あなたが結月ゆかりになって弦巻マキに食われる話   作:Sfon

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連日の日間ランキング2位入りありがとうございます。
短いですが、マキさん回を書いたのでよかったらどうぞ。

2020/10/25

冒頭部分を編集し、マキさんがゆかりさんの中身をどう見ていたか少し細かく書きました。


弦巻マキから見た結月ゆかり

 最近、ゆかりちゃんが可愛すぎてつらい。以前にも増して、どんどん可愛くなっている。

 

 顔も声もいい。それだけでも満足だが、それは天からの贈り物で、その人とは関係ないと考える人もいるらしい。しかし、あの小動物のような庇護欲を刺激しまくる言動が見目のよさと合わされば、向かう所敵なしだと思う。

 

 

 

 出会ったとき、彼女はまだ自分の体にも慣れていなかったと思う。周りにずっと怯えたままで、周囲との間に高い壁を作っていた。しかし、時を経ればそれもだんだんと溶けて、少なくとも私との間では気兼ねなく付き合ってくれるようになっていた。一月も経てば、ごく普通の友人くらいにはなっていたと思う。

 

 しかし、仲良くなる一方で困った事も起き始めた。彼女は無防備すぎるのだ。肩を回したり、ストレッチをしたり、何か動くたびに肩丸出しの服とパーカーの間から肌色がチラチラチラチラ見えるし、目の前でしゃがんだりする。こちとら、可愛い女の子が恋愛対象にバリバリに入っている身である。今までに味わったことのない、なんと言うか、「自分が食うしかない」ような感情がふつふつと湧いてきたのもこの頃だ。同時に、そんなガードの緩い彼女を悪い虫から守らないといけない使命感も湧いてきていた。ほかの人に彼女を渡してはいけない。

 

 そのあたりの言動から元々女の子らしいことをしていた娘じゃないだろうと、何となく見当がついた。意識してしばらく観察した結果、それはほぼ確実になったし、出会った当初のことを思い出すと、もしかしたら元々は男の人だったのではないかとも思った。振り返ってみれば、性別が変わり、相手と接する距離感を測りかねていたんだと思う。男性との距離が近ければ女性からの目線が怖く、女性との距離はそもそもわからないのだろう。

 

 そんな彼女ともっと仲良くなって、女の子の知識も教えてあげられる方法を考えた結果、いろいろしてみた。仕事が終わったら一緒に食事に出かけたり、女の子のイロハを色々教えたりして積極的に関わっていった。彼女からの申し出で家にお邪魔し、髪の毛のお手入れやらスキンケアやらを教えてあげたのはもはや懐かしい思い出だ。それもあってか、お互いに冗談を言い合えるくらいには仲良くなったし、だいぶ距離感が縮んだ。

 

 

 

 出会ってから二ヶ月ほど経った頃、思い切って彼女を家に呼んでみた。私をどう見ているか、ハッキリさせようと考えたのだった。結果はなんとも言えない感じで、少なくとも何かしらの好意は抱いてくれているようだった。勇気を振り絞って同棲してみないかと遠回りに言ってみたらまさかのオッケーが出たのは驚いたが、あまり考えずに言っていたようで、その後はずっと悶々としていたのを覚えている。それだけ心を許してくれていると考えればうれしいが、もっと真剣に返事してくれてもいいのにという不満もあった。加えて言えば、お風呂で彼女の身体を拝見できたのは眼福だった。ご馳走様でした。自分にはない、スレンダーだがつくところにはついている体型でした。エッチでした。

 

 その翌月、幸運なことに居酒屋で二人揃って終電を逃した時には、半ば無理やり自分の家に連れ込んだりもした。あのときは彼女が眠気の限界ですぐに寝てしまったので、これを好機と思って添い寝させてもらった。言質……許可はとった。初めは単に隣で添い寝をしていたが、彼女が自分の方に寝返りを打って胸元に顔を埋めたときに全てを置き去りにしたのはしょうがないだろう。あんなに可愛いものが目の前にいるのだ。心ゆくまま抱きしめ、頭を撫でて満喫したのだった。あれは彼女からの事だったので、私は悪くない。むしろ若干うなされていたようだったのが落ち着いたので、良いことをしたのだと思っている。ご馳走様でした。なお、起きて私に抱きしめられているのに気がついた彼女の慌てっぷりも可愛かったです。

