野球神様に誘われて人生やり直しました ~パワフルプロ野球の世界に転生~   作:駿州山県

1 / 11
初めまして。
今日から実況パワフルプロ野球の2次創作を書きます駿州山県と申します。

つたない小説ですが、よかったら読んでくださいね。


【序章】 パワプロアプリの世界へ転生

 

「またダメだったか……」

 

大学四年になり就職活動を開始したものの、何十個と言う会社に落とされていた。

対策はばっちり練ったおかげでエントリーシート,筆記試験はばっちりなのだけど、面接になると途端に上手くいかない。

それもこれも特技の欄が問題だ。

高校,大学と野球にだけ打ち込んできたのだから野球と書ければいいのだけど、高校野球でピッチャーとして挫折してトラウマになってマウンドから投げれなくなり、大学に入って野手に転向するも慣れない動きで体を悪くしてしまい腕が肩から上がらなくなった。

病院にもかかったが長いリハビリが必要だと言われ、つまり野球人生が終わってしまったのだ。

特技に野球と書くとどうしてもこのことを思い出してしまい急にうまく話せなくなる。

他の特技を書こうにも野球だけに打ち込んできた結果、書けるものがなく話が詰まってしまう。

一度上手く行かなくなるとその雰囲気を後に引きずってしまい、それが何度も続いて連戦連敗と言った状態だった。

 

高校の時に戻れたらな……。

もう何度思ったことかわからない。

高校最後の甲子園。俺はピッチャーとしてマウンドに上がり、チームを勝たせてきた。

言い過ぎじゃないかって? そんなことはない。常に失点は0~2点に抑え、地区最優秀投手とまで言われてきた。

だが地区予選決勝戦、最後の一人で指を球から滑らせてしまいど真ん中に失投。

相手の打者はこれ見よがしに気持ちよく振り抜き。サヨナラ逆転ホームランを許してしまった。

それまで欠かさなかったロージンを忘れていたし、手が汗で濡れていたことにさえ気づいていなかった。

少しでも冷静さを欠いていなければ優勝していたのは俺たちで、甲子園での活躍も約束されていたはず。

 

気づけば頬を涙が伝い、首まで流れ落ちていた。

もう選手として関わることができない野球。だけど俺の野球への愛はまだ消えてない。消せない。

どうすればいいのかわからない人生に絶望していると、急に囁くような声が聞こえてきた。

 

『じゃが神様は見捨てておらんぞい』

 

とうとう幻聴まで聞こえるようになった。そう思った。

 

『いやいや、待て待て。

 幻聴ではないぞ。ちゃんとお前に話しかけておる』

 

しかし辺りを見渡してみても誰もいない。

俺に話しかけているのなら、なぜ姿が見えない?

 

『わしはとあるゲームの世界で野球神と呼ばれておる。

 神は姿を現すことはできんのじゃ』

 

声の主……野球神と言うらしい、はそう言うとふぉっふぉっふぉと楽しそうに笑った。

 

『わしはの、野球が大好きなんじゃ。

 そして皆に野球を好きになってもらいたい。

 お主の野球に書ける思い、とてももったいなく思う。

 じゃから、わしの世界にお前の転生させようと思うのじゃ』

 

あんたの世界? だが俺はもうダメなんだ。腕が肩より上がらなくて……。

 

『安心するがよい。

 お前がするのは転移ではなくて転生じゃ。

 体はいたって健康なものなのじゃ』

 

なんだって?! なら、いますぐでも……。

 

『ふぉっふぉっふぉ。そう言うと思ってな、すでに転生中じゃわい』

 

気づくと俺の体はすでに見えず、ただひたすら真っ白な世界にいた。

そして意識が薄れていった。

 

『ああ、そうじゃそうじゃ。

 言い忘れたが当然能力は初期の……。

 しまった、もう遅かったの。

 まああやつなら大丈夫じゃろう』

 

最後に何か言われた気がしたが、俺の耳にはもう何も聞こえていなかった。

 

 

 

時は甲子園の地区予選決勝。覇道高校対パワフル高校の9回裏ツーアウト。3対0で負けている。

相手投手は去年から活躍している地区ナンバーワンピッチャーの木場だ。

パワフル高校はほとんど何もできないまま9回まで来てしまった。

木場も疲れていたのか9回裏でコントロールを乱し、なんとか満塁まで持ち込むことができた。

そして俺の打席だ。

木場の第一球は奴の得意球の爆速ストレート。しかしコントロールが乱れど真ん中。

そこにありったけの力を込めバットを振りぬくと、球はレフトの頭を越え更に球場の外に着地した。

サヨナラ満塁逆転ホームランだ!

右手の拳を握りしめ、高く上げながらダイヤモンドを回る。三塁を回りホームベースを踏んだところで思い出した。

あれ? 俺の右肩、高く上げてる?

 

『ちょっときみきみ、話の途中で寝ないでくれるかな?』

 

なんと夢だった。しかも、良いところで起こしてくれるなよ!

俺が味わえなかった地区予選の優勝だったんだぞ!

