5話 影
授業が終わり放課後になる。今日は依頼が入っていないのでフリーの日だ。立ちあがり鞄をもって帰ろうとすると私を引き止める生徒がいた。
「すこし待って欲しい。神条さん」
「なぁに?平田くん」
「勉強会に参加してみんなに勉強を教えてほしいんだ」
「勉強会ね〜。あんな事があったのによく私に声をかけれたね。それは感心するよ。」
「あれは神条さんを非難してしてしまっていたからね。言い過ぎだと思ったけど筋は通っていたよ。」
「ふーん。じゃあポイント頂戴。一回につき5000ポイント。」
「5000ポイント、、、」
「私の貴重な時間を使うんだからそれくらいかかるよ」
「そんな、、クラスの為に協力してくれないのかい?」
「私はね時間を無駄にしたくないの。それに協力を求めるなら。私じゃなくて堀北さんとかがいいんじゃない?」
この前のお返し。巻き込まれろ。
「私は今から行かなくては行けない所があるの、失礼するわ」
この女なんで自分がDクラスか聞きに行く気だね。
端末に着信がはいる。
龍園くんからだ。ラッキーほんといつもちょうどいいタイミングで連絡してくれる。
「ごめん、平田くん、私も予定入ったから行くね。行こ、綾小路くん」
「ああ」
2人は龍園が指定した場所へ向かう。
そこは広々としたディスコのようなものだった。
私達が入ると注目が集まる。
「ボスがあちらで待っています。」
「ありがとう、アルベルトくん」
龍園が待つ個室へ入ると
「わざわざ呼んですまねぇな。」
「ううん、大丈夫だよ。それで今回は何かな?」
「まあ、落ち着け。好きなものを頼んでくれてかまわねぇ」
と言ってメニューを渡してくる。
「いいの?」
「ああ、そっちの綾小路も頼んでいいぜ」
「じゃあお言葉に甘えるよ」
1番高そうなデザートを頼む。
「龍園くんが優しいと何か裏があるのかと思っちゃうよ」
「ハハ、これはお礼だ。神条のおかげで俺らはBクラスに昇格できた。それにお前から買ったクラスの運営方法はかなり使えた。特に税収制は役立ってる。」
「ポイントを集めるのにはそれが1番だしね。今のBクラスなら月2万でも問題ないし、約80万近く集まるし効率がいいよ。」
「今回のこのパーティーもお前が提示した。飴を与えるってのを採用させてもらった。」
「そんなに褒めちゃって、今回も別に情報が欲しいんでしょ?」
「まあ、そんな所だ。赤点の算出方法と過去問の配布のタイミングについて聞きたい。過去問のタイミングは1週間前と考えている。」
「じゃあ両方合わせて1万ポイントだね。」
「いま。送信した。」
「赤点の算出方法は科目のクラス平均点の半分だよ。過去問を使った時のリスクとして平均点が高くなっちゃうから51点以上取れてたら問題ないよ。」
「なるほど予め基礎は固めておけと言うわけか」
「うん、そう言う事、次に配布のタイミングだけど。1週間前でも悪くはないけどギリギリまで基礎は固めといた方がいいかな。全部で5教科だから1日2つ暗記するとして3日前から4日前がベストだね。3日前の場合は2日で5教科覚えて最終日全部見直す。4日前なら3日で5教科して最後全部見直す。それがベストかな」
「神条的にはどちらがいい?」
「んー私は4日前が1番いいかな。1つの教科に時間取れるし」
「なるほどなこれからもよろしく頼む」
「うん、こちらこそ」
彼女達はニヤリと笑った。
場所は変わって職員室
「茶柱先生、なんで私がDクラスなんですか?」
「先程から言ってるだろう?それは話せないと。まあ、このクラスには異常な生徒が多いのは確かだがな」
「異常な生徒?神条さんや高円寺君のことですか?」
堀北は今日の出来事を思い出す。
「まあ、その2人もそうだが、あと1人いる。お前の隣の席の綾小路だ。」
「彼が?至って普通だと思いますが」
「まあ、時間もあるゆっくり話してやろう。彼らの入試の点数からだ神条オール100点、高円寺、平均95点、綾小路オール50点だ。」
「あの入試でオール100点!そんなバカな事」
その時綾小路の事など頭になかった。
神条が出したオール100点に意識を持っていかれていた。
「まあ今の話をきいてそっちに目が行くのも仕方ない事だ。私がいま注目して欲しいのは綾小路だ。」
「たしかにオール50点も異常とは思いますけど」
「お前は本当にこの異常さを理解しているか?お前も入試を受けたからわかると思うがあのテストはそうそう狙って点数を取れるようなテストではない。それをやつは全教科50点だ。全ての問題を理解し点数の配点まで理解していなければできないだろう。やつの異常さがわかったか?」
堀北は考えを巡らせる。
自分なら果たしてできるだろうかと。
それは否だ。
