風の鳴る歌を翼にして光さすところまで   作:秋月玲

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CASE 11

オレが気を失ってから、翼はその場を去ったようだ。今はオレと装者5人は揃って入院している。

 

 

「体のほうはどうかしら?」

 

 

マリアを先頭にオレの病室にみんな入ってくる。

 

 

「まったく無茶しやがる」

 

 

「シンフォギアを受け止めるなんて無謀」

 

 

雪音や月読は呆れた顔を。

 

 

「なかなか起きないから心配したデス」

 

 

「本当びっくりしたんですよ?」

 

 

暁や立花は安心した表情を向けられる。

 

 

「それでも助かったわ。ありがとう」

 

 

マリアの言葉に合わせるように装者たちが頭を下げる。

 

 

「お互い生きてるんだ。それでいいだろう」

 

 

今回もオレの怪我は、全治3ヶ月の大怪我だ。

 

 

「お互い長い入院生活になるんだ。聞いておきたい。どうしてあいつはあんな風になっちまったのか」

 

 

「そうね。次に戦うときの参考になるかもしれないわね」

 

 

雪音やマリアに言われる。翼が今のようになってしまった理由。

 

 

「きっとわたしが原因なんですよね?」

 

 

「それは違うぞ。立花。あれはオレの責任だ」

 

 

項垂れる立花を宥め、オレはとりあえず全員に座ることを勧める。

 

 

「そうだな。まずはオレが翼や奏と初めて会った頃から話そうか。長くなると思うがいいか?」

 

 

全員が頷いたのを確認して、ゆっくりと話し初める。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「光、今日は君に会わせておきたい人がいてな」

 

 

指令に言われてオレは久しぶりに二課に顔を出していた。

 

 

「それでわざわざ、オレは呼び戻されたわけですか?」

 

 

当時のオレは二課より歌手としての活動がメインで、この日も全国ツアーの合間に呼び出されていた。

 

 

「まぁそう言うな。これから会わせる2人は後輩になるんだ」

 

 

「歌手活動をさせるってことですか?」

 

 

指令の言葉に疑問を聞いてみる。

 

 

「もちろん。装者としてがメインになると思うがな」

 

 

そうなんだ。と納得しながら指令について行き、そこでオレは初めて後輩となる2人と対面する。

 

 

「風鳴翼です。よろしくお願いします」

 

 

「天羽奏だ」

 

 

礼儀正しく挨拶する風鳴翼とぶっきらぼうな天羽奏。最初の印象は、どこか悲しみを目に宿し、人形のように言われたことをこなす翼。近づく者にはお構いなく噛みつき、怒りと憎しみを胸に宿す奏。そんな印象だった。

 

 

それから時間が空けば二課を訪れ、翼や奏の様子を見てきた。

 

 

「だから、それじゃ遅いんだよ!」

 

 

「むぅ。今のはそっちのタイミングが早すぎる。あれじゃ返り討ちよ」

 

 

訓練室にいる2人を見に来ればこの有様だ。常に言い争いをしている。実際にノイズと戦っている姿も何度か見たが、それぞれが好き勝手に動いているだけと言った感じだ。

 

 

「毎度毎度、これじゃあ困るんだがな」

 

 

指令が呟く言葉は、ここにいるみんなの意見だ。

 

 

「あれだけお互いが勝手に動かれたらサポートの仕様がありませんよ」

 

「それにこっちの指示を無視して動くことも少なくありませんしね」

 

 

オペレーターの藤尭さんと友里さんも愚痴を溢す。オレも同じ意見だった。

 

 

「これじゃ2人で共闘させる意味がないな」

 

 

「なら、光くんが一回コテンパンにするってのはどう?」

 

 

オレの呟きに了子さんがそんなことを言い出す。

 

 

「それをされれば、あの2人は考えるでしょうが、危険すぎます」

 

 

緒川さんが止めてくれる。オレだって生身でシンフォギアの相手なんかしたくない。

 

 

「それなら大丈夫よ。最近、訓練室を改良してデジタル化して戦うことが出来るようにしたから」

 

 

どこまで読んでその装置を作ったのやら。本当に了子さんには驚かされる。常に他人の数歩先を見据えて用意している。

 

 

「わかりましたよ。指令や緒川さんが倒したんじゃ意味ないでしょうし、オレがやりますよ」

 

 

その日、戦闘の終了した2人を訓練室へ連れて行く。

 

 

「なんなんだよ? 今ノイズと戦ってきたばかりのあたしらをこんなとこに連れてきてよ」

 

 

「訓練ですか? 実戦が終わったばかりでは、逆効果かと」

 

 

2人はぶつぶつ言いながらもついてくる。

 

 

「2人共、シンフォギアを纏って中に入れ」

 

 

「はぁ? 本当に今から訓練かよ。今更ノイズを相手にしたって意味ねえと思うけどな」

 

 

奏が文句を言う。

 

 

「誰がノイズが相手って言った」

 

 

「ノイズでないなら誰が? 叔父さまか緒川さん?」

 

 

翼の疑問は最もだろう。あの2人以外にシンフォギアを相手に出来る人はそうそういない。

 

 

「なんのためにオレがここにいると思っている? オレが相手するに決まっているだろ?」

 

 

オレが相手なことに2人は驚く。

 

 

「ああ、手加減とかはいらないぞ。了子さんが訓練室を改良してデジタル化して戦えるからな。まぁ今のお前らが相手なら生身でやっても怪我なく終わらせる自信はあるけどな」

 

 

オレの挑発に2人とも無言でシンフォギアを纏う。

 

 

「じゃあ始めようか?」

 

 

オレは刀を取り出し構える。その余裕が気に入らなかったのか、奏が槍を大振りさせながら近づく。

 

 

「くらえ!」

 

 

横振りに飛んでくる槍を軽く後ろに飛んでかわす。体スレスレを槍が通過し、オレは槍の上へ乗っかる。

 

 

「なっ!?」

 

 

一気に詰め寄り、刀で奏の胴体を斬り裂く。

 

 

「くっ!」

 

 

その行動に呆気を取られていた翼が慌てて、剣を振りかぶる。

 

 

「あまいな」

 

 

奏の槍を足場に飛びよけ、そのまま翼も斬りつける。

 

 

「くそったれ!」

 

 

奏が再び槍を振り回すが、翼を蹴り飛ばしこれに当てる。

 

 

その後もオレは2人の攻撃を1度も当たることなく、訓練を終える。

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