 

『いい夢見てたみたいだね。

 しかし、君本当に良い身分だね。

 この野球神様の代理、安内なみきの説明の途中に寝るなんて!』

 

そうだった。

俺は野球神の代理を自称するこいつに、これからの人生について説明されていたところを寝てしまっていたのだ。

だって転生とかよくわからないことばっかり言うから……。

 

『仕方ないなあ。もう一回説明するね?

 君には実況パワフルプロ野球と言うゲームの世界で、高校生活をやり直してもらいます。

 野手でも投手でも、好きなポジションにつけるから自由に選んでね』

 

やり直せる、投手、と言う言葉のところで胸がズキンと痛んだ。

 

『じゃあ、ものは試しだ。

 早速サクセスモードいってみよう!』

 

安内なみきがそう言うと、視界が急に反転した。

俺の視界にはデッキと言う文字が見えている。

 

『あ、そうそう。

 今回はお試しだからポジションは1塁手で決定ね』

 

1塁手と言われて正直ほっとした。

投手と言われたらどうしていいかわからなかった。

 

『で、このデッキってやつなんだけど。

 イベキャラと呼ばれるキャラクターを組み合わせたものなんだ。

 まだ君は矢部昭雄ってキャラしか持っていないから、ガチャを一回引いてみようか』

 

そう言うと、急に犬の形をしたピッチングマシーンが現れ、俺に向けて球を飛ばしてきた。

なぜか手に持っていたバットでその球を打ち返すと、球は地面にぶつかって割れた。

そこから出てきたのは、星井スバルと言う名前のキャラのカードだった。

この星井スバルと言うキャラはどうやらピッチャーらしい。

 

『じゃあ、引いたキャラをデッキに加えるね。

 デッキに加えるとチームメイトとして一緒に野球で戦えるからね。

 これからどんどんキャラを集めて、君だけのデッキを完成させてね』

 

安内なみきがそう言い終えると俺の視界が切り替わった。

 

『サクセスモードにはアイテムを持ち込めるんだ。

 アイテムを持ち込むとサクセスを有利に進めることができるからね』

 

アイテム。なんだろう? お高いグローブとか、練習器具とかかな?

 

『じゃあ、実践に入るよー。

 最初は練習の仕方を教えるね』

 

練習の仕方って……バカにしてるのか?

練習くらい一人でできるし!

 

『いやいや、違うんだよ。

 ここは現実の世界じゃなくて、パワプロの世界!

 練習の仕方も異なるからちゃんと知ってね』

 

そうだった。ゲームの世界だって話だった。

最初の練習は打撃練習。俺が打撃練習に向かうと、すでに練習してるやつが二人いた。

……全く同じ顔をしている。双子?

もくもくと打撃練習をしていると、眼鏡をかけた人物が近づいてきた。なぜか後ろに犬を連れている。

 

「君がパワプロくんでやんすか?

 自分は矢部昭雄と言うでやんす。

 こっちの犬はガンダー。

 よろしくでやんす」

 

それだけ言うと去っていった。

なぜ練習場に犬を連れて……? 彼に聞きたかったが、すぐさま安内なみきから話しかけられた。

 

『練習すると経験点って言う形で君が成長できるポイントが手に入るんだ。

 じゃあ早速成長してみよう』

 

俺の気持ちなど無視する形で進められた。

今回手に入った経験点は筋力,技術,精神の3つだ。

この3つを使ってあげられるのは……ミート? 他にも上げられそうなやつもあるけど、今はこれしかあげられないみたいだ。

ミートを2つほどあげて数値が30になった。Fと書いてある。これはランクかな? Aが最も高そうな感じだ。

 

『無事上げられたみたいだね。

 こうやって能力を上げて成長していくんだよ。

 どう? 現実の世界とは違うでしょ』

 

本当に全然違った。成長が目に見える形にあると言うのは成長を実感できて良いと思えた。

 

『次は休んでみよう。

 ほら、体力ってゲージが見えるでしょ?

 あれが低いと怪我をしちゃうから気を付けてね。

 あんまり体力が低い状態で練習すると、ただの怪我じゃ済まないからね?』

 

肩を壊した時のことが思い出された。

もうあんな思いは絶対にしたくない。絶対に体力が低い状態で練習はしないと誓った。

 

『最後に実践だよ。

 相手のピッチャーがボールを投げてくるからしっかり打ち返してね』

 

言われると、俺はメットをかぶった状態で打席に立っていた。

マウンドには青いユニフォームのキャラがいる。

相手が両腕を振りかぶると、なぜかどこに投げてくるかがわかった。

と言ってもど真ん中、なめてんのか! と余裕で打ち返してやる。

間違いなくヒット判定。それもツーベース。よっしゃ! と思ったが、相手はまだ投げて来る。

何度か投げてきた球は全て外野まではじき返してやった。

棒球みたいなストレートばっかり投げてくるもんだから、最後のほうはいらついてファウル気味だった。

危ない危ない。

 

『これで僕からの説明は全て終わりだよ。

 これから頑張ってね』

 

安内なみきが言い終えると、俺の意識は急激になくなった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。