24話 資金
『120万ポイント』
「ジョーカーとはどういう事なんだ?お前と一ノ瀬は相容れない存在と思っていたぞ」
「ふふ、まあ、相容れない存在ではあるね。彼女は善人、私は悪人。一ノ瀬帆波は取引相手には向かないでも優秀じゃないとはいってないよ。」
面白そうに彼女は笑った。
「ジョーカーは一ノ瀬というわけか?」
「ううん、違うよ。彼女じゃないよ。私のジョーカーに相応しくない。」
「それは誰なんだ?」
「まあ見てれば必然とわかってくるよ」
彼女は早く画面を見ろとばかりに目を向ける。
画面越しにCクラスをみる。
「本当にこれで良かったのか?一ノ瀬」
「うん、大丈夫だよ。私達は自分のクラスの優待者がくるまで徹底防御。相手の資金を減らし続けないと私達の優待者の時に落札されちゃうからね」
「さすが帆波さんです!その実行力は流石の一言につきます。」
「ううん、この作戦を一緒に考えてくれた千尋ちゃんのおかげだよ。ありがとう千尋ちゃん」
「そんな事ないです。私の意見を聞いてもらえて嬉しいです。」
嬉しそうに白波は一ノ瀬に抱きつく。
「もう、こらこら。ふふ」
一ノ瀬は白波の頭を撫でながら嬉しそうにしている。
そして入札が行われた。
『130万ポイント』
ここで坂柳クラスが入札を行う、例えここで資金を失うにしても自クラスの優待者を競り落とされるのは損害が大きい。
そのまま誰も入札を行う事なく1回目のオークションが終了する。
『オークションが終了となりました。ピエロから答えと携帯を受け取り答えを送信してください。』
坂柳クラスのピエロが子グループの生徒に携帯と答えを渡す。
受け取った生徒は答えを打ち込みメールを送信する。
『子グループの試験は終了しました。子グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気を付けて行動して下さい』
現在、坂柳グループは-80万ポイントを使った事になる。
戦略的にポイントを相手に使わせた事により他のクラスにもポイントの余裕が生まれる。
「やられましたね。どこのクラスかわかりませんが予定より30万ポイントも使わされました。」
「他のクラスを競り落とすポイントはあるんでしょ?」
「一応備えはありますが、この調子で削られるのは少し危ないですね。ですが次で攻撃に移れます。優待者は全て割れましたから」
坂柳は少し微笑むと次のオークションの準備を始めた。
「ひより、優待者は全て割れたか?」
「はい、問題ありません。法則さえ分かってしまえば何の事はありませんでした。」
「なら、後は簡単だな狙い撃ちが出来る。資金力のないクラスをいまから競り落としていくぞ」
「そうですね。しかし攻め方は考えなければなりません。相手の自爆戦術もあるかも知れませんし」
「その時は乗らずにポイントを使わせるだけだ。最後に勝てばいい」
「次のグループは一ノ瀬さんのクラスですね。」
「ああ、ここで打撃を与えておこう。」
龍園は獲物を狩る肉食獣の目つきになる。
「さて次のグループは私達のクラスだけど。どうするべきだとみんなは考える?」
「この場合、少しずつ金額を上げていくやり方か最初から大きく出していくかの2通りだな。」
「そうですね。今回は相手の資金力も考えて大幅に上げていく方法がいいと思います。少しずつ出して時間を取られるよりも短期決戦の方がいいと思います。」
堂々と意見する白波に周りの一ノ瀬クラスの生徒は驚いていた。
「うん、千尋ちゃんの意見で行こう。私達の手持ちはクラスで集めてる400万ポイントだけだからね。他のクラスの事はわからないけど坂柳さんや龍園君達はそれ以上にポイントを持ってると思う。私達が止めるめどは200万までそれ以降は私達のクラスの優待者でも手をひこう。クラスポイントは減るけど確実に相手の資金は削れるからね。」
一ノ瀬は冷静に状況を判断し周りのメンバーに声をかける。
(さすが帆波さんです。あの人の言う通りやっぱり優秀なのは帆波さんです!)
