あなたが結月ゆかりになって弦巻マキに食われる話   作:Sfon

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お久しぶりです。
結月ゆかり雫発表おめでとうございます。
長くなったので上下編に分けての投稿です。 


いまさら水着回(上)

 7月。アイドルにとってはかき入れ時です。その理由は、目の前に広がっている光景が如実に示しているでしょう。

 ここはあなたの自宅。正確に言えば、あなたを含めたボイスロイド、そしてそれに関連するキャラクターに酷似した者たちが集まって住んでいるシェアハウスです。あなたはこの家に弦巻マキ、琴葉茜、琴葉葵、イアとともに暮らしています。今日は、あなた達が所属しているAHS事務所から届けられた荷物をみんなで開封し、見ることになっています。

 開放的なリビングの片隅、L字に置かれたソファーの前に置かれたガラステーブルの上に、届いた段ボールが置かれています。一辺は肩幅ほどの大きさで、あなたにとってはギリギリ持ち上げられるくらいの重さです。

「じゃあ、ゆかりんが開封の議をおねがいしまーす」

 あなたの右隣りに座っているマキさんが、カッターナイフを手渡してくれます。受け取ろうとして差し出された手に視線を向けると、視界には彼女の体がうつり込みました。自宅だからとくつろいでいる彼女は、キャミソールとショートパンツしか着ていません。豊満な胸がキャミソールを押し上げており、ちょっと気まずくなってしまったあなたは、努めて冷静を装いながらカッターナイフを受け取り、段ボールの封を切りました。

 蓋を開けると、中には透明なビニール袋で分けられた大量の服が入っていました。一番上にあったオレンジ色のものを手に取り、袋から取り出して広げてみると、どうやら下着の上下セットのようです。しかし、パンツが両端を紐で結ぶタイプに見えながらも実はただの飾りだったり、ブラは背中側の構造が普通のものと違ったりしていて、ちょっとおかしいことに気が付きます。

「うわぁ、かわいい水着ですね! 海で撮影でもするんですか?」

 あなたの左隣に座っている葵ちゃんが、気になってたまらないとばかりに箱の中の小袋を次々と取り出します。言われてみれば、確かに手に取ったのはビキニタイプの水着でした。女性ものの水着といえば上下セットでそれ専用のハンガーにかかったイメージがあったので、すぐに思い当たらなかったのでしょう。

「ゆかりさん、これ着てください!」

 あなたの左前、L字になったソファーの一番遠くに座っているのはイアちゃんです。彼女が広げて見せているのは、黒いマイクロビキニのトップスでした。500円玉程度の布地に紐がくっついているだけの、もはや水着といっていいかわからない代物です。彼女は一緒に暮らすようになってから自分の欲を非常にオープンにしており、その量はあなたを囲っているほかのメンツより数段上を行っています。そして、どう対処しようかあなたが迷っているところにマキさんが助け舟を出すのもまた、いつもの流れです。

「いや、撮影の衣装選びだからね。これ。ゆかりちゃんをかわいがる時のコスプレ衣装選びじゃないからちょっと落ち着こう」

「私、別に撮影で着てほしいって言ってないです。私と一緒に寝るときに着てほしいなーって」

「はい、没収でーす。預かっておくからまた今度ね」

「今晩使うつもりですよね、それ」

 マキさんとイアちゃんの間で何かが起き始めましたが、あなたは考えないようにして左隣の葵ちゃん、そしてその奥、イアちゃんとの間に座っている茜ちゃんと一緒に水着の検討会を始めました。

「ゆかりさん、これはどうやろか?」

 茜ちゃんが見せてくれたのは、フリフリとした生地で飾られたトップスの黒いビキニです。なるほど確かに可愛いと思ったあなたは、胸元にあててみます。あなたが今も着ている、いつもの紫色のワンピースはあなたの体にぴったりとフィットするものなので、イメージが付きやすいことでしょう。サイズはおおよそちょうどよく、あなたの鎖骨の下あたりから胸元全体を覆います。

「はい、これが下ですわ」

 続いて茜ちゃんから渡されたのは、手に持っているトップスと対になるものです。あなたはトップスをいったんおいてそれを受けとり、しばらく眺め、前から思っていたことを口に出しました。ビキニタイプの水着、下着と変わらないのでは?

