「今回のクエストは盗賊退治だな。何でも村近くの山に盗賊のアジトができて、毎日被害が出てるらしい。ま、RPGじゃあ定番の依頼だな。」
「盗賊退治って、僕達武器とか持ってませんけど……」
「この世界での揉め事はバトスピで解決するんだよ。言ってしまえばデッキが他のゲームの武器や防具になる訳さ。」
「な、なるほど。」
「──ねぇ。どうしてカイト達もいるの?」
アマトが振り返るとそこにはカイト姉弟がいた。実はデッキを取り返してもらった後、2人はアマト達に無断で付いて来たのだ。
「別にいいじゃない。『思い立ったが即、行動』って良く言うでしょ?」
「姉さん、それちょっと違うよ……。」
「俺は嬢ちゃん達がいても気にしないぜ。このクエストも極端に難しいもんじゃねぇしな。」
「うんうん、話がわかる──って、『嬢ちゃん』って何よ『嬢ちゃん』って!? 私には『モモミ』って名前があんのよ!」
「ハイハイ、わかったわかった。だからそうカリカリすんな嬢ちゃん。(ポンポン)」
「ムッキーー!! 絶対わかってないでしょッ! あと頭をポンポンすなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
隣でスティールとモモミがギャーギャー騒ぐ中、カイトがアマトに話しかけた。
「す、すみません。でも、アマトさんのバトルをもっと見たいんです。僕のデッキの参考にしたくて。」
「なるほど。悪いけど、君のデッキだと俺のデッキでは参考にならないと思うぞ?」
カイトの願いに対し、アマトはハッキリと切り捨てた。
「え!? どうしてですか? 同じ赤色のデッキなのに……。」
「確かに赤だが俺のデッキには半分ぐらいしか入っていないし、赤のカードと同じぐらい青のカードも入ってる。そして俺のデッキは赤と青、2つの色のカードを使いこなす事で真価を発揮する。
だから多色デッキは1色のデッキとは根本的に立ち回り方に違いが出るから参考にならないという訳だ。」
そう言い放ちアマトは歩く速度を早め、カイトから距離を離した。
「なによ。アドバイスぐらい教えてくれてもいいじゃない。」
「仕方ねえさ。あいつは他人にモノを教えるのが苦手なんだよ。『技術は学ぶより見て盗め』、がモットーだしな〜。けど気にしなくていいぜ。本当に嫌ならバッサリと言い切る奴だから。」
「だと良いんですけど。」
「それにクールぶってるけど、あいつ所々抜けてるんだぜ。この前なんか世間話をしてたはずなのにいつの間にか彼女との惚気け話に──」
「スティール。」
スティールはアマトの恥ずかしい話を始めようとするが、急に本人から声を掛けられる。スティールは冷や汗を掻きながら、乾いた笑みでアマトに顔を向けた。
「お、おお。どうした、相棒……? 言っとくが俺はまだ何も──」
「目的地の村ってあれか? 何か襲撃されているぞ。」
アマトが指差した所には黒煙が立ち上る小さな村があった。
◇ ◆ ◇
4人が急いで村に辿り着けばそこには逃げ惑う村人と、その村人達を追う鎧を身に纏った盗賊達がいた。
「そこまでよあんた達! この村をこれ以上荒らさないでくれる!?」
モモミが果敢に叫ぶと、NPCである一部の盗賊達がアマト達の存在に気づく。
「ああ? なんだこのチンチクリンは?」
「チッ、チンチ!?」
「NPCにまでチビ扱いされるとは悲しいな。」
「うっさい!!」
モモミがスティールに弄られてる事など気にせずアマトは盗賊達に話しかける。
「俺達は依頼を受け、お前ら盗賊団を捕まえに来た。大人しくしろ──って言ってもどうせ意味は無いか。」
「ハッ! 当たり前だ! それに俺達を誰だと思ってる? 泣く子も黙る『地竜軍』だぜ!」
「「「ウオオォォォォォォォォッッ!!」」」
「……は?」
「ち、地竜、軍?」
「「ダサッ。」」
リーダーらしき者から団名を聞かされたアマトとカイトは唖然とし、スティールとモモミは呆れた顔で全く同じ事を呟いた。
「うるせぇ! 文句があるなら勝負しろ! 俺の部下4人とお前ら4人、1対1のタイマンだ! やってしまえ!」
「「「「応ッ!」」」」
「やっぱりこうなるかぁ。」
「というか、私達もバトルするの!?」
「文句言ってねぇで準備しろ。相手は待ってくれないぞ!」
「は、はいっ!」
