あなたが結月ゆかりになって弦巻マキに食われる話 作:Sfon
9月。四人で過ごし始めてから初めて、あなた以外全員が仕事で外泊する日が来ました。マキさんは二泊三日の収録、琴葉姉妹は三泊四日の収録が同じ日に始まるため、少なくとも二晩は一人で過ごすことになりそうです。
あなたは朝起きると、隣で寝ているマキさんを起こします。声をかけてもなかなか起きないので、肩を軽くゆすります。あなたもマキさんも下着しかつけていないため、彼女の白い肌がまぶしく、手にはしっとりとした肌の感触が伝わります。パートナーになってすぐのころは薄氷を扱うよりも恐々と触れていた彼女の体ですが、最近はいつもこうなのですっかり慣れてきました。
夜はあんなに頼もしいマキさんですが、寝ている姿を見るとやっぱりかわいい女の子です。華奢な肩を上下させて寝息を立てている彼女をしばらく見ていたい気持ちはありますが、起こさないと仕事に遅れてしまいます。しばらくゆすり続けると、どうやら目を覚ましたようです。
まぶしそうに眼を細めながらあなたを見たマキさんはしばらくそのまま目を合わせて、おもむろにあなたを抱き寄せます。バランスの悪い座り方をしていたあなたはすぐにマキさんの方に倒れこみ、胸元に抱きかかえられました。首元に彼女の柔らかな胸が当たり、包まれます。しばらくそれを堪能したいのはやまやまですが、そうは言っていられません。あなたが仕事に遅れると言って腕を離すように説得すると、彼女は無言で唇を突き出します。あなたはしばらくその端正な顔を下から眺め、それから「仕方ないですね」とあくまで妥協している素振りをしてから、高鳴る胸を押さえ、彼女の頬に手を添えて、そっと唇を重ねるのでした。
マキさんを起こした後スウェットに着替え、洗面をしてダイニングに向かい、朝食の準備をします。今日はほか三人が仕事なので、あなたがご飯の当番です。マキさんは割と朝食べない派で茜ちゃんはそこそこ、葵ちゃんは比較的しっかり食べるので、各々の食べ方に合わせて作ります。はじめは慣れなかったものの、この二月ほどですっかり慣れました。シリアルや目玉焼き、パン、ベーコン等それぞれの朝ご飯を並べていくと、ちょうどみんなが起きてきました。あなたが挨拶すると、みんなは挨拶を返したのち、マキさんを先頭に茜ちゃん、葵ちゃんの順番であなたの前に縦に並びます。毎日の儀式で、もうすっかり慣れてしまったあなたは両手を広げて受け入れます。
みんなが順番にあなたを優しく抱きしめます。これが毎朝のルーチンになっていました。仕事でしばらくあなたから離れるとあって、特に今日は長めにあなたの体を抱きしめ、それから食卓に着きました。
食事をすませ、みんなを玄関で見送ります。二晩続けてあなたと別の場所で過ごすのは初めてのことで、マキさん始め、みんな少し不安そうです。自分が寂しいというよりは、あなたが寂しがるのではと心配しているようです。「一人暮らしをしていたんですから、余裕です!」と言ったあなたですが、結局みんなにもう一度抱きしめられた後、出発を見送りました。
みんなを見送ったあなたは、暇な時間をどう過ごすか考えた結果、配信をすることにしました。いつもは時間を決めて配信をしていましたが、今日は何も決めず気の向くまますることにします。
ゲリラ配信を始めるとたくさんの視聴者があなたの放送を見にやってきます。少し期間が空いての配信だったため、コメント欄はかなり盛り上がっているようです。あなたは人気のバトロワFPSゲームを起動し、視聴者参加型のゲーム配信の開始です。あなたのリアクションにみんな反応し、みんな楽しんでくれているようでした。
夜になり、配信にも疲れてしまったあなたはリビングのソファーでだらだらと過ごしていました。結局昼ご飯はコンビニ弁当で済ませ、晩御飯をどうしようか考えていると名案が浮かびます。宅配ピザを取り、コーラも注文し、ネットで借りた映画を見ることにしました。以前マキさんと見た映画がとても面白かったのを思い出し、それをもう一度見てみようと思ったのです。注文してから30分ほどで熱々のピザと冷えたコーラが届き、引っ越してから買った大画面のテレビで上映会が始まりました。
