バトルスピリッツ Sky Load   作:メガイラ

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 なんとなく書きたくなったので書いてみました。が、投稿頻度はとても遅いと思います……。


プロローグ

 

 

 

『さあ、試合も終盤! ナツカゼのスピリットのアタックによりライフはお互いに2つの状況でチャレンジャーのターンだぁぁ!!』

 

 あるスタジアムで司会者らしき人物の声が流れると同時に、観戦者達の声援が上がる。そんな彼らの視線は、スタジアムの中心で相対する2人に注がれていた。

 

 

──1人は黄色やピンク等ファンシーでカラフルなワンピースを着た少女。髪や顔にも服に合わせたアクセサリーやペイントで着飾っている。

 そんな彼女の目の前には何枚ものカードが宙に浮いており、その更に先には水色の大きな猫に自身の身の丈と同じスプーンとナイフを持った美しい妖精、そして銀色の鎧馬に跨がる騎士が立っている。

 

──もう1人は少女の服とは対照的に、白と赤でシンプルに纏められた着物を着ている銀色の長髪を持つ女性である。少女と比べると淡白な外見であるが、凛とした佇まいは不思議と人を惹き付けている。

 その女性の前には機械的な見た目をした3体の鎧武者がいる。その内の1体で1番の巨体を持つ2本角の鎧武者は疲れてるのか膝を付いており、その左右には刀を手にする赤い鎧と、薙刀を構える紫の袴を着た2体の鎧武者達が空中で漂っており、更に白い文字で『BS』と書かれた黒いカードが伏せられている。

 

これは『バトルスピリッツ』。『スピリット』と呼ばれているモンスター達を召喚し、指示して戦わせるカードゲームだ。

 

 

「いっくよぉぉ! メインステップ!!

 

まずは君、『三月幼神マチルス・キッズ』召喚!」

 

 

 少女──チャレンジャーが手に持つカードの1枚を黒色の台に置いた。すると大きな猫の隣に丸い黄色のシンボルが現れ、それが砕けるとサンゴの様な装飾をした黄色のロボットがフィールドに立った。

 

 

「マチルス・キッズの召喚時効果!

 

デッキを上から4枚オープン! その中から煌臨を持つ黄色のスピリットカードを1枚手札に加えるよ!」

 

 

 台上に置かれた山札から4枚のカードが自動的に浮き上がって表側にめくられる。その中の1枚を見たチャレンジャーは歓喜の声を上げた。

 

 

「やったぁ! あたしはこの『ジークフリード・マッドハッター』を手札に加えて、残ったカードはデッキの下に!」

 

 

 チャレンジャーが選択したカードは彼女の手札に加わり、残されたカード達はデッキの下に送られた。そして──

 

 

「更にあたしはマチルス・キッズのもう1つの効果を使うわ!」

 

 

 マチルス・キッズがサンゴに似た杖を振るうと、チャレンジャーが新たに加えたカードが光りだした。

 

 

「1ターンに1度だけ、メインステップで黄色のスピリットカードを煌臨できる!

 

来て、あたしのキースピリット! 『不思議王(ワンダーキング)ジークフリード・マッドハッター』! ホワイトナイトジャックに煌臨ッ!」

 

 

 チャレンジャーの声と共に何処からともなく大量のトランプが現れ、白銀の騎士──ホワイトナイトジャックの周りを囲み始める。その後、トランプが吹き飛ばされ、ホワイトナイトジャックがいた場所には黄色の独特な帽子を被り、トランプのマークが刺繍された服を着た龍が立っていた。

 

 

『な、なぁぁぁんとぉぉぉ!!? 本来アタックステップでないと煌臨できないマッドハッターが、メインステップで煌臨したぁぁぁぁ!!』

 

 

「……………。」

 

 

 司会者の驚きの声と観客達がどよめく中、対戦相手のナツカゼはただ静かに相手のスピリットを眺めていた。

 

 

「更にマッドハッターをレベル3にアップ! そして行くよ、アタックステップ!

 

ジークフリード・マッドハッターで、アタック!!」

 

 

 チャレンジャーの指示を受け、マッドハッターは地面を蹴り鎧武者達がいるフィールドへ駆け出した。

 

 

「マッドハッターのアタック時効果!