「まあ、隠す面積的には変わらないですよね。でもこっちはいろんな人に見せることを念頭に作られているし、絶対に透けないように厚手の布で作られてますよ」

 わからなくはないですけど、と葵ちゃんがフォローを付け加えてコメントすると、ほかの面々も、イアちゃんやマキさんもそれに同意しました。

「男の人からしたら水着も下着も変わらない感じ?」

 マキさんがそう尋ねたので、あなたはイメージしてみました。あなたがベッドの上であおむけになり、マキさんがそこに覆いかぶさってきます。彼女がおもむろに着ていたブラウスとスカートを脱ぎ、水着姿になりました。

 ……何か違う気がするでしょう。何というか、いけないことをしている背徳感の欠片もありません。見られる前提の格好をしているだけといえばそれだけでした。最も、場違いな格好をしているという点でのコスプレ的な要素はありますが。

「まぁ、そういうことだよ」

 マキさんは完全に理解してもらえた気になっているようですが、あなたはまだ水着姿に抵抗が残っています。水着を着ること自体恥ずかしくないということは、ひとまず受け入れました。しかし、自分の肌の大部分を見せることになるのは変わりないのです。難色を示していると、マキさんがあなたの腰に片手を回し、もう一方の手で適当な水着をあなたに渡しました。わき腹を抱き寄せられたのがくすぐったくて手から逃げようとすると、自然とマキさんの体に寄り添うことになります。今まで何度もされてきましたが、毎回彼女の思い通りに乗せられてしまうのです。彼女はあなたの耳元に顔を寄せて話しかけます。

「まぁ、その辺は小さいころからの積み重ねで慣れていくところだからしょうがないよ。ゆかりちゃんはそもそも女の子の水着を着たことがないだろうし、今回から頑張って慣れていこうね。……着たことないよね?」

 もちろんありません。さすがに撮影当日が初めて水着を着る日だったら、仕事に影響が出てしまうでしょう。少なくとも一回くらいは事前に試して、慣れておく必要がありそうです。

 自分が水着を着て、人の前に立って、カメラで撮影される。そして、それを大勢のファンたちに見られると考えると、なかなか恥ずかしいものがあります。

 そんなあなたの様子を見たイアちゃんが、良いことを思いついたとばかりに、満面の笑みで提案しました。

「それじゃあ、今度海水浴に行きましょうよ。撮影とか配信とかない完全プライベートで、私達しかいないプライベートビーチに!」

 

 イアちゃんの一言で急に決まった海水浴旅行は、意外にもとんとん拍子で話が決まっていき、いつの間にか当日を迎えました。飛行機で向かった先は沖縄、宮古島。貸し切りのビーチがあり、しかも今度の撮影も宮古島なので、予行演習にはぴったりです。

 空港に降り立ち、併設されたレンタカーの受付に向かいます。今回は念のためについてきた女性のスタッフさん一名以外に水を差す人はいないので、ほぼほぼ完全なプライベートの旅行になりました。

 9人乗りの広々としたバンに乗り込み、あなたは一番後ろにある三連シート真ん中の席に座ります。その左をマキさん、右をイアちゃんが固め、茜ちゃんと葵ちゃんは前の方で二人並んで仲良く座り、楽しそうなお喋りタイムが始まりました。

 いつものパーカーを脱ぎ、いつものワンピース一枚で座ると、ようやく一息付けた気分になるでしょう。すっかりこの格好に慣れたあなたは、胸元をつまんでパタパタと熱気を追い出しながらシートに深々と腰かけます。

