最強のスラッガーを目指して!【本編完結】   作:銅英雄

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他作品の高校名とか出るから、クロスオーバーのタグを投稿後に付けておきます……。タグは保険ですので悪しからず。

あとタイトルを変更しました!


練習試合!新越谷高校VS柳川大附属川越高校⑤

「おっ、朝倉が出て来たぞ」

 

「そういえば昨年の夏の柳大川越は朝倉さんが中心になっていましたね」

 

「ああ、4試合で失点は僅か3点……。これは全国でも上のレベルだ。私も朝倉の球みたいに速い球が投げられたら良いとも思っている」

 

「……貴女は今のままでも良い投手ですよ。ツーシームは先発の大野さん以上で、複数の変化球を操る……。技巧という言葉は貴女の為にあるようなものです」

 

「はっはっはっ!持ち上げるのが上手いな。おまえは今までもそうやって多くの投手を成長させたに違いない」

 

「……試合に集中しましょう」

 

(また照れてる。可愛い奴め)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6回の表の私達の攻撃は主将からなんだけど、朝倉さんの速球にきりきりまいの三者連続三振。芳乃さんが瞬きするのを忘れるレベルの球を見せ付けられた……。

 

「……しかしとんでもないな。あれは全国レベルかも知れん」

 

「次の回は下位打線だし、終わったかもな」

 

「ダメダメ!私も打ちたいっちゃけど!次の回絶対回してよ!?」

 

「まぁ雷轟は歩かされる可能性があるから、中村さんには回ると思う。問題は……」

 

「どうした?」

 

「朝倉さんがストレート一本の投手じゃないって事と、朝倉さん自身の肩がまだ温まってないって事ですね」

 

「マジかよ!私達の時は手を抜いてたってのか!?」

 

「……より正確に言うと私達で肩慣らしをしているんだよ」

 

そんな朝倉さんに勝つには中村さん次第になるかもね。

 

「…………」

 

ん……?雷轟がなんか元気ないな。歩かさせるってわかっているから?

 

「どうしたの雷轟?早く守備に付かないと」

 

「うん……」

 

やっぱり元気ないな。なんか調子狂う……。

 

6回の裏は柳大打線を上手く抑えて最終回。

 

「最終回、しまっていくわよ!」

 

「はい!」

 

大野さんがメンバーをまとめて気合いを入れる。柳大のキャプテンは浅井さんだと思ってたけど、大野さんがキャプテンたったんだね。

 

「へ?最終回……?という事は守備は……?」

 

「この回に点を取れなかったらさっきので終わりね」

 

「えー!?折角調子が上がってきたのに!」

 

まぁ武田さん尻上がりタイプっぽいからね。山崎さんも受けたりないって感じの顔してるし……。

 

「芳乃ちゃん、何とかして!」

 

「希ちゃんまでに誰かが塁に出て、希ちゃんがランナーを帰す。これしかないね……」

 

武田さんが参謀の芳乃さんに泣き付くも、無策に終わる。でも……。

 

「逆に言えば中村さんに回しさえすれば希望は見えてくる。1人1人が朝倉さんに食らい付いていこう」

 

「うんうん!朱里ちゃんの言う通りだよ!」

 

「……そうだね。まずは私が!」

 

先頭打者の武田さんが張り切るもあっという間にツーストライクに追い込まれる。

 

「速いな~。しかもこれで変化球もあるんだろ?」

 

「そうだね。ここまで全球ストレートだけど、知り合いが仕入れてきた情報によると決め球が最近完成したらしい」

 

「朱里ちゃん!」

 

芳乃さんが私に詰め寄ってきた。何々!?怖い!