見始めてすぐはとても楽しく過ごせていました。役者のおどけた演技に笑い、キレのあるアクションシーンは手に汗握ります。しかし、映画が中盤に差し掛かったころ、面白かったはずの映画がどうにも退屈に感じ始め、ソファーでゴロゴロしながらスマホをいじります。あなたは気づいているでしょう。マキさんと一緒に見るからこそ、楽しかったのだろうと。急に冷めてしまったあなたは、マキさんに電話をかけることにしました。チャットで電話をかけていいか聞くと、明日の準備が終わって時間ができたら向こうからかけてくれると言ってくれました。あなたはベッドに寝転がって、かかってくるのを待ちました。
しばらくして、マキさんから電話がかかってきました。彼女は少し芝居がかった口調で話しかけます。
「どうしたのゆかりちゃん、寂しかった?」
あなたはただ暇になったから話し相手が欲しくなったと言いましたが、「それってさみしいってこと?」とまた聞かれたので、話題をそらすためにマキさんの状況を聞くことにしました。順調に撮影は進んでいるそうで、予定通り明後日に帰ってくるそうです。それを聞いてあなたは、もう一晩は一人で過ごさないといけないことを思い出しました。それで少しだけさみしくなったあなたは、通話をしながらマキさんの部屋に入りました。
マキさんの部屋には何度か入ったことがあります。12畳程度の部屋の中心にはカーペットと座椅子が置かれ、壁にはテレビがかけられています。そしてダブルベッドに本棚、机が置かれていて、いくつかのクローゼットが備え付けられています。
あなたは軽く部屋を見回してからベッドに入りました。マキさんのベッドは彼女のにおいで溢れていて、布団にもぐって深呼吸してみると彼女に抱きしめられている気分になれそうです。彼女はそんなあなたの様子を電話越しに感じ取ったのか、今何をしているのか聞いてきました。あなたはベッドの上で軽くストレッチをしていると答え、また他愛もないお喋りを続けました。
そうしてマキさんとしばらく話しているとだんだんと眠くなってきたので、あなたは彼女にそろそろ寝ると伝えました。
「あ、ゆかりちゃん寝るなら、最後にお顔が見たいなぁー」
すっかり眠くなって頭がぼんやりしてきたあなたは。布団を足元に寄せ、ベッドに仰向けになってからカメラを付けました。マキさんもカメラを付け、ようやくお互いの顔を見ての通話が始まりました。画面越しのマキさんは一瞬驚いた顔をしたと思うと、すぐに優しい顔付きでおやすみなさいを言ってくれます。あなたは今朝ぶりにマキさんの顔をみて自然と頬が上がるのを感じましたが、それを抑えることはできませんでした。
そしてしばらく喋り、あなたが眠気に耐え切れなくなったところでマキさんが最後に一言あるそうで、カメラを切ってスマホを耳に当てます。そして聞えてきたのは、いつも寝る前に話しかけてくるマキさんの柔らかい声でした。
「おやすみ、ゆかりちゃん。愛してるよ」
あなたはその声を聴いてとても安心すると、あなたも「大好き、愛してます」と返して電話を切りました。そしてマキさんの布団に包まって、朝までぐっすりと眠ったのでした。
朝起きると、なんだかいつもよりも体が軽い気がします。夜寝ている間に誰からもちょっかいをかけられなかったからでしょうか。疲れがすっきり取れて気分もよかったので、あなたは朝から散歩に出かけました。帰ってくるとちょうどおなかがすいてきたのでブランチにします。キッチンにある材料を見て、ホットケーキにすることにしました。
ご飯を食べ終わり、また配信をして時間をつぶすと、ようやく夕方になりました。あなたは晩御飯に出前を頼んで食べると、散歩と配信の疲れからか眠くなってきたので、またマキさんの部屋で眠ることにしました。彼女の匂いに包まれ、また気持ちよくまどろみに包まれ、そのまま眠りにつきました。
深夜、あなたは目を覚まします。スマホを見ると午前二時前を示していました。変な時間に寝てしまったせいか、妙に目がさえてしまって寝付けません。あなたは自室の冷蔵庫から持ってきた水を飲むと、マキさんのベッドの上でスマホをいじりだしました。あなたが見始めたのはマキさんの動画チャンネルです。どうにも深夜のこの時間帯は寂しくなりがちで、極々たまに誰も相手にしてくれない夜はこうしてマキさんや琴葉姉妹の動画を見て寂しさを紛らわすのでした。
