3話 愚かさ
授業中の私語や端末の使用、居眠りそんな事が絶えないDクラスの教室。
そんな生徒を教室の隅で観察する1人の女子生徒。
彼女は細く微笑み真面目に授業を受けている。
この教室にも少なからず彼女と同様に真面目に授業を受ける生徒はいる。
その生徒に対しては彼女も好感を持っている。
この教室にいてもいいと
彼女は待ち続けるその日が来るまで。
4月も終わりにさしかかったある6限目の授業
茶柱先生は入ってくると小テストをする事を告げる。
周りからは非難の声が上がる。
「安心したまえ、このテストは成績には関係のないテストだ。」
やっときた。このテスト確認するにはいい機会だね。それに今の発言でどれくらいの人が気づいたかな?成績には、関係ない、ポイントには影響する試験。多分気付けたのは坂柳さんと龍園くん、2人だけだろうな。
チラリと綾小路くんに目線を送る。
彼にはこのテストについて私が教えた。
目立ちたくないだろうから平均80点とってと言っておいた。
彼は少し嫌な顔をしたがそれを受け入れてくれた。
これには少しの布石がある。
あまり低すぎると後々目立ってしまうと私は思ったからだ。
プリントを受け取り問題に目を通すとこの前手に入れた過去問と同じ内容だった。
それを見た時またも頬が緩み微笑んでしまう。
茶柱先生が開始の合図をする。
答えを知っている私はものの五分ほどでテストを終える。
そして周りを確認すると半分以上の生徒がすでにテストを放棄し、寝ている。
まあバカだから仕方ないか。
脳味噌腐ってそうだし。
試験終了のチャイムがなる。
「今日のホームルームはない。このまま解散して構わない。」
私は大きく背伸びをして立ち上がる。
「今日はどこかにいくのか?」
「んーそうだなぁ、綾小路くんはどうするの?」
「特に決めてはいないが」
「堀北さん!今日こそみんなとカフェとかに行かない?」
「必要ないわ」
私達が会話をしている横で櫛田さんと堀北さんがいつもの会話をしている。
ほんとあの偽善者懲りないよね。
まあ、堀北さんも堀北さんだけど。
「そう言わずにさ、一緒にいこうよ」
「私を誘うより。そこの2人を誘った方がいいわよ」
うわぁ〜私達に押し付けようとしてきたよ。この高飛車の性格はどうにかして欲しい。
「神条さんと綾小路くんも一緒にどうかな?」
めんどくさいなと思っていると私の端末がなる。
相手は坂柳さんと龍園くんからだった。
「ごめんね〜、私達これから予定があるの、他のクラスの子の相談に乗らなくちゃいけなくて」
「そうなんだ、それなら仕方ないね。堀北さんは、」
堀北はその場から消えていた。
早いよほんとに、ほんと孤独と孤高を履き違えてる人だよね。
「それじゃあ、いこっか綾小路くん」
「ああ」
2人は教室から出る。
「それでさっきの着信音はあの2人か?」
「正解!龍園くんと坂柳さんからだよ。とりあえず2人には違う時間を指定しておいたよ」
「最初はどっちにいくんだ?」
「定期契約を結んでくれた、坂柳さんからだよ」
「そうか」
カフェにつくと個室へ案内されるとそこには坂柳と神室の姿があった。
「わざわざ来ていただいて申し訳ありません。」
「ううん、お得意様だからね。それで呼んだのは小テストの件でしょ?」
「はい、貴方からいただいていたこの小テストと全く内容が同じでした。」
「てことはもう一つの意味もわかったよね?」
「ええ、今度の中間試験でこの問題がまるまる出題されるのですね。」
「うん、そういうことだよ。今回はサービスであげたの、それがあれば派閥争いで有利になるでしょ?」
「貴方からしてみれば派閥が増えれば回収するポイントも増えますからね」
「うん、坂柳さんにはどんどん派閥を広げて欲しいと思ってる。」
「わかっていますよ。それに明後日は5月1日ポイントの精算が楽しみですね。」
「何ポイントくらいになりそう?」
「正確にはわかりませんが980を予想しています。」
「さすが〜Aクラス、私が話してからすぐ行動に移したんだね。」
「はい、真澄さんに動いてもらいました。」
「坂柳さんもいい駒持ってるね。さてと、私達次の用事があるからそろそろいくね。」
「次も私のような相手ですか?」
「その情報は別料金だよ」
「なるほど、おいくらですか?」
「5万だね。」
ふふと笑いながら彼女は坂柳をみる。
「随分と高いのですね。」
「当たり前だよ、誰とは言わないけど大切な取引相手だから。今の情報はサービスね。」
「そうですか。今回は手持ちがありませんしやめておきます。」