数日前の事。
無人島試験が終わり船内でのバカンスを楽しんでいる頃。
神条は一ノ瀬クラスに接触していた。
「やあ、はじめまして。白波千尋さんだよね?」
「そうですけど。貴方はDクラスの神条さんですか?」
「そうだよ〜。ちょっとお話し大丈夫かな?」
「はい、大丈夫ですけど。」
「じゃあ、そこのお店に入ろっか。」
店員に案内されたのは個室だった。
中に入り注文を済ませる。
「あの、お話しって?」
「白波さんに聞いて欲しいことがあってさ。」
「私にですか?」
不思議そうに白波は首を傾げる。
「うん、貴方にしか頼れないんだよね。一ノ瀬さんの事なんだけど」
一ノ瀬の名前が出ると急に白波の表情が変わる。
「帆波さん!帆波さんがどうしたんですか?」
「まあ、落ち着いて、今回の試験の事なんだけど。Cクラスが集団食中毒を起こしたじゃない?あれで一ノ瀬さんが相当ショック受けてるみたいでさ」
「それは私も知っています。帆波さんはクラスのみんなの前では表情を変えませんけど。私にはわかります。」
少し悲しげな表情をしながら白波は俯く。
「それでね。ある情報を仕入れたんだけど。あの食中毒って事故じゃなかったらしいんだよ」
「え?それは、どういうことですか⁉︎」
「確証は持てないんだけど。他のクラスが毒物をもった可能性があるの。事を大きくしないために伏せてるけど、私達のクラスも食中毒になった人が出たの。白波さん達のクラスにも出たって聞いたからもしかしたら私達のクラスは狙われたんじゃないかって思ってる」
「許せません!そんな卑怯な事をして!そのせいで帆波さんは!」
白波は拳を机に叩きつけた。
「その気持ち痛いほどわかるよ。食べ物に毒を混ぜるなんて人のする事じゃないもんね」
神条は白波の手をとり優しく握る。
「白波さんの怒りはもっともだよ。でもこの事は一ノ瀬さんには黙っていた方がいいと思うの」
「それはどうしてですか?」
「いま、一ノ瀬さんは精神的にきついと思うんだ。そんな時に毒物の話なんかしたらたぶん一人で考え込んじゃう。だからこの事は白波さんに話したんだよ」
「たしかに、いま話すべきではないですね。」
一ノ瀬の為と思い白波は少し落ち着いたようだ。
「私はこの件AクラスかBクラスがやったと思ってるの。私達2クラスが狙われたわけだし。Cクラスとポイント差を引き離す為だと思う。」
「たしかに貴方の言っている事はわかります。」
そこで神条は邪悪な笑みを浮かべる。
「そこで、私達で上の2クラスを攻撃しない?」
「どういう事ですか?」
「私は先輩からこの事を聞いてたんだけど、船上でも試験があるらしいの。その試験はクラス同士を戦わせるような試験だったて聞いたからそれで攻撃できないかなって」
「そうなんですか?でも私だけでは決めれないです」
「一ノ瀬さんを安心させるにはやっぱりそこで勝つことも必要になってくると思うし。何より白波さんが一ノ瀬の支えになると思うんだ。貴方ほど一ノ瀬さんの支えになる人はいないと思うし。それにあんなに統率力があって優しくて人の為に動ける人をこのまま埋れさせておくにはもったいないよ」
「私が、帆波さんの支えに、、」
嬉しそうに白波は手を握りめる。
「貴方ほど適任はいないよ。それに貴方の思いも届くんじゃないかなって思う。ただの友人からそれ以上の関係にね」
「帆波さんとそれ以上の関係に、、」
「どうかな?私と組んでくれない?そしたら私は貴方をバックアップしてあげる。」
「組みます!私が帆波さんの隣に立つために」
「うん、がんばろうね」
場面はオークションへともどる。
(全クラスの予想ポイントはあの人から教えてもらったから大体予想できてる早めに大量のポイントを使わせないと)
白波は一ノ瀬の役に立てる事を信じて自分を鼓舞する。
『それでは第二回の牛グループのオークションを始めたいと思います。五十万ポイントからスタートです。』
「さあがんばろうね。なんポイントから入れようか。」
「ここは150万ポイントがベストだと思います。さっきの結果を見てもそこまで出されたら他のクラスも手を引くはずです」