 

「な、何かな……」

 

「その知り合いに是非会わせて!お話したい!」

 

「か、考えておくよ……」

 

そして武田さんに投げた3球目こそが朝倉さんが新しく完成させた決め球の……。

 

「SFF……!?速い!」

 

「ストレートと殆んど同じ速度だったね。あれを混ぜられたら厄介だ」

 

さて、次は大村さんの打席だけど……。

 

「じゃあ息吹さん、代打お願いね」

 

代打に息吹さん投入。これに関しては大村さんにも事前に話してある。

 

「息吹さん、あとは頼みました!」

 

「わ、私じゃ無理よ!」

 

「大丈夫だよ。息吹さんなら飛ばす事は出来なくても、当てる事なら出来る。今までの練習を見る限りだと伊吹さんはそれに長けている……」

 

「朱里……」

 

「あとは根気よく粘っていこう。そうしたらきっと何かが起こるから」

 

「……わかったわ!」

 

息吹さんの面構えが変わった。まぁいつまでも初心者だから……という理由が許される訳じゃないからね。この打席で殻を破ってきてほしい。

 

「息吹ちゃん!」

 

芳乃さんが息吹さんに耳打ちをしている。何か作戦があるんだろうか?

 

「わかった……。芳乃が言うならやってみるわ」

 

そう言って息吹さん左打席に立つ。

 

「なんで息吹は左打席に立ってるの?」

 

「大丈夫か?」

 

「カットが上手い選手の真似をさせてみたよ!」

 

成程……。それならより確実に繋げそうだね。

 

『ファール!』

 

「当てた!?」

 

「やった!」

 

「これを繰り返していけば何れは四球になる可能性が高い。SFFは要所になるまでは投げてこないだろうから、それまでは粘ってほしいところだけど……」

 

しかしフルカウントまでいったところでSFFで三振に終わってしまう。

 

「ごめん……」

 

「ナイススイングだったよ」

 

「そうだぞ。朝倉相手によく粘った!」

 

しかし最後のSFFは際どいコースだったし、見逃していれば四球も狙えたかもしれないだけにこのアウトは痛い……。けど1点差なら雷轟と中村さんでなんとかなる筈。

 

「すみません、次のバッターをお願いします」

 

向こうの審判にそう言われるとネクストバッターサークルに雷轟は待機していない。

 

「雷轟、次は雷轟の打席だよ」

 

「……朱里ちゃん」

 

私が声を掛けると雷轟は持っているバットを私に差し出した。

 

「私は朱里ちゃんに出てほしい」

 

「……いきなりどうしたの?」

 

「朱里ちゃんだって試合に出たい筈だよ。でもこの試合はずっとベンチで応援して、私達に指示を出しているだけ……。私は朱里ちゃんとも野球をしたい。だからこのバットを受け取ってよ!」

 

「……いやでも、速球派の朝倉さん相手だと雷轟の方が期待値は高いよ?」

 

「ダメ。この機会を逃したら朱里ちゃんはずっと遠慮し続ける。そんなの私は嫌だよ!」

 

涙を流しながら雷轟は私に訴えかける。別に私は遠慮している訳じゃないんだけどね……。

 

「……後で後悔しないでよね?芳乃さん、雷轟の代打で出ても良い?」

 

「う、うん……。朱里ちゃんもどこかで出すつもりだったし。この局面で申し訳ないけど、頼めるかな?」

 

「まぁなるようにしかならないよ。……行ってくる」

 

ヘルメットを被り、雷轟からバットを受け取ってバッターボックスへ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……朱里さんが出て来ましたね」

 

「打順は雷轟のところ……。初心者とは言え期待値は雷轟の方が高いんじゃないのか?」

 

「朱里さんはバッティングも並以上はあります。朝倉さんは速球派ですし、この対決は面白いものが見られるかも知れませんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツーアウトでランナーなし……。あのまま雷轟が行っていれば中村さんに回る確率がより高かったのに……。

 

『ストライク!』

 

そもそも雷轟も言いたい放題言ってくれちゃって……。私は遠慮して今の状況になっている訳じゃないっての!お陰で皆からあらぬ誤解を受けちゃったじゃん!