不可能であるあの状況で受かるかわからないテストで点数を調整するなどバカげている。
「どうやら理解したらしいな。お前がもしAクラスに上がりたいなら、その3人に協力してもらうのが1番だろうな。私の話は以上だ。」
その夜私は兄さんに呼び出された。
そこで私は自分の面汚しになるから学校を去れと言われた。
腕を掴まれ掌底が私に当たろうとした時。
「あんた今本気で打ち込もうとしただろう、彼女を離せ」
止めに入ったのは綾小路君だった。
彼は兄さんの腕を掴み掌底を阻止していた。
「やめて、綾小路くん」
「ん?」
こんな性格してたかな
綾小路が手を離すと裏拳が綾小路に飛んでくる。スウェーでそれを避けると続けて頭に蹴りが放たれたので右にかろうじて避ける。
続けて右腕で俺を掴もうとしてきたのでそれを払い除けた。
「いい動きだな、何か習っていたのか?」
「ピアノと書道なら」
「あはははは、綾小路くん、その冗談はかなり面白いよ」
笑いながらその場に現れたのは神条准だった。
「全く、飲み物買ってくるのにどれだけ時間かかってるのかと思って来てみたら随分と面白い状況になってるね。」
彼女はまたしてもケタケタと笑った。
まるでこの状況を楽しんでいるかのように。
「ほう、お前はその端末で今の一部始終をとっていたと言うわけか」
「まあ、そうですね。消して欲しいですかぁ?」
会長は一瞬で距離を詰めると彼女の持っている端末に手を伸ばしたが、、、
届く事はなかった。
彼女はひらりと避けるとそのまま会長の後ろを取っていた。
「お前もかなり武術に心得があるな」
「さてどうでしょうねぇ?まあこの動画消してあげてもいいですよぉ?かわりに100万ポイント欲しいですねぇ」
彼女は奇妙な笑顔を浮かべている。
「ふん、まあいいだろう。端末の番号を教えろ」
「やった!毎度あり」
彼女は先程見せていた奇妙な笑みはなくなり年相応の彼女の表情に戻る。
ポイントの送金を確認すると端末を会長に渡す。
会長は動画を消して端末を返した。
「まさかこうも異質な2人に会うとは珍しいこともあったものだな。入試成績オール100点とオール50点のやつにこんなに早く会えるとは思わなかったぞ」
兄さんが2人に注目している?
「偶然って怖いっすね」
「入試の点数知ってるとはさすが会長ですね」
「お前達は異常だからな。いやでも目に入る。」
「そんなに異常ですか?」
「自覚がないか。まあいい、Aクラスへ上がりたければ死ぬ気でもがき続けろ」
そう言って会長は去っていった。
「いい、臨時収入も入ったし、帰ろっか、綾小路くん」
「ああ、そうだな」
2人は寮への道に戻ろうとする。
「待って!」
「ん?何かな?堀北さん」
「Aクラスに上がるために協力して欲しいの」
「嫌だよ。めんどくさいもん」
「あなたAクラスに上がりたくないの?」
「私はポイントさえあればいいし」
「そのポイントが私たちは0なのよ」
「まあクラスポイントは0だね。私ね、高円寺くんの意見に賛成してるの。勉強しない人達は退学になっちゃえばいいって思ってる。高円寺くんの言葉借りるなら美しくない」
「たしかにその方が効率がいいかもしれない。だけど退学によるペナルティもあると思うの。」
「ふーん、意外と優秀じゃん。」
彼女は堀北の発言がお気に召したらしい。
「じゃあ賭けをしよっか」
彼女はおもちゃを見るような目で堀北をみる。
「もし次の試験で誰1人として退学者がでなかったら、ただで一回だけ貴方に協力してあげる。」
俺は彼女の発言が理解できないでいる。
彼女に得がない。堀北にも言うほど得がない。
賭けになっていない。
しかし堀北はこの賭けを受けるだろう。
堀北はプライドが高いこう言われれば必ず受ける。
「その賭け、受けるわ。必ず、1人も退学者を出さず試験を突破するわ」
「ふふ、頑張って、楽しみにしてるね。」
貴方がどんなふうに踊ってくれるのか
神条と綾小路は寮に戻っていった。
人に無駄な事をさせられるのは嫌いなのに、無駄な事を自分でするのは好きな神条さん。
後日談
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松下千秋
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長谷部波瑠加
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佐藤麻耶
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幸村輝彦
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三宅明人