バトル描写は初めてなのでミスとかがあると思います。そこらは暖かい目で見て欲しいです。
「はぁ〜終わった終わった。ホンット助かったぜ、レン。」
「手伝った分奢ってくれたから気にするな──と言いたいけど、いずれ叩き起こしに行くから覚悟してろよ。」
「寝てたところを無理やり起こしたのまだ根に持ってたのかお前……。」
丁度正午を過ぎた頃。何処にでもある住宅街で2人の青年が並んで歩いていた。2人の名は『
「ところでレン。帰ったら『BS.O』に入るのか?」
『BS.O』──バトルスピリッツ・オンラインの略称で、簡単に言ってしまえばオンラインゲームである。VRを駆使したゲーム空間内に意識を移し、その中でバトスピを行うゲームだ。
「うん。アップデートはもう終わってるだろうし、帰って飯とかの準備が終わったらログインするつもり。」
「それじゃあBS.O内で合流するか。集合場所はいつも通り噴水がある広場でいいな?」
「了解、じゃあまた。」
そう言ってレンとジュンは手を振りながら自分の家へ帰った。
◇ ◆ ◇
「ただいま。」
「あ、レン
家に帰ってきたレンがリビングへ向かうと、机に突っ伏しながらスマホをいじる少女がいた。
彼女は『雨凪 ヒカリ』。レンの妹である。
「何してんの?」
「BS.Oのアップデートされた情報の確認。新しく追加されたクエストとか報酬のカードとか、色々。今から友達と攻略するから!」
「お前もジュンも、それぐらい勉強も頑張って欲しいもんだ……。」
「え〜。」と文句を言うヒカリを余所に、レンは冷蔵庫の前に立ち中を確認し始める。
「晩飯、適当に作っとくぞ。どうせ長時間ログインするんだろ?」
「勿論、レン兄ありがとう! じゃ、私は先にログインするから!」
そう言い、ヒカリは自分の部屋へと戻っていった。
「まったく、世話のかかる妹だ。」
愚痴を言いながらも、笑みを浮かべながらレンはヒカリの晩ご飯を作り、自身もゲームにログインする為に自室へ向かった。
◇ ◆ ◇
「───。………、よし、問題ないな。」
ゲーム空間内でレンは目を開け、直ぐにアバターが自身の意思にそって動いているかと、服装が前回ログアウトしたままの服装であるかを確認した。因みに肝心の服装だが、上から笠、胴着、帯に袴といった和風の出で立ちである。
自分の身体が問題ない事を確認したレンは辺りを見渡す。そこには様々な見た目をしたゲームアバター達が何人も街中を歩いており、プレイヤー同士で会話したり、色んな店に入ったり出てきたりと皆がそれぞれで楽しんでいた。
「さて、そろそろ──」
「ちょっと返してよ!」
「うん?」
集合場所へ向かおうと時、女の子の声が聞こえてきた。レンは声のした方を見ると、そこには女の子と男の子に、少し老けているガラが悪そうな見た目をした男の3人がいた。
「何言ってやがる。勝った方は負けた奴のデッキを渡すのが賭けだっただろう?」
「ふざけないで! 弟は今日このゲーム始めたばっかだし、バトスピも初心者なのよ! なのに私がいない間に不当な賭けバトルをしてくるなんて──」
「ね、姉ちゃん……。でも、負けたのは事実で──」
「そんな事言っていいの!? せっかく手に入れたレアカードを奪われて本当にいいの!? 私は絶対に思わない!
