8月。私達は東京にてシニアの全国大会に参加する。去年の夏は渋谷シニアに負けて準優勝、今年の春は優勝。なんとか連覇したいものだね。
「それには朱里さんのピッチングが必要不可欠ですね」
「私の……?」
「当然です。朱里さんは川越シニアのエース投手なのですから」
二宮が私をエースだと言ってくれてるけど、私には余り自覚がない。今の私がエースナンバーを取れているのは、風薙さんとフロイスさんの尽力が大きい。
(それに一部の打者には偽ストレートは通用しない……。高校で私自身の球を編み出した方が良いのかな?)
考えても仕方がない。今は目の前の試合に集中しないとね。
「初戦の相手は前橋シニアかぁ~」
「エースの暮羽さんを筆頭に曲者揃いの選手達が集まっています」
「暮羽さんって確か去年沖縄で試合した時に投げてたよね。速いストレートと鋭いフォークが中々に厄介な印象だったよ」
確かにその印象が強いけど、あれから1年以上は経ってるし、暮羽さん自身ももっと成長しているに違いない。
「それでは監督に今日のオーダー表を提出しましょうか」
二宮が対前橋シニアのオーダーが書かれた紙からチラッと見えたのは……。
1番 センター 金原
3番 ショート 友沢
4番 ファースト 清本
7番 ピッチャー 私
8番 キャッチャー 二宮
いつものオーダーだった。流石に全国大会ともなると、冒険はしないよね。安定の面子って感じ。ここから変わるとしたら、精々投手の部分と、捕手が二宮から木虎になるくらいだろう。それくらいに磐石のメンバーが今の川越シニアには揃っているんだ。
『プレイボール!』
試合開始。私達は先攻だね。
「それじゃ、行ってくるよ☆」
金原は速球系統の球と相性が良いし、暮羽さんとは対戦経験があるから、ここは初球から打ってくるかもね。
カンッ!
やっぱり打ってきた。外角低めを上手く突いたね。
『ファール!』
しかし打球は一塁線切れてファール。
カンッ!
『ファール!』
2球目に投げられたフォークも上手く当てる。タイミングもバッチリじゃん。
(オッケオッケ。これなら問題ないね☆)
ツーナッシングで3球目。暮羽さんが振りかぶって投げる……けど。
(えっ!?遅い……ってこれは!?)
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
「い、今の球は……!?」
「スローカーブですね。それもかなり大きな曲がりを見せています」
「速球系の球種と今のスローカーブを散らされると厄介だね……」
「しかも1度低めの球を見せられてからだと、山なりから降って来るようなカーブは打ち辛い……」
急に速度差を見せ付けられれば、簡単には対応が出来ない……。暮羽さんは相当厄介な投手だね。
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