「そう、賢明な判断だね」
神条と綾小路は立ち上がり部屋を出るため綾小路はドアを開けた。
「最後に言っておくね。私を尾行するなら覚悟した方がいいよ?見つけたら、その子ただじゃ返さないからね」
神条の言葉は冷たく坂柳の方を見た後隣にいた神室をみる。
その目は普段の紅い目が黒く濁ったようになりそして天使のように微笑んだ。
「じゃあね」
2人は個室を後にしカフェからでる。
「これでは尾行できませんね。」
「無理よ、いくら命令されたってあの人を尾行するのは無理。確実にあんたが命令したのバレてたわよ。それにあの眼、人の眼じゃなかったわよ」
「真澄さん、今日はよく喋りますね。」
「それはそうでしょ、あんたが尾行しろって言った相手があんな悪魔みたいな人と思わないじゃない!」
「大丈夫ですよ。真澄さん尾行はさせません。今、彼女からの信用を失うのは痛いですから。それに彼女はクラスには興味ないようですし」
「次の場所はどこなんだ?」
「カラオケボックスだよ。部屋番号は201」
「質問だが、尾行していたらどうなってた?」
「二度と尾行できないように足がなくなってたかもね」
彼女はあの時のように美しく笑った。彼女がこの笑顔を見せる時、それは嘘偽りがない時だ、それと同時に彼女が狂っている時でもある。
「そうか、それは怖いな」
「ふふ、着いたよ」
カラオケに到着し指定された場所に入ると龍園達が既に中で待っていた。
「随分と遅かったじゃねぇか」
「こっちにも色々あるんだよ、それで今回は何が知りたいのかな?」
「今日行われた小テスト、教師は成績には関係ないって言った。ポイントには関係あるんだろ?」
「うん、ポイントに関係ある試験だよ。それが中間試験のヒントにもなってる。」
「中間試験のヒントねぇ、過去問か?」
「正解!今なら小テストと中間試験の過去問、解答付きで5万ポイントで売ってあげる。」
「悪くねぇな、払ってやる」
端末を操作し龍園はポイントを送金した。
「毎度あり、でも8万ポイントもいいの?」
「お前がSシステムについて売ってくれたおかげ早い段階でクラスを統一できた。そん時に税も納めさせたからな。安いもんだ。」
「それはよかったよ、私的には予想ポイント860くらいだと思ってるよ。」
「ほう、他のクラスは大体どれくらいだ?」
「Aクラス980、Bクラス750、Cクラス860、Dクラス 0ってのが予想かな、たぶんCクラスはBクラスに上がれるね。」
「そいつはいいな」
龍園はケタケタと笑う。
「あとそうだね、中間試験では最高で100クラスポイント手に入れる事ができるよ。クラスの平均点とか最高得点者の数とかで振り分けが変わるみたい、他に聞きたい事はあるかな?」
「ポイントが減る要因で1番高いものはなんだ?もちろんポイントは払う」
「ううん、さっきのプラス3万分はしゃべらせてもらうよ。」
「そうか、いい買い物をしたな」
「1番は退学だね。マイナス100ポイント次は停学これは停学の人が少なくて確かな情報と言えないけどマイナス80ポイントくらい。あと特別試験によって変わる感じかな」
「なるほど最後に一つ聞きたい。退学を回避する方法はあるのか?」
神条はいつものように笑う
「あるよ、2000万ポイントのクラスポイント300払えば退学を阻止できるよ。」
龍園の部下達が騒ぎ出す
「2000万!そんなポイントどうすれば」
「黙ってろ石崎」
「す、すいません」
「すまない部下が迷惑をかけた」
「ううん、大丈夫だよ。龍園君はお得意様だしね。じゃあそろそろ私達は帰るね」
「ああ、また頼む」
2人はカラオケルームから出て行く。
「さて、ポイントも入ったし。何かデザートでも食べて帰る?」
「俺は構わないぞ」
「じゃあ、高級なデザートでも食べに行こうか、もちろん私が奢るよ」
「すまないな」
そして5月1日を迎えた。
後日談
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松下千秋
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長谷部波瑠加
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佐藤麻耶
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幸村輝彦
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三宅明人