クレイジーな奴のいる教室へ   作:転生したい

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とうとうバカンスまで来ました。


18話 バカンス

18話 バカンス

 

予定されていたバカンスが始まった。

豪華客船にのり無人島で1週間過ごせるというものだ。

 

神条はというとカフェの個室でゆったりと食事をとっていた。

 

「うん、美味しい。やっぱりこういう静かな場所でとる食事は最高だね。」

 

「うん、そうだね。神条さんには似合ってると思う」

 

当たり障りのないように答えているのは櫛田桔梗である。

 

「それで?私に話ってなに?」

 

「私は神条さんと仲良くなりたいだけだよ」

 

笑顔を向けながら櫛田が答える。

 

「私の弱みでも握りに来たの間違いじゃない?」

 

その言葉に櫛田は少し驚いたような顔をする。

 

「何の事かな?」

 

「いいからその仮面取れって言ってるの。せっかくの食事が不味くなる。」

 

持っていたフォークを櫛田の首に突きつける。

 

「ヒッ」

 

「その顔はいいね〜。心の中からでた恐怖美味しそう。ふふ」

 

「や、やめて、、」

 

「本当の姿を見せないなら。このフォークが刺さっちゃうかもね〜」

 

ツンツンと首筋にフォークを当てながら神条は笑った。

 

「わ、わかった。わかったから」

 

フォークを離すと櫛田の表情が変わった。

目から光が消えいつもの櫛田とは思えない表情になる。

 

「これでお望み通り?」

 

「うん、とってもいい表情してる。承認欲求の塊って顔」

 

「なんでもお見通しってわけ?」

 

「顔に書いてあるもん。私の事見てーって。早く用件をいいなよ」

 

「あんたは中間試験の一件でクラスの中心になった。あんたは中間試験が始まる前にカースト中間層のグループを抱き込み。上位層との関係を切らせている。そのおかげでカースト上位層は発言力を失っている。それにあんたの事を言いふらそうもんなら確実に潰される。みんな、あんたの的にならないように心がけている。実質、あんたの的になったあの3人は退学した。」

 

「うんうん、勘の鋭い子は大好きだよ。それでそれで?」

 

「私達、上位層は今、選択を迫られてる。あんたに服従するか、ひっそりと生きるか、それとも、」

 

「私を抱き込むか、同盟を持ちかけるかでしょ?それで櫛田ちゃんは私を抱き込むかあるいは喋らせて弱みを握ろうとしたけど。あら残念逆に正体がバレちゃったったね。ふふ」

 

「そういう事だよ。普通の人間ではないと思ってたけど、ここまで怪物とは思わなかったよ」

 

「それで〜どうする〜?私と戦う?従順な子も大好きだけど。貴方みたいな反抗的な子も大好きだよ。それに〜貴方の目的は〜堀北鈴音でしょ?貴方の中学時代を知る唯一の人間だからあわよくば退学させたいってのが本音、できれば〜私に退学させて欲しいって所かな〜」

 

「なんで、それを」

 

「貴方の表情を見てればわかるよ〜。貴方が堀北鈴音に向ける表情は少し違う。恐れとか憎しみそんな表情。それに気づいてないかもしれないけど〜。貴方、私が中間試験の時、堀北鈴音を虐めてるのをみて嬉しそうな表情してたよ〜。もっとやれ〜って顔に出てた。」

 

「う、うそ、、」

 

「そんな怯えなくても大丈夫、私以外気付いてないから。」

 

「それであんたは協力してくれんの?」

 

「いやだよ。あんなにいい玩具いないし。それにまだ使える。」

 

「私の方が上手くやれる!」

 

鬼気迫る勢いで神条に突っかかる。

どうやら堀北に負けているという評価が気に入らないらしい。

 

「べつに私は〜貴方の事を低く評価してるつもりはないよ。偽善者みたいな行動は抜いてね。」

 

「何が気にくわないのよ!べつに悪い事じゃないでしょ!」

 

「うん、悪いことではないね。貴方の偽善が人を救う事もある。入学式のバスの中みたいにあのお婆さんは救われた。でも、その分他の人達は不快な思いをした。まるで席を譲らない人は悪者、そうやって偽善は相対的悪を作り出すの。だから嫌い。これはあくまで私個人の意見。道徳的、感情的に貴方を評価する人がいる事も私はわかってる。でもね大嫌いなの」

 

「何の恨みがあるのよ!」

 

「あるよ、一生晴れない怨みがね。」

 

神条の表情が変わった。

ドス黒く人を今にも殺しそうな顔をしていた。

 

その神条の表情に櫛田は怯えている。

 

「ふふ、その表情いいね。じゃあ特別に昔話をしてあげよう。」

 

 

 

 

 

 

そう言って神条は語り出した。

 

 

それは神条の小学生時代まで遡る。

 