あんた! 弟のデッキを賭けて勝負よ!」
女の子は自分のデッキを取り出し、男に勝負を申し込んだ。が、男は余裕を笑みを浮かべながら言った。
「ハッ、じゃあお前はこのデッキと対等な物を賭ける事になるが、一体何を賭けるつもりだ? お前のデッキか?」
「そ、それは……。
(私のデッキのレア度は低い。そもそもあいつにしてみればわざわざ勝負に応じる必要が……)
「俺と戦え。」────え?」
女の子が後ろを振り向くと、そこには先程まで静観していたレンがデッキを掲げながら立っていた。
「なッ!? テメェ、何者──「俺に勝ったら俺のデッキをやろう。ただし、俺が勝ったら彼のデッキは返してもらう。それで良いな?」──良くねぇわ! なんで話しを勝手に進めてるんだよ!?」
「どうした? 負けるのが怖いのか、オッサン。」
「オ!? 俺はオッサンじゃねぇ、まだ14だ! アバターがオッサンみたいな見た目だけだ!」
「なんだ、年下だったのか。なら年上には敬意を払う必要があるってお母さんから教わらなかったのか?」
「バ、バカにしやがって! いいだろう。その鼻を明かしてやる!」
男はレンの挑発に乗せられバトルを受理した。
「あ、あんた! これは私達の問題なのよ!? なのに自分のデッキを賭けてまでどうして!?」
女の子はレンに詰め寄る。そんな彼女に対し、レンは笑いながら言う。
「気にするな。これは俺がやりたくてやってるんだ。後、俺の名前は『あんた』じゃない。俺のプレイヤーネームは『アマト』だ。」
レン──否、アマトと男は互いを見据え同時にある言葉を叫んだ。
「「ゲートオープン、界放!!」」
すると2人の前の空間が裂けて光のゲートが現れる。彼らはそのゲートに迷う事なく飛び込んだ。そしてゲートに入った2人が辿り着いたのは荒野に似た地面が広がる丸いフィールドだった。
『だ、大丈夫なのかな? あの人。』
『そんなの、私に聞かれても……。』
フィールドの上空にあの姉弟達が映る映像が現れる。スタジアムではない場所でのバトルでの観戦はこの様な形でできるのだ。
そんな彼女達はアマトの実力を知らないので不安を抱いていた。
「先攻後攻はバトルを申し込まれた方が決める。だからお前が決めろ。」
「言われなくてもわかってる! 俺が先攻だ!
スタートステップ!
ドローステップ!(手札4→5)
メインステップ! まずは『ブレイドラ
(手札5→4 リザーブ4→3)」
ブレイドラX
【レベル1 BP1000 コア1[ソウルコア]】
フィールドに赤のシンボルが現れ、それが砕けると黄色い羽毛に覆われ、小さな翼を持った小型の竜が召喚された。
「次に『
(手札4→3 リザーブ3→0)」
煌星第五使徒 テティス
【レベル1 BP3000 コア1】
次に現れたのは水色の鎧を纏った赤い竜人が召喚される。そのスピリットを見た女の子は声を荒げた。
『ちょ、ちょっとそれ、弟のデッキじゃない!』
「今は俺のデッキだ! あいつより俺の方が使いこなせれる事を見せてやる。ターンエンド!」
悪びれる様子を見せず男は最初のターンを終えた。
「俺のターン。スタート──『なーに遊んでんだアマト!!』──スわッッと!? って、スティール!?」
いきなり声を掛けられ驚いたアマトが目にしたのは上半身を露出し、白いズボンを着た男が映っている映像だった。
彼の名は『スティール』。リアルでアマトの友人であるジュンのアバター名だ。
『ったく。何やら面白そうな事をやってると思って見れば、その渦中にお前がいるとはな……。』
「あー、その〜。……ゴメン。」
『ま、だいたいの事情は察してるから、さっさと終わらせろよ。』
「ああ、わかってるさ。──ンンッ! スタートステップ!」
アマトは咳払いし、改めて自分のターンを開始する。
「コアステップ。(リザーブ4→5)
ドローステップ。(手札4→5)
メインステップ。ネクサス、『スサノヲの轟天神殿』を配置!
(手札5→4 リザーブ5→1)」
アマトが台上に1枚のカードを置いた瞬間、フィールドに変化が訪れる。
アマト側のフィールドの地面が人工物でできた物に変わり、アマトの背後には巨大な社が何処からともなく現れたのだ。
「なッ!? なんだあれは!?」
『これが、ネクサス……。』
『神殿のネクサス!? も、もしかしてあの人──。』
『お? 嬢ちゃんは察したみたいだな。』
配置されたネクサスを見た4人は色んな反応を見せる中、アマトは続けて手札のカードを1枚抜き取った。
「『スサノヲの轟天神殿』には赤と青のシンボルがある。よって軽減を全て満たし、ソウルコアでコストを支払い、
(リザーブ1→0 手札4→3)」
アマトの背後に今度は光が集まり出し、その光は人の形を成していく。
そうして顕現したのは金色の鎧を身に着け、大きな剣と刀を持つ筋肉質な肉体の大男だった。
「グ、グラン、ウォーカーだと……!?」
『「グランウォーカー」、ってなんなの姉ちゃん?』
『え!? ええっと……。』
『ああ、まあ簡単に言えばバトスピの世界の神様だよ。』
『神様……。』
フィールドに降り立ったスサノヲは不適な笑みを浮かべ、相手フィールドにいる2体のスピリット達を見下ろす。その威圧感に相手スピリット達は怯え出す。
「俺のフィールドに同名の創界神ネクサスが無いため、配置時の
スサノヲが手をかざすとアマトのデッキから3枚トラッシュに置かれる。トラッシュに置かれたカードは以下の3枚だった。
【コスト5 系統[地竜]】
ゴッドシーカー パラサノカンナギ
【コスト3 系統[地竜]】
【コスト6 系統[地竜]】
「その中にスサノヲの神託対象となるコスト3以上の系統[地竜]、[海首]、[天渡]、[化神]を持つカードがあれば、1枚につきスサノヲにコアを1つ置く。今回は全てコスト3以上の系統[地竜]を持つスピリットだったのでコアを3チャージ!
