あなたが結月ゆかりになって弦巻マキに食われる話   作:Sfon

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豚もおだてりゃ木に登るぶひぃ。

ゆかいあも書いているのでそのうち投稿します。
2020/10/30
改行を増やし、先頭の一字下げを修正しました。


新居への引っ越し

 温泉旅館の撮影で茜ちゃんと葵ちゃんがマキさんと共にあなたを可愛がるようになって以来、事務所はあなたの心安らぐ場所というより、煩悩を揺さぶられる場所になっていました。三人のうち誰かが一緒にいる時点で、それは確定してしまうのです。

 例えばマキさんの場合、あなたを見つけると正面や後ろから抱きしめてきます。柔らかな胸はあなたの首元と顎にちょうどあたり、あなたを優しく包み込みます。そしてあなたの後ろ髪を優しく撫でながら「いい子だねー」などと声をかけ、あなたを甘やかすのです。あなたを端から端まで認めてくれる彼女は聖母のような包容力を感じさせ、ずっとそのまま抱きしめて欲しくなるでしょう。

 茜ちゃんならあなたをひと目見ると元気に飛びついてきて、ギュッと抱きしめます。あなたの耳元に顔を埋めて匂いを嗅いで来たり、匂いをつけるように頬擦りしたりしてくるのは犬か猫か、どっちにしても可愛い動物じみたところがあります。そしてその後すぐ横にピッタリとくっつき、あなたの片腕を抱きしめてからお喋りします。マキさんのように大きな胸があるわけではありませんが、その分女の子の柔らかさをお腹から胸元まで全部使って伝えてきます。ペットと言うと聞こえが悪いかもしれませんが、わかりやすく懐いてくれるいい子です。

 葵ちゃんなら少し上目遣いに近づいてきて、首筋や胸元の広めな服装で誘ってくることが多いでしょう。もちろんあなたの前以外では上着を着ているので、その光景はあなた専用の特別なものです。シミひとつなく透き通るような肌を見せつけられ、ついつい目が追ってしまいます。そして服の胸元を摘んでパタパタと風を送ったり、髪をかきあげたりしてわざと隙を見せられると、作為的なものだと分かっているのにじっと見てしまうのでした。そして、あなたとキスできるほどに近づいてから「何見てたの?」とそれを弄ってあなたを赤面させるまでがいつものお約束ですが、どうにもあなたは毎回これに引っかかってしまうのでした。

 そうして、各々自分の個性や長所を使った誘い方であなたを夢中にさせようとしてきます。それはあなたにとってはまさに急所に当たるものばかりで、そんなことをされた時にはいつも耳まで赤くしてしまいます。この生活が温泉旅館の取材からずっと続いていますが、未だに慣れる様子はありません。そして、そんな反応は彼女たちを色めき立たせ、ますますエスカレートしていくのでした。

 

 しばらくはそれでも上手くいっていました。しかし、しばらく経ってあなたが事務所によく行くようになると、不都合が起き始めます。マキさん、茜ちゃん、葵ちゃんの誰もが暇を見つけると事務所に入り浸り、あなたを待ち構えるようになったのです。そして、あなたが行くと三人全員が待ち構えていることも珍しく無くなって行きました。そうなってしまうと、各々が満足にあなたと触れ合えなくなってしまうのも無理はありませんでした。

もちろんそんな状況には皆不満を抱き、解決策が出されました。日替わり制です。一週間のうち、二日ずつをそれぞれに割り当て、残った日はあなたに選んでもらおうと言うのです。

 しかし、この案には琴葉姉妹から猛反対がありました。マキさんはあなたと同棲しているのだから、その分少なくするべきだという意見です。また、あなたは我が弱いので、誰かを選ぶのは難しいのではないかと言う意見も出ました。しかし、そうは言ってもなかなか折り合いは付かず、話し合いは難航しました。

 