 

手札かフィールドにある【アクセル】を持つカードをコストを支払わずに使えるわ! あたしは手札から『不思議王国(ワンダーランド)トランプ・グリフォン』のアクセルを使用して、系統[四道]を持つスピリット全てに『相手によって破壊された時、疲労状態でフィールドに残る』効果を与える!」

 

 

 チャレンジャーの手札にあった1枚のカードが光り、その輝きはマッドハッターと大きな猫に新たな力を与えた。そして使い終わったカードはチャレンジャーの前にあるカード達と同じ様に展開された。

 

 

「そして、この効果でアクセルを発揮したのでマッドハッターは回復!」

 

 

 マッドハッターが勢いよく迫って来るが、ナツカゼは動じる事なく見据えていた。

 

 

「更にエクレア・シフォン、レベル2の効果でマジックをノーコストで使う事ができるの。

 

よってフラッシュタイミング! マジック『神閃月下(RV)』!」

 

 

 相手が何もしてこないのを確認したチャレンジャーは、手札にあるカードの1枚を使用した。すると突如フィールドに満月が現れ、その満月の光を浴びた鎧武者達の身体が痺れ始めた。

 

 

『ああっと! 「神閃月下」の効果によりナツカゼのスピリット達が動けなくなってしまったぁぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 『神閃月下(RV)』はこのターンの間、黄色以外のスピリットはアタックとブロックができなくなる効果を持つマジックカードである。

 

 ナツカゼ率いる鎧武者達は白1色のスピリット。対してチャレンジャーのフィールドにいるスピリットは全て黄色1色。すなわち、ナツカゼのスピリット達だけが『神閃月下』の影響を受けてしまうのだ。

 

 

───ブロックが不可能となった以上、ナツカゼに勝ち目はない

 

 

 スタジアムにいる者達が皆、チャレンジャーの勝利だと確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──そう思った時だった。

 

 

「──フラッシュタイミング。」

 

 

「────ッ!!」

 

 

「マジック、『白晶防壁』を使用。使用コアは全て疲労状態のコンゴウより確保。よってコンゴウのレベルは2へとダウン。そしてマジックの効果により、チェシャーキャットを手札に。」

 

 

 ナツカゼのマジックカードから白い衝撃波が放たれ、その衝撃波を受けた水色の大きな猫──チェシャーキャットはチャレンジャーの手札に戻されてしまった。それと同時に、ナツカゼのフィールドにいる鎧武者の1つ──コンゴウは力を失ったかのようにさらなる疲労感を見せた。

 

 

「更に、マジック使用コストにソウルコアも使用したのでこのターン、私のライフは1つしか破壊できなくなります。」

 

 

「くッ……。なら別のプランに変更するまでよ!」

 

 

 自身のマジックが無駄になった事実をチャレンジャーは悔むが、彼女は既に別の作戦を用意していたのだ。

 

 

「フラッシュタイミング!

 

マッドハッターのアタック時効果、【煌革命】発動!!」

 

 

 マッドハッターが右手を掲げる。するとチャレンジャーの手札と手元にあるカードの内、4枚がマッドハッターの元へと集まっていく。そして、そのカードが消滅するとナツカゼの周りが黄色い光を纏い出した。

 

 

「マッドハッターの【煌革命】は、手札と手元にある系統[古竜]もしくは[四道]を持つ同じコストのスピリットカードを4枚破棄することで発動できる。その効果は次の【煌革命】まで相手のリフレッシュステップとアタックステップを入れ替える効果! つまりあなたのデカブツは次のターンアタックできないってこと! そしてマッドハッターの攻撃は終わってないよ!」

 

 

「そのアタックはライフで受けます。────ッッ!!」

 

 

 ジークフリード・マッドハッターは両手から光弾を作り出し、それをフウカに解き放った。その光弾はナツカゼの前に現れた水色の結晶体──ライフの1つを撃ち砕いた。

 

 

 

「これであたしは──「まだ終えるのは早いわ。」───え?」

 

 

「ライフ減少により、バースト発動ッ!」

 

 

 ナツカゼの声に呼応し、フィールドに伏せられていたカードが竜の姿を模した炎を纏いながら上空へと舞い上がり、竜の瞳に似た炎の球体へと変貌してゆく。

 

 

龍皇の名を冠する武竜よ! 魂に炎を纏わせ、天下無双の力を世に知らしめす時!

戦国龍皇(せんごくりゅうおう)バーニング・ソウルドラゴン』、レベル3でバースト召喚ッ!!