地竜軍のリーダーの後ろからデッキを構えた4人の下っ端が現れる。それを見たアマト達もそれぞれのデッキを取り出し、戦いの準備をする。そして────
「「「「「「「「ゲートオープン、界放ッ!!」」」」」」」」
◇ ◆ ◇
「へっ! 何処の馬の骨か知らねえが俺達に盾突いた事を後悔させてやる!」
「あっそう、勝手にすれば? (さて──)」
バトルフィールドへ移動し、下っ端の言葉を軽く聞き流したアマトは自身の手札を確認する。
「(向こうがバトルを申し込んできたから先攻後攻を決めれる権利はこちらにある。が、先攻で直ぐに使用できるカードが手札に無い。ドローに賭けるのも手だけど今回は──)
俺は後攻を取る。」
「なら俺のターン! スタートステップ。
ドローステップ。(手札4→5)
メインステップ。『イグア・バギー』を召喚。
(リザーブ4→1 手札5→4)」
イグア・バギー(RV)
【レベル2 BP3000 コア2[ソウルコア]】
下っ端が最初に召喚したのはその名の通り、バギーの様な足を付けたイグアナのスピリットだ。そのスピリットを見たアマトの第一声は……。
「『
「まっ、まだ1体しか出してないのに決めつけんな! ターンエンド!」
慌てながら否定した時点で答えたもんでしょ──と、アマトは考えながらため息をついた。
「俺のターン、スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ4→5)
ドローステップ。(手札4→5) ──うん?
…………そっか、今回はフィールドに出たいのか。ならお前に任せた!
メインステップ! 『ゴッドシーカー パラサノカンナギ』を召喚!
(リザーブ5→1 手札5→4)」
ゴッドシーカー パラサノカンナギ
【レベル1 BP3000 コア1[ソウルコア]】
アマトのフィールドに現れたのは頭に一本の大きなトサカを生やし、木の枝を手に持つ竜人だった。
「パラサノカンナギの召喚時効果! 俺のデッキを上から3枚オープン!」
パラサノカンナギが祈る様に枝を掲げるとアマトのデッキから3枚カードが開かれる。オープンされたカードは以下の3枚であった。
[創界神・アマハラ]
地獄金棒ゴクソツ
[神話・霊装・天渡]
ディモルフォノスケ
[地竜]
「オープンされたカードの中にカード名『創界神スサノヲ』と系統【天渡】、【化神】を持つ赤、青のカード1枚を手札に加える。今回は『創界神スサノヲ』と【天渡】を持つ赤のカード『地獄金棒ゴクソツ』を手札に加える。そして残った『ディモルフォノスケ』はデッキの上に戻す。
(手札4→6)」
ゴッドシーカー──
直訳すれば『神を探す者』、すなわち創界神を探すスピリット。その名の通り、効果でアマトのデッキにおけるキーカードのスサノヲを見事にサーチしたのだ。
「チッ! テメェ、創界神使いだったか!?」
「そういう事だ。更にパラサノカンナギのもう1つの効果を発揮! メインステップの間、自身に青のシンボルを2つ追加する。」
次にパラサノカンナギが枝を振るうと何処からともなく青のシンボルが2つ現れ、パラサノカンナギの頭上で周りながら浮遊する。
「さあ、行こう。『創界神スサノヲ』を配置! 同時に
(リザーブ1→0 手札6→5)」
アマトの後ろに赤と青、2色の色を持つ創界神ネクサス『スサノヲ』が顕現する。そして配置時の神託によりアマトのデッキから3枚のカードがトラッシュに置かれる。
ディモルフォノスケ
【コスト3 [地竜]】
スサノヲの轟天神殿
カイエンハイドラ
【コスト5 [海首]】
「対象となるカードは2枚、よって2チャージ!
(スサノヲ0→2)
これでターンエンド。」
アマトは最初のターン、アタックせずに終了した。
「攻撃して来ねえならこっちから行かせて貰うぜ! スタートステップ!
コアステップ。(リザーブ1→2)
ドローステップ。(手札4→5)
リフレッシュステップ。(リザーブ2→3)
メインステップ。イグア・バギーをもう1体召喚!
(リザーブ3→1 手札5→4)
アタックステップ! イグア・バギーでアタック!」
イグア・バギー(RV)
【レベル2 BP3000 コア2】
下っ端は2体目のイグア・バギーを召喚、そのままアタックの指示を下した。
「ライフで受ける!