 その答えは、意外なことにあなたから出てきたのでした。あなたが呟いた「もう皆一緒に住んじゃえばいいのに」という一言が、琴葉姉妹の弁を加速させたのです。つまり、マキさんだけがあなたと同棲しているからいけないのであって、皆ひとつ屋根の下同じ家に住めば解決するのではないかと。この意見にはマキさんも納得が行ったようで、新しい住居探しが始まったのでした。

 あなたはウェブサイトで物件を探してみますが、四人が一緒に暮らすとなると、なかなかいい物件は見つかりません。都内のマンションはどこも狭く、キッチンとリビング以外に四人それぞれの部屋を設けるとなるとかなり選択肢が絞られるのです。さらにあなたはよく配信をするため、防音がしっかりしているか後から防音室を導入できる物件でなくてはいけませんでした。今住んでいる家や今払っている家賃と比較して、いい感じに住めるところとなるとなかなか見つからず、困っているとマキさんが覗き込んで来て、ちょっとびっくりする発言をしました。

「ゆかりちゃん、そんなに安いところ頑張って探さなくてもいいのに」

 随分と羽振りのいい台詞だと驚いたあなたですが、ふと気がついて経理担当のスタッフのところに向かいます。その担当者はあなたの給料を管理している方で、あなたは毎月決まった額を普段使いの口座に入れてもらい、それ以外を貯金用口座に入れてもらっていました。そして、給料が上がっても普段使いの口座に入れてもらう額はあなたが事務所に入ってからずっと変えていませんでした。つまり、給料が上がっても口座に入る額が変わらないのです。そこで、あなたは経理の方に今現在、毎月いくらもらっているのかを確認しました。すると驚くことに、あなたが入ってすぐの頃にもらっていた額の数倍にまで上がっていたのです。おそらくですが、同じように働いているマキさんも同程度の収入があるのでしょう。それを考えると、あの発言もありうると思えたのでした。今思えば入った頃よりも仕事の幅は広がり、レギュラー番組も増え、先々での待遇もよくなっていた気がします。それらも全て繋がり、なんだか急に偉くなった気がします。その一方で、プライベートで人前に出かけるのも怖くなってきました。それだけ人に顔が知られているのです。出先で何かあったら困ります。今度から買い物に行く先はちょっといい所にしようと心に決めたのでした。生活水準の上がる見込みが立ったとは言え、ここで慢心しては足をすくわれるかもしれません。あなたは経理の方に振り込む額を倍にしてもらい、みんなのところに戻りました。

 あなたがマキさんに給料の話をすると、どこかでみた呆れ顔をされてしまいました。

「ゆかりちゃん、結構前にお給料の明細ちゃんと見なって言わなかったっけ?」

 言われてみれば、そんなことを言われた気がしないでもありません。しかし、まさか入って二年の間にこれほど変わるとは思っていなかったのです。

「ゆかりちゃん。私たちは人気商売なんだから、人気が出れば一気に動くお金が変わるんだよ。それはつまり落ちる時は落ちるってことだけど……。もらえる時にはもらっておかないとね」

 言われてみればそれもそうです。きちんと貯金をしつつ、消費もして社会に還元しなくては。そう考え、新しい気持ちで物件を探すのに戻りました。

 予算が増え、物件の選択肢が増えると、今度はいろいろこだわりたくなってきます。四人一緒に住むのですから部屋も多くないといけませんし、セキュリティも大事です。相変わらずコンビニには行くと思い、その距離も気になるところです。いろいろ考えた結果、結局都内にある、5LDKの戸建てを借りることになりました。その金額は、一月借りるだけで新入社員の1年分の家賃を使うほどです。マキさんにその額を見せたところ、「これ、人数で割ったら今住んでるところにちょっと色をつけたくらいだよ?」と言われてしまいました。よくよく聞いてみると、今住んでいる家の家賃は7割程度がマキさんの負担、残りがあなたの負担だったそうです。そんな風に分けた理由を聞くと「新人さんは最初お金持ってないしねぇ」と言われてしまいました。実際そうだったのですが、少しくらい相談してくれても良かった気がします。琴葉姉妹に今住んでいるマンションの印象を聞いてみたところ「すっごくいいところだとは思ってました」と当たり前のように言われ、家のランクに気が付いていないのはあなただけだったようです。値段の理由を聞けば立地が大半だそうで、マンション自体の豪華さとはまた別の価値に気付いていなかったようです。