 一年半前は恥ずかしかったこの服ですが、人前で気軽に着られないことを除けばかなりお気に入りでした。長いスカートと違って座るときに気を使わなくていいし、露出の量はソックスやパーカーで調整できるし、肩が出ているので夏でも涼しいのです。ただ、体に張り付くので体形がくっきり見えてしまうのが難点ではあるでしょう。好きなだけ食べても体形が変わらず、スキンケアをしなくてもスベスベな肌を保てるあなたとって大した問題ではないのが幸いでした。

 ただ、ちょっと困ることもしばしばあります。

「ゆかりさん、これから行くビーチ、すっごくよさそうですね! ほら、この写真とかすっごくいい感じですよ!」

 イアちゃんはあなたの右腕に抱き着きながら、スマホを差し出して写真を見せてくれます。真っ白な砂浜に青い空、典型的なものの、とても美しい浜辺の写真です。あなたは「いいですね」なんて余裕ぶって返事をしますが、意識の大半は別のところにあります。

 一つは右腕に感じるイアちゃんの体の感触です。毎日のようにマキさんたちと夜を共に過ごしているからといって、ダイレクトな好意やスキンシップに慣れきってしまったわけではありませんから、当然のように意識してしまうでしょう。少し体重を預けるようにしているイアちゃんからはラベンダーの良いにおいが漂い、それがどうにも落ち着きません。あなたの着ている服の露出が多いだけに、彼女のぬくもりや柔らかさが直接伝わってきます。

 もう一つは、あなたの左隣りで首から下げた一眼レフカメラを弄っているマキさんの視線です。あなたは心の奥底でマキさんのことを特別視していることもあり、彼女からの視線はいつも気になってしまいます。こちらを見てはいませんが、視界の端で見られているかもしれないと思うと落ち着きません。

 マキさんや茜ちゃん、葵ちゃんはあなたへのベッタリ期が終わり、少なくとも家の外では女友達に収まるくらいの接し方になったものの、その代わりにイアちゃんがどんどん積極的になってきました。オフィスでの過ごし方やロケ先での接し方でイアちゃんがスタッフさんに注意されることもしばしばあり、最近ではマキさんがイアちゃんの手綱を握っている状況です。もちろんあなたがイアちゃんを制御できるわけもなく、いつもマキさんに視線を送っては助けてもらっているのでした。

 しかし、今日のマキさんは妙なことに、イアちゃんをあまり止めません。イアちゃんはここぞとばかりにあなたに甘えており、はじめはただ抱くだけだった右腕ですが、いつの間にか右手がイアちゃんの太ももに添えられていました。その上にはイアちゃんの左手が重ねられているので、彼女が自分から触らせているのです。

 イアちゃんはいつもの黒いオフショルダーにピンクのミニスカートをはいているので、あなたは彼女の生足を強制的に触らされ、そのしっとりすべすべした感触を強制的に味合わされています。あなたは抵抗の意味も込めてイアちゃんの顔を覗きこみましたが、彼女は満面の笑みを返すのみでした。

「どうしたのゆかりちゃん、そんなに顔を赤くしちゃって。まるで何も知らないうぶな生娘みたいだよ?」

「いや、さすがにその発言はおじさんっぽいぞ? そこそこにしなよ~」

 頼みの綱のマキさんはあっさりした対応で、イアちゃんが何をしているかわかりながらも気にしていない様子です。それをいいことにイアちゃんはあなたの右手をさすり、そのせいで彼女の太ももの柔らかさが伝わってきます。

「ゆかりちゃん、耳まで真っ赤だよ?」

 立ち上がって逃げようにも腕をがっちりと掴まれていますし、そもそも走行中の車の中なので気軽には動けません。あなたができるのはマキさんに助けを求めることだけですから、何とかしてもらおうとマキさんの右手を握り、どうにかしてくださいと頼みます。