 

『ストライク!』

 

(はぁ……。でもそんな雷轟に対して皆は特に反対意見は出てなかったし、これはある意味なるべくしてなった状況なのかもね)

 

私が考え込んでいる内にツーナッシングに追い込まれて、3球目にはアウトコースのSFFを投げてきた。私はそれを……。

 

 

カンッ!

 

 

打ち抜いた。

 

「抜けたっ!?」

 

「回れ回れ!」

 

(この試合が終わったら色々話しておくかな……)

 

打球は外野の頭を越えて、二塁打になった。

 

「ナイバッチ~!」

 

「これで希ちゃんに回った~!!」

 

ヒット一本で同点……。あとは中村さん次第か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝倉のSFFを綺麗に合わせてきたな」

 

「朱里さんはシニアでも7番を打っていました。その理由としては綺麗なバッティングを見せるから……と監督が言っていましたね」

 

「おまえや早川がいた川越シニアは確かどのバッターも4番クラスの実力があるチームだったと聞いている……。そんな中でも女子のおまえ達がよくレギュラーを勝ち取ったな?」

 

「私と朱里さん以外にも3人がレギュラーで、ベンチにも10人程の女子が男子の混ざっている環境で背番号を貰いました」

 

「……改めて川越シニア出身の連中は揃いも揃って化物なんだと思ったよ。埼玉にも川越シニア出身の奴が何人かいたよな?」

 

「……スカウトだけで去年の優勝校である咲桜高校に1人、一昨年の優勝校である梁幽館に1人、シード常連の椿峰に1人、そして新越谷に朱里さんで合計4人いますね。スカウト以外でも何人かはいますね。尤も朱里さんは10をも越えるスカウトを断って新越谷にいるみたいですが……」

 

「その新越谷と柳大の試合もそろそろ終わりそうだな。最終回のツーアウト二塁で1番の中村か……」

 

「どんな結果でもこの打席が分岐点ですね。中村さんが点を取れば流れは新越谷へ……。そこから逆転の可能性が見えてきます。打てなかったらそのままゲームセット……という命運が中村さんにかかっているでしょう」

 

「じゃあそろそろ出る準備をしておくか」

 

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ツーストライクまで追い込まれた中村さんは変化球をカットして、ストレートを誘う。

 

朝倉さんはそれに対して渾身のストレートを投げて、中村さんがそれを捉える。結果は……。

 

『アウト!ゲームセット!!』

 

センターフライ……。3対4で私達の敗北という形でこの練習試合は終わった。

 

 

~そして~

 

柳大の皆さんが帰り支度を済ませた後、私達はそれぞれが柳大の選手と話している。武田さんと中村さんは朝倉さんと、山崎さんは浅井さんと、芳乃さんは柳大の主力選手からサインを貰っていた。いや最後……。

 

「今日は少し早いけど、解散して自主トレにする!」

 

主将の一言で私達は帰路に……。

 

「すみません、少し良いですか?」

 

つこうとしたんだけど、私達の試合を観戦していた2人組が私達に声を掛けた。1人は……。

 

「も、もしかして白糸台高校の神童投手ですか!?」

 

「あ、ああ……」

 

西東京にある白糸台高校の神童裕菜さん。ハッキリ言って有名人だ。

 

この人がどれくらい有名かというとこのように芳乃さんが例の如くぴこぴこしながら、ミーハーのように叫んで、周りも便乗して騒然とするくらい。

 

そもそも白糸台は昨年の全国優勝校だし、神童さんは決勝戦の先発だったし知っている人が多数だ。そしてもう1人は……。

 

「朱里さん、お久し振りです」

 

「……直に会うのはシニアの最終試合以来かな?久し振りだね。二宮」

 

かつて私とバッテリーを組んでいた二宮瑞希だった。

金原いずみの藤和生活……(藤和高校野球部の登場人物は全てオリキャラ及び他作品キャラになります)見たい?

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