(スサノヲ0→3)
これでターンエンドだ。」
アマトはこのターン、スピリットを出さずにネクサスを配置するだけに留めた。その為彼のフィールドはがら空きも当然だが、男の顔には創界神を見たせいか少し焦っていた。
「お、俺のターン。スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ0→1)
ドローステップ。(手札3→4)
リフレッシュステップ。(リザーブ1→3)
メインステップ、『ブレイドラX』をもう1体召喚!
(手札4→3 リザーブ3→2)
そしてネクサス『百識の谷』を配置。
(手札3→2 リザーブ2→0)」
ブレイドラX
【レベル1 BP1000 コア1】
男は2体目のブレイドラXを召喚し、更に彼の後ろに巨大な谷が現れる。ドローを強化する効果を持つネクサスである。
「(あいつ、創界神使いだったのかよ。だがあいつのフィールドにはスピリットは居ねぇ。なら今の内に叩く!)
アタックステップ! テティスでアタック! アタック時効果でワンドロー!
(手札2→3)」
テティスが飛翔し、アマトのライフを狙って真っ直ぐに突っ込んで行く。
「ライフで受ける! ──ッ!!
(ライフ5→4)」
「続けてブレイドラXでアタック!」
「これもライフで受ける!
(ライフ4→3)」
「ターンエンド!」
1体のブレイドラのアタックもライフで受け、このターン、アマトのライフは2つ削られてしまった。
『ちょ、ちょっと!? ライフが2つ破壊されてるじゃないの!』
『落ち着けよ。何事も下準備が重要だ。あいつからすればライフが減ってからが本番だ。』
女の子がキレ気味にスティールに言い寄るが、スティールは余裕の表情をしていた。
「スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ2→3)
ドローステップ。(手札3→4)
リフレッシュステップ。(リザーブ3→8)
メインステップ。バーストをセット!
(手札4→3)
次にマジック、『護国ノ威光』を使用! デッキから3枚ドローし、その後、系統[地竜]、[海首]を持つスピリットカード1枚か、それ以外の3枚を破棄する。俺は[地竜]を持つカード、『兜竜パキケロウ』を破棄する。
(リザーブ8→7 手札3→4)
そして『ディモルフォノスケ』を召喚!
(リザーブ7→5 手札4→3)」
ディモルフォノスケ
【レベル1 BP3000 コア1[ソウルコア]】
アマトのフィールドに召喚されたのは緑色の体色に鎧を身に着けている翼竜の様なスピリットだ。
「ディモルフォノスケはコスト3の[地竜]、よってスサノヲに神託!
(スサノヲ3→4)
そして召喚時効果発揮! 相手のネクサスを1つ破壊!」
ディモルフォノスケが口から火球を放つ。その火球は一直線に飛んでいき、『百識の谷』を燃やし尽くした。
「くッ、ネクサス破壊か!」
「更に、俺のフィールドに青のシンボルがあるので【
(ディモルフォノスケ1→2)」
『スサノヲの轟天神殿』とスサノヲから青い光が放たれる。その光はディモルフォノスケにさらなる力を与えてコアを増やした。
『1回の効果で相手のネクサス破壊だけでなく、召喚に使われたコアも実質無かった事にしたの!?』
「まだいくぞ。ディモルフォノスケに追加されたコアを使い『
(リザーブ5→3 ディモルフォノスケ2→1 手札3→2 スサノヲ4→5)
そしてエルリコショウをもう1体レベル2で召喚。更にスサノヲに神託!
(リザーブ3→0 手札2→1 スサノヲ5→6)」
地爪竜エルリコショウ
【レベル2 BP5000 コア2】
地爪竜エルリコショウ
【レベル2 BP4000 コア2】
次にアマトが召喚したのは細長い爪が生えた小型の恐竜だ。そのエルリコショウ達が召喚された事で、コアが5つ以上乗ったスサノヲから強力なオーラが放たれ始める。
「アタックステップ! この時、エルリコショウのレベル2の効果を発揮! 自分のアタックステップ、系統[地竜]、[海首]を持つスピリット達のBPを3000アップする! レベル2のエルリコショウが2体いるので合計6000アップだ!」
エルリコショウ達が遠吠えをするとアマトのスピリット達が赤く光り出し力強く咆える。
ディモルフォノスケ【BP3000→9000】
エルリコショウ(レベル2)【BP5000→11000】
エルリコショウ(レベル2)【BP5000→11000】
「エルリコショウでアタック! エルリコショウのアタック時効果によりデッキから1枚ドロー!