どうしてか、今日は動画を見ても気が紛れません。それどころか、見たせいでもっと人恋しくなっている気がします。あなたはスマホを閉じ、寝転がって天井を見つめます。いつもならこの時間帯はもろもろ終わって充実した気持ちで眠りにつく頃です。振り返ってみればマキさんと初めてして以来、二日間ご無沙汰なのは初めてかもしれません。あなたは眠るのに邪魔な妄想が頭に浮かびかけ、それを消そうと枕を抱きしめて布団に潜り込み、目をつぶりました。
それがいけませんでした。暖かい布団の中で枕にしみ込んだマキさんの匂いを胸いっぱいに吸ってしまったあなたは、この行為が完璧に逆効果だったことに気づきます。枕を抱きしめるほどに胸の高鳴りが加速し、大きくなっていきます。それはあなたの体を伝わって耳まで届き、うるさいほどです。
あなたは何とか気をそらそうとしますが、先ほど見た動画の中のマキさんを思い出してしまいます。あんなにみんなに笑顔を振りまいているマキさんが、家ではあなたを啼かせることに夢中になっているギャップ、そしてその時の支配欲に満ちた目つきを思い出し、ますます鼓動は強くなっていきます。
結局、あなたはその欲に打ち勝つことができず、自分で自分を慰めることにしたのでした。スウェットを脱ぎ、手を肌に滑らせ、下着の中へと進めていきます。初めての経験ではありませんでした。マキさんと一緒にするとき、たまに意地悪な彼女が見ている前でさせられることもあり、彼女のアドバイスをもらってだいぶうまくなったと思っていました。
しかし、どうにもうまくいきません。マキさんに見てもらいながらしたときはあんなにうまくいったのに、今はいくらやってもむなしいばかりです。何とか欲望を解消しようと励みますが、一向に満たされる気配はありませんでした。結局、小一時間続けてもうまくいかず、手が疲れてしまったあなたはそのままの格好で眠ってしまうのでした。
翌朝、寝起きの気分はあまりいいものではありませんでした。悶々とした気持ちは解消されないまま若干静まり、腹の底でくすぶり続けていました。あなたはベッドから起き上がり、足を床に下ろそうとしました。その時、認めたくないものを目にしました。
目の前にマキさんがいるのです。そばには仕事で持ち歩いていたキャリーカートが置かれています。なぜか帰ってきているようです。
「おはようゆかりちゃん、お寝坊さんだね?」
どうしてマキさんがもう帰ってきているのかわからず、慌ててスマホを見ると午後1時を示していました。そして、スマホにはメッセージの通知が何件か続いてきています。マキさんからのようです。開いてみると、午前中に仕事が終わり、早めに帰宅すると書かれていました。あなたはだんだん事態が呑み込めてきて、冷静ではないものの少しずつ頭が回り始めます。そして、ようやく自分がマキさんの部屋で寝ていて、しかも下着姿であることに気が付きました。加えて、その下着にはしわが付いていたり、付け方がずれていたりと、あなたが昨晩ここで何をしていたかを十分に物語っていました。
あなたは真っ赤にさび付いた首を無理やり動かしてマキさんの様子を窺いました。彼女はそんなあなたの様子を一から全部見ていたようで、ゆっくりと口を開きます。
「やっぱりゆかりちゃん寂しかったんだね。私の部屋に入って、一人でそんなことまでしちゃって、かわいいなぁ」
マキさんはあなたをベッドの上にそっと押し倒すと、おでこ同士をくっつけてあなたの目を見つめると、いつもの支配欲にまみれた目であなたを縛り付けました。
「寂しがらせちゃったぶん、いっぱい愛してあげるね。ゆかりちゃん、大好き。愛してるっていっぱい教えてあげる」
日が沈み、昇ってもまだ愛され続けたあなたは、視界の端に朝日が昇るのを収めながらベッドの上、布団をかぶってまどろんでいました。もちろん隣にはマキさんがいて、彼女の肌のぬくもりを感じながら幸せな時間を過ごしています。彼女の腕を抱きかかえ、肩に口づけして、耳元に顔をうずめると胸いっぱいに彼女の匂いが満ち溢れます。それは枕の匂いを嗅いだ時のような寂しさとはまるで違う、甘酸っぱくてあなたを惚れさせた、安心する香りでした。
マキさんはそんなあなたの髪をなでると、あなたの顔を抱き寄せて一言、愛をつぶやいたのでした。
なお、琴葉姉妹は帰ってくるなりあなたとマキさんを見て事態を把握し、その晩はいつもよりなおさら長くお楽しみになったそうな。
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