(ライフ5→4)」
「ターンエンドだ。」
イグア・バギーは4つのタイヤを駆使し、アマトのライフを1つ削る。しかし下っ端はさらなる追撃をせずにターンを渡した。
「スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ0→1)
ドローステップ。(手札5→6)
リフレッシュステップ。(リザーブ1→5)
メインステップ。パラサノカンナギの効果により青のシンボルを再び追加。更にスサノヲの効果。自身のシンボルを赤、青として扱う。この効果により、スサノヲのシンボルを赤に変更! よって全ての軽減を満たし、『兜竜パキケロウ』をレベル2で召喚!
(リザーブ5→1 手札6→5)」
【レベル2 BP7000 コア3】
パラサノカンナギとスサノヲの効果を駆使してアマトは丸い石の様な変わった頭部を持つ竜を召喚した。
「神託対象が出たのでスサノヲに神託。
(スサノヲ2→3)
次に
(リザーブ1→0 手札5→4)」
地面が割れマグマが吹き出すとその中からゆっくりと、黒く短い棘が無数に付いた金棒が現れる。その金棒をパキケロウは器用に尻尾で絡め取ると、全身の甲殻にゴクソツと同じ棘が生えだす。
ブレイヴとはスピリットと合体する事ができるカードだ。その姿は生物や機械生命体に剣と銃、はてには戦いには向いてない物などスピリット以上に多様性である。
兜竜パキケロウ[ブレイヴスピリット]
【レベル2 BP10000(7000+3000) コア3】
「お前の力、頼らせてもらうぞパキケロウ。
アタックステップ! 行け、ブレイヴスピリットッ!」
地面を数回蹴り付け、パキケロウは勢い良く飛び出す。
「パキケロウのレベル2、3のアタック時効果! 俺のデッキを1枚オープンし、そのカードが赤のカードならBPを10000加算、青のカードならばコアを2つパキケロウに追加させる。」
パキケロウの力によって、アマトのデッキから1枚オープンされる。そのオープンされたカードは『護国ノ威光』。
「今回は青のマジック、『護国ノ威光』。よってパキケロウに2コアブーストし、オープンされたカードは手札に加える。
(パキケロウ3→5 手札4→5)
続けてゴクソツのブレイヴアタック時効果! ブレイヴスピリットのBPを+3000し、ワンドロー!
(手札5→6)」
パキケロウ〈ブレイヴスピリット〉
【レベル3 BP15000(9000+3000+3000) コア5】
自身の効果とゴクソツの効果でパキケロウは一気に力を高めていく。
「そしてゴクソツには赤のシンボルがあるのでブレイヴスピリットはダブルシンボルだ!」
「ここはライフで受ける! ──グガッ!!
(ライフ5→3)」
「ターンエンドだ。」
パキケロウが尻尾で保持しているゴクソツを振り回し、下っ端のライフを2つ破壊した。
「スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ3→4)
ドローステップ。(手札4→5)
リフレッシュステップ。
メインステップ。ダークバイソンを召喚!
(リザーブ4→0 手札5→4)」
ダークバイソン
【レベル1 BP4000 コア1】
下っ端は新たに牛を模した黒い金属生命体を召喚する。そして彼はニヤッと笑みを浮かべた。
「アタックステップ! 一気に勝敗を決めてやれ! 総攻撃だ!」
下っ端のスピリット達が一斉に走り出し、アマト側のフィールドへ突っ込んでいく。
「(一気にライフを削るつもりかッ!)
フラッシュタイミング! パラサノカンナギ、お前のコアを使わせてもらうぞ。ソウルコアをトラッシュに置き、
(手札6→5 パラサノカンナギ 1[ソウルコア]→0)」
パキケロウがゴクソツを上空へ放り投げた瞬間、足元から吹き出した炎に包まれる。そして下へ落ちてくゴクソツを尻尾でキャッチし、炎の中から現れたのは青い首長竜だった。その代わりにパキケロウの隣にいたパラサノカンナギはコアが全て無くなり消えてしまう。
鎧要塞バロザウルノヌシ〈ブレイヴスピリット〉
【レベル3 BP15000(12000+3000) コア5】
「バロザウルノヌシの煌臨時効果により、BP10000以下の相手スピリットを2体破壊する! イグア・バギー2体を破壊!」
バロザウルノヌシはその長い尾を振り回し、アマトのライフを狙う2体のイグア・バギーを薙ぎ払う。だが、その攻撃を掻い潜りダークバイソンがアマトのライフを砕く。
「──ッッぅ!
