藤丸立香は間違った青春ラブコメに巻き込まれる   作:小説大工の源三

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初依頼は……とんでも暗黒物質(ダークマター)!?

 

立香side

 

奉仕部もとい奉仕同好会が出来てから一週間が経過した。中々依頼が来なかったのだが、今日初めて依頼があると雪乃から連絡が来た。

奉仕同好会に依頼するには設置したボックスに依頼の内容が書いた紙を投函、それを雪乃や同好会メンバーが確認する。それを平塚先生に報告して放課後来るように伝えてもらうとのこと。

部活の範疇を越える物なら平塚先生に協力を得ることにする。

ということになっている。

 

「初依頼どんなものなんだろうな」

 

「そうだな……案外下らないものだったりして?」

 

「それは雪乃さんが拒否すると思います……」

 

「だよね~」

 

放課後になり特別棟の部室に向かう。

扉を開けるとすでに雪乃が紅茶を淹れて飲んでいた。残り3つのカップに湯気が立っていたのでオレ達の分も淹れられていた。

 

「うーす」

 

「こんちは」

 

「こんにちは」

 

「いらっしゃい」

 

「初依頼だね~雪乃、どんな依頼内容なの?」

 

「これよ」

 

雪乃から一枚のメモを受けとる。

何々?『お礼したい人にクッキーを作って渡したいので作り方を教えてください 由比ヶ浜結衣』ってこれは……友達に聞けばいいんじゃ……いやいや、まだまともに友達が出来る時期じゃないな。オレ達が特殊なだけだ。IT'S special!

というか店売りのでもいいんじゃないのかな?

そう思ったのだが、彼女なりに誠意を伝えたいのかと思うと納得した。

そして誰かが扉をノックする。

 

「どうぞ」

 

「し、失礼します……」

 

入って来たのは桃色がかった茶髪を頭のてっぺん辺りで団子にした女子生徒だった。緊張してるのか、依頼人用の椅子にちょこんと座ると目をキョロキョロさせる。

どこかで会ったことがある気がするが今は彼女の依頼を達成するとしよう。

 

「貴女が由比ヶ浜さんね」

 

「はい……」

 

「クッキーの作り方を教えてください!」

 

「わかったわ。家庭科室はすでに貸し出し許可も出てるから早速行きましょう」

 

「てか雪ノ下、俺はどうしたらいいんだ?」

 

「味見をして貰うわ」

 

「了解。で藤丸とキリエライトは?」

 

「今回は味見に回るよ。マシュは?」

 

「私は手伝います」

 

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マシュside

 

由比ヶ浜さんの依頼、『クッキーの作り方を教える』が始まりました。

それで、始まったのですが……一時間経って出来たクッキーは……真っ黒に染まったナニカでした。

 

「わぁ……エリちゃんのあれクラスかも……」

 

エリザベートさんのは辛い(それでも激辛)だけでしたが、これは……苦いですね。それはもう見てるだけでも苦く感じます。どうして料理音痴の人たちはこうも味のステータスが一つに偏るのでしょうか。

 

「とりあえず比企谷くん、味見をお願い」

 

「待て雪ノ下、これは味見ではなく毒味と言うんだ」

 

「毒味って酷い!毒なんか……ない……よ……」

 

作った本人ですらこれです。相当ヤバいのでは?

 

「とりあえずオレからいく。仮にこれが毒だとしても、オレ毒効かない体質なんだよね」

 

「待て藤丸お前それはフラグだ」

 

立香さんが暗黒物質(ダークマター)を口に入れました。そして倒れました。

 

倒れました?

 

「立香さん!?」

 

「口の中ジャリジャリして一部ねちょねちょしてる……グフゥ」

 

「藤丸、お前の犠牲は忘れない……」

 

「比企谷くん合掌してる場合じゃない!」

 

「とりあえず藤丸くんはマシュさんに任せましょう」

 

そしてさらに一時間して少しまともなクッキーが出来たようでした。

 

「う、ううん……ここは?」

 

「立香さん、目が覚めたんですね」

 

「マシュの顔が近いってことは……膝枕されてる?」

 

「はい」

 

「だからか、マシュの顔が近いのは……よいしょ」

 

立香さんが起き上がり、くぐっと背筋を伸ばす。

 

「クッキーはどうなった?」

 

「先ほどよりはまともなのが出来ました」

 

「どれどれ……?おお……これなら渡しても大丈夫だね」

 

「ホント!?それゃあまた今日家で作るね」

 

そして私達は調理器具を片付け、由比ヶ浜さんの依頼を達成しました。

 

─────────────────────────

立香side

 

次の日の部活

 

「やっはろー!」

 

勢いよく扉を開けたのは、昨日の依頼人である由比ヶ浜結衣だった。

 

「由比ヶ浜さん少し静かに開けてちょうだい、あとノック」

 

「ご、ごめんなさい……それと比企谷くんに用事があります。その……これを……」

 

顔を染ながら渡したのは、袋に入った少し不恰好なクッキーだった。

なるほど渡したい人は八幡だった訳か。

 

「なんで俺なんだ」

 

「入学式の日サブレ助けてくれたでしょ?その飼い主があたしなんだ……本当は直ぐにお礼に行って謝りたかったんだけど。その怖くて……」

 

「そうか……」

 

「サブレを助けてくれてありがとう!あたしの不注意でリードを離して事故に合わせてごめんなさい」

 

「わかった……それと一つ聞きたい」

 

「うん」

 

「サブレに怪我はないのか?」

 

「うん、比企谷くんのお陰で一つもないよ」

 

八幡がクッキーの入った袋を受けとる。

そこで雪乃が口を開いた。

 

「由比ヶ浜さんその日の車に乗っていたの私なの……ごめんなさい。あなたの家族を危険な目にあわせてしまって」

 

「ううん!雪ノ下さんは悪くないよ!人の登校方法は人それぞれだから」

 

「そう……ありがとう」

 

「それとあたしもこの同好会に入っていいかな?」

 

「ええ、歓迎するわ」

 

今日同好会に新しいメンバーが増え、奉仕同好会から、奉仕部になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ガハマちゃんの性格が原作と違う理由
まだ三浦と出会ってない+入学式からそれほど日が経っていない+染まりやすいガハマちゃん→この時期だとまだ何も染まってない→つまりまだ受験時期のストイックガハマちゃんのまま?

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