17話 雑談
おなじみのカフェへに着きいつもの個室に入る。
そこにはすでに鬼龍院の姿があった。
「お待たせしてしまって申し訳ないです。」
「かまわない。私が突然呼んだんだ。それに、退院おめでとう。お前が刺されたと聞いた時は驚いたぞ」
「ふふ、面白いし、そこに利があると思ったから刺されただけですよ」
「はは、それができるのはお前くらいだ。人間は感情次第では人を庇い刺される事はできる。しかし、刺される事にどれだけ利があろうとも人は自分の命を最優先に考える。これは人間の真理とも言っていい。なによりも自分が大事これはかわらん。それについてはお前は破綻している。生より利が取れる人間。狂人だ。」
「ふふ、鬼龍院さんに褒めてもらって嬉しいですよ。」
「お前は私から見てかなり面白い。今までの渇きをお前は潤してくれる」
「それは私もですよ。ここに来るまでは渇きが潤う事などなかった。ここは面白く退屈が紛れる。」
2人は笑い合う。
「「だが満たされる事はない」」
「やはりそう思うか?神条」
「ええ、私達が満たされる事はこれから先訪れない」
「満たされずとも私達は求め続ける。」
「そうなんでしょうね。」
「だが、お前はいい玩具を仕入れたようだな」
「ふふ、情報が早いんですね」
神条は紅茶に角砂糖を5、6個ほど入れながら答える。
「お前がいない間、そこの綾小路に話を聞いていたからな」
「ふふ、まあ鬼龍院さんは信用できますから聞かれても問題ありません。」
「それで、その玩具達はどうだ?」
「1人は愛でるように、1人は壊すようにですかね。」
「お前らしいな。私も1つくらい欲しいものだ。」
「鬼龍院さんは玩具をすぐ壊すし飽きるでしょ。それに求めるものが高いし」
「私は質にも拘りたいたちでな」
鬼龍院はコーヒーを一口飲む。
「玩具なんですから少しは妥協してくださいよ。南雲先輩はすぐ妥協してくれますよ」
「あいつは見た目だけで選ぶだろ。私は色々吟味したい」
「仕入れる身にもなってくださいよ。結構手間なんですよ。」
神条は頬を膨らませ答える。
「まあ、そういうな、私から前年の試験内容を聞いているだろう?」
「それはありがたいですけど〜」
「ハハ、人を売るお前は悪人でもあるな」
「私はちょっとお話しして人を紹介するだけですよ〜。それに元はみんな悪人なんですから」
「親鸞の言葉か、本来人間は悪人である、善人とは善行などは決してできない身である事を気づかない悪人とした。全く面白い言葉だな」
「鬼龍院さん、物知りですね。」
「お前ほど博識ではない。」
「でも、私の会話について来れるじゃないですか〜。」
「元からスペックが私は高いからな。知識は有ればあるほどいい。あるだけ有限な時間を過ごせる。」
「ほんと、その通りですね。やっぱりお話しするなら鬼龍院さんです。」
「私もお前と話すと心地いい。やはり喋るなら自分と同じ価値観や頭脳を持ったものに限る。」
2人は微笑み合い飲み物を飲む。
その後雑談をし時間となった。
「もうこんな時間か、お前と話すと時間を忘れるな」
「私もです。今回の話も楽しかったです。」
「また、時間が合えば私に付き合え」
「はい、もちろんです」
ここで鬼龍院は退室した。
「ふふ、やっぱり楽しいな。鬼龍院さんと話すと心地いい」
「あんなに楽しそうに話す神条はなかなか見れないからな」
「やっぱり価値観って重要だよね。初めて私の考えが理解できた人だし」
「はぁ、まあ、お前らの会話に常人が入り込める余地などないだろ。会えば人の感情や価値観、支配の仕方、心理学者にでもなるつもりか?」
「学者なんか面白くもないでしょ。あの人達は調べてそれで終わり。やっぱり実践しなくちゃ」
「まあいいが、次は南雲先輩か」
「うん、多分勧誘だと思うけど」
数分後南雲が個室に入ってくる。
「意外と元気が良さそうだな」