(ライフ4→3)」
「ちっ! ターンエンド。」
ライフを1つしか破壊できなかった事に苛立つ下っ端。しかし、直ぐに彼の顔は余裕の表情へと戻る。それに対しアマトは険しい表情だった。
「(スピリット全員でアタックしてきたという事は次のターンを凌ぐ手段がある可能性が高い。このターン、アタックすべきか、防御に徹するべきか──)
……、スタートステップ。
コアステップ。(リザーブ1→2)
ドローステップ。(手札5→6)
──ッ!」
デッキから引いたカードを見たアマトは一瞬目を見開き、苦笑いを浮かべた。
「全く、カイトに言ったばっかなのに今回は赤のスピリットだけを使う羽目になるなんてね。
リフレッシュステップ。(リザーブ2→5)
メインステップ。スサノヲの効果によりシンボルを青に変更し、ディモルフォノスケを召喚!
(リザーブ5→3 手札6→5)」
ディモルフォノスケ
【レベル1 BP3000 コア1[ソウルコア]】
アマトのフィールドに翼竜に似た地竜、ディモルフォノスケが召喚される。
「スサノヲに神託し、ディモルフォノスケの召喚時効果! 破壊するネクサスは存在しないが青のシンボルが存在する為【
(スサノヲ3→4 ディモルフォノスケ1→2)
そしてリザーブのコア全てをブレイヴスピリットに追加!
(リザーブ3→0 バロザウルノヌシ5→8)
アタックステップ! ブレイヴスピリット、ブレイヴアタック! ゴクソツのアタック時効果でBP+3000し、1枚ドロー!
(手札5→6)」
ゴクソツを振り回し、バロザウルノヌシが動き出す。しかしその姿を見ても余裕の態度を崩さない下っ端は、手札から1枚のカードを取った。
「フラッシュタイミング!
マジック、『ブリザードウォール』ッ!」
下っ端が手に取ったカードを使うと、彼の周囲が吹雪に包まれていく。
「このターン、俺のライフはブロックされなかったスピリットのアタックでは1しか減らされなくなる! これでこのターンは確実に生き残れるぜ!
(リザーブ4→0 手札4→3)」
ガッツポーズをし勝ち誇った表情をする下っ端を見たアマトは、不敵な笑みを浮かべた。
「『ブリザードウォール』ならこちらの勝ちだ。フラッシュタイミングッ!
怒れる暴君よ! その力を解き放ち、我が敵に滅びを与えよ!
アマトが1枚のカードを天に掲げると、スサノヲの背後からゆっくりと巨大な影が現れる。その影は跳躍してフィールドに着地すると、その巨体に似合わぬ速度で走り出しバロザウルノヌシと一体化した。
するとバロザウルノヌシに変化が訪れる。4本足から2本足へ。鮮やかな青い色が禍々しい赤色へ。1つだった顔が2つに──
『『ヴヴヴッッ………。
ゴガア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァァァァァァアアアアッッッ!!!』』
そして完全にバロザウルノヌシの面影が消えた時、スーパーディラノスはフィールドに亀裂が走る程の怒号を上げた。
「──ッッ!! こ、煌臨だとッ!?」
「煌臨のコストの為、ディモルフォノスケのソウルコアをトラッシュへ! 続けてスサノヲに神託!
(スサノヲ4→5)
更にスーパーディラノスの効果! 系統【地竜】、【皇獣】を持つ俺のスピリット全てのBPを10000アップさせる!」
ディモルフォノスケ
【レベル1 BP13000(3000+10000) コア1】
スーパーディラノス〈ブレイヴスピリット〉
【レベル3 BP38000(22000+3000+3000+10000) コア8】
スーパーディラノスから放たれるオーラがディモルフォノスケに更なる力を与えていく。
「今更どれだけBPを上げようが意味はねぇぜ! それに俺のライフはマジックの効果で守られている!
ブレイヴスピリットのアタックはライフで受ける!
(ライフ3→2)」
スーパーディラノスが尻尾から右手に持ち替えたゴクソツで下っ端のライフを破壊するが、『ブリザードウォール』によって本来2つ破壊されるライフが1つしか削れなくされた。
「煌臨は焦ったが、所詮はコケ脅しだった訳だな。」
「悪いけど、もうバトルは終わった。」
「──はぁ?」
「この瞬間、スーパーディラノスのレベル2、3の効果! バトル終了後、自身の煌臨元カード1枚につき相手のライフを1つ、トラッシュに置く! スーパーディラノスの煌臨元は2枚! よって、お前の残された2つのライフを砕く!」
「なっ!?」
スーパーディラノスから溢れ出る赤黒いオーラが2つの球体へと形を成してく。その2つの球体はそれぞれパキケロウとバロザウルノヌシの姿へと変化した。
「『ブリザードウォール』が守れるのはアタックによるライフ破壊のみ。効果によるライフ破壊は防ぐ事はできない!
