきたまえ。時間は有限、今日何時までも議論していたって無意味だ。君たちも寝る時間までに風呂に入れ」
そう言って平塚先生は宿泊施設に戻っていった。
「さてオレ達も戻ろうか」
「そうだね……」
議論はここで終わり明日に向けて休むこととなった。
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風呂からも上がり特にすることもないのですぐに就寝する。
「電気消すぞ」
「ちょ、隼人くんこれ修学旅行の夜みたいだな」
「そうだな……」
「好きな人の話しようぜ」
「嫌だよ」
「あはは……確かに少し恥ずかしいよね……」
あまり興味もないし話す気もないのですぐに寝た。レイシフト先ですぐに寝れるようになっているので、入眠出来た。
「ちょ、藤丸くん先に寝るとかないっしょ!」
唐突に戸部に起こされる。
こっちは寝ようとしてるのに……
「なにさ……」
「好きな人の話しようぜ~」
「明日早いから寝る。あとオレはマシュと付き合っているから手は出さないでね……」
オレは再び布団を被る。
明日は留美ちゃんがどうなるか、少し心配だ。