「まあ、傷もそんな深くなかったですし。今日は取り巻きは連れていないんですね」
「お前と会う時は基本連れて来ないようにしてるからな」
「ふふ、それで今日はどうされました?新しい玩具でも欲しくなりました?」
「いや、それは間に合ってる。メンテナンスもこの前してもらったからな」
「ふふ、気に入ってもらえたようでなによりですよ。」
ニヤニヤした表情で南雲を見る。
「本当にお前は恐ろしいな。今日来たのは生徒会についてだ」
「それは何度もお断りしてるじゃないですか。私使われるの嫌いなんですよ」
「そういうな、お前の行動を制限するつもりはない。俺が次期選挙で会長をとった時副会長の席にすわってくれればいい」
「メリットは?」
「生徒会権限とある程度の事は隠蔽してやれるな。それと学校側から手当もでるな」
「それで?私に何をさせたいんですか?」
「俺の生徒会の発足後、俺の手足となる生徒を駒に変えてもらいたい。」
「ほんとは今すぐにでもってのが本音ですよね?会長を潰したいから」
「それはお前に断られたからな。ほんとは今すぐ入ってもらって会長を潰したいんだがな」
「まあ、会長は私でも手強いですからねぇ〜、まあ、策は無いこともないですけどね。」
「ほう、その策は確実なのか?」
「勝率で言えば6割から7割といったところですかね。現段階ではね」
「まだ時期が早いと言いたいんだな」
「まあ、そんな所です。それにまだ目立つわけにはいかないんですよね。」
不気味な笑みを浮かべながら紅茶をすする。
「つまり時期が来れば生徒会に入ると?」
「まあ、その気では居ますよ。」
「その答えが聞けただけで充分だ。」
そういって南雲は席を立ちドアへ手をかける。
「南雲先輩、玩具のメンテナンスは定期的にお願いしますよ。メンテナンスをしなければ完璧ではなくなる。」
綺麗な笑顔を南雲に向ける。
「わかっている。」
そういうと南雲はでていった。
紅茶を啜りながら神条は端末で茶菓子を注文する。
「もう、南雲先輩は帰ったぞ」
「あはははは、もう、最高だよね。一番操りやすいタイプ。」
「目的は南雲先輩と会長か?」
「うん、そうだよ。2年生のトップと3年生のトップ。どんな表情するのか気になるじゃん」
「2人を潰すための作戦か」
「そう、南雲先輩は自分で玩具を選んだと思ってる。でもそれは間違い、私が選ばせた。予め、南雲先輩の取り巻きをリストアップその中から共通点を洗い出して南雲先輩の好みを割り出す。該当する生徒にお話しして送り込む。」
ケラケラと笑いながらソファーに背を預ける。
「メンテナンスも玩具への刷り込みか?お前への忠誠心の。」
「そういうこと〜。人間って面白いよね。簡単に言うこと聞いちゃうんだもん。最後はその玩具にやられちゃう。そんな最後、面白いでしょ。でもまだやらないよ。南雲先輩は利用するだけ利用してから捨てるから。」
「鬼龍院先輩も同じか?」
「ううん、鬼龍院さんは別、あの人は私を理解できる唯一の人間だから。それに2人ならもっとすごいことができそうじゃない?」
「お前と同種というならそうなんだろうな」
「後は会長なんだよね〜。強敵も強敵、精神的にかなり強いからね〜でも弱点はあるからね〜それも私の手中、後は舞台を整えないといけないとね」
お菓子が運ばれてきて神条は美味しそうに食べていく。
気に入っているお菓子なので神条も御満悦の表情になる。
これだけ見れば普通の女子高生と何ら変わらないだろう。
しかし、彼女は人を陥れる時、同じ表情をする。
人間も彼女にとってお菓子でしかない。
コンコンとドアがノックされる。
綾小路がそれに対応する。
「待ってましたよ。ーーーーーーさん」
神条はにっこりと笑顔を向けて向かい入れた。
なんかノリで書いてたらすごい展開になってしまった。
後日談
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