行け、パキケロウッ! バロザウルノヌシッ!」
アマトの声に応じ、パキケロウとバロザウルノヌシが同時に駆け出す。2体は吹雪をものともせず一気に距離を詰め、パキケロウは石のように硬い頭部で、バロザウルノヌシは鞭のような尾で下っ端の2つのライフを破壊する。
「ぎ、ぎぃやぁああああぁぁぁぁぁぁ!!!
(ライフ2→0)」
◇ ◆ ◇
「ほっ! っと。」
バトルフィールドから戻って来たアマト。彼の目には腕を組んで立つスティールに、その場で膝を付いてるカイトとモモミが映った。
「スティール、この状況は?」
「負けて落ち込んでるらしい。で、勝てたのは俺とお前か。」
「ううっ……。」
「すみません……。」
スティールの隣に並び立ち、アマトは地竜軍のリーダーを睨み付ける。
「め、面目ねぇ、アニキ。」
「なーに、お前らのお陰でコイツらのデッキがどんなモノかわかったからな。」
「1回のバトルだけで俺達のデッキ全てを理解したと思ったら大間違いだぜ?」
「ハン! 1回勝ったぐらいで調子に乗んなよ。こっちにはまだバトルしていない奴らが10人も「それってこの人達のことだよね?」──はぁ?」
リーダーが後ろに振り向くと、そこには御手や胸当て等の軽装備を着けた2人の少女に忍者の様な恰好をした少女の3人がいた。その彼女達の背後にはボロボロの状態で地面に倒れ伏した10人程の男達も存在していた。
「なッッ!!?」
「へっ!? メイ!? なんでここに!?」
黄色の軽装備を身に纏っている少女を見たアマトは驚きの声を上げる。何故ならば、その少女はアマトのリアルの妹である雨凪ヒカリだからである。因みにプレイヤーネームは『メイ』である。
「ヤッホー、アマ
「応。……って! さりげ無く俺をハブるなッ!!」
「お、お前ら! 俺の部下をいつの間に!?」
「あ、この人達? アマ兄達に意識が向いてる間に全員倒したのよ! 私のデッキは速攻系だからサクッと片付けちゃった。」
メイにアッサリと言われ、地竜軍のリーダーは言葉を失ってしまう。そこへ忍び衣装を着た少女が口を開けた。
「それで、どうしましょうか〜? そちらは負けた方も含めてあと5人。私達は3人、いえ、アマトお兄さんを合わせて4──あ、ついでにスティールさんも合わせたら丁度5人になりますね! 1対1でバトルできますよ。(ニッコリ)」
「お前ワザと俺をのけ者扱いしたな!? したよね!?」
忍び衣装の少女は笑顔のままスティールの言葉を聞き流す。そんな彼女に白い軽装備の少女が口を尖らせて話し掛けた。
「もう、大切な味方のスティールさんで遊ばないの。そんな事してないで早く倒すわよ。」
「俺のフォローは嬉しいけどよ、『そんな事』だけで纏められるのは釈然としねぇ。」
「え? あッ!? ス、スミマセン! さっきの言葉に他意は無くって──!」
「ぐぐぐっ、ここは逃げるぞ!!」
「えっ、あっ!? ちょ、待って下さいよアニキィィィーー!!」
状況的に不利と感じたのかアマト達が喋っているスキを突き、地竜軍のリーダーが一足早く逃げ出す。それを見た残りの4人も後を追って逃げていった。
「あ、逃げられた。どうしょっかアマ兄?」
「ああ、うん。一先ずお互いの情報を共有してから追いかけよう。こういう場合、村人が盗賊のアジトを知っている可能性が高いから無理に追わなくても大丈夫と思う。」
「リョーカイ! それじゃあそっちの2人に自己紹介しとくね! というか、アマ兄が知り合い以外の人とパーティ組むなんて珍しいね。雪でも降るのかな?」
「……前々から思ってたがお前、実の兄に対して失礼な妹だな。」
頭を掻きながらため息を吐くアマト。そんな兄を気にせず落ち込むカイト達に元気よくメイが話しかけるのだった。