 しかし残念なことに、マキさんはあなたの顔を見るやいなや、あなたの左腕をがっちりと抱きしめました。その表情はムッとしていますが、それならイアちゃんを止めてくれてもいいはずです。それなのに、彼女はイアちゃんと張り合って胸を腕に押し付けたり、手を握ったりするだけでした。

「まぁ、イアちゃんは私達よりも後にゆかりちゃんと出会ったわけだし、多少はね?」

 何が多少なのかはわかりませんが、海につくまでの間はこの悶々とした気分のまま耐えるしかないようです。

 

 借りるビーチに併設された宿泊施設についた頃、あなたはすっかり疲れ切っていました。今までほとんど我慢をせずに済む生活をしていたあなたにとって、生殺しの時間は他の人よりもよっぽど効くのです。

 今回借りた部屋はツインベッドが三つ。あなたとマキさんで一部屋、葵ちゃんと茜ちゃん、イアちゃんで一部屋、そしてスタッフさんで一部屋です。

 部屋に入ると、大きな窓からオーシャンビューが広がっています。白を基調としたインテリアが室内を明るく照らし、まさに南国といった雰囲気です。

「いやー、良い感じだね! どうする? 早速泳ぎに行ってもいいし、ちょっと休んでもいいよ」

 マキさんは早速荷物を広げ、水着や日焼け止めなどを机の上に並べています。あなたはそれらを眺めながらしばし考え、体がじっとりと汗ばんでいることに気が付きました。さすが沖縄の夏。駐車場から宿泊施設の間をちょっと歩いただけなのに肌がべたついています。もともと体にフィットする服を着ているだけに、ちょっと汗をかいただけでも不快感があるでしょう。この後、水着を着る前に日焼け止めを塗りますから、汗をかいたままというのは抵抗があります。

「あー、確かにね。きちんと全身に塗らないといけないし、先にシャワー入ろっか」

 着替えの下着を持っていこうとして手荷物を漁っていると、マキさんがおもむろに服を脱ぎだします。あなたが慌てて顔を背けると、後ろからニヤついた声がかかりました。

「なにさ、今さら恥ずかしがっちゃって。毎晩楽しんでるのに」

 衣擦れの音があっという間に途絶えたかと思うと、あなたの後ろから腕が回されてぎゅっと抱きしめられます。薄い服装が災いして、彼女の胸の感触が背中へと明瞭に伝わりました。

「はい、お風呂入って、そのまま日焼け止め塗りましょうねー」

 首元の紐を解かれ、ワンピースがそのまますとんと足元に落ちます。こんな日に限ってチューブトップと紐パンだったのが運の付きで、下着もあっと今に脱がされてしまいました。

 まだ昼間でこの後海に行くというのにいったい何をされるのだろうと期待半分困惑半分な心境のあなたは一歩も動けません。車の中であれだけ焦らされていたのはこの伏線だったのか……と、次にはどんなセリフを囁かれるのか身構えていたあなたですが、残念なことにそのままお風呂場へと連れられました。

 お風呂場は思ったよりも広く、ユニットバスではないので二人で一緒に入ることも問題ありません。マキさんはあなたをからかって満足したのか、腕を解くと一人で体を洗い始めました。あなたは弄ばれたのが不満で彼女をじっと見ますが、飄々とした様子で気に求めていない様子です。しかも、そんな様子のあなたに追撃を食らわせました。

 「あれ、もしかして期待しちゃった? これからみんなで遊ぶのに、ゆかりちゃんはエッチだなぁ」

 彼女にちょっとでも意表返しをしてやろうと、あなたは切なそうな表情を作って誘惑してみることにしました。彼女の左手を両腕で抱え、顔を覗きこんでみます。いつもは受け身に徹しているあなたからのアピールは予想以上に効果的だったようで、マキさんはあっという間に白旗を上げました。

「……あの、私が悪かったので許してください」

 なんだかんだで、マキさんもあなたに弱いのです。今回はあなたの勝ちでしょう。

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