風の鳴る歌を翼にして光さすところまで   作:秋月玲

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CASE 9

現在、マリア、暁、月読、ウェル博士の4人を連れて飛行機に乗っている。あの後、指令に伝えると驚くほどあっさり許可が降りた。

 

 

「それにしても、こんなにあっさり許可されるとは思ってなかったわ」

 

 

「それは同感だ。まぁあの人のことだから拒否することはないと思っていたけど」

 

 

マリアから年齢を聞かれ『23』だと伝えると、マリアのほうが年下であることがわかった。歌詞としても今年でデビュー8年なのもあり、敬語を使うことを禁止された。交渉の場でも途中から使っていなかった気もするが。

 

 

「光さんはもう歌わないの?」

 

 

月読は米国にいても日本の音楽が好きなようで、オレの歌もよく聞いていてくれたようだ。

 

 

「腕が治ったらかな」

 

 

「でもその腕、治らないかもって聞いたデス」

 

 

暁の言うようにオレの腕は治ることはないかもしれない。

 

 

「日本に着いたら1度僕が診察してみましょうか?」

 

 

ウェル博士は研究者としても優秀だが、医療にも精通しているようでそんなことを言ってくれる。まぁこの人に診てもらうのは何故か怖い気もするが。

 

 

「最近は曲は作ってないのかしら? もし作っているのなら、私の日本でのデビュー曲は貴方に任せたいのだけど?」

 

 

「そのくらいなら。世界の歌姫にふさわしい曲が書けるかは別だけど」

 

 

談笑をしながら空の旅を過ごす。最初は専用のセスナで帰る予定だったが、襲撃にあった。そのため民間機での帰国となっていた。狙ったのは米軍で間違いはなさそうだ。

 

 

(これは面倒なことになるだろうな。オレとしては翼を早く見つけたいのだが)

 

 

米国がなにを思って襲撃してきたのか、また誰を狙ったものなのかはわからない。それでも面倒事なのは間違いがないので、軽く溜め息を溢す。

 

 

「じーーー」

 

 

「どうした?」

 

 

月読がこちらをずっと見つめていたので聞いてみる。

 

 

「風鳴翼のことを考えていたの?」

 

 

「どうして翼のことだと思うんだ?」

 

 

やはり翼の失踪は有名な話なのかと思う。

 

 

「だって、恋人なんでしょ?」

 

 

予想外の言葉に咳き込む。

 

 

「どうしてそうなる?」

 

 

「ありゃ? 違うデスか? 週刊誌でそんなこと載ってたデス」

 

 

暁が見せてくれた週刊誌には翼とオレが2人で歩く姿が写っている。

 

 

「これいつのだ?」

 

 

最近、というかあれから翼とこうやって並んで歩くことなんてなかったはずだし。この週刊誌も発売されたときに何かしらの情報が入ってくるはずなんだが。

 

 

「さっきCAさんから買っていたわね」

 

 

なるほど。発売されたばかりのものか。それにしてもなにも聞いていないし、連絡もないのはなんでだ? 南さんならきっと連絡してくれるはずだし、先日連絡したばかりでもある。

 

 

「写真は半年以上前のやつか」

 

 

写真をよく見てみると、半年ほど前に翼の他に歌手仲間数人と食事に行ったときのやつだった。

 

 

「これ他にも歌手仲間がいて、数人で食事会しただけなんだけどな」

 

 

そう言って携帯を確認すると南さんからメールが何件も届いていた。ほとんどが今回の件で、事務所は否定のコメントをすること。情報が漏れていて、オレが今日帰国すると知られているから空港にマスコミが殺到しているかもしれないことだった。

 

 

「これはマリアは別口から出たほうがいい。護衛は3箇所にして、マリアの護衛。この3人の護衛。残りはオレのSP役を頼む」

 

 

護衛で来ている黒服の職員たちに指示を出す。マリアと一緒に帰国なんて知られたらまたなにを書かれるかわかったものじゃない。

 

 

「ええ。それがいいでしょうね。私も来日早々スキャンダルなんてごめんだしね」

 

 

マリアや3人もそれで納得してくれた。本部までオレは別行動になる。

 

 

そんなことを思いながら空港へ到着する。空港へ到着すると意外なことにマスコミはおらず、代わりにノイズが出迎えてくれた。

 

 

「こんなことアリデスか?」

 

 

「どうするの? わたしたちが?」

 

 

シンフォギアを纏おうとする2人を慌てて止める。

 

 

『Balwisyall Nescell gungnir tron』

 

 

その必要がないからだ。上空に二課のヘリが飛んでおり、そこから1人の少女が飛び降りてきたから。

 

 

「ここはとりあえずあいつに任せて、本部に向かおう」

 

 

立花にこの場を任せ、4人を二課の車へ誘導する。

 

 

「大丈夫かな?」

 

 

「問題ないよ。立花もそれなりに強いし、今遅れて雪音も到着した」

 

 

月読は不安だったのか何度も後ろを振り返っていたが、イチイバルを纏った雪音も現れたことで納得したようだ。

 

 

ノイズを2人が処理してくれたのでオレたちはあっさりと本部にたどり着くことが出来た。

 

 

「ここがデスか?」

 

 

まぁ学園の地下にあるとは思わないだろうから、暁の反応もよくわかる。

 

 

「ああ、こっちだ」

 

 

教師専用の校舎へ入り、そこから端末を使ってエレベーターを起動させる。

 

 

「なにかに捕まっていたほうがいい」

 

 

勢いよく落ちるエレベーターに慌てて4人とも手すりに捕まる。

 

 

「こんなところに毎日通うの?」

 

 

げっそりとした月読がそう呟く。

 

 

「今戻りました。ゲストもきちんとお連れしてます」

 

 

まだノイズと戦闘中だったようで、指揮する指令は軽くこっちを見ただけで画面へ視線をすぐに戻す。

 

 

「見学していてもいいかしら?」

 

 

「もちろん」

 

 

マリアの言葉に指令がすぐに返事をし、全員がモニターに集中している。

 

 

『Imyuteus amenohabakiri tron』

 

 

突如流れた聖詠にマリアたち以外はオレも含めて焦る。

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