この頃の神条はまだ狂ってはいなかった。どちらかというと彼女は感情に乏しい、無機質な女の子だった。しかし、幼い頃からそのような前兆はあったものの彼女のそばにいた幼馴染みの男の子が神条の行動を止めていたのだ。

 

彼の名前は天離優輝。

 

とても優しい男の子だった。

 

神条に生き方を説き、ひとりぼっちの神条に寄り添う事のできた唯一の人間である。

 

しかし、そんな時悲劇が起きる。

 

クラスの中心人物である1人の男子が神条に声をかけてきた。

 

「神条さん、ひとりぼっちだと寂しいでしょ。僕たちと一緒に遊ばないかい?」

 

「べつにいい。1人が楽だし。それにユウ君もいる。」

 

「そんな事言わずにみんなで遊べば楽しいよ。」

 

彼からしてみれば1人でいる事が理解できない。みんなで一緒にいるそれが正しい事だと思っている。彼には神条に近づきたいという打算もあった。それに加えて神条の容姿は学校で1番と言われるくらいかわいい。

 

「大丈夫、私に関わらないで。」

 

この事が引き金になった。

 

その男子の事を好きだった女子達が神条にいじめを始めたのだ。

 

この頃の小学生は実に簡単である。

気にくわないそれだけでいじめをするのだ。

 

最初は物を隠す程度のものだった。

 

そんな事に神条は動じる事もなかった。

それで気が済むなら好きにすればいいと。

 

その態度がいじめを加速させていく。

 

そしてそれを止めようと動いたのがみんなの中心の男子。

 

「いじめるのは良くない。みんな仲良くするべき。」

 

その男子が行った一言が女子達の感情を逆撫でしたのだ。

 

自分達が好きな男の子が気にくわない女子を庇うそれだけでも許せない事なのだ。その後一旦収束したかに見えたいじめはその男子には分からないように続けられていた。

 

そこに天離がいたら少しは変わったのかもしれない。しかし彼は神条を庇って事故にあい入院していたのだ。

 

 

その後天離が入院から戻ってきた時、神条へのいじめは過激になっていた時だった。

 

その姿を見た天離は激怒する。

 

「なんでこんな事をするだ!」

 

そう言っていじめの主犯達に詰め寄るとここで口を出してきたのもあの男子だ。

 

「待ってくれ。僕の方からきちんと言っておくから。この場はおさめてほしい。」

 

「お前がそう言うなら」

 

クラスの中心である彼から言えば収まると天離も考えた。

 

 

その後、神条のいじめはなくなったかに見えたが、標的が変わっただけに過ぎなかった。

 

天離がいじめの対象になった。

 

いじめは更に過激なものなっていき、精神的に天離は追い詰められていく。

 

しかし、天離から笑顔が消えることはなかった。

 

「なんでユウくんはいつも笑顔なの?」

 

「どんな時でも笑顔でいるのが僕のもっとうだからね」

 

「ふーん。わかんない」

 

「いつかわかる時がくるよ」

 

 

ここで事態は一変した。

天離の親が息子の異変に気づき学校へ訴えかけたのだ。しかし学校側が取り合う事などない何も物的証拠もないのだ。

 

天離の親は呆れて息子を転校させることに決めた。

 

しかし、それに待ったをかけたのは天離だった。転校する前に学校行事のキャンプだけには行かせて欲しいと、親に頼み込んだ。

 

 

しかし、そのキャンプで事件が起きる事になる。

 

天離がクラス全員の前でキャンプファイヤーに飛び込み自殺したのだ。

 

その時、天離は今まで見せた事ないほど綺麗な笑顔を浮かべたと言う。

 

「きれい」

 

1番近くで見ていた神条は涙がこぼれた笑顔でそう呟いた。

 

天離は自分が転校すればまた神条がいじめの標的にされてしまう。どうすれば止められるかと考えた。天離は一つの答えに行き着いた。全員にトラウマを植え付けてしまえばいいと。そうすれば恐怖が残りいじめはなくなると思っていた。

 

それに、天離は自分は死なないと思っていた。

 

なぜなら、自分は神条の中で永遠に生き続けるからだ。1番近くで見ていた彼女の心に少しでも刻みつける事ができればそれで自分は生き続ける。

 

それからいじめはなくなった。

 

しかし、神条の中に2つの感情が芽生えた。

憎しみと興味だ。

 

唯一自分のそばにいた天離を自殺に追いやった者達へと憎しみと人間の感情について興味が出てきたのだ。

 

天離が自殺する時に見せたあの笑顔が忘れられないのだ。どうやったら人は死ぬ時あんな表情をするのか気になって仕方なくなった。

 

 

 

 

そして彼女は狂い始める。




次の話まで過去編が続きます。

後日談

  • 松下千秋
  • 長谷部波瑠加
  • 佐藤麻耶
  • 幸村輝彦
  • 三宅明人
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