 

 そして、とうとう五月には夢見ていた彼女との同棲……もといルームシェアが始まった。ちょうどこの頃から、彼女が私と気兼ねなくスキンシップをとってくれるようになったと思う。嬉しいことがあったときに抱きしめたり、暇だからと手を繋いでみても嫌がらなくなったり、わかりやすく距離が縮まった。それどころか、むしろ離れるときに寂しそうな表情を見せてくれることも多くなっていったくらいだ。あとひと押しでこちら側に堕とせる実感が湧いてきて、一層やる気になっていったのだった。

 

 それから暫くはさらに距離感を縮める事に集中して、朝一のハグを習慣づけたりもした。最初は控えめだった彼女だが、しばらくすると彼女が私を待つようになってき、ソファーに座ってじっと私の方を見つめる彼女は主人の帰りを待つ犬のようだった。この頃になると、自覚はしていない様子ではあるものの、どんどん彼女からの好意も増えてきたように思う。他には後ろから抱きしめたときにうなじにキスしたり、少しずつ許してくれるラインを広げていって着実に距離を詰めていった。

 

 

 そして遂に六月、彼女をデートに誘った。彼女はただのお出かけの延長だと捉えていたかもしれないが、私にとっては大真面目なデートだった。プランは特になかったが、彼女といれば楽しいものになることは間違いなかったし、彼女も気取らないほうが楽だろうと思った。……というのが建前で、実際はデートらしいデートにする勇気がなかっただけだったりする。それでもデートを通して彼女を想う気持ちはどんどん強くなって、その結果が帰った後の行動につながったのだった。

 

 帰ってからソファーでのんびりしていた彼女は満足げで、どこかいい雰囲気になっていた。この機会を逃すまいと告白してみたのだが伝わらず、鈍感さに呆れながらも強硬手段に出たのだった。あれに気がつかなかったのが運の尽きだと思ってもらおう、自重をやめた瞬間だった。

 

 結果から言えば、彼女は私を受け入れてくれた。このタイミングで彼女から元の性別のカミングアウトがあったが正直そんなのは私の気持ちの枷にならなかったので、止める理由にはならなかった。思いを告げ、耳まで赤く染めた彼女から返事をもらったときは、間違いなく人生で一番幸せだっただろう。

 

 そこから先はいっぱいいっぱいであまり記憶がはっきりしないが、彼女の潤んだ目に誘われて好き勝手やったのは覚えている。言い訳をすればあれは彼女にも問題があって、何をしても逐一素晴らしい反応を返すのが悪いのだ。口先で嫌がりはするものの、本当か聞いてみれば途端に黙って顔を逸らすし、もはや狙っているとしか思えないほどだった。それでいて初めてだから優しくしてほしいだの言って私の独占欲を刺激するし、攻めてみれば私の名前を呼びながら「好き」だの「大好き」だのと呟くし、体の反応も凄いし、確信犯じゃないのが信じられなかった。

 

 それから今にかけての彼女は変わりようがすごかった。お互いの関係が恋人になった途端、彼女からのアプローチが増えたのだ。聞いてみればあの夜の一件で吹っ切れたらしく、彼女から腕に抱きついてきたり、後ろから抱きついてきたり、前から抱きついてきたり、キスをねだってきたり、何なら夜のお誘いまでしてきたり……毎日繰り返されると幸せすぎて早死にするんじゃないかと思うほどだ。さらに言えば、彼女の浮べる笑みに小悪魔のような悪戯っぽいものが混じりだしたのもいけない。わからせてあげないといけない使命感が刺激されてしまい、そのおかげで、あえて彼女に私を煽らせて夜に思いっきり自分の立場を自覚させることにハマってしまった。生意気な口をきいたお仕置きと称してたっぷり遊んであげるのだ。もっとも、彼女はもはやそこまでの流れを楽しんでいるようで、もしかしなくてもマゾ気質があるのだろう。ひいひい言いながら求めてくる彼女は死ぬほど可愛いです。

 


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