「しかしいきなりそんなポイントを出せば後が危ないんじゃないか?」
神崎が心配そうに意見を出す。
「大丈夫です。たぶん手は出してこないと思います。こちらの資金力のアピールにもなりますし」
白波が自信たっぷりに言うので周りの生徒は気圧されている。
「うん、ここは千尋ちゃんの意見で行こう。これ以降も戦いは続くけど私たちはマイナスにならない事だけ目指せばいいと思う」
『150万ポイント』
「チッ、いきなりか、ひよりどこのくらすだ?」
「牛グループは一ノ瀬さんのクラスです。これは手を出さない方が良さそうですよ」
「たしかにこの出し方はかなりポイントを持っていると見るべきだな。」
「はい、一ノ瀬さんのこの入札を見る限り。自分の優待者3つを確実に取る動きですね。むしろDクラスだけに的を絞った方が良さそうです。」
「だろうな。ここでもし俺らが競り合って200万まで持っていかれでもしたらこの後に影響が出る。」
「これはスルーですね。ただでさえ防御で80万ポイントを失いました。ここで動くの愚作です。100万ポイントの失うのは大きいです」
「まあいいけどさ。狙うのはDなんでしょ?」
「はい、ポイントは確実にありませんからね」
「私達はここはスルーよ。一ノ瀬さん達とやり合う気はないわ」
(それに150万ポイントもお姉ちゃんに渡るのは大きい。)
「堀北さん、狙うのはどこにするの?」
「どこのクラス関係なく最後の三つよ」
「それはどうして?」
「他のクラスは私達が1番ポイントを持っていないとと思っているわ。それにより相手は私達のクラスを狙ってくるのは明白。そこで私達は少しでも相手のポイントを減らす事を優先よ。それにポイントでキビしいのはBクラスよ。葛城くんのおかげでね。」
櫛田が不思議そうに堀北に尋ねる。
「それはどう言う事なの?堀北さん」
「葛城君は龍園君に無人島試験の時契約をしていたの。各クラスのリーダー情報と200ポイント分の物資を供給すれば毎月卒業まで2万ポイントクラスから渡すって言う契約をね。これで5日前龍園君の元に80万ポイントが渡った。坂柳さん達はあっても350万程度よ。坂柳さんの派閥の人数を考えれば300万がいいところじゃないかしら」
「なるほど、その様子だと他のクラスも知ってる見たいね」
「調べはついているわ。龍園君のクラスは約450万ポイント一ノ瀬さんのクラスは約400万ポイント。そして私達が500万ポイント。」
「え!それなら攻撃にでてもいいんじゃないの?他のクラスよりもポイントが多いわけだし」
「たしかにここでポイントを使えば確実に競り落とせるでしょうけど。私達はそれだけじゃダメなの。今後の事を考えると相手の資金を減らしておかないといけない。」
「つまり、相手の資金を0にして。最後総取りするという事かしら?」
松下が冷静に分析を行なっている。
「そういうことよ。この戦いはいかに相手の資金を奪うかというゲームよ。短期決戦と思っている人達は術中にハマっているわ」
そして誰も投票する事なく投票が終了した。
『オークションが終了となりました。ピエロから答えと携帯を受け取り答えを送信してください。』
一ノ瀬クラスは携帯を受け取り牛グループの試験を終了させる。
『牛グループの試験は終了しました。牛グループの方は以後試験へ参加する必要はありません。他の生徒の邪魔をしないよう気を付けて行動して下さい』
その様子をモニターでニタニタと見ているピエロの少女。
「いい展開だね。もう280万ポイントも儲かったよ」
「かなりいいペースだな。予定ではいくら儲ける予定なんだ?」
いじわるそうな笑みを浮かべて彼女はこちらを見る。
「まあ、1600万ポイントくらいかな?上手くいけばの話だけどね。」
「1クラスあたり400万ポイントというわけか」
「まあ、そんなところだよ。」
だんだんと彼女の意図が読めてくる。このままいけば彼女以外得をする事なく終わるという事だろう。
あと2話くらいで終わらせる予定ではいます。
後日談
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