(手札1→2)」
アマトが指示を出すと、1体のエルリコショウが勢い良く走り出す。
「ライフで受ける! ──グヴッ!!
(ライフ5→4 リザーブ1→2)」
エルリコショウがその長い爪で相手のライフを引き裂く。
「もう1体のエルリコショウでアタック! アタック時効果で更にドロー!
(手札2→3)」
「まだ来るかッ! ブレイドラX、ブロックしろ!」
続けて別個体のエルリコショウがアタックするが、ブレイドラXが立ち塞がる。しかし素のBPですら劣るブレイドラでは勝ち目はなかった。エルリコショウはすれ違いざまに自身の爪でブレイドラXを切り裂いた。
「へっ。ライフを守れる時は守るもんだぜ?」
「それはどうかな?」
「……何?」
「この瞬間、スサノヲのレベル2の
「なっ!?」
スサノヲが剣をゆっくりと持ち上げ、豪快に振り下ろす。その勢いで衝撃波が生まれ、男のライフを1つ破壊した。
「グアあぁッッ!!
(ライフ4→3 リザーブ2→3)」
『凄い、ブロックされてもライフを削った!』
『アマトって人のフィールドにはあとスピリットが1体いる。これならライフを更に1つ──「これでターンエンド。」
──って、え? アタックしないの?』
『次のターンに備えたんだよ。ディモルフォノスケでアタックしてもライフを全て削り切るのはできない。なら相手に少しでもコアを増やさないで置くのが懸命だ。』
ライフは破壊されれば、次以降に使えるコアとなる。つまりライフが減れば減るほど使えるコアが多くなるのだ。
「クソッ! スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ3→4)
ドローステップ。(手札3→4)
リフレッシュステップ。(リザーブ4→6)
メインステップ。よくもやりやがったな。だが、コイツらが来た時点で俺の勝ちだ! 俺のライフを1つトラッシュに置く! ッッゥ!! ──こ、これで、手札にあるコイツをコスト3として扱って召喚する! 『
(ライフ3→2 手札4→3 リザーブ6→4)」
フィールドの空が暗雲に包まれ、その暗雲から黒い雷が落ち大地を抉る。その割れ目から現れたのは悪魔の様な角を持つ黒いドラゴンだった。
黒皇龍ダークヴルム
【レベル1 BP4000 コア1】
「そしてこのカードのコストは俺のライフと同じ数になる! 来いッ! 『
(手札3→2 リザーブ4→1)」
男の背後からゆっくりと赤い竜──ジークヴルムが姿を現しフィールドへ降り立つ。
雷皇龍ジークヴルム(RV)
【レベル2 BP7000 コア3】
『ぐぬぬぬぬ……。』
弟のキーカードが別の者に使われている事が気に食わない様で女の子は悔しそうにしていた。
「さぁて、反撃と行くぜ。
アタックステップ! ダークヴルムでアタック! アタック時効果、BP5000以下のスピリット1体を破壊する! ディモルフォノスケを破壊しろ!」
ダークヴルムが口から黒いブレスを放ち、ディモルフォノスケが破壊されてしまう。
「覚悟しやがれ!」
「悪いがお前のアタックは止めさせてもらう。俺のスピリットが破壊された事でバースト発動!」
伏せられていたバーストがオープンされる。それは白い鎧に3つの首を持つ竜が描かれている青のカードだった。
「なっ! 破壊時バースト!?」
「『
ジークヴルムの足元に渦潮が出現し、その渦に足を取られ脱出しようともがくが、それも虚しくジークヴルムは渦に飲み込まれ破壊される。
「そしてこの効果発揮後、オオナムチハイドラをノーコスト召喚する! コア確保の為、エルリコショウ1体のレベルは1にダウン。そしてコスト3以上の[天渡]、[海首]を持つスピリットが召喚されたのでスサノヲに神託!」
(エルリコショウ2→1 スサノヲ6→7)
バーストカードが砕け散り現れたのは巨大な三つ首の竜だった。戦いの場に出れた事への喜びかオオナムチハイドラは大気を震わす程の咆哮を上げる。
護国龍オオナムチハイドラ
【レベル1 BP6000 コア1】
「そ、そんなスピリット1体だけで俺のスピリット達の攻撃を止められるとでも……。」
「誰がオオナムチハイドラで止めると言った? フラッシュタイミング!