 

 

 炎を吹き飛ばして現れたのは、赤い和風の鎧を身に着け、2本の槍を手にした竜人だった。

 

 

『つ、遂に出たあぁぁぁぁぁあああッッ! ナツカゼのエーススピリットの1体、バーニング・ソウルドラゴンだあぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!』

 

 

 華麗に着地したバーニング・ソウルドラゴンが力強く咆える。歴戦の猛者と思わせるその姿に、観客達は息をする事も忘れて見惚れていた。

 

 

「バーニング・ソウルドラゴンは私のライフが3以下の時にバースト召喚が可能となり、その時、トラッシュのコアを全て自身に置く効果を持つ。よってバーニング・ソウルドラゴンはレベル4へとアップ!」

 

 

 スピリット達にとって力の源であるコアが更に追加されたバーニング・ソウルドラゴンは、槍を繋ぎ合わせて増大したパワーを見せつけるかのように振り回し、その切っ先を相手スピリット達へと向けた。

 

 

「ッう──、ターン、エンド……。」

 

 

 バーニング・ソウルドラゴンの覇気に押されたのか、チャレンジャーは声を振るわせながら自身のターンを終える宣言をした。

 

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ、そして【煌革命】の効果によりアタックステップへ。

 

バーニング・ソウルドラゴン、貴方のアタックでこのバトルを終わらせましょう。出陣ッ!!」

 

 

 主からアタックの指示が下り、バーニング・ソウルドラゴンは敵陣に突入する。

 

 

「ど、どれだけ強いスピリットでも、あたしのフィールドには3体ブロッカーがいるわ! 全員でアタックしてきてもブロックすればライフは守れ──」

 

 

「いいえ。貴女に次のターンはなく、また2回目のアタックもありません。バーニング・ソウルドラゴンッ! 貴方自身の魂を捧げて、秘伝の奥義を発揮しなさいッ!!」

 

 

 バーニング・ソウルドラゴンが槍を豪快に振るうと炎が勢いよく放たれ、その炎はマッドハッターとマチルス・キッズに命中する。すると、マッドハッターとマチルス・キッズの身体が赤い光に覆われたかと思えば、2体は急に動き出しバーニング・ソウルドラゴンへ同時にバトルを挑んだのだ。

 

 

「えッ!? ええッッ!!?!」

 

 

 自分は指示を出してもいないのに勝手に行動したスピリット達に困惑するチャレンジャーだが、フィールドの状況は止まる事はない。

 

 まずマチルス・キッズが果敢に杖で殴ろうとするが、体格差に物を言わせたバーニング・ソウルドラゴンの正拳突きで簡単に倒されてしまう。

 

 続けてマッドハッターがトランプカードを手裏剣の如く投げて攻撃するが、バーニング・ソウルドラゴンの口から放った炎のブレスでトランプは全て燃やされてしまう。圧倒的な力の差を思い知らされ後退りするマッドハッターに、バーニング・ソウルドラゴンは一気に距離を詰めて槍を突き刺す。致命的な一撃を受けたマッドハッターは弱々しい声を上げながら爆発した。

 

 

「う、嘘、でしょ……。」

 

 

「バーニング・ソウルドラゴンは、このバトルで勝利した数だけ相手のライフを破壊できる。勝利した数は2──よって貴女の残る2つのライフを全て破壊します。」

 

 

 キースピリットが破壊されたショックを受けるチャレンジャーにナツカゼは無慈悲な宣告を言い放つ。その言葉を待っていたかの様に爆煙の中から飛び出したバーニング・ソウルドラゴンはチャレンジャーの目の前に迫り、現れた2つのライフをその槍で斬り裂いた─────

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 

 

 

「……………。」

 

 

「───オイ。」

 

 

『バトル終了ぉぉぉぉぉぉおおおぉぉッッ!!! 勝者はナツカゼだァァァァッッ!!』

 

 

「……………。」

 

 

「……オイ。」

 

 

『「白晶防壁」でライフを守り、エーススピリットの召喚、まるで最初から【煌革命】が来るのを読んでいたかの様な鮮やかなプレイングで見事な──』

 

 

「聞こえてんのかレン!!」

 

 

「──うん? どうした?」

 

 

 『レン』と呼ばれた青年は動画を止めて、携帯の画面から目の前で座っている幼なじみに視線を移した。

 

 

「『どうした?』じゃねぇよ! 俺の夏休みの宿題を早く片付けろ! なんで途中から動画見てんだよ! タダ飯食わせる為にファミレスに連れてきたんじゃねぇぞ!!」

 

 

「いやお前の宿題、渡された分はもう終わったし、暇だったし……。」

 

 

「だったら残りも手伝えよ!」

 

 

「ええ、面倒くせぇ。」

 

 

「なあ……。俺たち、友達だよな?」

 

 

「人が気持ちよく寝てた時に急に叩き起こす奴を友達と思いたくないんだけど……。」

 

 

「いいから早く! 初日に全部終わらせて後の休みをゲームに費やすためにも!」

 

 

「ハァ──。わかったよ……。」

 

 

 文句を言いながらもレンは幼なじみの頼みに応じ、彼の宿題を手伝うのだった。

 

 

 

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