月日は流れて8月の後半……。
私達川越シニアは埼玉県内の激戦を勝ち抜き、全国大会も決勝戦まで勝ち進んだ。相手は渋谷シニア。私達にとっては最早デフォルトな流れなのかも知れないね。
「決勝戦の先発投手は朱里ちゃんで行くからねっ!」
「……はい」
(決勝戦も先発かぁ……。夏に入ってから、先発になる機会が増えたんだよね)
理由としては私が夏の大会にてエースナンバーをもらったからだ。でもこれに関しては不思議な事に反対意見が一切出なかったんだよね。なんか不思議な力が働いていそう……。
「でも朱里ちゃんがこの大会で打たれたヒットって2本だけなんだよね……」
「イニングの後半でたまに制球が乱れて四球を出したりもしますが、基本的には相手打者を完封していますし、エースになるのも時間の問題だったでしょう。しかも朱里さんが取ったアウトは全部三振です」
「それで朱里せんぱいは大会での奪三振数がトップなんですよね」
「紅白戦で敵に回った時は絶望感が半端亡かったけど、味方だと頼もしい事この上ないよね~。これから先の事を考えると、恐ろしいったらありゃしないよ……」
正直いつ打たれるわからないから、ヒヤヒヤものなんだよね。このノミみたいな心臓もなんとかしたいところだよ……。
「あっ、そろそろ試合が始まりますよ!」
「相手は毎度全国優勝を争っている渋谷シニアだね……」
「でもこの夏は朱里がいるから、心強いよね☆」
余り過大評価するのは良くないと思うよ!
「……では行きましょうか。朱里さん、準備は良いですか?」
「……なんとかね」
全国大会の決勝戦……。相手はあの渋谷シニアだし、頑張らないとね!
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
最終回。渋谷シニアの最後の打者を三振に切って取り……。
『ゲームセット!!』
試合終了。2対0で私達川越シニアの勝ち……つまりは全国優勝だ!
「負けたよ……。完敗だ。良い試合をありがとう」
「こちらこそ、ありがとうございました」
渋谷シニアのキャプテンである十文字さんと握手を交わす。そういえばこの人だけは三振に取れなかったな……。もしかして偽ストレートの正体がわかっていた……?
「流石は朱里ちゃんだね!この試合でも奪三振を18個も取ったよ!」
「監督……。ありがとうございます」
正直あの渋谷シニア相手に出来過ぎな気がするけど……。それでも私がもぎ取った勝利と思っても良いんだよね?)
「朱里ちゃんはもっと自信を持っても良いよ。朱里ちゃんのお母さんみたいに堂々と投げれば良いの」
「母さんの……ように……」
六道監督は母さんと何かしらの交流がある。それは良いんだけど、今の私が母さんのようになるのは無理だろう。冷戦状態が終わるまでは、気まずくて会話すらにならないのだから……。
(でも、何れは向き合わなきゃいけないんだよね……?)
その時が来るまでは、野球を楽しもう。その時が来たら来たらだよ。
高橋さんや一ノ瀬さん達が引退し、川越シニアのキャプテンには金原が抜擢された。
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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