最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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私を全国に連れて行って!

私は外野の守備練習をしている。

 

「オーライ、オーライ」

 

今やっているのはフライを取る練習。息吹さんと大村さんの見本になれるように落ち着いてゆっくりとしっかりと捕球する。

 

「流石。無駄のない動きだな。息吹と白菊も朱里を見習って動くように!」

 

「はいっ!」

 

「は、はい!」

 

息吹さんと大村さんも続くが、初心者なので中々上手くいかず、それでも段々と上手くなっていき、最後のも落下点に入るのが早くなっていた。

 

「もう動けません……」

 

「死んだ……」

 

「2人共大丈夫?」

 

「息吹も白菊も大分早く落下点に入れるようになったな。良いぞ」

 

『ありがとうございます……』

 

「ほら、内野は休まず続けているよ。水を飲んだらトス打撃だ」

 

2人はふらふらとしながら水を飲みに行った。

 

「……朱里、あの2人をどう思う?」

 

「選手としてのセンスは素晴らしいですね。大村さんはホームランの期待値が高いですし、息吹さんは極めれば良いオールラウンダーになれると思います」

 

息吹さんは芳乃さんの付き合いで色々な選手の真似事をしていたそうだ。それが原因で動きに既視感を感じていたのか……。

 

(やっぱりこのチームはかなり上の方までいける……)

 

まぁそれでも全国には様々な強豪校がいるから、総合的には真ん中付近だと私は予測している。

 

それから私達は暗くなるまでトス打撃を繰り返し、暗くなると着替えて解散。この後は雷轟とランニングに行くから早めに準備をしよっと……。

 

この後更衣室でプロテイン騒動があったけど、それはまた別の話……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

練習が終わって朱里ちゃんとランニングをしているとヨミちゃんと珠姫ちゃんが話しているのが見えた。その後ろでは芳乃ちゃんと息吹ちゃんと希ちゃんが隠れていた。何を話しているんだろう?

 

「雷轟、どうしたの?」

 

「あれ、ヨミちゃんと珠姫ちゃんだよね?」

 

「……本当だ。その後ろには芳乃さん、息吹さん、中村さんが隠れているし。あの3人はなんで隠れてるんだろうか……?」

 

朱里ちゃんに休憩をお願いして、私達も芳乃ちゃん達の更に後ろでヨミちゃんと珠姫ちゃんを見ている事に。

 

「……私、最初はヨミちゃんとなら勝ち負けとか関係なく楽しくやれれば良いかなって思ってたんだ。もし人数が集まらなかったらキャッチボールするだけの部でも良いとも……。頑張っても頑張っても上には上がいたり、レギュラー外されたり……」

 

珠姫ちゃんの発言に対して朱里ちゃんはどこか元気がないような顔をしていた。やっぱり去年の事を……。

 

「……でもね、いざ人数が揃って本格的に部活をするようになって、全国という言葉まで聞いちゃったら中途半端は嫌になったんだ。いつの間にか本気になってる……」

 

「それはタマちゃんが知ってるからでしょ?皆で勝った時の味を」

 

勝利の味……。その発言にまた朱里ちゃんは険しい表情をしている。朱里ちゃん……。

 

「……そうだね。勝ってみたい、このチームで」

 

珠姫ちゃんがそう言うとヨミちゃんは嬉しそうに珠姫ちゃんを見ている。珠姫ちゃんは少し恥ずかしそう。

 

「とにかく!これから練習時間増えていくだろうし、ヨミちゃんはついて来られるって話だよ」

 

「まさか心配してくれたの?……本当は帰らずにずっと練習していたいくらいなんだよ。その上で勝てたらどんなに楽しいんだろうね?」

 

私も……。もっと練習したい。朱里ちゃんと、ヨミちゃん達と!

 

「だから……私を連れて行ってよ。きつい練習でもなんでもするから」

 

「……うん、わかった一緒に行こう」

 

私が2人に感動していると朱里ちゃんが私に声を掛ける。

 

「……2人の決意も聞けたし、そろそろ練習に戻るよ」

 

「うん……。ねぇ朱里ちゃん」

 

「何?」

 

「……私、野球をやって良かった。朱里ちゃん達と知り合えて良かった!」

 

「……そういうのはちゃんとレギュラー取って、試合に勝ってから言おうか」

 

朱里ちゃんは相変わらず厳しいなぁ……。でもさっきよりも元気になってて良かった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、私達の新しい練習スケジュールが配られた。

 

「文句がある人は遠慮なく言ってね」

 

「これはこれは……」

 

「中々ハードね」

 

「やった!守備連携が増えてる!」

 

他の人達はやる気を出したり、ハードな練習メニューに戦慄したりと様々な反応を見せている。そんな中藤田さんは……。

 

「……練習内容はともかく、食事の献立まで決められてるんだけど?」

 

……本当だ。細かい栄養摂取までびっちりと書いてある。

 

「もし無理なら私が作ろうか?」

 

「そういう問題じゃなくて!」

 

藤田さんも大変だなぁ……。

 

 

 

~そして~

 

話し合いが終わって新しい練習メニューをこなしていると主将から集合がかかる。

 

「先生、お願いします」

 

先生?そういえば今まで顧問の先生とか見た事なかったな……。

 

「引き継ぎが遅れましてすみません。顧問の藤井です。皆さん、自主的に練習されていて偉いです!」

 

「良かった。優しそう……」

 

「家庭科の先生ですよ」

 

「ふふ、もう授業で会った子もいますね」

 

確かに伊吹さんの言う通り優しそうではあるんだけど……。

 

(この人、只者じゃないな……。何者?)

 

高校女子野球の事は色々調べたけど、過去については余り調べてないんだよね……。

 

(調べておく必要がある……か)

 

私がそんな事を考えていると……。

 

「……さて、どうやら全国を目指しているらしいですね」

 

突然藤井先生の目が鋭くなる。やっぱり只者じゃない!

 

「そこで1週間後に練習試合を組みました」

 

「試合!?やった!」

 

練習試合に喜んでいるのが芳乃さん、中村さん、武田さん、雷轟の4人。あとは私も含めて緊張が顔に出る。

 

「対戦相手は柳川大附属川越高校……通称『柳大川越』です。どこまでやれるか見せてくださいね」

 

「頑張ろうね!朱里ちゃん!」

 

「はいはい、雷轟はまず守備を最低限で良いからなんとかしようねー」

 

とはいえ私も久し振りの試合だ……。柄にもなくワクワクしている。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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