大海より現れろ、双頭の青き戦士! 『
(手札3→2 リザーブ1[ソウルコア]→0)」
レベル1になったエルリコショウが地面から吹き出した水柱に包まれる。その水柱の中でエルリコショウの影が2つの首を持つ人型の影へと変化していく。そして槍で水柱を斬り裂き、エルリコショウから新たなスピリットとして生まれ変わったイサリビノツカサがその姿を見せた。
海将軍イサリビノツカサ
【レベル1 BP6000 コア1】
「神託対象のスピリットが煌臨したので再びスサノヲに神託!
(スサノヲ7→8)
そしてイサリビノツカサの煌臨時効果! コスト8以下のダークヴルム、そしてテティスの2体を破壊する!」
イサリビノツカサが自身の目の前に水球を作り出し、その水球を槍で突き刺すと水球から螺旋状に渦を巻く激流が撃ち出される。その激流は1つの生き物の様に動きながらアタック中のダークヴルム、そして後ろで待機していたテティスを貫き破壊した。
「次はお前のフラッシュタイミングだ。どうする?」
「…………。タ、ターン……エンド……。」
『────。』
『す、凄い……。』
圧倒的に不利な状況に追い込まれた男は自分のターンを終わらす事しかできなかった。逆に姉弟達はアマトのプレイングに完全に見惚れていた
「スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ0→1)
ドローステップ。(手札2→3)
リフレッシュステップ。(リザーブ1→6)
メインステップ。イサリビノツカサとオオナムチハイドラにコアを3つずつ乗せ、それぞれレベル3とレベル2にアップ! これによりイサリビノツカサのレベル3の効果が発動! 系統[地竜]、[海首]を持つ自分のスピリット全てに青のシンボルを1つ追加する!
(リザーブ6→0 イサリビノツカサ1→4[ソウルコア] オオナムチハイドラ1→4)」
エルリコショウ【赤→赤+青】
イサリビノツカサ【青→青+青】
オオナムチハイドラ【青→青+青】
イサリビノツカサが槍を上に掲げると上空に青のシンボルが3つ生み出される。そのシンボルはアマトのスピリット達の中に取り込まれ、全員ダブルシンボルのスピリットとなった。
「アタックステップ! エルリコショウの効果で系統[地竜]、[海首]を持つ俺のスピリット全てにBP+3000! 更にオオナムチハイドラのレベル2の効果も発揮! 系統[地竜]、[海首]を持つ俺のスピリット全てにBPを10000追加する。よって、BP合計13000アップ!」
エルリコショウ【BP5000→18000】
イサリビノツカサ【BP12000→25000】
オオナムチハイドラ【BP12000→25000】
エルリコショウの遠吠えに続き、オオナムチハイドラが雄叫びを上げる。2体の効果によってアマトのスピリット達は並みのスピリットを上回るパワーを手にする。
「び、BP、18000に25000ッ!?」
「アタックだ、オオナムチハイドラ!」
その巨体で大地を揺らしながらオオナムチハイドラが突進する。
「くっ! ここはブロックするしか──」
「そうはいかない!
フラッシュタイミング! スサノヲの
(スサノヲ8→5)」
スサノヲが前のターンの様に剣を振り下ろし、衝撃波を放つ。しかし今回の衝撃波はブレイドラXへと直撃し、呆気なく破壊されてしまう。そして何もいなくなったフィールドを突っ切って来たオオナムチハイドラはゆっくりと両前足を上げた。
「ラ、ライフで受ける……。」
敗北を悟った男の前に2つのライフが出現し、オオナムチハイドラは2つのライフを同時に破壊した。
「うわあァァァァァあああァァッッ!!」
◇ ◆ ◇
「さて、俺の勝ちだ。そのデッキを返してもらおうか。」
バトルフィールドから戻って来たアマトは早速デッキを渡す様に言う。
「く、クソッ! 覚えてやがれ!!」
男はデッキをアマトに投げ渡し、お決まりの捨て台詞を吐きながら逃げていった。
「……………、ほら。」
「あっ!」
「ええっと。……弟のデッキを取り返してくれて、ありがとう。」
「どういたしまして。それじゃあ行くか?」
「おう。新しいクエストに行こうぜ。」
「あ! あの!」
アマトとスティールが立ち去ろうとした時、不意に男の子が声を掛ける。
「ぼ、僕のプレイヤーネームはカイトって言います! アマトさん、本当にありがとうございました!」
「………。ああ、大事にするんだぞ。」
そう言って頭を下げたカイトにアマトは優しく笑い、手を振りながら去っていった。