 

 新居の話が出た翌月、手続きや引っ越しが完了しました。下見をし、契約、業者の手配など諸々がとんとん拍子で進んだことに驚きつつ、立派な一軒家に住める嬉しさとワクワクで胸がいっぱいです。引越し前日は楽しみでなかなか寝付けないほどでした。

 新居は表参道駅に徒歩で20分ほどのところにあり、スタジオへのアクセスも良くなりました。茜ちゃんは無邪気に嬉しそうにしていましたが、葵ちゃんはこの家に住むと決まってからずっとどこか固くなっていました。訳を聞いてみると「あんなに高いお家に、ほぼマキさんとゆかりさんのお金で住むなんて緊張します!」とのこと。実際家賃の4割ずつをあなたとマキさんではらい、他を琴葉姉妹に払ってもらっているので、気持ちはわかります。しかし、彼女たちの人気は最近どんどん伸びており、噂に聞けば仕事量はあなたとさほど変わらないそうです。遠くない将来、あなたやマキさんと同じくらい稼げるようになった時には割り振りを改めようというと彼女は一応納得したそうですが、付け加えて「お金で払えない分、いっぱいゆかりさんに尽くしますね!」と言われてしまいます。あなたは初日の夜がちょっと怖くなったのでした。

 

 新居で過ごす初日は四人全員が休みを取れるのが理想でしたが、毎日忙しいあなたはなかなかタイミングが合わず、他三人の休みが重なっている日になりました。他三人は先に生活の準備をし、あなたは仕事終わりに直接向かうことになりました。朝起きて、マキさんと玄関で別れ、気合を入れて仕事に向かいます。

 

 今日の仕事はスポーツ番組の司会です。取り上げるのは年に一度の世界大会で、今年はロシアで行われるようです。その大会前のいわば振り返り番組の撮影で、昼過ぎにスタジオに入り、打ち合わせ、メイクを経て収録が始まります。収録自体は3時間ほどで終了し、夕方にスタジオを出ることができました。

 

 新居は閑静な住宅街の一角にあり、明らかに高級住宅街の雰囲気が漂います。今日からあなたはここの住人となるのです。地図を見ながら家に向かうと、中からカーテン越しに光が漏れています。電気のついている様子を見るのは初めてなので、なんだかワクワクしてきますね。

 インターホンを押すとマキさんが出てくれました。しばらく待っていると玄関が開き、出迎えてくれます。

「おかえり、ゆかりちゃん」

 満面の笑みで迎えてくれたマキさんに「ただいま」と挨拶をすると、なんだか新婚家庭のような感じがしてつい照れてしまいます。マキさんを見ると口元がにやついているので、どうやら気づかれたようですが、あえて口に出して弄ってこないあたりマキさんも同じように感じたのかもしれません。玄関で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えるとマキさんがあなたの手を引いてリビングに向かいます。そしてドアを開けると、単板の広々としたテーブルの上にオードブルが並べられ、その向こうには茜ちゃんと葵ちゃんが座っていました。

「今日は記念にオードブルでパーティーっぽくしようかなって」

 マキさんがあなたを席まで案内すると、葵ちゃんがグラスに飲み物を注ぎ、茜ちゃんがあなたのリクエストで食べ物を取り分けてくれます。あなたがどうしてそんなにもてなすようにしてくれるのか聞くと皆「してあげたい」の一点張りで、気になったものの深くは聞かないことにしたのでした。

