イニングは進んで6回裏。スコアは両チーム0点と投手戦になっている。
「キツいな~!ランナー出ても、すぐあの姉妹の餌食になるもん!」
「こういう守備型のチームに対しては一発が望める打者じゃないと点を取るのは無理だね……」
川越シニアにはパワーヒッターと呼べる選手が少ない……というか現状は清本しかいない。他の打者の大半は狙い球とコースが噛み合えばホームランを打てる……というタイプで、基本的には繋いでいく事が多い。まぁパワー云々については清本が可笑しいだけだと思うけど……。
「そして折角清本に回ってきたとしても……」
『ボール!フォアボール!!』
「こうして歩かされる訳か……。本当春日部シニア……っていうか三森3姉妹はウチにとって天敵だよねー!」
いわゆるスラッガーレベルの打者がいない事がこういう形で首を絞めてしまうとはね……。このままじゃ延長戦に突入しちゃうよ。
「三森姉妹の特徴として高い守備力、広い守備範囲、凄まじい走力……という3点が私達を苦しめていますね」
「しかもランナーが出てからが本領っていうね……」
「あの姉妹が入団してからの春日部シニアは取ったアウトの内訳9割があの姉妹が要因となっています。春日部シニアが守備型のチームと呼ばれるようになったのも、彼女達の尽力がとても大きいです」
「うへぇ……。和奈のバット以外でウチが点取れる手段ってあるの?」
「3巡目に突入した場面で、和奈さんのホームラン以外は得点が望めない……。そう思わせる事がこの試合の目的です」
「えっ……!?」
どうやら二宮はこの状況を読んでいたみたいだ。どんな思考回路をしてればこの試合の併殺数が8個の展開を読めるんだろうね。しかも清本は徹底的に歩かされているし……。
「……そろそろ動きましょうか。相手が足を絡める守備をするのなら、こちらも走塁で対応しましょう」
「走塁で……?」
清本の足はチーム内ではそれなりに速い部類ではあるけど、三森姉妹の前では霞んでしまうレベル。という事は……。
「監督」
「うん!タイムお願いしまーす!」
監督がタイムを掛けた。その内容は清本に代走を出すみたいだ。
「それでは静華さん。初陣を頼みますよ」
「あとお願いね?」
「任せるでござるよ。ニンニン!」
そういえばウチにもいたね。規格外の走力をした選手が……。でも村雨ならもしかして……!?
「あっ、走った!」
初球を投げた瞬間、村雨はスタートを切った。盗塁だ!
『セーフ!』
「すご……。悠々と盗塁してるじゃん」
「あの走力なら、三森姉妹を越える事が出来るって事か……」
「実質このイニングがラストチャンスです。静華さんには決めてもらいますよ」
「また走った!?」
2球目も村雨はスタートを切る。三盗を狙ってるね。
『セーフ!』
「やった!あれなら転がせば、点取れるよ!」
まだノーアウトだしね。最悪打ち上げても、タッチアップで1点が取れる。
ズバンッ!
『ボール!』
「うわっ。結構際どい……。制球もちゃんとしてるじゃん」
「あのコースは手を出してしまうと凡打になりますね」
ガッ……!
「打ち上げた!?」
打球は力なくふらふらと上がっているキャッチャーフライだね。
『アウト!』
審判がアウトコールを唱えた瞬間。
「隙ありでござる!」
『タッチアップ!?』
キャッチャーフライで村雨が三塁からタッチアップ。か、かなり無謀だね。この場のほぼ全員が同時に声をあげたよ……。
「無事生還したでござる。ニン♪」
しかもタッチアップ成功させてるし……。規格外な足してるよ全く。
「で、でもこれで……!」
「はい。勝利に必要な1点は取れました。あとは7回表を朱里さんが抑えるだけです」
欲を言えばあと1、2点くらいほしいんだけど、高望みは出来ないね……。
『アウト!チェンジ!!』
「さて。残りのイニングをキッチリと抑えて行きましょうか」
「そうだね」
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
7回表。この回も三者三振で抑える事に成功。この試合16個目の三振だね。
『ゲームセット!!』
しかも初戦からノーノーだ。この勢いで全国まで駆け上がるぞ!
金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?
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