風の鳴る歌を翼にして光さすところまで   作:秋月玲

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CASE 5

オレが目覚めたのは、あの日から3日が過ぎていた。

 

 

「目が覚めましたか?」

 

 

病院のベッドのようで、ベッドの横にある椅子には立花が座っていた。

 

 

「どうしてここに?」

 

 

「光さんはわたしのせいで怪我してしまったので」

 

 

それから立花から色々話を聞いた。オレは一歩間違えていたら命を落としていたかもしれないらしい。翼はあれから戻っていないようだ。

 

 

 

「それにしても全治1ヶ月か」

 

 

「そのくらいで済んでよかったじゃないか」

 

 

司令もいたようでそんなことを言われる。

 

 

「シンフォギアの攻撃を生身で受け止めるなんて無茶をする」

 

 

あの時のことを思い出す。咄嗟に動いてしまったが、自殺行為だったなと思う。

 

 

「それで今ノイズは?」

 

 

「それはわたしが頑張ります。翼さんの分まで」

 

 

明るく笑う立花の頭を撫でようとして、腕が動かないことに気付く。

 

 

「その右手は神経が壊れているそうだ。リハビリ次第だが、もしかすると2度と動くことはないかもしれん」

 

 

オレの視線に気付いたのか司令が説明してくれる。

 

 

「そうか」

 

 

一言だけ呟く。正直実感がない。

 

 

 

翼のいないまま数日が過ぎる。その間ノイズの相手は立花が上手くやっているようだ。オレも退院し、二課でリハビリついでに仕事をこなす。

 

 

「無理しないでくださいね。あったかいものどうぞ」

 

 

「あったかいものどうも」

 

 

オペレーターの友里さんが入れてくれたコーヒーを受け取り、画面を見つめる。片手で扱うのはなかなか慣れないが、なんとかやっていく。右手はまだ動く様子はなかった。

 

 

「翼ちゃんのこと、あまり自分を責めないでくださいね」

 

 

友里さんにお礼だけ言い作業を続ける。ノイズが何者かに倒された情報を主に探す。翼の行方の手掛かりが他に思い当たらないからだ。

 

 

「最近、九州の方でノイズが不自然に現れて消えているな。翼かもしれないし、行ってみるか」

 

 

この腕で音楽活動は休止している。時間もあるのでそう提案してみるか。

 

 

見つけた情報を司令や緒川さんにも見せて、そこに行かせてもらえるように頼む。

 

 

「しかし、1人で行くつもりか?」

 

 

「その腕じゃ難しいんじゃない?」

 

 

司令や了子さんには反対される。

 

 

「それでも翼がいるかもしれないなら行ってみたいんです」

 

 

「翼さんのことはあなたの責任じゃない。無理はしないでください」

 

 

緒川さんにもそう言われて行くのは難しそうだと感じる。どれだけ反対されても行くつもりでいるが。

 

 

「光さんが歌手活動を休止している今、私も暇していますし、運転手くらいなら出来ます。私でよければ」

 

 

南さんがそう言ってくれる。

 

 

「まぁそれならいいんじゃないの?」

 

 

了子さんが後押ししてくれたけどこともあり、ノイズが出たらすぐに撤去することを条件に許可してもらえた。

 

 

翌日、オレたちは目的の場所に来ていた。

 

 

「ここが前にノイズが現れた場所ですか?」

 

 

市街地でもなく、山の中にいる。

 

 

「あぁ。しかしこれは翼じゃないな」

 

 

戦闘があったであろう形跡を見ると、穴が空いたり一部が吹き飛んだような跡から、翼ではないことが予想される。あいつなら剣で切り裂いたような跡になるだろうから。

 

 

「でも翼さんじゃないならこれはなんなのでしょう?」

 

 

そう。シンフォギアは翼の『アメノハバキリ』と今は立花の体に埋め込まれている『ガングニール』しか存在は確認されていない。そのどちらもこの跡からは違うことがわかる。

 

 

「未確認のシンフォギアがあるっていうのか」

 

 

顎に手を置いて考えこむオレを見て南さんが本部へと確認を取る。

 

 

「やはりあの2つ以外のシンフォギアは確認されていないそうです」

 

 

「とりあえず今日はこの辺にして戻りましょう」

 

 

それ以上の手掛かりはないと思い、ホテルに戻ることにする。

 

 

「ここはあたしも居場所だ。荒そうってなら考えがあるぜ」

 

 

ふと言葉が聞こえた気がして、辺りを見渡す。誰もいないことを確認して歩きだす。

 

 

少し高い場所からこちらを見ている存在に気付くことなく。

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