 

 お腹いっぱいご飯を食べ、美味しい飲み物も飲んで満足したあなたはようやく自室に向かいます。あなたは部屋のレイアウトを前住んでいたものと変えなくて良いと言ってありました。特に不便もなく、満足していたからでした。そのため特に気負いもせず自分の部屋に向かい、扉を開けたところ、予想しない光景に思わず一歩後退りしてしまいます。見慣れた防音室と作業机はそのままですが、ベッドはセミダブルからキングサイズにランクアップし、少し離れたところには冷蔵庫も備え付けられていました。軽く中を見ると水とお茶の他にエナジードリンクまであります。

 不思議に思いながらも荷物を置き、とりあえずはお風呂に入ることにします。マキさんに聞くと既に沸かしてあるそうで一番風呂を薦められ、部屋から着替えを持って早速入ることにしました。服を取り出そうと部屋にある引越し用のケース(今回の引越し業者はちょっと良いところなのか、段ボールではなく樹脂のケースで運搬しました)を片っ端から開けてみますが、どこにも服がありません。もしやと思いクローゼットを開けてみると、そこにはきれいに服が並んでいました。そしてまるで当然のように下着まで引き出しに入っています。上着などは業者が運んだかもしれませんが、まさか下着までは触らないでしょう。三人のうち誰かがやったに違いありません。そう思うと妙に接待されているような今日帰ってからの様子も、どこか怪しく思えてきました。しかし、あなたはあえて何も言わず、その目論見に嵌ってあげようと考えます。なんだかんだ言って、あなたが嫌に思うことをやってきたことは無かったのです。

 お風呂場はよくあるものをそのまま一回り大きくしたようで、湯船の周りにはL字型に洗い場が広がっています。リフォームが入ったのか、どこも傷一つなくきれいです。あなたはいつも通りに髪や体を洗い、ついでにもう少し体を念入りに洗い、各部をしっかりケアして風呂から上がりました。意外なことに、乱入してくる人は誰もいませんでした。てっきり悪戯を仕掛けてくるなら風呂場かと思っていたあなたは肩透かしを喰らった気分です。

 ため息をつきながら脱衣所に戻り、体を拭き、下着を身につけようとしたときのことです。ようやく異変が起きました。持ってきた寝巻きがなくなり、持てば向こうが透けて見えるほどに薄い生地でできた紫のネグリジェが代わりに置いてあったのです。明らかに着ろと言わんばかりの面持ちでした。体に当ててみてそのサイズ感のちょうど良さにため息をついたあなたは、ひとまず髪を乾かすことにしました。

 指定されたネグリジェを着てその上からバスローブを羽織ったあなたは、恐る恐る自室に戻ります。風呂に入る時にはリビングにみんないましたが、今通った時には誰もいませんでした。それどころか、家のどこからも物音がしません。明らかに不審な状況です。なんとなくこの後の展開が予想できながらも、あなたは自室の扉を開けました。

 

 あなたの部屋のベッドの上には、それぞれのカラーに染まったスケスケのネグリジェを着た三人が揃って寝ていました。

 あなたは扉を閉めました。

 

 あなたは一度深呼吸し、今度はゆっくり扉を開けてみました。

 あなたのベッドの上にそれぞれのカラーに染まったスケスケのネグリジェを着た三人が揃って座っていました。

 あなたは扉を閉めました。

 

 あなたは再度深呼吸し、今度はもっとゆっくり扉を開けてみました。

 あなたのベッドの上には誰もいません。どうやら気のせいだったようです。安心して部屋に入ると、入り口の脇から出てきた三人に抱きかかえられ、そのままベッドに連れていかれました。

 




感想もらえてやる気出ました。
もしできれば、あと一回分もらえるとすごくうれしいです。

前回送っていただいた方、本当にありがとうございました。

では。
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